ITパスポートと聞くとIT系の資格と思われるかもしれませんが、実は事務職などの非IT系職種の方にもおすすめです。
ITパスポートは、すべての社会人やこれから社会人になる学生が備えておくべきITの基礎知識があることを証明できる国家試験です。
AIをはじめとした新しい技術や手法の概要に関する知識を含め、さまざまな分野の知識を幅広く学びます。
そのため、取得することでITリテラシーがあることを証明できたり、事務職でも役立つ知識を身につけられたりします。
ITパスポートが事務職の方におすすめな理由として、以下の3つが挙げられます。
それぞれの内容について詳しく解説します。
ITパスポート試験は、就職や転職で有利に働く資格です。
ITに関する基礎知識を備えた人材を求める企業は多いため、資格を取得することでアピールできるようになるでしょう。
現在は企業や省庁などの人材募集で、ITパスポートが活用され始めています。
こうした面で恩恵を受けられるので、取得のメリットは大きいといえるでしょう。
なお、以下の表は令和5年9月に開催されたITパスポート試験における、非IT系職種の受験者データをまとめたものです。
業務 | 受験者数 | 受験率(受験者数/全受験者数) |
調査・企画 | 741 |
3.3% |
総務・人事 | 1,157 |
5.2% |
営業・販売(非IT関連) | 4,079 |
18.4% |
製造 | 349 |
1.6% |
教育・研修 | 352 |
1.6% |
計 | 6,678 |
30.1% |
【参考】情報処理技術者試験 統計資料(令和5年9月度 ITパスポート試験)
受験率を見ると、全受験者のうち約3割が非IT系の受験者です。
ITに関する仕事でない方がITの基礎知識を得るには、大変おすすめの資格といえます。
ITパスポートは、ITに関する知識以外にもさまざまな分野の基礎知識が身につきます。具体的に身につく知識は、以下の通りです。
上記のように、IT以外も企業活動や経営における戦略、会計や法務など幅広い業務で貢献できる資格です。
そのため、積極的に取得したい資格といえます。
ITパスポートの資格を取得すると、ITを含めたさまざまな知識が身につきます。
そのため、企業に対してITリテラシーがあるとアピールできるでしょう。
現在、業種問わず多くの企業でIT力が求められています。
そのため、社員一人ひとりにIT力が備わることで会社全体のIT力が高まり、コンプライアンス強化につながるのが特徴です。
企業にとって機密情報や個人情報の漏えいは、決してあってはならないことです。もし起こってしまえば致命傷になりかねません。
ITパスポートでは、企業のコンプライアンス強化にもつながる知識を学ぶため、取得することでよりアピール材料を増やせるでしょう。
ここでは、ITパスポート試験の詳細について以下の2つを解説します。
ITパスポート試験は、ITを利用する社会人・これから社会人になる学生がITに関する基礎的知識を備えていることを証明できる資格です。
ITを正しく理解し、効率的に活用できるIT力を身につけることを目的に資格が設けられています。
現在、業種や職歴に関係なく、ITと経営全般に関する総合的知識が求められます。
IT系の職種でない場合も、ITリテラシーがなければ戦力になることは難しいといえます。
今後もグローバル化やITの高度化が進むであろうことを考えると、企業はITの知識を身につけたハイスキルな人材を求めていくでしょう。
ITパスポート試験を通して、社会で生き抜くためのITの基礎的知識を身につけてはいかがでしょうか。
ITパスポート試験の概要は以下の通りです。
項目 | 内容 |
試験時間 | 120分 |
出題数 | 小問:100問(*1) |
出題形式 | 四肢択一式 |
出題分野 | ストラテジ系(経営全般):35問程度
マネジメント系(IT管理):20問程度 テクノロジ系(IT技術):45問程度 |
合格基準 | 総合評価点600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であること 総合評価点 600点以上/1,000点(総合評価の満点)
分野別評価点 |
試験方式 | CBT(Computer Based Testing)方式(*2)
受験者はコンピュータに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答します。 |
採点方式 | IRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づいて解答結果から評価点を算出します。 |
(*1)総合評価は92問、分野別評価はストラテジ系32問、マネジメント系18問、テクノロジ系42問で行います。残りの8問は今後出題する問題を評価するために使われます。
(*2)身体の不自由等によりCBT方式で受験できない方のために、春期(4月)と秋期(10月)の年2回、筆記による方式の試験を実施します。
ITパスポート試験は、年齢や学歴を問わず誰でも受験できる資格です。
日程についても随時実施されているため、受験までのスケジュールを調整しやすい資格といえるでしょう。
詳しくは以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
【あわせて読みたい】ITパスポート試験とはどんな試験?難易度・勉強時間の目安を徹底解説
ITパスポート試験の難易度ですが、結論から言えば情報処理技術者試験の試験区分の中で最も難易度の低いレベル1に該当します。
そのため、計画的かつ効率的に対策することで十分に合格を目指せる資格です。
ここではITパスポート試験の具体的な難易度について、3つのポイントと合わせて解説します。
それぞれのポイントを踏まえつつ、合格するまでのスケジュールを組み立てましょう。
