▼平成27年度(2015年度)以降の社労士試験の受験申込者数・受験者数・合格者数の推移
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
平成20年度 | 47,568人 | 3,574人 | 7.5% |
平成21年度 | 52,983人 | 4,019人 | 7.6% |
平成22年度 | 55,445人 | 4,790人 | 8.6% |
平成23年度 | 53,392人 | 3,855人 | 7.2% |
平成24年度 | 51,960人 | 3,650人 |
7.0% |
平成25年度 |
49,292人 | 2,666人 |
5.4% |
平成26年度 |
44,546人 | 4,156人 | 9.3% |
平成27年度 |
40,712人 | 1,051人 | 2.6% |
平成28年度 | 39,972人 | 1,770人 | 4.4% |
平成29年度 | 38,685人 | 2,613人 | 6.8% |
平成30年度 | 38,427人 | 2,413人 | 6.3% |
令和元年度 | 38,428人 | 2,525人 | 6.6% |
令和2年度 | 34,845人 | 2,237人 | 6.4% |
令和3年度 | 37,306人 | 2,937人 | 7.9% |
令和4年度 | 40,633人 | 2,134人 | 5.3% |
令和5年度 | 42,741人 | 2,720人 | 6.4% |
令和6年度 | 43,174人 | 2,974人 | 6.9% |
資格 |
合格率 |
社労士 | 6〜7%程度 |
司法書士 | 4〜5%程度 |
行政書士 | 9〜10%程度 |
宅建士 | 15〜17%程度 |
まず、社労士と宅建士では合格率に10ポイント程度の開きがあり、社労士のほうが合格率が低くなっています。それぞれの試験の難易度がそのまま差として反映されていると考えていいでしょう。
次に、社労士と行政書士では合格率に5ポイント程度の開きがあり、社労士のほうが合格率が低くなっています。一般的に「社労士のほうがやや難しい」とする意見が多いです。
一方、社労士と司法書士では、合格率は似たような水準ですが、司法書士試験は法律系の国家試験の中では司法試験に次ぐ難しさと位置付けられており、社労士試験よりも難易度はぐんと上がります。
今度は合格に必要とされる勉強時間について、社労士、司法書士、行政書士、宅建士を比べてみましょう。
資格 | 勉強時間(目安) |
社労士 | 500〜1,000時間程度 |
司法書士 | 3,000時間程度 |
行政書士 | 500〜1,000時間程度 |
宅建士 | 200〜300時間程度 |
年代 |
割合 |
20歳代以下 |
11.8% |
30歳代 |
32.5% |
40歳代 |
28.9% |
50歳代 |
19.2% |
60歳代以上 |
7.6% |
この年度の合格者の最年少者は20歳、最高齢者は81歳となっています。
令和6年度(2024年度)合格者の職業別割合は以下のとおりです。
職業 | 割合 |
会社員 | 59.9% |
無職 | 10.6% |
公務員 | 8.6% |
団体職員 | 4.9% |
自営業 | 4.2% |
役員 | 3.4% |
学生 | 0.7% |
その他 | 7.7% |
職業別の割合は会社員が過半数です。社労士は難関試験のひとつですが、働きながらであっても合格を目指せる資格であると言えます。
令和6年度(2024年度)合格者の男女別割合は以下のとおりです。
性別 | 割合 |
男性 | 61.1% |
女性 | 38.9% |
社労士試験は女性の合格者が比較的多い点も特徴です。
【参考】厚生労働省「合格者数等の推移(過去10年)・第56回社会保険労務士試験合格者の年齢別・職業別・男女別構成」
社労士試験には合格基準点が定められていますが、毎年「救済」と呼ばれる補正があるため、正式な合格基準点は合格発表の時にわかります。
原則としての合格基準点は下記のとおりです。
出題形式 | 満点 | 合格基準点(原則) |
選択式 (5点×8科目) |
40点 | 合計28点以上 かつ 各科目3点以上 |
択一式 (10点×7科目) |
70点 | 合計49点以上 かつ 各科目4点以上 |
次の項目でも触れますが、社労士試験では科目ごとの合格基準点を制することが合格において非常に重要なポイントです。
合格基準点と救済制度の解説や、過去の試験で行われた救済の科目・得点の一覧は、こちらの記事でご確認ください。
【あわせて読みたい】社労士の試験内容・科目一覧!合格基準・合格率や短期合格のコツも解説
社労士試験の合格率は年度によって多少のバラつきがありますが6〜7%程度となっています。他の国家資格と比較しても低く、難関試験であると言えます。このように社労士試験の合格率が低い理由としては以下のような点が挙げられます。
