現代では、多くの方がPCのみならず自社内の管理システムや通信ネットワークなどの情報技術を活用しながら日々の業務に携わっているものと思います。
ITパスポートを取得することで、業務上必要な情報システムやネットワーク、データベースなどに関する基礎的な知識が体系的に身につきます。
ITパスポートを取得するメリット・魅力として主に挙げられるのが以下の5点です。
業務で活かせる知識は多岐にわたります。ここでは、主に4つの知識についてご紹介いたします。
▼ITに関する基礎知識
情報システムやネットワーク、データベースなどに関する知識が体系的に身につくため、業務上で使用するツールやシステムなどをより有効に活用するヒントを得ることができます。
▼企業コンプライアンス・法令遵守に関する知識
ITパスポート試験では知的財産権等の法律知識やコンプライアンスに関する知識も学べます。
著作権・商標権侵害等の法律違反になるケースや個人情報漏洩リスクを理解することで、企業のコンプライアンス向上のために必要な知識が身につきます。
▼経営に関する基礎知識
経営や組織の全体像から経営戦略や業務改善の手法など、ビジネスの成功を導く上で必要な基礎知識は企業の成長の手助けとなる仕組みの考案などにも役立ちます。
▼情報セキュリティに関する基礎知識
インターネット・電子メール・社内システムなどを利用する際の機密情報漏洩・コンピューターウィルス感染リスクについて問題と対策を学べるため、勤務先のセキュリティ対策向上のほか、個人での情報管理対策にも活用することができます。
ITパスポート試験は、情報処理技術者試験の中の入門編に位置付けられています。
そのためITパスポート試験で問われる内容は、それ以降のすべてのIT上位試験合格における基礎部分として役立ちます。
上位試験に合格すると仕事の幅も広がるので、IT系職種に従事されている方は知識の再確認に、これからIT系職種への転職を考えている方は業務上必要になるであろう知識の予習に活用してみてはいかがでしょうか。
※上位試験・資格やその他のIT系試験の詳細は「IT系試験・資格の種類について」でご紹介しています。
IT化が進む現代社会において、IT活用なしにはビジネスも成り立ちません。
そのため、企業でもITの基礎知識を習得している人材を求めており、企業・省庁等の採用で、ITパスポートが活用されはじめています。
活用例は大きく分けて、以下の3パターンがあります。
その他、昇進条件として活用している企業もあるようです。
活用例 | 詳細 |
新卒採用のエントリーシート | <活用企業>
SCSK株式会社/株式会社NTTデータ/株式会社大塚商会/キャノンマーケティングジャパン株式会社/パナソニック株式会社/富士通株式会社/三菱総研DCS株式会社 など |
採用試験での加点対象 | <例>
兵庫県警察:警察官の採用試験に情報処理技術者試験等を加点対象の一つとして活用している。また、育成ステップとして「ITパスポート試験」「情報セキュリティマネジメント試験」「基本情報技術者試験」などの情報処理技術者試験を知識の向上を図る目的で活用している。 |
社員教育・社内研修の一環 | <例>
株式会社アイネット:お客様のニーズに合った提案をするためにITパスポートの取得を推奨。特に、文理を問わず新入社員に対しては入社前までに合格することをすすめており、毎年ほぼ全員の新入社員が合格している。また、全社的に合格者には一時金が支給される制度を活用し、既存社員の合格も増加している。 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本):ITリテラシーの向上のために、ポテンシャル採用の内定者にITパスポートの取得を奨励。また、IT・情報システム部の社員には経験年数に応じて上位試験(基本情報技術者など)の合格を求めている。 |
昇進条件 | <例>
住友電工情報システム株式会社:技術者を対象に情報処理技術者試験の受験を昇進の条件として義務付けている。その中でもITパスポート試験は、IT企業勤務者にとって必須スキルと位置付けており、技術者に限らず事務職を含む全ての専門職に受験を義務付けている。また、定期的に受験料を会社負担の上で、社内で一括受験申し込み受付を実施しているほか、合格者にはレベルに合わせた奨励金の支給などを行っている。 |
表:企業・省庁等の活用例(「ITパスポート試験公式HP 活用事例」より抜粋・要約)
ITパスポートは経営・企業会計、業務分析などの業務知識、情報システムや情報セキュリティなどのIT知識を取得していることを証明する国家試験です。
取得しておくことで就職活動や転職活動の際、ITへの関心や知識をアピールする一つの手段になります。
