
社労士試験は合格率6%前後とされる難関の国家資格ですが、中には「3カ月で合格したい」と考える人もいるでしょう。
一般的には500~1,000時間ほどの学習が必要とされる試験であり、短期間での合格は簡単ではありません。
本記事では、社労士試験の基礎知識や試験の難易度、必要な学習時間に加え、3カ月での具体的な勉強戦略について解説します。
社労士試験に3カ月で合格できる?
社労士試験に初学者が3カ月で合格するのは、現実的ではありません。
なぜなら、社労士試験は膨大な範囲の知識を必要とし、一般的に合格には500〜1,000時間の学習が必要とされているからです。
仮に3カ月で合格を目指す場合、1日6〜10時間以上の勉強が必要になり、仕事や家庭をもつ人であれば、かなりの覚悟と努力が求められます。
ただし、例外として以下のような人は3カ月で合格する可能性があります。
- 社労士事務所での勤務経験者:実務知識があるため学習範囲が限定される
- 過去に社労士試験を受験した人:基礎知識があるため復習中心で短期間学習が可能
- 法律系資格の保持者(例:行政書士・司法書士):労働法や社会保険法に精通している
とはいえ、上記の人でも3カ月での合格は簡単ではありません。
短期間で合格を目指すなら、学習経験の有無に関わらず、効率的な勉強法と徹底した時間管理が必要です。
社労士の勉強経験者が3カ月で合格する勉強方法は?
社労士試験の勉強経験者でも、3カ月で合格するのは容易ではありません。
合格するには500~1,000時間ほどの学習が必要とされており、短期間での合格を目指すなら、学習の優先順位を明確にし、効率的に進める必要があります。
具体的には、以下の3つの戦略を実践することで、合格の可能性を高められるでしょう。
- 試験頻出の白書・統計・法改正を重点的に学ぶ
- 勉強時間を最大限確保し学習効率を上げる
- 過去問や模試を活用し出題パターンを把握する
それぞれの項目について順番に解説していきます。

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試験頻出の白書・統計・法改正を重点的に学ぶ
社労士試験では、毎年改正される白書・統計・法改正に関する問題が頻出します。
3つの分野を優先的に学習することで、短期間でも得点力の底上げが可能です。
重点的に学ぶべきポイントは以下の通りです。
- 白書・統計:最新の労働経済白書や厚生労働白書からの出題が多い
- 法改正:毎年の改正点が狙われるため、過去問よりも最新情報が重要
- 出題傾向:近年の試験では法改正に関する出題が増加
最新のデータを早期に把握し、頻出論点を押さえることが得点アップの鍵となります。
勉強時間を最大限確保し学習効率を上げる
3カ月で合格を目指すなら、1日最低5〜6時間の学習が必要です。
しかし、時間を増やすだけではなく、並行して効率も意識しなければなりません。
効率的な学習法の例は以下の通りです。
- スキマ時間の活用:移動時間や食事中に音声講義を聞く
- インプットとアウトプットのバランス:暗記に偏らず、問題演習も並行
- 重点学習:過去問で頻出の論点を優先的に復習
限られた時間を最大限活用し、効率よく知識を定着させることが重要です。
過去問や模試を活用し出題パターンを把握する
社労士試験の出題傾向は大きく変わらないため、過去問や模試を繰り返し解くことが合格への近道です。
過去問や模試の効果的な活用法は以下になります。
- 3回以上繰り返す:最低でも3年分の過去問を解く
- 解説を徹底理解:「なぜこの答えになるのか」を考える
- 本番環境での演習:時間を計って模試を解くことで試験慣れする
知識の定着だけでなく、問題の出題パターンを把握し、試験本番での得点力を高めることが重要です。
戦略的に学習を進めることで、3カ月という短期間でも合格の可能性を最大限引き上げられます。

