コロナ禍によって外出や対面での試験が困難となり、ここ数年で一気に普及したのがオンライン面接です。
ZoomなどのWeb会議サービスを利用し、リモートで面接を実施します。
今回は、まだまだ情報の少ないオンライン面接の極意を可能な限り丁寧に一つずつ解説していきます。
絶対的な方法は確立していないので断定はできませんが、少なくともここに書かれたことに気を付けておけば大きく失敗することはないでしょう。
※一般的な対応方法を紹介しますが、受験先から「資料共有はしないでください。」「開始時間ギリギリまで入室しないでください。」などの指示が入ることもあります。その場合は当然ですが、先方の指示に従って進めてください。
永田講師の動画で、ぜひ講義をご体験下さい!
![]() |
この記事を書いた人 永田 英晃
人物試験講座主任
河合塾などの大手大学受験予備校にて医系講座、東大講座を歴任し、公務員試験対策予備校でも国家公務員総合職講座など常に最高レベルの担当をしてきた。様々な啓発技術を融合したオリジナル指導を実践し、最大手予備校模試での全国1位や、都内トップ高校での学年1位などを輩出。東京大学や京都大学をはじめ多数の生徒を合格へと導く。 現在は主に公務員試験対策、就職試験対策、教員採用試験対策、キャリアコンサルティング、教員向け研修の講師を務め、抜群の合格率・内定率を誇る。首都圏を中心に北海道、北陸、中部、関西など日本全国の大学にて講座を受け持っている(登壇実績約70大学)。 |
「面接試験のためにわざわざ買う必要は無く、普段使っているもので対応すれば良い。」と言う人もいますが、普段着でスマホの自撮りのような状態で面接に臨んでしまっては、さすがに「意識が低い」と判断されてしまいます。
最先端IT企業では、そのようなカジュアルな人を「フットワークが軽く柔軟性がある」と評価されることも多いのですが、公務員ではやはり形式的な部分もしっかりと見られます。
もちろん、「機材にお金をかけていたか」と言う直接的な採点項目はありません。
しかし、しっかりとした機材や服装など、表面的な装いを整えていた方が「仕事に対して前向きな姿勢である」と捉えられ、間接的に高得点につながることが多いようです。
面接のために準備をすると言うよりも、合格・採用後の仕事で使用する初期投資だと考えてください。
誠意をもって、きっちりと準備を整えましょう。
もっと言えば、採用試験は人生を左右する大切な分岐点ですよね?
これは私の個人的な見解ですが、人生において最もお金をかけて投資すべき行事の一つと言っても良いのではないでしょうか。
オンライン面接は面接官とリモートで結ぶため、通信のための機材準備が必要です。
順に見ていきましょう。
スマートフォンやタブレットを使用する人も多いでしょうが、音響機材などの外付けができるパソコンの方がオススメです。
面接中、動作が重くならないよう、ほかのアプリやソフトは事前に閉じておきましょう。
通信が途切れてしまい、音声はブツブツ、映像はフリーズ・・・では面接どころではなく、評価は最悪です。
他の機器のWi-Fi接続をOFFにして接続環境を安定させてください。
Web上で使用することもできますが、専用アプリをダウンロードした方が通信も安定し、細かく設定も変更できます。
但し、ダウンロードしたものが、先方で指定されたツールと合致しているかを必ず確認しましょう。せっかく準備をしたのに、使用するツールを間違えてしまったら、結局、Web上での不安定な面接をアタフタしながら進めることになってしまいます。
〈重要!〉
普段、プライベートで使っているツールを使用する場合は別の注意が必要です。
過去に、せっかく準備を万端にして臨んだのに、表示名が「ハプニング大魔王」(普段、プライベートで使用しているニックネーム)と出てしまい大恥をかいた受験生がいました。
プロフィール画像もふざけた画像になっていないか事前に確認をしておいてください。
後の面接で如何に真面目を装っても、表示がふざけていると、全てがおふざけに見えてしまいます。
雑音を遮断するため、必ずマイクを使用しましょう。
様々なマイクの種類がありますが、私はコンデンサーマイクを使用しています。
マイクやイヤホンの音量を調整します。
これがあると音量の調整が瞬時にできます。
製品によって、画質や画角などが異なります。
性能の良いものを選びましょう。
カメラのレンズが自分の視線と同じ高さになるように設置することをオススメします。
また、背筋を伸ばして、姿勢が良く映るように意識することで、堂々とした印象になります。
そしてカメラとの距離も重要です。顔しか映らないほど近いと違和感につながり、遠いと表情などが伝わりにくく受け身の印象を与える可能性があります。
胸から上がバランスよく映る程度の距離で設置するといいでしょう。
スピーカーを使用して音を出してしまうと、マイクがその音を拾ってハウリングを起こしてしまいます。
必ずイヤホンを使用するようにしてください。
ヘッドホンだと耳を塞いでいる印象が少し目立ってしまうので、イヤホンを片耳にして対応すると良いでしょう。
両耳を塞いでしまうと、万が一、こちら側の環境で何か緊急事態が起きた時に認識できないため、片耳イヤホンをおすすめします。
直接顔に強い照明を当てると反射して顔がテカテカしてしまいます。左右と後ろの三点照明やソフトボックスを利用するなど、より好感度が高くなる照明を模索してみてください。
ライトの色は、暖かみがある色よりもクッキリと白で当てた方が、印象がキリッとして仕事ができる雰囲気を出すことができます。
<相手には機器を通した姿しか伝わらない!>
ここでは、プロが使うような機材の活用をお勧めしていますが、面接官にとって、受験者の情報は機器を通したものしかありません。
暗い映像で、モゴモゴした音声だと、たとえそれが機材のせいだったとしても、「この受験者は暗くてモゴモゴしている」と言う印象となります。
もしそれが機材のせいだと面接官が理解したとしても、そのまま「準備を怠っていて意識が低い人」と言う評価をされるかもしれません。
何よりも、採用後に「暗くてモゴモゴした人」とはリモートで打ち合わせをしたくないはずですし、要所要所で、通信が途切れてフリーズしてしまう人とコミュニケーションをするのはストレスが溜まります。
つまり、これでは「この人とは仕事をしたくない」と言う低評価につながってしまうのです。
面接も採用後の仕事の一環だと思って機材の準備に最善を尽くしましょう!