社労士の合格率が低い理由の1つ目は、試験範囲が広いことです。
社労士の試験範囲は、大きく分けて「労働関係科目」と「社会保険関係科目」の2つで、さらに10科目に分類されます。
なかでも難易度が高い科目は、「労務管理その他の労働に関する一般常識」と「社会保険に関する一般常識」の2つ。これらの科目には多くの法律・制度・知識が含まれているため、範囲が膨大です。
上記2科目を筆頭に、社労士試験はとにかく試験範囲が広いので、試験本番までに十分勉強しきれない人も多く、合格率を下げる要因になります。
社労士の合格率が低い理由の2つ目は、科目ごとに合格基準点があることです。
総得点で合格基準点を越えることができていても、1科目でも、科目毎の基準点割れがあると、不合格になってしまいます。そのため、全科目をまんべんなく勉強する必要があります。
社労士試験は「選択式試験」と「択一式試験」という2つの出題形式で構成されています。
たとえば選択式は、全8科目の合計得点が合格基準点をクリアしていることに加えて、科目ごとの合格基準点(1科目5点満点のうち基本的に3点以上)もクリアしなければいけません。1つのテーマがわからないと一気に2〜3点落としてしまうケースもあります。
苦手な科目・テーマがあると科目ごとの合格基準点をすべてクリアすることができず、不合格となります。つまり、出題範囲が広い一方で苦手科目・捨て科目は作れない、ということになり、合格率を低くする要因のひとつとなっています。
社労士試験の合格率が低い理由として3つ目に挙げられるのは科目数が多く、求められる知識の範囲が広いにも関わらず「科目合格」がないという点が挙げられます。
科目数が多い国家試験の中には、総合で不合格になっても一部科目の得点が基準を超えている場合、翌年、翌々年などの試験が免除される「科目合格」制度が利用できることがあります。
「科目合格」によって一部でも科目が免除されれば翌年はその試験を受ける必要がないため、その分他の科目の勉強に集中できるというメリットがあります。
また、最初から全科目の合格を目指すのではなく科目を半分ずつクリアしていくといった戦略を立てることも可能です。
社労士試験には「科目合格」制度はありません。そのため、科目別に基準点をクリアしていても不合格になれば翌年もまた全科目を受験する必要があります。この点も社労士試験の合格率が低い要因のひとつです。
社労士試験の受験者のうち「科目免除者」の合格率は、受験者全体の合格率より高い傾向です。
▼科目免除者と受験者全体の合格率の比較
年度 |
科目免除者 |
受験者全体 |
令和6(2024) | 8.6% | 6.9% |
令和5(2023) |
11.0% | 6.4% |
令和4(2022) | 13.7% | 5.3% |
令和3(2021) | 12.6% | 7.9% |
令和2(2020) | 8.6% | 6.4% |
令和元(2019) | 9.8% | 6.6% |
※科目免除者の合格率は「合格者の科目免除者(人)」÷「受験者の科目免除者(人)」で算出
直近の5年分のデータによると受験者全体でみると合格率は6〜7%であるのに対し、科目免除者の合格率は10%前後と高くなっています。
ここからは社労士試験の科目免除について、その仕組みと、利用すべきかどうかについて解説します。
社労士試験では実務経験などにおいて一定の条件を満たす人は一部の科目試験の免除が受けられます。これが「科目免除」制度です。
一定の条件を満たしているからといって自動で免除を受けられるわけではなく、事前の申請が必要となります。
科目免除が適用される人の条件については社労士試験オフィシャルサイトで確認できます。
科目免除は、対象者だからといって全員が必ず免除を受けなければならないわけではありません。科目免除者は合格率が高いこともあり、当然メリットはありますが一方で注意点もあります。
科目免除の最大のメリットは受験科目が減るため、その分だけ1科目あたりの勉強時間を増やせるという点です。
苦手科目の勉強時間に充てる、または社労士試験に必要な対策・勉強時間を減らせるという点もメリットです。
科目免除という選択肢を選べることによって、社労士試験に対する戦略の幅を広げることができるという点もメリットのひとつです。
このようなメリットが合格率にも反映されていると考えることができます。
一方で、免除を受けた科目の得点は合格基準点を元にして算出されます。満点扱いになるわけではないため、免除を受けずに受験した方が総合得点が高くなる可能性があるのです。
そもそも、科目免除を受けることができる条件を満たしている方は、該当の科目において専門的な知識を持っている可能性が高いため、受験した方が高得点を獲得できる可能性は高いと言えます。
そのため、科目免除の資格があってもあえて受験するという選択肢も検討する必要があるのです。
