ITパスポート試験の難易度は?合格に必要な勉強時間や勉強法を徹底解説

ITパスポート試験の難易度は、情報処理技術者試験の試験区分の中では一番易しい「レベル1」の位置づけです。

合格率は平均50%前後でIT初学者でも合格を目指しやすく、取得できれば活躍の幅が一気に広がるでしょう。

本記事では、ITパスポート試験の受験を考えている人に向けて、試験の難易度や必要となる勉強時間、勉強方法などを具体的に解説しています。
目次 Contents

ITパスポート試験の難易度は?合格に必要な勉強時間や勉強法を徹底解説


スキマ時間でITパスポート試験に合格する

短期合格者の勉強法

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ITパスポート試験とは

ITパスポート試験は、ITを利用する上での基礎的な知識が証明できる国家試験です。

IPA(情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験の試験区分の中では、最も難易度が低い「レベル1」に位置づけられています。



主な対象者はITを活用する全ての社会人や学生で、特別な受験資格はありません。

試験では、情報技術や管理についての出題がされるだけではなく、経営全般についての知識も問われます。

合格率は50%程度で難易度は高くありませんが、合格するためにはITに関して幅広い分野についてひととおりの知識が必要です。

あらゆる分野でDXが進む現代において、ITパスポートの資格を所持していることの意義は大きいといえるでしょう。


ITパスポート試験の難易度は

ITパスポート試験の難易度は、情報処理技術者試験の試験区分の中では「レベル1」に相当するため、合格を目指しやすい試験といえます。

ITパスポート試験の難易度を、具体的なデータからさらに詳しく確認していきましょう。

以下の項目をそれぞれ解説していきます。

  • ITパスポート試験の合格率から見る難易度
  • ITパスポート試験の合格基準点から見る難易度
  • ITパスポート試験の勉強時間目安から見る難易度


ITパスポート試験の合格率から見る難易度

下記の表は、平成26年(2013年度)〜令和4年度(2022年度)にかけての受講者数・合格者数・合格率を示したものです。

合格率は平均50%前後で、ここ数年のデータを見ると合格率は令和2年をピークに、令和4年度は応募者が過去最多を記録するとともに合格率も前年度同様下がりました。

実施年度 受験者数 合格者数 合格率
平成26年(2014年) 71,464 34,215 47.9%
平成27年(2015年) 73,185 34,696 47.4%
平成28年(2016年) 77,765 37,570 48.3%
平成29年(2017年) 84,235 42,432 50.4%
平成30年(2018年) 95,187 49,221 51.7%
令和元年(2019年) 103,812 56,323 54.3%
令和2年(2020年) 131,788 77,512 58.8%
令和3年(2021年) 211,145 111,241 52.7%
令和4年(2022年) 231,526 119,495 51.6%
令和5年(2023年) 265,040 133,292 50.3%


近年、ビジネスのIT化が進んだことによりITパスポートに認知度が広まったこと、教育機関においてもIT分野のカリキュラムが組み込まれていることなどから、年々受講者数が増加しています。

合格率はここ数年で平均50%前後となっており、国家試験の中でも比較的取得しやすい試験となります。


ITパスポート試験の合格基準点から見る難易度

ITパスポートの合格基準は以下のとおりです。全体で6割、3つの分野でそれぞれ3割以上正解していれば合格となります。


合格基準 総合評価点

600点以上/1,000点(総合評価の満点)

分野別評価点

ストラテジ系  300点以上/1,000点(分野別評価の満点)

マネジメント系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点)

テクノロジ系  300点以上/1,000点(分野別評価の満点)

※総合評価点が600点を超えていても、分野別評価点のいずれかが300点未満の場合は、不合格となります。


ITパスポート試験の勉強時間目安から見る難易度

ITパスポート試験に合格するために必要な勉強時間は、ベースとなる情報処理知識の有無によって異なります。

情報処理の知識を持っている人の場合、合格に必要な勉強時間の目安は100時間~150時間ほどです。

1日2時間勉強すると考えると、約1カ月半~2カ月程度勉強を続ければ、必要な勉強時間をこなせるでしょう。

ただし、会社経営などに関する知識も求められるため、ストラテジ系の分野になじみが薄いようであれば重点的に対策を行うのが大切です。


一方、情報処理の知識がほとんどない初学者であれば、試験合格に必要な勉強時間は約180時間です。

1日2時間を勉強に費やせるとして計算すると、3カ月ほどかかる見込みになります。

わからない単語があれば一つひとつ丁寧に調べ、基礎知識を身に付けましょう。

今回ご紹介した合格に必要な勉強時間はあくまで目安なので、できるだけ勉強時間を多めに確保して、焦らずに学習を進めることが重要です。


【あわせて読みたい】ITパスポート試験の勉強時間目安は?最短で合格する方法を徹底解説


ITパスポート試験は社会人が有利!?

