まずは近年実施された証券外務員試験の合格率を、以下の表で確認しておきましょう。
【2022年度】
試験種類 | 一種外務員資格試験 | 二種外務員資格試験 |
受験者数 | 4,533名 | 2,413名 |
合格者数 | 3,198名 | 1,700名 |
合格率 | 70.5% | 70.5% |
【2021年度】
試験種類 | 一種外務員資格試験 | 二種外務員資格試験 |
受験者数 | 4,690名 | 2,846名 |
合格者数 | 3,365名 | 2,006名 |
合格率 | 71.7% | 70.5% |
証券外務員二種の場合、年平均で7割前後の方が合格しています。
受験者のうち、半分以上の方が合格を勝ち取っているという実態です。
もともと、金融機関に勤務して商品知識や法的知識をある程度身に付けている方の受験も多いため、比較的合格率は高めで推移しています。
証券外務員一種の合格率は、平均で7割前後です。
証券外務員一種試験はもともと、二種保有者にしか受験は認められていませんでした。
その条件下で試験が行われた2007年の合格率は52.1%、無条件で受験ができるようになった後の2014年度の合格率は、44.0%です。
当時合格率が下がった背景には、初学の受験者が増加していることが考えられるでしょう。
近年は合格率は上昇しており、証券外務員二種と同程度の合格率で推移しています。
日本証券業協会が公表している「令和4年度事業報告書」によると、令和4年における協会所属役職員の証券外務員試験(一種・二種・特別会員一種・二種すべて含む)受験者は、42,413名で、うち合格者は22,375名でした。
【参考】令和4年度 事業報告書
証券外務員試験の難易度は、年平均の合格率が7割前後という数値からもわかるように、そこまで高くはありません。
難易度の解像度を高めるため、以下の2点について解説していきます。
証券外務員試験は、主に証券会社や銀行などの金融機関で働く人が取得する資格です。
証券外務員の資格を持つことで、はじめて金融商品の取り扱いや顧客の勧誘などが行えるようになるため、金融業界で活躍するためには必須の資格であるといえます。
一般の方が受験できる証券外務員試験の資格には、一種と二種の2つの資格があります。
それぞれ取り扱える金融商品なども異なってくるため、その違いを以下の表で確認しておきましょう。
資格の種類 | 一種外務員資格 | 二種外務員資格 |
受験資格 | なし | なし |
取り扱える金融商品 | すべて | 限定的 |
金融商品のリスク | 高い | 低い |
試験の難易度 | 高い(二種と比較して) | 低い(一種と比較して) |
一種外務員資格は二種外務員資格の上級となる資格であり、二種外務員資格よりも業務の幅が広くなります。
具体的な業務内容は、有価証券や金融商品の取引だけでなく、よりリスクの高い信用取引やデリバティブ商品の取り扱いや勧誘なども行うことができます。
一方、二種外務員資格は取り扱える金融商品や行える業務が限定的になります。
具体的には、株式や国債、公社債などは扱えますが、信用取引やデリバティブ取引などリスクの高い金融商品の取り扱いはできません。
将来のキャリアアップや金融業界の第一線で活躍したいのであれば、一種外務員資格の取得がおすすめといえるでしょう。
証券外務員試験の難易度がそこまで高くはないといっても油断は禁物です。入念な試験対策をしなければ合格できません。
金融機関では証券外務員試験の資格がなければ、金融商品の取り扱いや顧客の勧誘が行えず業務が成り立たなくなってしまいます。
それゆえ、誰もが資格取得できるよう合格のハードルが下げられているのかと思いきや、そんなことはありません。
とりあえず仕事で必要だからと受動的、また無計画な勉強方法で試験に望んでいては、まず合格できないでしょう。
合格するためには、このあと説明する証券外務員試験の合格基準や試験概要をあらかじめ掴み、試験対策を計画的かつ効率的に勉強する必要があります。
証券外務員試験は、決められた合格基準をクリアすれば合格となる絶対評価方式で試験が実施されます。
合格ラインは、一種・二種ともに正答率7割以上です。
つまり、一種が440点満点中308点以上で合格、二種が300点満点中210点以上で合格となります。
出題形式は〇✕方式および五肢選択方式で、計算問題も含まれます。
また、証券外務員一種試験では、デリバティブ取引も出題対象となります。
これらの商品はリスクが高く、販売を担当する外務員は特に金融に関する高度な知識が求められるだけに、試験問題のレベルも高くなる傾向です。
証券外務員試験の一種外務員資格試験と二種外務員資格試験の概要を見ていきましょう。
一種外務員資格試験 | 二種外務員資格試験 | |
出題科目 | 〔法令・諸規則〕
・金融商品取引法及び関係法令
〔商品業務〕
〔関連科目〕 |
|
出題範囲 | ①上記出題科目についての実務的、専門的知識