必ず聞かれる自己紹介や志望動機はパワーポイントでスライドを作っておき、適宜共有しながら話すのも効果的です。
内容を伝えるのはもちろんですが、併せてプレゼンの能力や資料作成能力のPRもできます。
パワーポイントは、フォントはメイリオ太字で、スライド1枚に文字が多くならないよう、できる限り1枚の情報量を少なくし、何枚かに分けるようにしてください。
他の受験生は淡々と語るだけなので、パワーポイントを活用することで仕事ができる印象を与えることができます。
ここでは前日から面接開始までにやっておきたい点をまとめます。
ツールの「ミーティングを始める」で1人のルームを立ち上げ、画面を見ながら、予めカメラの位置や角度、画質の設定をしておきます。
当日にバタバタしないよう、前日までにできることは済ましておきましょう。
〈重要!〉
音声の設定で「オリジナルサウンドを有効にする」項目に必ずチェックを入れ、「エコー除去」を無効にしておきましょう。
通信量を抑えるため初期設定ではオリジナルサウンドにチェックが入っていないのですが、このままだとゴニョゴニョした音になってしまいます。
服装や髪型などの身だしなみを整えます。
鏡を見てチェックをしましょう。
アプリを立ち上げ、まずは自分一人のルームに入って、映像や音声をチェックします。
背景や明るさなども最終チェックしておきましょう。
いくらしっかりとした回答をしたとしても、途中で画面にペットが映り込んだり、後ろで老爺が乾布摩擦をしていたら、面接官はそちらが気になって全く内容が入って来ません。
相手が落ち着いて、話に集中できる環境をしっかりと整えます。
緊張して声が上擦ってしまったり、アタフタしてしまう人が大勢います。
ここでゆっくりと腹式呼吸をして心をリラックスさせましょう。
ゆっくり息を吐いて、ゆっくり吸う・・・。
気持ちを落ち着かせます。
招待されたルームに入室します。
この時に招待されたURLが間違っていて、時間内に入室できないハプニングがあるかもしれません。開始時間前に対処できるよう、相手の緊急連絡先(電話やメールなど)も手元に用意しておいてください。
さあ、いよいよ面接が始まります。
自身の映像や音声がONになっていることを確認したら、後は面接に集中します。
オンライン面接では、映像がONになった瞬間の第一印象がとても重要です。
面接官とお話しできることを楽しみにし、ワクワクした様子が画面からしっかりと伝わると良いですね。
序盤で「私の音量は適切でしょうか。もし小さければ音量を上げるのでお申し付けくださいませ」など、相手側に音量の確認をしておきましょう。
面接が始まったら、あまり細かいことは考えず、面接時間を楽しみます。
内容面はリアル面接と同様なのでここでは割愛し、Zoom面接特有の注意点についてお伝えいたします。
当たり前ですが、配信はカメラの映像が相手に送られます。
つまり、カメラ目線で話すことが相手を見て話していることになります。
ディスプレイ上に面接官がいて、そこに向かって話していても、そのディスプレイにはカメラはないので、相手の面接官から見ると目線を逸らされているように見えます。
そこで、ディスプレイの面接官は見ずに、カメラと音声だけに集中することが最も好印象となります。
ディスプレイの映像は自分からは見えないように設定しておくと良いでしょう。ディスプレイに自分や相手が見えてしまうと、どうしてもその映像を見てしまいますからね。
目線はカメラだけに集中して、面接官の動向は音声で認識しましょう。
自分が話している時は、カメラに向かって話すことができますが、相手が話している時には、どうしても癖で画面上の面接官を見てしまいがちです。
しかし、これをやってしまうと、「自分が話している時はこちらを向いているのに、こちらが話すとよそ見をする」自己中心的な印象を持たれてしまいます。
こちらが話していようが、面接官が話していようが、画面上の映像はガン無視してカメラだけを見ます。
どうしても相手の様子が気になるかもしれませんが、もしチラッと見た時に面接官が不機嫌な顔をしていたら、きっと気が動転をしてしまいますね。
カメラの向こう側にニコニコした美男美女の面接官が目をハートマークにして自分の話を聞いている妄想をしてみましょう。