実際に就職・転職を目指している企業がITパスポートを活用しているのかを確認しておくと、活動や今後のキャリアプランの参考になるかもしれません。
※具体的な企業・省庁等での活用事例の詳細は「ITパスポート試験公式HP 活用事例」をご確認ください。
IT化が進む現代社会において、IT知識は今後必要不可欠になっていくことが予想されます。
そのため、企業・省庁等の採用で基礎知識を習得している人材を見出す指標の一つとして、ITパスポートが活用されているケースも少なくありません。
特に、就職活動ではエントリーシートや採用試験での加点対象となっていることもありますので、興味のある企業や職業でIT知識を求められているかどうかを確認しておきましょう。
活用例 | 詳細 |
新卒採用のエントリーシート | <活用企業>
東芝ITサービス株式会社/株式会社NTTデータ/株式会社サイバーエージェント/キャノンマーケティングジャパン株式会社/パナソニック株式会社/綜合警備保障株式会社(ALSOK)/大日本印刷株式会社(DNP) など |
採用試験での加点対象 | <例>
埼玉県警察:近年増加傾向にあるサイバー犯罪をはじめとした各種犯罪に対処するため、情報処理に関する知識を有する警察官を求めており、ITパスポート試験をはじめすべての情報処理技術者試験を採用試験での加点対象としている。 |
社員教育・社内研修の一環 | <例>
株式会社朝日新聞社:全社的にデジタル化を推進しており、社員全員にITパスポートの取得を推奨・支援している。受験料の負担のほか、新規採用の内定者には入社前に参考テキストを配布し、入社までに合格することを求めている。 |
表:企業・省庁等の活用例(「ITパスポート試験公式HP 活用事例」より抜粋)
ITパスポート試験で問われる内容はあらゆる職種で必要な知識でもあるため、ひと足先に就職後に必要になる知識を身につけておくことで、これまで就職先の視野になかった職種へチャレンジするきっかけになるでしょう。
学生時代にITパスポートを取得することで、大学受験での入試優遇や大学在学時の単位認定などを受けられるケースもあります。
※大学における活用事例の詳細は「IPA-情報処理推進機構 大学における活用(活用校リスト)」をご確認ください。
ここまで解説してきた通り、ITパスポート試験にはさまざまなメリットがあります。
では逆に、デメリットはあるのでしょうか。
デメリットとして挙げられるのは主に以下2つです。
1つ目は、独占業務がないことです。
例えば、税理士や医師などといった国家資格には、その資格を取得をした人にしかおこなえない「独占業務」があります。
一方で、ITパスポートにはそうした独占業務がありません。
そのため「わざわざ取得しても意味がないのでは?」という意見もあるようです。
2つ目は、そこまで希少性が高くないことです。
ITパスポート試験で出題されるのは、あくまでITを利用するために必要な基礎知識です。
システム開発などに必要なレベルの専門知識は必要ありません。
実際に国家試験である情報処理技術者試験のうち、ITパスポート試験は最も簡単な初級レベルに位置付けられています。
国家試験と言えども初心者でも合格できる試験のため、希少性は高くないと言えるでしょう。
ITパスポート試験の合格率は比較的高く、ここ数年の平均は50%前後で推移しています。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成26年(2014年) | 71,464 | 34,215 | 47.9% |
平成27年(2015年) | 73,185 | 34,696 | 47.4% |
平成28年(2016年) | 77,765 | 37,570 | 48.3% |
平成29年(2017年) | 84,235 | 42,432 | 50.4% |
平成30年(2018年) | 95,187 | 49,221 | 51.7% |
令和元年(2019年) | 103,812 | 56,323 | 54.3% |
令和2年(2020年) | 131,788 | 77,512 | 58.8% |
令和3年(2021年) | 211,145 | 111,241 | 52.7% |
令和4年(2022年) | 231,526 | 119,495 | 51.6% |
なお合格者の割合は、どの年度も学生よりも社会人が高めになっています。
これはIT用語やビジネス用語など、社会人であればすでに身につけている人も多い内容が出題範囲に含まれているからだと思われます。
ただし、だからといって学生には手がつけられないほど難しい試験ではありません。
例年、小学生や中学生の合格者も多く輩出されているため、そこまで難易度は高くないと言えるでしょう。
【あわせて読みたい】ITパスポート試験の難易度と合格率は?
