社会保険労務士試験には受験資格が定められています。受験資格は、大きく分けると次の3つです。
これら3つは、さらに細かく全部で16のコードに分けられています。この16のコードのうち、1つでもあてはまれば受験資格として認められます。
※大きく分けた3種類のうちどれか1つにあてはまればOKです。たとえば「学歴と実務経験の両方が必要」といったことはありません。
【参考】社会保険労務士試験オフィシャルサイト「受験資格について」
学歴による受験資格は全部で6つです。
コード | 受験資格 |
01 | 大学、短期大学、専門職大学、専門職短期大学、高等専門学校(5年制)を卒業した者。または専門職大学の前期課程を修了した者。 |
02 | 短期大学を除く大学で62単位以上の卒業要件単位を修得したもの。 または一般教養科目と専門教育科目等との区分けをしているものにおいて、一般教養科目36単位以上を習得し、 専門教育科目等の単位を加えて48単位以上の卒業要件単位を修得した者。 |
03 | 旧制高等学校令による高等学校高等科、旧大学令による大学予科または旧専門学校令による専門学校を卒業した者。 |
04 | 厚生労働大臣が認めた学校等を卒業、または所定の課程を修了した者。 |
05 | 修業年限が2年以上で、かつ、課程の修了に必要な総授業時間数が1,700時間以上の専修学校の専門課程を修了した者。 |
14 | 全国社会保険社労士連合会において、個別の受験資格審査により、 学校教育法に定める短期大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者。 |
実務経験による受験資格は全部で5つです。
コード | 受験資格 |
08 | 労働社会保険諸法令の規定に基づいて設立された法人の役員、 従業者として同法令の実施事務に従事した期間が通算3年以上になる者。 |
09 | 公務員、行政執行法人、特定地方独立行政法人、日本郵政公社の役員または職員として 社会保険諸法令の行政事務に相当する事務に従事した期間が通算で3年以上になる者。 |
11 | 社会保険労務士もしくは社会保険労務士法人、弁護士もしくは弁護士法人の業務の補助の事務に 従事した期間が通算で3年以上になる者。 |
12 | 労働組合の役員、または法人などで役員として労務を担当した期間が通算で3年以上になる者。 |
13 | 労働組合の職員、法人または事業を営む個人の従業者として労働社会保険諸法令に関する事務に従事した期間が3年以上になる者。 |
【試験合格】による受験資格(所定の国家試験)
試験合格による受験資格は全部で3つです。
コード | 受験資格 |
06 | 社会保険労務士試験以外の国家試験のうち、厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した者。 |
07 | 司法試験予備試験、旧法の規定による司法試験の第一次試験、旧司法試験の第一次試験または高等試験予備試験に合格した者。 |
10 | 行政書士試験に合格した者。 |
上記3つのほかに、社労士試験を過去に受験した経験も受験資格の証明として使用することができます。
コード | 受験資格 |
15 | 直近3年間に実施された社会保険労務士の受験票または成績(結果)通知書を所持している者。 |
16 | 社会保険労務士試験、試験科目の一部免除決定通知書を所持している者。 |
受験資格は、出願期間以外でも、試験センターに問い合わせて確認することができます。 |
受験資格の3種類のうち、判断に迷いやすいのは「実務経験」ではないでしょうか。受験資格を満たしているかどうか迷った場合は、試験実施機関である全国社会保険労務士連合会試験センターに問い合わせて確認することができます。出願期間ではない時期でも、随時対応してくれます。
問い合わせの方法は以下のとおりです。
聴覚、言語等に障害がある方はFAXで解答を受け取ることができます。
問い合わせを行う際にはこれらの注意点を確認しておきましょう。
学歴の受験資格証明書は以下のとおりです。
コード | 受験資格証明書 |
01 |
下記のうちいずれか ・卒業証明書もしくは修了証明書またはその写し ・卒業証書の写し ・学位記の写し |
02 | 大学の成績証明書またはその写し |
03・04 |
下記のうちいずれか ・卒業証明書もしくは修了証明書またはその写し ・卒業証書の写し |
05 |
下記のうちいずれか ・「専門士」もしくは「高度専門士」の称号が付与されていることを証明する書類、またはその写し ・試験センター様式の専修学校修了者受験資格証明書またはその写し |
14 |
下記のすべてが必要 ・卒業(修了)証明書またはその写し ・成績(単位修得)証明書またはその写し ・カリキュラム等またはその写し(修業年限、授業時間数、授業科目数、必要単位数等が記載されているもの) |
その他の資格試験合格の場合の受験資格証明書は以下のとおりです。
コード
| 受験資格証明書 |