②コンプライアンスに関する基本的かつ重要な事項 |
①上記出題科目についての基礎的知識
(二種外務員の職務の範囲外である信用取引及びデリバティブ取引についても、その基礎的知識について「株式業務」、「債券業務」など各関連の科目に含めて出題します。) |
外務員資格試験において、本協会が外務員に求めるべきと考える知識につきましては、外務員必携の目次を参照してください。 | ||
・外務員必携は、法令・諸規則などの制定・改廃などを踏まえて、本協会において必要に応じて改訂します。
・外務員資格試験の問題は、直近の法令・諸規則などに基づいた内容で出題します。 |
||
出題形式 | 〇✕方式及び五肢選択方式(語句選択方式、計算問題)
解答の方法はPCへの入力方式 |
|
問題数 | 合計100問
(〇✕方式70問、五肢選択方式30問) |
合計70問
(〇✕方式50問、五肢選択方式20問) |
〇✕方式の問題は1問2点、五肢選択方式の問題は1問10点(五肢択二は各5点)。 | ||
試験時間 | 2時間40分 | 2時間 |
合否判定基準 | 440点満点の7割(308点)以上得点した者を合格者とします。 | 300点満点の7割(210点)以上得点した者を合格者とします。 |
【引用】日本証券業協会 外務員資格試験
証券外務員試験の出題科目は、金融業務に関わることだけでなく、企業の財務諸表や分析、経営に関することなど多岐に渡ります。
受験資格は特に設けられておらず、初学者や金融業界以外の方など誰でも受験可能なため、あらゆる方に門戸が開かれた試験といえます。
また、二種を受けずに最初から一種を受験することもできるので、一定の知識や経験を持つ方であれば、いきなり一種にチャレンジして最短で合格を目指してみてもよいでしょう。
証券外務員試験の受験者には、金融機関に勤務する役職員に加え、他業種で働く一般の方も含まれます。
金融に関する知識の有無で、試験合格のために必要な勉強時間は異なるでしょう。
金融業界の仕組みやルールに関する知識がなく株式投資の経験もない方だと、それなりにしっかりと勉強時間を確保したうえでの学習が望まれます。
最低でも2カ月は学習する時間を設けましょう。
証券外務員試験では、二種を飛ばして一種を受験することも可能です。
では、どちらを先に受験するのが良いのでしょうか?
結論から言えば、主に以下の2点から判断することが重要です。
まず、二種から受験するメリットとしては「段階を踏んで直実にスキルアップできること」が挙げられます。
最終的に一種の取得まで目指しているのであれば一種だけを受けることもできますが、二種に比べて出題範囲が広く、より専門的な知識を求められます。
二種は一種に比べて基本的な知識を問われるため難易度が低く、合格を目指しやすい良さがあります。加えて、一種試験の前に試験の雰囲気に慣れるという意味でも有効です。
一方で、一種から受験すれば「学習期間とコストを削減できる」といったメリットがあります。
最初から一種を取得することが目的で、かつ学習期間に余裕がある場合は、一種から受験しても問題ないでしょう。ただし、その分超えなくてはならないハードルは高くなります。
最終的には自分が目指すゴールや学習期間などから考えて、どちらを先に受験するか判断するようにしましょう。
証券外務員試験は、独学でも十分合格可能です。
ただし、一種・二種ともに出題範囲が広く、一種となると求められる知識がより高度・専門的になるため、それ相応の勉強時間を確保する必要があります。
独学であれば学習計画を立てたり、参考書を選んで試験に出るポイントを分析したりと、自分一人ですべて対応しなくてはいけません。本来勉強に充てられるはずだった時間が奪われてしまい、ストレスに感じる方もいるでしょう。
そうした場合には、無理に独学で勉強を続けようとするのではなく、オンライン講座などで効率的に学ぶのがよいでしょう。
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独学で生じる「勉強には直接関係のない余計な時間」を取られることもなく、ムダなく効率的に勉強できるためおすすめです。
今回取り上げた証券外務員試験の難易度について、最後にポイントをおさらいしておきましょう。
証券外務員資格は、金融業界で活躍するためには必要不可欠な資格です。
また、経営には欠かせない会社の数字を読み解き、分析する力も身に付けられるため、金融業界だけでなくあらゆる業界・業種で有益かつ応用の効く資格だともいえます。
受験資格の制限は特に設けられていないため、初学者や学生、主婦の方などすべての人に資格取得のチャンスがあります。今後のキャリアアップや収入アップに繋げることもできるでしょう。
少しでも証券外務員試験に興味を持ったのであれば、この機会に「スタディング 外務員(証券外務員)講座」の受講をおすすめします。
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