社会保険労務士と行政書士のダブル受験は効率的ですか?

社会保険労務士試験は、行政書士と比較して難しいのか?やさしいのか?また、ダブルライセンスを狙う方にとっては、難易度の違いを見極めることは戦略上、重要でしょう。

この記事では、社会保険労務士試験と行政書士を徹底比較します。

社会保険労務士試験と行政書士試験を比較

社会保険労務士試験と行政書士試験のそれぞれの違いを見ていきましょう。

試験概要

社会保険労務士と行政書士はどちらも法律系の資格試験に分類されます。試験科目を見れば、それぞれどの法律が専門領域であるかが分かります。

社会保険労務士行政書士
・労働基準法
・労働安全衛生法
・労働者災害補償保険法
・雇用保険法
・労働保険の保険料の徴収等に関する法律
・労務管理その他の労働に関する一般常識
・健康保険法
・国民年金法
・厚生年金保険法
・労務管理その他の労働に関する一般常識
憲法、行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法、民法、商法・基礎法学

政治・経済・社会・情報通信・個人情報、文章理解

こうして見ると、社会保険労務士試験と行政書士試験は、重複している科目はございません。よって、試験科目だけを比較した場合、メリットはなさそうです。

スケジュール

社会保険労務士試験が実施されるのは、8月第4日曜日です。対して、行政書士の試験は、11月の第2日曜日です。両者の間には2ヵ月弱の時間しか空いていません。日程を考えれば、ダブル受験をする場合、社会保険労務士を受けたあと2ヵ月後の行政書士試験に向けて準備をはじめなければなりません。決して無理ではありませんが、息抜く暇もないタイトなスケジュールに、初学者でなくても精神的なプレッシャーが大きいと言えるでしょう。

難易度が近い

社会保険労務士試験と行政書士試験の難易度を比較してみましょう。

  • 社会保険労務士試験:5~7%
  • 行政書士試験:約10%

両者とも合格率は毎年度で異なりますが、平均するとこれくらいの数字に落ち着きます。両者とも簡単に取れる資格でないことが分かります。「社会保険労務士」と「行政書士」のどちらが難しいかという問題はさておき、行政書士試験と同じくらいかそれより少し多く勉強すれば合格できそうな試験が社会保険労務士と言えそうです。

とはいえご存知の通り社労士は人気の資格試験で、合格するにはスキマ時間も徹底活用して500~1,000時間とも言われる勉強時間をしっかりと確保する必要があります。

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ダブル受験する人はどんな人?

全く初めて学ぶ方には、大変なダブル受験ですが、過去に社会保険労務士・行政書士の受験経験がある方は、知識が備わっていると同時に試験の雰囲気もつかめているため、時間に余裕があればダブル合格を狙えるかもしれません。

また、すでに法律系資格の試験に合格している方であれば、そのときに勉強した知識をいかして、挑戦すると有利かもしれません。

行政書士+社会保険労務士のメリット

行政書士と社会保険労務士は、ともに国家資格で、それぞれに専門分野を持つエキスパートです。

ふたつの資格を同時に持つことで、士業としての活動に弾みが付くでしょう。

足りない部分を補い合える

行政書士は事業届や開業届、飲食店営業許可申請など、幅広い分野における官公署への申請代理ができる書類作成のプロです。

一方、社会保険労務士は、健康保険・雇用保険・年金などの社会保険関係の手続き代理が専門の士業。それぞれ専門分野が異なるもの、職務の遂行や顧客獲得のうえで相互補完できる関係性にあります。

社会保険労務士の資格があれば、会社設立に関する書類作成のお手伝いをしたあと、新入社員研修や雇用契約書の作成、賃金・報酬制度のルール化など雇用・労働に関するさまざまな相談を引き受けられるでしょう。

また、社会保険労務士が行政書士資格を持つことで、会社・団体の立ち上げ当初からサポートできるため、営業戦略の面で力を発揮します。

新規開拓がしやすい

行政書士資格の取得後すぐに、事務所を立ち上げる方も多いでしょう。

国家資格があったとしても、開業すぐに経営が安定するとは限りません。

むしろ最初はなかなか顧客が確保できず、収入も不安定な日々が続くかと思われます。

ダブルライセンスは、そんな不安要素の多いスタートアップを少しでも軌道に乗せるうえで、役に立つのではないでしょうか。

行政書士と社会保険労務士とのセットであれば、セールスポイントが増えて営業もしやすくなります。

守備範囲も広がるために、収入の安定確保につながるでしょう。ひとつでも多くの業務、あるいはジャンルの異なる職務をこなすことで、経験値も増えて、その後のキャリア形成によい影響を与えることが期待できます。

活動の選択肢が増える

行政書士が進むルートは、ほとんどが独立開業一本に絞られるかと思われます。

社会保険労務士の場合、進む道は独立開業に加え、組織の一員として働く「企業内社会保険労務士」という生き方もあります。

人事や労務部門の課題改善に意欲的な企業ほど、社会保険労務士の資格は重宝されるでしょう。

資格をひとつ増やすことで、働き方の選択肢もひとつ増え、チャンスの可能性も広がるわけです。

「行政書士の独立開業一本のみで生き残ってみせる!」という目標を持つことはよいのですが、活動方法を固定化してしまうと挫折した際、立ち直るのにも時間がかかってしまいます。

第二、第三の持ち駒を持つことで、アクティブな活動が可能となり、生き方の自由度も高まるでしょう。

ダブルライセンスを目指す際の注意点

行政書士と社会保険労務士は親和性が高く、キャリアパスの観点からダブルライセンスもおすすめです。

ただし、同時取得を目指す際は、無理をせず、学習スケジュールを綿密に立てたうえで臨んでください。

社会保険労務士試験が実施されるのは、8月第4日曜日です。対して、行政書士の試験は、11月の第2日曜日です。両者の間には2ヵ月弱の時間しか空いていません。

日程を考えれば、ダブル受験をする場合、社会保険労務士を受けたあと2ヵ月後の行政書士試験に向けて準備をはじめなければなりません。

決して無理ではありませんが、息抜く暇もないタイトなスケジュールに、初学者でなくても精神的なプレッシャーが大きいと言えるでしょう。

また、勉強方法も熟慮のうえに選ぶことが大切です。

勉強方法には「独学」「通信」「通学」の3パターンがありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。

どの方法を選ぶかは、試験の難易度やご自身の性格、知識の習熟度を考えてもっとも適切なものをチョイスしましょう。

なお、これまでのダブルライセンス取得者の傾向として、「行政書士→社会保険労務士」の順番での取得が多いようです。

社会保険労務士のほうが比較的難しく、行政書士試験のほうが取り組みやすいからと考えられます。

社会保険労務士試験には受験条件があり、学歴などの条件をクリアしていなければ受験できません。

ただし、行政書士など一部の国家資格保持者は、その条件に満たさなくても受験が可能です。

そのような制度環境を考えると、先に行政書士試験を受験するほうが得策でしょう。

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まとめ

社会保険労務士と行政書士のダブル受験に挑む場合は、デメリットがあることも踏まえたうえで、自分なりの対策を立てて臨んでください。社会保険労務士も行政書士もあれば独立開業や就職・転職に有利なため、ダブルで取得すれば相乗効果も生まれます。どんな方法で試験に臨むにしても、準備計画をしっかり立てて、自分に合う勉強方法を見つけて悔いのない試験にしてください。