06・07 | 原則として下記のうちのいずれか ・合格証明書またはその写し ・合格証書の写し |
10 | 下記のうちいずれか ・合格証明書またはその写し ・合格証書もしくは証票または会員証の写し |
過去受験の受験資格証明書は以下のとおりです。
コード | 受験資格証明書 |
15 | 直近3年間に実施された社会保険労務士試験の受験票または成績(結果)書またはその写し |
16 | 社会保険労務士試験 試験科目の一部免除決定通知書の写し |
社労士試験の受験資格のうち「学歴」は、学部・学科などが問われないこともあり、多くの人にとって満たしやすい要件です。大学や短大、専門学校を卒業している方は「受験資格あり」となります。
ただし、最終学歴が「高校卒業」の場合はこの学歴要件を満たさないので、注意が必要です。高卒者が社労士試験の受験資格を得たい場合は、次の3つの方法がおすすめです。
働きながら資格取得を目指す場合、大学や専門学校を卒業する場合時間がかかりすぎてしまうこともあり、現実的ではないと考えている方におすすめなのが短期大学を卒業するという方法です。
大学よりも短期間で卒業することができる上に、中には社労士の試験科目の授業を行っているケースもあります。こういった短大であれば、社労士の勉強をしながら同時に受験資格を得ることも可能です。
通信制の短期大学であれば学校に通う時間的な余裕がない方でも、無理なく卒業を目指すことができます。また、通信制であれば学費が安いケースが多いという点もメリットです。
社労士の資格は別の資格試験に合格することでも受験資格を得ることができます。中でも現実的なのは行政書士です。行政書士試験には受験資格は設けられておらず、年齢や学歴を問わず受験できるという点もポイントです。
合格率は10%前後と決して簡単な試験ではありませんが、社労士と同じく法律系の資格ということもあり、勉強範囲に重なる部分もあります。
さらに、行政書士は各種書類の作成や代理申請などを行う職業であり、労務関係の各種手続き・代理申請などを行う労務士と親和性が高い資格でもあります。そのため、同時に資格を保有しダブルライセンスになることで仕事の幅を広げることができます。
すでに一定の実務経験を積んでいるのであれば、要件を満たすのかを確認してみてください。実務経験が通算で3年以上あれば、高卒であっても受験資格を得られます。
試験センターでは受験資格の事前確認・審査を随時受け付けています。不安な方や気になる方は一度試験センターに問い合わせをしてみてください。
【あわせて読みたい】高卒者が最短で社労士受験資格を得るには?学歴・実務経験を満たす方法も
社労士試験の受験資格に関するよくある質問にお答えします。
社労士試験の受験資格に国籍に関する規定はありません。そのため、外国籍の方でも受験することができます。
海外の大学の場合、日本の大学と扱いが異なりますが、通算就業年数が14年以上となる場合、受験資格が得られる可能性があります。そのため、試験センターへの確認が必要です。
受験資格者証明書と現在の氏名が異なる場合、受験の申し込み日前3ヶ月以内に発行された戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)を受験資格証明書に添付して提出する必要があります。
成績通知書や成績簿などは受験資格証明書として使用できません。「成績証明書」を用意する必要があります。
受験資格について確認できたら、次は勉強方法について考える必要があります。社労士試験は独学での合格を目指せる資格です。しかし、独学の場合どうしても勉強の効率・質は落ちてしまいがちです。
社労士試験合格のためには幅広い知識や、法令などに関する理解が必須です。
それだけに勉強しなければならない範囲は非常に広く、独学では余計な時間がかかってしまう、試験日までにすべての範囲を網羅できないといったリスクがあります。
さらに、社労士試験では科目別で合格基準点が設けられているため、バランスよくスケジュールを組んで勉強しなければなりません。
その上で最新の法改正などへの対応を求められるので、独学でスケジュールを組み、すべてをカバーするのは至難の業です。
そこでおすすめなのが通信講座です。通学の必要がないので忙しい社会人の方でも利用しやすくなっています。また、効率的なカリキュラムが組まれているのでより短期間での社労士試験合格を目指せます。
スタディング社会保険労務士講座はこれまでの多くのノウハウから作られた必要十分にして最小限のカリキュラムで効率的な勉強が可能です。
短期合格者の学習法を再現し、最適な順番やステップで学習できるという点もポイント。学習Q&Aサービスもあるので分からない点がそのままになってしまう心配もありません。
講座をくわしく知る |
ここでは社労士の受験資格について詳しくご紹介しました。それでは特に重要なポイントをピックアップしてご紹介します。
社労士は独立・開業できるのみでなく会社員としてのキャリアアップにも活かすことができる資格です。まずは受験資格を確認して取得を目指してみましょう。