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社労士試験の試験直前の3カ月の勉強方法は?
試験直前の3カ月は、学習内容を総仕上げし、本番で少しでも得点を取るための努力をする期間です。
この時期は、新しい知識を増やすよりも、基本の確認・最新情報の整理・実践的な演習を行うことが重要です。
具体的には、以下の3つの戦略を実践することで、合格率を高められるでしょう。
- 基本学習を重視する
- 最新の白書・統計・法改正をチェックし出題傾向を把握する
- 試験本番を意識した模試・演習で実践力を強化する
試験直前の3カ月は、要点を押さえて勉強を進めるのが効率的です。
基本学習を重視する
試験直前だからこそ、基礎の徹底確認が合否を分けます。
参考書の「基礎項目」を繰り返し確認し、得点アップを目指しましょう。
効果的な学習法は以下の通りです。
- 基本問題の過去問を解きなおす:正誤の根拠を答えられることが目標
- 音読や説明学習を活用:「人に教えるつもりで説明する」と記憶が定着しやすい
- 暗記用ノートを活用:苦手な箇所をまとめ、短時間で復習できるようにする
基本問題の確実な得点が合格の鍵となるため、難問にこだわらず「解ける問題を確実に解く」ことを意識しましょう。
最新の白書・統計・法改正をチェックし出題傾向を把握する
社労士試験では、最新の白書・統計・法改正からの出題が多いため、試験直前にこれらの分野を重点的に学習することが効果的です。
具体的な学習方法は以下になります。
- 法改正ポイントを暗記:最新の法改正をまとめた資料を活用し、短期間で整理
- 白書・統計の重要データを確認:直近の労働経済白書・厚生労働白書の数値を押さえる
- 模試や直前対策講座の資料を活用:最新情報を問う問題の出題パターンを把握
法改正は、社労士試験の合否を左右する重要なポイントです。
最新の情報をいち早くキャッチし、試験で確実に得点できるよう準備を進めましょう。
試験本番を意識した模試・演習で実践力を強化する
試験直前の3カ月は、実践力を高めるために模試や演習を積極的に行い、本番での得点力を向上させることが大切です。
効果的な演習方法は以下の通りです。
- 本試験と同じ時間帯で模試を解く:試験開始時間に合わせ、時間管理の感覚を身につける
- 問題ごとの目標時間を設定:解答スピードを上げるために、各問題の解答時間を意識する
- 間違えた問題を分析し、復習する:同じミスを繰り返さないよう、間違えた理由を明確にする
本試験の制限時間内に、問題を解く練習を繰り返すことで、時間配分の感覚を養い、当日のパフォーマンスを最大限引き出せるでしょう。
試験直前の3カ月間は「基礎の再確認」「最新情報の整理」「実践力の強化」をバランスよく行うことで、短期間でも合格の可能性を高められます。
社労士試験で知っておくべき基礎知識
社労士試験に合格するためには、事前に試験科目や方式、難易度などの全体像を把握し、効率的に学習を進めることが重要です。
本試験では、労働法規や社会保険制度の幅広い知識が問われ、試験科目や合格率を理解することで、適切な学習計画を立てられます。
ここでは、社労士試験の基本情報や難易度・合格率について詳しく解説します。

