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合格を目指すにはどのように学習を進めれば良いですか? |
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「満点を目指す学習」ではなく、「合格点を目指す学習」を意識しましょう! |
短期間で資格試験に合格するコツの一つは「メリハリ力」です。実は、受験者はついつい昔の学生時代のクセで「満点を目指す学習」をやってしまいがちです。もっとも、無意識にそういうやり方、考え方をしてしまうので、本人はあまり気が付いていないかもしれません。
確かに、小学校、中学校、高校と、試験では「100点」を目指して勉強をするのが普通でした。そして、しっかり頑張ると、試験によっては満点を取れることもありました。少なくともクラスの誰かが満点を取った姿を見た記憶は大多数の方が持っているのではないでしょうか。ですから、ついつい、「試験」と聞くと自然に「満点を目指す学習」をやってしまうのです。
しかし、資格試験では、これは大間違いです。資格試験で失敗する典型例の一つが、この「満点を目指す学習」の結果なのです。では、なぜ「満点を目指す学習」が資格試験ではダメなのでしょうか。理由は3つあります。
第一に、そもそも資格試験では満点が合格点ではないからです。試験の種類によって違いはありますが、満点でなければ合格できないという資格試験はありません。
第二に、資格試験が出題範囲としている知識分野は、たいていの場合、どれも奥深いものだからです。試験自体は合格しやすいものであっても、その対象としている知識分野は広大な裾野を持っていて、踏み込んで行けば限りなく広がっていくといった場合が少なくありません。そこで「満点を目指す学習」を始めると際限が無くなるのです。
第三に、資格試験の本質が、「合格させるための試験」ではなく、「振り落とすための試験」だからです。まともな資格試験では全員合格ということは通常あり得ません。必ず、合格者と不合格者が発生するような制度となっています。そのため、試験問題を作成する担当者は、「どうすれば上手く合格者と不合格者をふるい分けられるような問題を作問できるか。」と考えます。そして、学習の進んでいない人を引っ掛けるための試験技術を駆使した作問をします。この試験技術の一つとして存在するものが「捨て問」です。
「捨て問」とは、合格者でも正解できないような枝葉末節の知識を、意図的に試験問題の中に入れ込んでおく試験技術です。なぜ、そんな知識を出題するのかといえば、学習が進んでいない受験者を心理的に動揺させ、ふるい落とすためです。しっかり学習できている受験者は、見たこともない知識が出題されても他の問題で十分合格点を確保できることを熟知していますから、特に動揺することなく、その問題を後回しにして、先に進むという冷静な対応ができます。つまり、そうした問題は「捨てる」ことができるのです。しかし、学習が進んでいない人は、1問でも取りこぼすまいと「捨て問」にこだわってしまい、時間ばかり消費してしまいがちです。結果として、試験時間が足りなくなり合格点には届かないということになってしまいます。
こうした事情で過去問の中には合格に貢献しないような枝葉末節の知識まで含まれています。しかし、「満点を目指す学習」という考え方の受験者は、過去問で出題されたのだから必要な知識なのだろうと考えて、そうした枝葉末節の知識についてまで重箱の隅をつつくような学習をしてしまいがちなのです。
こうしたことから意識的に「合格点を目指す学習」に切り換えて取り組む必要があります。つまり、合格に本当に必要な知識は徹底的に繰り返してマスターしてしまうと同時に、枝葉末節の知識にはこだわらず、メリハリを付けて学習するという姿勢が重要です。これが短期間で資格試験に合格するコツの一つである「メリハリ力」です。