きっと好印象を与える笑顔を、自然とカメラに向かって振る舞うことができることでしょう。
【ディスプレイにカメラを重ねる方法は?】
ディスプレイを消してしまうと不安なので、思い切ってディスプレイの真前に(ディスプレイと重なるように)カメラを設置するのはどうでしょうか。
そうすると、ディスプレイで面接官を見る丁度そこにカメラがあるので、カメラ目線と一致し、まさに「相手の目を見て話す」ことができます。
但し、当たり前ですが、この裏技を使うとディスプレイが見えなくなります。
自分から共有する資料は、内容をしっかり覚えることで、ディスプレイ無しでも進行可能ですが、もしも面接官側で何か資料共有をした場合に、その資料が見えません。
さすがにそれでは支障が生じるので、やはりディスプレイにカメラを被せる方法はリスクが高いと言えます。
面接中は相手や自分の映像が映し出されるウィンドウを消去しておき、資料共有の時以外はカメラだけを見るように徹底しましょう。
ちなみに、資料共有の際は、相手は資料の方を見ているため、多少目線がカメラから外れても、そこまで違和感を持たれないはずです。
普段からカメラ目線を習慣化しておくと良いですね。
カメラ目線に集中し過ぎて、顔が石化してしまう人がいます。
いくらカメラ目線だからと言って仏頂面でジーッと見ていたら、それはホラー映像です。
リアル面接でも顔の表情は重要ですが、顔が強調されるオンライン面接では、更に表情を鍛えておく必要があります。
「嬉しそう」「楽しそう」な表情が高評価となるので、カメラの先にお花畑があるようなイメージをして、意図的にワクワクルンルンした気分で臨んでください。
自然と顔が綻び、素敵な笑顔を相手に送ることができます。
【注意点】
表情が大切だと言うと、顔だけ頑張って笑顔を作ろうとする人がいます。
しかし、心が伴わない表情は無機的になるため、かえって逆効果となります(いわゆる「目が笑っていない」状態)。
表情は感情の発露であるため、心の内側を明るくし、そこから滲み出る表情を相手に伝えましょう。
リアルの面接では面接官に声を届けるため、相手に投げかけるように発声をするのが望ましいと言えます。
活き活きとした肉声を面接官に届けます。
一方で、オンライン面接の場合はマイクを通して音声を届けることになります。
デジタル通信では、声がそのまま送られるのではなく、ハイブリッド符号化方式で置き換えられて、伝わります。
相手の電話などの声が実際に会った時の声と異なる経験があると思います。
あれは本人の声ではなく、本人の声に似せて合成された音なのです。
細かい音はカットされるため、できる限り声を飛び散らさないようにし、マイクに載せる、マイクに押し込むような発声をすると安定した声を伝えることができます。
ナレーターや声優など、声だけの仕事をしている人の声の出し方(マイクへの載せ方)を分析すると、マイクにグイグイ声を押し込んでいるのがよくわかると思います。
リアルの面接でも一方的にまくし立ててしまう人は評価が低くなりますが、オンライン面接でも演説のように語り続けてしまう人は要注意です。
リモートである分、タイムラグが生じたりすることもあるでしょう。
その際に露骨にイライラしたり、間を埋めようとしてこちらばかり話し続けたりしたら、やはりマシンガントーク人間として認識されてしまいます。
普段以上に「間の余韻を楽しむ」ぐらいの心の余裕を持ちましょう。
ゆっくりとした時間の流れを面接官と共有できれば、次第に波長を重ねることができます。
大切なのは、一方的に話すことではなく、面接官と一緒に会話を作り上げていくことです。
今やインターネットが当たり前に普及をし、デジタル化が一気に加速してきました。
急に普及したオンライン面接も、徐々にスタンダードとなり、もしかしたらリアルで会う方がレアケースとなる時代が来るかもしれません。
アナログにはアナログの攻略があったようにデジタルにはデジタルに適した方法があります。
しかし、いずれにせよ、面接官が「今、話をした延長で一緒に仕事をしたい」と思えるかどうかが合否のポイントです。
リモートだからと、心もリモートにしていては親近感は生まれません。
身体はリモート、心は寄り添うように面接に臨んでみましょう!