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社労士試験の概要
社労士試験は、労働法規や社会保険制度に関する専門知識を問う国家資格試験です。
以下のような試験科目で構成され、広範囲の知識が求められます。
【試験科目】
科目分類 | 科目名 |
---|---|
労働関係科目 | 労働基準法 労働安全衛生法 労働者災害補償保険法 雇用保険法労働保険の保険料の徴収等に関する法律 労務管理その他の労働に関する一般常識 |
社会保険関係科目 | 健康保険法 厚生年金保険法 国民年金法 社会保険に関する一般常識 |
【試験方式】
試験形式 | 科目数 | 出題数 | 配点 | 試験時間 |
---|---|---|---|---|
選択式試験 | 8科目 | 各1問(5つの空欄) | 計40点 | 80分 |
択一式試験 | 7科目 | 各10問 | 計70点 | 210分 |
【参考】社会保険労務士試験オフィシャルサイト「社会保険労務士試験の概要」
選択式試験と択一式試験の両方で、各科目ごとに合格基準点が定められており、いずれかの科目で基準点に達しない場合は不合格です。
また、法改正や最新の統計データに関する問題がよく出題される傾向にあります。
そのため、過去問の反復学習だけでなく、最新の法改正情報も押さえておきましょう。
社労士試験の難易度・合格率
社労士試験の合格率は例年6~7%で推移していて、難関資格のひとつとされています。
初学者がつまずきやすいポイントとして、以下のような点が挙げられます。
- 試験範囲の広さ:10以上の法律を学ぶ必要があり、学習量が膨大
- 法改正への対応:毎年変更されるため、最新情報のキャッチアップが必須
- 選択式試験の難易度:特定の知識がピンポイントで問われるため、知識の網羅性が求められる
学習範囲の広さや法改正などのトレンドを追う必要があり、はじめて勉強する方は苦戦するでしょう。
▼社労士試験の受験者数・合格者数・合格率
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
平成27年度 | 40,712人 | 1,051人 | 2.6% |
平成28年度 | 39,972人 | 1,770人 | 4.4% |
平成29年度 | 38,685人 | 2,613人 | 6.8% |
平成30年度 | 38,427人 | 2,413人 | 6.3% |
令和元年度 | 38,428人 | 2,525人 | 6.6% |
令和2年度 | 34,845人 | 2,237人 | 6.4% |
令和3年度 | 37,306人 | 2,937人 | 7.9% |
令和4年度 | 40,633人 | 2,134人 | 5.3% |
令和5年度 | 42,741人 | 2,720人 | 6.4% |
令和6年度 | 43,174人 | 2,974人 | 6.9% |
学習内容やデータから見るに、社労士試験は決して簡単な試験ではありません。
しかし、出題傾向を把握し、計画的に学習を進めることで合格の可能性を高められます。

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社労士試験で必要な目安の勉強時間
社労士試験に合格するためには、一般的に500~1,000時間程度の学習が必要とされています。
しかし、学習方法によってかかる費用や進め方、効率性が異なります。
学習方法 | 費用(税込) | 特徴 |
---|---|---|
独学 | 3〜5万円(教材代) | 自分のペースで進められるが、時間がかかる |
通信講座・予備校 | 6〜30万円 | 短期間で効率よく学習できるが、費用がかかる |
短期間で合格を目指す場合、通信講座や予備校を利用する方が効率的です。
一方で、コストを抑えたい場合は独学からはじめるのもよいでしょう。
どちらの学習方法が自分に合っているかを判断するために、それぞれの学習時間や特徴を比較します。
独学の場合
独学では、基礎知識の習得から試験対策まですべてを自分で管理する必要があるため、学習時間が長くなる傾向にあります。
学習計画の立案や情報収集に時間がかかりやすい点が課題です。
通信講座や予備校であれば頻出ポイントに絞った効率的な学習が可能ですが、独学だと全分野を満遍なく対策しようとし、学習効率の悪化につながることがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
費用が安い 通信講座や予備校に比べて学習コストを抑えられる | 学習時間が長くなりやすい 効率的なカリキュラムがないため遠回りしがち |
自分のペースで学習できる スケジュールを自由に調整可能 | 情報収集が必要 法改正や統計データの更新情報を自分でチェックする必要がある |
理解が深まる 自力で調べる習慣がつき、知識が定着しやすい | モチベーション管理が難しい 計画的に学習しないと挫折しやすい |
独学で合格を目指す場合は、自分で計画的に進められるか、モチベーションを維持できるかが重要なポイントです。
通信講座・予備校の場合
通信講座や予備校を利用すると、学習カリキュラムが整っているため、独学よりも短期間で効率よく学習できます。
とくに、講義動画や添削指導を活用することで、インプットをスピーディーに進められるのがメリットです。
メリット | デメリット |
---|---|
効率的に学習できる 体系的なカリキュラムをもとに短期間で知識を習得しやすい | 費用が高い 6万〜30万円程度かかる |
最新情報をキャッチしやすい 法改正や統計データの最新情報を講座が提供 | 自分のペースで学びにくい 講義の進行に合わせる必要あり |
質問や添削指導が受けられる 疑問をすぐに解決でき、学習効率が向上 | 受け身になりがち 講義を聞くだけでは知識が定着しにくい場合がある |
通信講座・予備校では、サポートや最新情報の提供など、独学にはない強みがあります。
一方で、時間に余裕があり、費用を抑えたい場合は独学が適しています。
ただし、オンラインで学べる通信講座なら6万円程度から利用できるものもあります。
どの学習方法が自分に合っているかを考え、最適な選択をしましょう。