項目 | 内容 |
試験時間 | 120分 |
出題数 | 小問:100問(*1) |
出題形式 | 四肢択一式 |
出題分野 | ストラテジ系(経営全般):35問程度
マネジメント系(IT管理):20問程度 テクノロジ系(IT技術):45問程度 |
合格基準 | 総合評価点600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であること
総合評価点 600点以上/1,000点(総合評価の満点) 分野別評価点 ストラテジ系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) マネジメント系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) テクノロジ系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) |
試験方式 | CBT(Computer Based Testing)方式(*2)
受験者はコンピュータに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答します。 |
採点方式 | IRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づいて解答結果から評価点を算出します。 |
(*1)総合評価は92問、分野別評価はストラテジ系32問、マネジメント系18問、テクノロジ系42問で行います。残りの8問は今後出題する問題を評価するために使われます。
(*2)身体の不自由等によりCBT方式で受験できない方のために、春期(4月)と秋期(10月)の年2回、筆記による方式の試験を実施します。
なお、さらに詳しい試験内容については、以下の記事をご参照ください。
【あわせて読みたい】ITパスポート試験とは?
ララさん 2023年合格
50歳を過ぎて資格取得ができ、自分でもまだがんばれると自信を持つことができました。仕事に役立つ内容ですので、活用して、社会にも貢献していきたいです。
T.Kさん 2022年合格
体系立ててITの知識を学んだことがない会社員です。リスキリングが色々なところで言われ始めていますので、最初の一歩を踏み出すには最適だと思いITパスポート試験を受けることにしました。結果、学習開始から1カ月半で合格できました。感想ですが、社会人ならば普通にやれば2カ月で合格可能です。
【あわせて読みたい】スタディング ITパスポート講座 合格体験談
ITパスポート試験の必要性は、十分にあると言えるでしょう。
ITパスポート試験の必要性が十分にあると言える理由は、主に以下の通りです。
まずITパスポートの出題範囲を習得できれば、ITリテラシーを高められます。
ITリテラシーとは、ITを理解し、使いこなすための知識やスキルのことです。
例えば、システムやネットワーク、データベースなどに関する知識が身につけば、仕事で使う売上管理のシステムや顧客管理ツールなどを、より有効活用できるようになります。
さらにセキュリティの知識があれば、機密情報の漏洩やウイルス感染を防いで、セキュリティ対策も向上させられます。
また前述の通り、ITパスポート試験の取得は就職・転職にも役立ちます。
今や、社員にITパスポート試験の合格を必須化・推奨している企業は珍しくありません。
取得が昇進の条件になっている企業も多くあります。
さらに、ITパスポート試験は上位のIT系試験・資格への足掛かりにもなります。
ITパスポート試験で得た知識は、上位のIT系試験・資格に挑戦するときも大いに役立つでしょう。
今回のポイントをおさらいしておきましょう。
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