社会保険労務士試験では、法改正が多いと聞きますが、有効な対策はあるのでしょうか? | |
社会保険労務士試験で法改正対策は避けて通れません。試験に深く変わる労働関連法はたびたび改正の対象になるからです。今回は、社会保険労務士試験の法改正対策についてご説明します。 |
社会保険労務士試験で法改正対策は必須
法律には改正が付きものです。法律系の資格は法改正の影響を避けられません。多くの場合、改正部分は直近試験に出題されます。法律8科目が出題範囲となる社会保険労務士試験では、法改正対策も重要なポイントです。憲法や民法、行政法などはそう簡単に改正されるものではありませんが、社労士試験の出題科目である労働社会保険関連法は毎年のように改正があります。これらの法律は世情や社会的ニーズの変化に応じて柔軟に対応していく必要があるからです。
例えば、昨今社会問題として取り上げられることの多い「ブラック企業問題」。サービス残業や過重労働など一昔前は問題にならなかったテーマも、今では国会などで活発に議論されています。遺族基礎年金も、昔は母子家庭限定だったのが、今では父子家庭にまで対象が拡大されています。これも年金法の改正にともなう処置です。このように時代の要請に合わせて改正されていく法律が、社労士試験科目のなかには少なくないのです。
注目は働き方改革
2019年度の大きな法改正といえば、「働き方改革関連法」です。これは労働基準法や労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険証、労働保険料徴収法といった改正法の総称です。2019年度社労士試験を目指す受験生にとって、もっとも関心が高い法律ではないでしょうか。多くの法改正がなされましたが、ここではとくに「労働基準法」と「雇用保険法」に的を絞り、それぞれの改正ポイントを見ていきます。
労働基準法
労働条件の明示方法 | 労働者が希望した場合、FAXやメール、SNSによる労働条件の明示でも可能とする |
過半数代表者の要件見直し | 労働者の過半数を代表する者の選出について、使用者の意向に基づき選出されたものでないことを明記 |
フレックスタイム制の見直し | 清算期間上限を3ヶ月に延長 |
時間外労働の上限規制導入 | 時間外労働について労使間で合意があっても、規定の上限を上回れば罰則が科される |
年5日以上の年次休暇取得 | 年5日以上の年次有給休暇の取得が確実に進む仕組みを導入 |
雇用保険法
特定受給資格者範囲の見直し | 3ヶ月連続で時間外・休日労働時間が月45時間を超えた場合、特定受給資格者とする |
専門実践教育訓練給付の見直し | 4年の専門実践教育訓練を受講した者に対し、上限56万円を10年間の支給上限額に上乗せ |
教育訓練支援給付金の対象者の見直し | 通信制や夜間性の教育訓練受講生でも教育訓練支援給付金を受給できるようにする |
賃金日額の下限額等の改正 | 平成30年8月1日から令和元年7月31日までの賃金日額の下限額を2,480円に変更 |
法改正専用のテキストの活用
社労士試験の教材には、法改正専用テキストがあります。独学で学習する場合は、最新の専用テキストを購入しましょう。法改正対応のテキストや問題集は、12月~1月の間に書店で販売されます。また、試験を主催する「全国社会保険労務士会連合会」では、法改正解説リーフレットをリリースしています。どの法律のどの箇所が、どのような理由で変わったのかを詳しく解説しています。試験の主催団体が公式販売するリーフレットだけに、試験対策としてうってつけです。法改正対策では、単に変更部分をなぞるだけでなく、「なぜ、何のために変わったのか」まで理解しておかないといけません。その部分が抜け落ちると、正確なアウトプットができないのです。なぜ改正されたのか理解できるまでテキストを読み込み、練習問題でもしっかり意識しましょう。
まとめ
試験科目の法律は毎年のように改正されるため、事前の情報収集と対策が不可欠です。どの法律のどの部分が変更になり、どういう理由で変わったのか。表面ではなく中身をしっかり理解してください。法改正対策では、専用テキストや公式リーフレットを活用しましょう。