社労士試験の効率的な勉強方法
社労士試験に合格するためには、優先順位をつけた学習と試験の出題傾向を意識した対策が不可欠です。
効率的に学習を進めるためには、科目ごとに異なるアプローチを取り入れるのがよいでしょう。
ここでは、試験の中でも重要な「労働関係科目」と「社会保険関係科目」の勉強方法について解説します。
労働関係科目
労働関係科目は、試験の約半分を占める最重要分野です。
中でも労働基準法は出題頻度が高く、確実に得点するためには基本知識の定着が欠かせません。
また、法改正の影響を受けやすいため、最新の情報を確認しながら学習を進めることが大切です。
科目と出題範囲は以下の通りです。
科目 | 出題範囲 |
---|---|
労働基準法 | 労働条件の最低基準(労働時間・賃金・解雇制限など) |
労働安全衛生法 | 労働者の安全・健康確保(職場環境・災害防止措置など) |
労働者災害補償保険法 | 労働災害時の補償(労災保険の給付・適用範囲など) |
雇用保険法 | 失業保険や育児休業給付(雇用保険の給付制度・適用範囲など) |
労働保険の保険料の徴収等に関する法律 | 労働保険の保険料の徴収・納付方法(適用事業・徴収手続きなど) |
労務管理その他の労働に関する一般常識 | 労務管理・労働市場に関する一般常識(人事・労働統計・時事問題など) |
【参考】社会保険労務士試験オフィシャルサイト|社会保険労務士試験の概要
社労士試験の労働関係科目を効率的に学習するためには、条文の趣旨や目的を理解することが重要です。
法律の背景や目的を把握することで、知識の応用がしやすくなり、試験内容に応じて柔軟に対応できるでしょう。
また、試験で問われやすいポイントを、優先的に学習することも合格への近道です。
労働基準法や労働者災害補償保険法は、条文ごとの関係性を意識しながら学習を進めましょう。

社労士試験「労働基準法」の勉強方法!過去問から厳選の頻出論点
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社会保険関係科目
社会保険関係科目は計算問題や数字が多いため、暗記だけでなく仕組みを理解する学習を意識しましょう。
また、健康保険や年金制度は法改正の影響を受けやすいため、最新の情報を把握することが重要です。
科目 | 出題範囲 |
---|---|
健康保険法 | 被用者保険制度(保険給付・適用範囲・高額療養費など) |
厚生年金保険法 | 厚生年金の仕組み(加入条件・年金額の計算・受給要件など) |
国民年金法 | 自営業者等の年金制度(国民年金の給付・保険料・受給資格など) |
社会保険に関する一般常識 | 社会保険制度全般の基礎知識(医療・年金・介護保険・統計データなど) |
【参考】社会保険労務士試験オフィシャルサイト|社会保険労務士試験の概要
標準報酬月額や給付額の算出といった計算問題は頻出であり、重点的に対策を行う必要があります。
また、各保険制度の適用範囲や給付要件を整理し、制度の構造や流れを把握することも合格の鍵です。
健康保険や年金制度は法改正の影響を受けやすいため、最新情報をチェックしながら学習を進めることがよいでしょう。

社会保険労務士(社労士)の短期合格に向けた各科目別傾向と対策
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まとめ:短期合格を目指すならスタディングがおすすめ
社労士試験に3カ月で合格するのは現実的に難しいですが、学習方法を工夫し、効率的に学習を進めれば短期間での合格も可能になります。
できるだけ早く合格を目指すには、通信講座の活用が有効です。
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