次の表は、社会人と学生の受験者数・合格者数・合格率を示したものになります。

社会人 学生
受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率
平成26年

(2014年)

40,218 23,031 57% 31,246 11,184 36%
平成27年

(2015年)

40,282 22,970 57% 32,903 11,726 36%
平成28年

(2016年)

43,091 24,854 58% 37,529 12,716 34%
平成29年

(2017年)

46,598 28,116 60% 37,637 14,316 38%
平成30年

(2018年)

54,759 33,693 61% 40,428 15,528 38%
令和元年

(2019年)

62,247 39,099 63% 41,565 17,224 41%
令和2年

(2020年)

85,851 55,495 64.6% 45,937 22,017 47.9%
令和3年

(2021年)

150,647 86,292 57.3% 60,498 24,949 41.2%
令和4年

(2022年)

179,737 98,773 55.0% 51,789 20,722 40.0%
令和5年

(2023年)

208,912 110,750 53.0% 56,128 22,542 40.2%


どの年度においても、合格率は社会人の割合が学生よりも高めになっています。

これは、ITパスポートの試験内容に、通常のビジネスの場で使用するIT用語やビジネス用語が含まれているためでしょう。

普段の生活で身についている知識が多いので、一から学習する範囲がそれほど多くありません。

そのため、社会人の方が難易度は比較的容易となっていると思われます。


一方で学生の合格率が社会人に比べ低い数値になっているのは、ストラテジ系、マネジメント系の分野から出題されるビジネス用語や会社経営に関する知識が学生にとってはあまりなじみがないため、その分、少し難易度が高くなっていると考えられます。

かといって、学生にとって手が付けられないほどの難易度ではありません。

実際、過去には小学生・中学生もITパスポート試験に合格しているため(2023年8月時点では、最年少のITパスポート試験合格者は7歳です)、上記の合格基準を満たすようITパスポート試験の出題範囲のポイントを押さえて学習していくことが合格への秘訣です。


ITパスポート試験の試験概要

ITパスポート試験の主な概要は以下の通りです。

試験日程 随時実施
受験資格 誰でも受験可能
試験会場 全国47都道府県の試験会場
出題分野 ストラテジ系(経営全般):35問程度

マネジメント系(IT管理):20問程度

テクノロジ系(IT技術):45問程度

試験時間 120分
受験方式 CBT(Computer Based Testing)方式
受験料 7,500円(消費税込み)
合格発表 受験した月の翌月15日前後に発表


試験概要のより詳しい内容については、以下の記事を参照ください。


【あわせて読みたい】ITパスポート試験とは?


ITパスポート試験とよく似た資格3選

ITパスポート試験は、他の情報処理系の資格とどのような違いがあるのでしょうか。

ITパスポートの資格取得を考えている人に向けて、ITパスポート試験とよく似た以下の資格3つについて解説していきます。

  • 初級システムアドミニストレータ試験
  • MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)
  • 基本情報技術者試験

他の情報処理系資格について知ることで、ITパスポートがどのような資格なのかよりつかみやすくなるでしょう。


初級システムアドミニストレータ試験

初級システムアドミニストレータ試験は、現在はすでに廃止されている、IPAが実施していた情報処理技術者試験の一つです。

「情報処理の入門資格」という位置づけでしたが、ITパスポート試験よりも初級システムアドミニストレータ試験の方が難易度は高くなっています。

なぜなら、ITパスポートがITを活用する社会人や学生を対象としているのに対し、初級システムアドミニストレータ試験はあくまでIT技術者向けの試験だったからです。

初級システムアドミニストレータ試験の合格者は、ITパスポートの合格水準に達しているといえます。


MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)

MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)は、WordやExcel、PowerPointといったマイクロソフト社のオフィス製品の利用スキルを証明する資格です。

ITパスポートが基本的な情報処理全般の知識が問われるのに対して、MOSはマイクロソフト社のオフィス製品にしぼった利用スキルが試されます。

MOSはマイクロソフト社公認の国際資格であるため、世界中でスキル証明の手段として利用することができるでしょう。

経済産業省が認定するITパスポートと同様に、民間資格であるMOSも信頼度が高い資格といえます。


基本情報技術者試験

基本情報技術者試験もIPAが実施する情報処理技術者試験の一つで、難易度は「レベル2」に相当します。

「レベル1」に相当するITパスポートと比較して難易度が高く、プログラミングやアルゴリズムといったより実践的な知識が要求されます。

つまり、ITパスポートが「IT利用者」の立場からスキルを問われるのに対し、基本情報技術者の試験では「ITを作る側」の知識が問われるのです。

情報処理の知識が少ない場合、まずはITパスポートでITに関する知識の基礎固めを行い、基本情報技術者の試験合格を目指すのが有効でしょう。


ITパスポート試験を受けるメリットとは

特別な受験資格が必要なく、誰でも受験しやすいITパスポート試験ですが、試験に合格することで以下のようなメリットがあります。

  • ITリテラシーが身につく
  • 他のIT系資格にチャレンジしやすくなる
  • 就職・転職に役立つ

業務におけるITリテラシーが高められるだけでなく、キャリアアップにもつながり、資格取得の恩恵を受けられるタイミングは多いでしょう。

ここからは、それぞれのメリットについて、詳細を解説していきます。


ITリテラシーが身につく

ITパスポート試験に合格することで、業務でいかせるようなITリテラシーを身に付けられます。

具体例は以下のとおりです。

  • ITに関する基礎知識(例:業務上で使用する売上管理ツールや顧客管理ツールなどの有効的な活用方法を考えられる)
  • 企業コンプライアンス・法令遵守に関する知識(例:著作権・商標権侵害などの法律違反になるケースや個人情報漏えいリスクを把握できる)
  • 経営に関する基礎知識(例:経営戦略や業務改善の手法を学べるので、課題を解決するための仕組みを考案できる)
  • 情報セキュリティに関する基礎知識(例:機密情報漏えい・コンピューターウィルス感染リスクについ学べるため、セキュリティ対策が向上する)

このようにITパスポートで習得した知識を業務で活かせる場面は多岐にわたるので、仕事で活躍できる機会が格段に増えるでしょう。


他のIT系資格にチャレンジしやすくなる

ITパスポート試験は、情報処理技術者試験において入門編にあたる「レベル1」に位置付けられています。

そのためITパスポート試験で問われる知識は、上位資格取得のための基本的な知識を身に付ける際に役立ちます。

例えば、以下のような資格取得を目指す際の基礎固めとして有効でしょう。

  • 情報セキュリティマネジメント試験
  • 基本情報技術者試験
  • 応用情報技術者試験

IT技術者としてのキャリア形成を目指すのであれば、まずはITパスポートを取得してベースとなる知識を身に付けるのがおすすめです。

その後、上位資格を取得して段階的なスキルアップが目指せます。


就職・転職に役立つ

ITパスポートの資格を所持していれば、就職や転職の際に有利に働きます。

IT化やDXが進む現代において、企業や省庁はITの基礎知識を習得している人材が必要です。

ITパスポートを取得している人は、基本的なITスキル所持を証明できるので、エントリーシートや採用試験の加点対象となっている場合があります。


【あわせて読みたい】【社会人・学生別】ITパスポート取得のメリットとは?