社労士試験は、勉強が得意な人でないと合格できない試験ではありません。正しい勉強方法で、やるべきことにきちんと取り組めば、その努力は高い確率で報われます。
では、合格率6〜7%の試験に着実に合格するにはどうすればいいのでしょうか?次の3つのポイントをおさえた勉強が必要です。
社労士試験の合格基準は総合点だけでなく、すべての科目で合格基準点を満たす必要があります。
総合点のみで合否が決まるのであれば、捨て科目を作って得意科目で得点を稼ぐという戦略も可能です。
また「科目合格」制度のある試験であれば捨て科目を作って複数年をかけて合格するという選択肢もあります。
しかし社労士試験の場合、すべての科目で合格基準点をクリアする必要があり「科目合格」制度もありません。そのため、すべての科目でしっかりと対策を行う必要があると言えます。
対策としては、短いスパンですべての科目を繰り返し勉強するという方法が効果的です。
各科目を順番に勉強していく場合、スケジュールどおりに勉強を進めることができなければ試験まですべての科目を網羅できなくなる可能性があります。
スケジュールをしっかりと考えて苦手科目や捨て科目を作らない勉強を目指しましょう。
社労士試験合格のためにはとても多くの知識が必要となります。そのために、当然知識をしっかりとインプットすることになるでしょう。
しかし、実際に社労士試験に合格するためには単に「知識」を詰め込むだけではなく、問題を解き、「得点力」に変える必要があります。
知識を得点力に変えるために求められるのが、実際に問題を解きながらトレーニングを積むことです。
過去問題や練習問題をこなせばそれだけインプットした知識を得点に変える方法を身につけることができます。
また、多くの問題を解くことによって試験の出題形式にも慣れ、問いへの理解も早くなります。同様に回答の形式、方法にも慣れることができるため、試験本番で実力を十分に発揮することができるはずです。
どんなに勉強して実力を身につけることができたとしても、試験本番で力を出し切ることができなければ意味がありません。
自宅でのリラックスした状態であれば簡単に解ける問題であっても、本番になるとわからなくなってしまうというケースもあります。
社労士試験は時間も長いこともあって、集中力の持続や、普段とは違った環境の中で落ち着いて問題を解くための忍耐力も合格のためのカギのひとつと言えます。
こういった問題を解決するために重要なのが、試験当日と同じ環境で問題を解くというトレーニングを重ねることです。
試験本番とまったく同じ環境を作ることは難しいかもしれませんが、当日と同じスケジュールで練習問題や過去問を解くだけでも、本番で力を出しやすくなります。
はじめて受験する場合、試験会場の立地や環境などをあらかじめネットなどで確認しておくことによって、よりリラックスした状態で試験を受けることができます。
当日の移動時間なども含めてしっかりシミュレーションしておくことも当日の不安を和らげるのに役立ちます。
ここまで述べてきた勉強方法をまとめて取り入れるには、スタディング 社会保険労務士講座の活用がおすすめです。
スタディング社会保険労務士講座は、過去50年分の出題実績を分析することで必要十分にして最小限のカリキュラムを実現しています。
これによってより効率的に、そしてすべての科目をまんべんなく勉強することができるため、苦手科目・捨て科目を作らず短期間で社労士試験合格を目指せます。
最適な勉強の順番、ステップなどもあらかじめ用意されているので自分でスケジュールを考える必要がないという点もポイントです。
スタディング社会保険労務士講座では、テキストだけでなく、過去の出題傾向を踏まえて作られた問題集も用意しています。
知識と同時に得点力も高めることができるのです。スマホアプリで解ける問題集なので、外出先でも自宅のリラックスタイムでも、どこでも気軽に勉強できます。
このほか試験直前のオンライン模試や直前対策用の問題集などもあるので、学習の段階に応じて問題を解きながらレベルアップすることができます。
スタディング社会保険労務士講座では、オンラインでいつでもどこでも受講できる模試は印刷して使うことも可能です。これを利用することによって、自宅にいながら、本試験と同じ制限時間を設定してのトレーニングも行いやすくなります。
また、通信講座は講師に質問できない点が不安だという声もありますが、スタディング社会保険労務士講座では学習Q&Aチケットによる質問が可能です(コースによっては別売り)。
「試験で解く順番は?」「見直しは必要?」といった疑問や不安を解消できるという点もポイントです。
今回は社労士試験の合格率や難易度などについて詳しくご紹介しました。それでは今回のポイントをおさらいしておきましょう。
社労士試験の合格率は他の国家資格と比較しても低く、難関試験のひとつとなっています。しかし、ポイントを押さえてしっかり対策することで働きながらでも合格を目指すことは可能です。