以下の表は、過去に実施されたITパスポート試験の合格率をまとめたものです。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成26年(2014年) | 71,464 | 34,215 | 47.9% |
平成27年(2015年) | 73,185 | 34,696 | 47.4% |
平成28年(2016年) | 77,765 | 37,570 | 48.3% |
平成29年(2017年) | 84,235 | 42,432 | 50.4% |
平成30年(2018年) | 95,187 | 49,221 | 51.7% |
令和元年(2019年) | 103,812 | 56,323 | 54.3% |
令和2年(2020年) | 131,788 | 77,512 | 58.8% |
令和3年(2021年) | 211,145 | 111,241 | 52.7% |
令和4年(2022年) | 231,526 | 119,495 | 51.6% |
表を見ると、合格率は毎年50%前後を推移していることがわかります。
合格率から見れば、難易度は高くないと言えるでしょう。
ITパスポート試験の合格基準点は、以下の通りです。
合格基準 | 総合評価点 600点以上/1,000点(総合評価の満点) 分野別評価点
ストラテジ系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) ※総合評価点が600点を超えていても、分野別評価点のいずれかが300点未満の場合は、不合格となります。 |
ITパスポート試験の合格基準点は、総合評価点のほかに分野別評価点があります。
総合評価点で600点以上、分野別評価点でそれぞれ300点以上獲得すると合格です。
総合評価点だけでなく分野別評価点にも基準が設けられていますが、すべての分野で効率良く対策すれば合格は十分可能です。
ITパスポート試験の合格に必要な勉強時間は、情報処理に関する知識を有しているかどうかで異なります。
知識の有無によって試験勉強した際の理解力に差が生じるためです。
情報処理の知識をすでに有している方の場合、必要な勉強時間は100〜150時間ほどです。
1日2時間の勉強を約1カ月〜2カ月継続することで満たせます。
一方で情報処理の知識を有していない初学者の場合、必要な勉強時間は約180時間ほどです。
1日2時間の勉強時間を約3カ月継続する必要があります。
とはいえ、勉強のペースや1日で確保できる勉強時間は受験者によって異なります。
そのため、勉強時間はあくまで参考程度にとどめ、試験日から逆算して自分に適した勉強スケジュールを組み立てましょう。
【あわせて読みたい】ITパスポート試験の難易度は?合格に必要な勉強時間や勉強法を徹底解説
【あわせて読みたい】ITパスポート試験の勉強時間目安は?最短で合格する方法を徹底解説
ITパスポート試験の合格を目指すうえでおすすめの勉強方法は、以下の5つです。
勉強方法を把握しておくことで、やみくもではなく効率的に対策できるでしょう。
ここでは、それぞれの勉強方法を詳しく解説します。
ITパスポート試験の対策では、過去問を理解できるまで繰り返すことが大切です。
過去問を理解できるまで繰り返すことで、類似した問題が出題された際の正答率を高められます。
過去問を何度も繰り返していると、「解答を完全に理解しているわけではないけど答えだけ覚えている」状態になる可能性があります。
このとき、答えがあっているからと次に進んでしまうと問題解答力は培われません。少し問題を変えられただけで応用できなくなってしまいます。
過去問の答えを覚えるのではなく「どうしてこの答えになるのか」を理解できるまで繰り返すことが必須です。
ITパスポート試験の対策は、日々のスキマ時間を効率よく活用することが大切です。
まとまった勉強時間が取れなくても、数分で動画を見たり問題を解いたりすることで力が身につきます。
たとえば起床後や就寝前、通勤・通学途中などは活用可能です。
コツコツと継続することで少しずつ実力が高まっていくので、「後でいいや」と後回しにせず、1問でも多く解ける問題を増やしましょう。
勉強する期間が限られている場合、勉強する分野を絞るのも1つの方法です。
出題範囲を絞ることで、合格基準を満たすことに絞った短期集中型の取り組みができます。
ITパスポート試験で出題される範囲全てを網羅しようとすると多くの時間が必要です。
勉強時間が多く確保できない方にとっては、モチベーション低下につながる可能性があります。
一方で過去問などで出題傾向を掴み、出題されやすいテーマや用語を集中して学習すると、効率よく合格を目指せます。
過去問を解く際にも点数アップを実感しやすくなるため、モチベーションも維持しやすくなるでしょう。
模擬試験を受けてみるのもITパスポート試験合格に近づくための1つの方法です。
模擬試験を受けることで、自分のレベルや苦手分野を知り、足りていない部分を効率的に克服できます。
また、ITパスポート試験は試験方法が少しややこしい試験です。
そのため、模擬試験を受けることで実際の試験がどのようなものなのか感じ、本番に備えることもできるでしょう。
試験に慣れておくことで焦らず自分の実力を発揮できるようになるため、ぜひ模擬試験の受験を検討してみてください。
先ほど、ITパスポート試験の対策は過去問題を理解するまで繰り返すことが大切と解説しましたが、計算問題に関しては公式を覚えてから対策することも大切です。
ITパスポート試験の計算問題は、出題のパターンがある程度決まっています。
公式を覚えていれば当てはめるだけで解けるレベルなので、よく出題される問題の公式は覚えておくとよいでしょう。
この記事では、ITパスポートが事務職の方におすすめの理由について解説しました。
改めて、本記事で紹介したポイントをおさらいしましょう。
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