ITパスポート試験の主な対策法

ITパスポート試験に合格すると、業務に役立つだけでなく、キャリアアップの上でもさまざまなメリットがあることがわかりました。

ここからは、ITパスポート試験に合格するための対策法を紹介していきます。

具体的な対策法は、以下の2つです。

  • 本などで独学する
  • 講座を受講する

それぞれの対策法における詳細や、メリット・デメリットを解説していきます。


本などで独学する

まず挙げられるのは、本などの独学でITパスポート試験合格を目指す方法です。

自分にあった教材を見つけて適切な学習を続ければ、独学でもITパスポート試験の合格は可能です。


独学で試験合格を目指す大きなメリットは、金銭的な負担を減らせる点です。

しかし、自分にあった参考書を探したり、どのように勉強するかを一から考えなければならなかったりするので、時間的なコストは大きいでしょう。

「できるだけお金をかけたくない」という思いが強いのであれば、じっくりと時間をかけて独学でITパスポート試験の合格を目指してみてもいいかもしれません。


講座を受講する

ITパスポート試験に合格するために最もおすすめなのは、講座を受講する方法です。

勉強する順番を一から考えたり問題集を自分でそろえたりする必要がないため、忙しい人でも試験合格を目指しやすいでしょう。

また、ITパスポートは情報処理に関する試験なので、試験内容には新しいトピックスが入っています。

書籍での独学であれば、新しいトピックスに対応するのは難しいですが、講座を受講すれば新しいトピックスにも対応しやすいでしょう。


独学と比較して金銭的な負担がかかるのがデメリットですが、リーズナブルな値段で受講できる講座は多数あります。

時間はお金と同等に貴重なものです。

効率的に時間を活用して効果的な試験勉強をしたいのであれば、講座の受講を検討してみましょう。


ITパスポート試験に合格するためのおすすめ勉強法

ここで、ITパスポート試験に合格するためにおすすめな勉強方法を3つ紹介していきます。

  • スキマ時間を有効活用する
  • 過去問を繰り返し解く
  • インプットとアウトプットを繰り返す

それぞれについて詳細を解説していくので、毎日の中でどのように勉強を継続するかをイメージしながら読んでみましょう。


スキマ時間を有効活用する

ITパスポート試験に合格するためには、わずかなスキマ時間を有効活用するのが大切です。

スキマ時間が数分でもあれば、動画を見たり問題を解くなどできることはいくらでもあります。

まずは、一日のタイムスケジュールを作成し、利用できそうなスキマ時間を洗い出すことからはじめてみましょう。

通勤時間や休み時間、待ち時間など、一日の中にスキマ時間はたくさん見つけられます。


過去問を繰り返し解く

過去問を繰り返し解くことは、ITパスポート試験合格のために必須の勉強方法です。

本番の試験で過去問と全く同じ問題が出題されるわけではありません。

しかし、繰り返し問題を解いておくことで、違う角度から出題された問題にも対応する応用力が身に付くでしょう。

さらに、過去問を複数回解いておくことで、苦手分野の発見にもつながります。

過去問で苦手分野をしぼりこんだ後、その分野を重点的に対策することで、弱点を克服することが可能です。


インプットとアウトプットを繰り返す

学習した知識を定着させるためには、こまめにインプットとアウトプットを繰り返しましょう。

ITパスポートの出題範囲は、テクノロジ系だけでなく、マネジメント系やストラテジ系も含まれるため、非常に幅広いです。

そのような中でインプットだけを行っていると、学習した内容が身に付いているかわからず、不安になってしまうこともあるでしょう。

インプットしたらあわせて問題演習も行い、知識を定着させてモチベーションを維持することが大切です。


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まとめ

今回取り上げたITパスポート試験の難易度について、重要なポイントをおさらいしておきましょう。

  • ITパスポート試験の難易度は「レベル1」で合格率は約50%なので、合格を目指しやすい
  • 試験合格のために必要な勉強時間は、100時間〜180時間ほど
  • ITパスポート試験に合格すると、学んだ知識を仕事に活かせるだけでなく、キャリアアップにもつながる
  • ITパスポート試験は独学でも合格可能だが、講座を受講して効率的に合格するのがおすすめ
  • インプットとアウトプットを繰り返し、スキマ時間を有効活用するのが試験攻略のカギ

ITパスポート試験は忙しくてまとまった勉強時間が確保できない人でも、ITに関する知識が少ない人でも十分に合格を目指せる資格です。

効率的に学習を進めて、万全な試験対策を行いたいのであれば「スタディング ITパスポート試験講座」がおすすめです。

スマホを活用して勉強を進められるのでスキマ時間を有効活用できるのはもちろん、AIが最適なタイミングで復習問題を出題してくれるので、効果的なインプットとアウトプットができます。

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