社会保険労務士と年金アドバイザーの関係について教えてください。 | |
社会保険労務士と年金アドバイザーは、複雑な年金制度の疑問に応えることができると、ニーズが高まっています。今回は、両者の関係をご紹介します。 |
年金受給者の概況・公的年金制度への関心の高まり
厚生労働省発表「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金受給者数は、平成29年度末時点において7,465万人となっています。同時点での公的年金被保険者数は6,733万人となっており、加速する少子高齢化の進展から今後も年金受給者の増加が見込まれます。それに伴う公的年金制度への強い関心が高まっています。
公的年金制度と年金アドバイザーの必要性
公的年金制度(厚生年金・国民年金)は、度重なる法改正や分かりづらい経過措置などにより、複雑に設計されています。年金受給者はもとより、今後年金受給を予定している人にとっても、将来自分が何歳からどのくらいの年金が受給出来るのか気になるところだと思います。そうした複雑な年金制度を紐解き、相談者の疑問に応えられる能力を有するのが年金アドバイザーです。
年金アドバイザー試験の概要、受験者数及び合格者数、合格率
「年金アドバイザー試験」は銀行業務検定協会が実施する民間試験で、1級は存在せず、難易度に応じて2級から4級までの3段階で実施されています。社会保険労務士業務に専門性を付加することを考えると、3級以上を目指したいところです。
年金アドバイザー2級
試験日程 | 毎年3月の年1回 |
出題形式 | 記述式10題(各10点) |
科目構成 |
社会保険制度の概要/年金制度の仕組み/年金給付と支給要件 企業年金・個人年金の仕組み/年金請求手続きと年金受給者の手続き/その他 |
合格基準 | 満点の60%以上(試験委員会にて最終決定) |
受験者数・合格者数・合格率 (2018年3月実施) |
(1) (2) (3) 合格率:26.37% |
年金アドバイザー3級
試験日程 | 毎年3月、10月の年2回 |
出題形式 | 五答択一式 30問(各2点)事例付五答択一式 10事例20問(各2点) |
科目構成 |
① ②
わが国の社会保険制度とその仕組み/年金制度とその仕組み/ 年金給付の種類と支給要件/企業年金・個人年金の仕組みと要点/ 裁定請求手続きと年金受給者の手続き/その他
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合格基準 | 満点の60%以上(試験委員会にて最終決定) |
受験者数・合格者数・合格率 (2018年3月実施) |
(1)受験者数:7,425名 (2)合格者数:2,644名 (3)合格率:35.61%
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年金アドバイザー4級
試験日程 | 毎年3月の年1回 |
出題形式 | 三答択一式 50問(各2点) |
科目構成 | ① 年金の基礎:30問
② 老齢給付:10問 ③ 障害・遺族給付:6問 セールス・その他:4問 |
合格基準 | 満点の60%以上(試験委員会にて最終決定) |
受験者数・合格者数・合格率
(2018年3月実施) |
(1)受験者数:1,540名
(2)合格者数:907名 (3)合格率:60.07% |
社会保険労務士受験生が年金アドバイザー試験を受けるメリット
社会保険労務士試験では、厚生年金保険法・国民年金法の二法が出題され、選択式で各5点、択一式で各10点の合計30点分出題されます。出題総合計点が110点であることを考えると、年金二法が占める割合は大きいと言えます。社労士受験生が、年金アドバイザー試験3級程度の知識を備えておくことにより、社労士試験単独での受験生よりも、より専門的・実践的知識を有していることで年金二法の試験問題に積極的に対応することが出来るようになります。
社会保険労務士資格と年金アドバイザー試験の違い
年金アドバイザー資格は、金融機関の担当者が顧客から年金について相談を受けた際に、専門的知見から対応出来るように創設された民間資格であり、それだけでは個別に報酬を得て相談業務を行うことは出来ません。国家資格である社会保険労務士資格に年金アドバイザー資格をプラスすることで、より一層「年金の専門家」としてのアドバンテージを得て相談業務に対応することが可能となります。