ITパスポート試験に受かる気がしない主な理由4選
まず、ITパスポート試験の受験者が「受かる気がしない」と感じてしまうのはなぜでしょうか。
主な4つの理由について解説します。
- 勉強時間を十分に確保できていない
- 専門用語を覚えられない
- 簡単だと思ってなめていた
- 出題範囲が広すぎる
1. 勉強時間を十分に確保できていない
1つ目は、勉強時間を十分に確保できていないからです。
ITパスポート試験に合格するために必要な勉強時間は、ITの知識がほとんどない初心者の場合で180時間程度、ITの基礎知識がある人でも100〜150時間程度とされています。
仮に毎日2時間勉強するとして、初心者なら3カ月、基礎知識がある人でも1カ月半〜2カ月程度はかかる計算です。
仕事や学校で忙しい人の場合、こうした十分な勉強時間を確保し続けるのは難しいでしょう。
そのため勉強時間が不足してしまい、不合格になってしまうことがあります。
2. 専門用語を覚えられない
2つ目は、専門用語を覚えられないからです。
ITパスポート試験には、ITに関する専門用語だけでなくビジネスシーンでよく使われる用語も出題されます。
こうした専門用語は普段の生活で使用しないものばかりなので、覚えようとすると思った以上に大変です。
まだ理解できていないことを丸暗記するのは大変ですし、時間もかかるため、勉強の効率が悪くなってしまうでしょう。
結局試験までに覚えきれず、失敗してしまうパターンです。
3. 簡単だと思ってなめていた
3つ目は、簡単だと思ってなめていたからです。
ITパスポート試験は、「簡単な試験」「誰でも取得できる」と言われがちです。
実際にITパスポート試験は、情報処理技術者試験の試験区分の中でも、一番やさしい「レベル1」に位置付けられています。
そのため、「初心者でも簡単に受かるだろう」と考えている受験者も少なくありません。
しかし実際のITパスポート試験は、前述の通り一般的でない専門用語なども多く出題されており、簡単に合格できるような試験ではありません。
実際ITパスポート試験のレベルを見誤り、勉強不足で合格できなかったというケースは多いようです。
4. 出題範囲が広すぎる
4つ目は、出題範囲が広すぎるからです。
ITパスポート試験の出題範囲は、大きく分けて以下の3つがあります。
- ストラテジ系(経営全般)
- マネジメント系(IT管理)
- テクノロジ系(IT技術)
ITパスポート試験の出題範囲は非常に広く、すべてを網羅しようと思ったら膨大な量の勉強が必要です。
すでにITの基礎知識があったとしても経営やマーケティングなど経営全般の知識も必要になるため、勉強する範囲を絞らなければまず試験には間に合わないでしょう。
ITパスポート試験は一夜漬けで合格可能?
ITパスポート試験に一夜漬けで合格するのは、極めて難しいでしょう。
ITパスポート試験は試験範囲が非常に広く、覚えなければならない専門用語も多くあります。
そのためITの基礎知識がある人でも、合格するには前述のように100〜150時間程度の勉強時間が目安として必要です。
もともとITやビジネスに関する知識が十分に豊富な人でない限り、一夜漬けで合格できるレベルの試験ではありませんので、最低でも1カ月くらいは勉強する必要があると考えておきましょう。
ITパスポート試験の難易度はどのくらい?
「受かる気がしない」と感じる人も少なくないITパスポート試験ですが、実際にはどれくらいの難易度の試験なのでしょうか。
以下から実際の合格率をもとに解説していきます。
以下は、平成25年(2013年度)〜令和4年度(2022年度)にかけてのITパスポート試験における合格率をまとめた表です。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成25年 | 6万7,326 | 3万2,064 | 47.6% |
平成26年 | 7万1,464 | 3万4,215 | 47.9% |
平成27年 | 7万3,185 | 3万4,696 | 47.4% |
平成28年 | 7万7,765 | 3万7,570 | 48.3% |
平成29年 | 8万4,235 | 4万2,432 | 50.4% |
平成30年 | 9万5,187 | 4万9,221 | 51.7% |
令和元年 | 10万3,812 | 5万6,323 | 54.3% |
令和2年 | 13万1,788 | 7万7,512 | 58.8% |
令和3年 | 21万1,145 | 11万1,241 | 52.7% |
令和4年 | 23万1,526 | 11万9,495 | 51.6% |
合格率は、例年平均50%前後で推移しています。
令和2年までは上昇傾向でしたが、令和3年度(2021年度)からは若干下降しました。
それでも50%以上の合格率を推移しているので、国家試験の中では高い方だと言えるでしょう。
【あわせて読みたい】ITパスポート試験の難易度は?合格に必要な勉強時間や勉強法を徹底解説
ITパスポート試験に受かるための勉強法
では、ITパスポート試験に合格するにはどんな勉強をすればよいのでしょうか。
ITパスポート試験の勉強におけるポイントは、主に以下の5つです。
- 余裕を持った勉強スケジュールを立てる
- スキマ時間を有効活用する
- インプットとアウトプットを何度も繰り返す
- 過去問を繰り返し解く
- 出題傾向の高い分野・用語に絞って集中的に勉強する
1. 余裕を持った勉強スケジュールを立てる
1つ目は、余裕を持った勉強スケジュールを立てることです。
試験日をゴールとしてどんなペースで勉強を進めるか、どの時期にどこまで終えるべきかを逆算して、スケジュールを考えましょう。
なお合格に必要な勉強時間は、前述の通りもともとの知識レベルによって異なります。
自分にはどのくらいの勉強時間が必要か把握した上でスケジュールを検討してみましょう。
ITパスポート試験は頻繁に実施されているため、受験の時期は自由に選択しやすくなっています。
ただし「十分な学習ができたら受験しよう」と考えていると、受験がどんどん先延ばしになってしまいます。
受験日と会場を決めたうえで、スケジュールを立てるとよいでしょう。
2. スキマ時間を有効活用する
2つ目は、スキマ時間を有効活用することです。
忙しい人の場合、勉強のための数時間を毎日確保するのは非常に難しいでしょう。
しかし、たとえば通勤時間や待ち時間など、細切れのスキマ時間を利用して数分の動画を見たり選択問題を解いたりといったことはできるはずです。
こうしたスキマ時間を有効活用すれば、毎日の積み重ねで十分な勉強量を確保できます。
3. インプットとアウトプットを何度も繰り返す
3つ目は、 インプットとアウトプットを何度も繰り返すことです。
知識のインプットは重要ですが、インプットだけをしていても試験に合格できるレベルの実力が身につくわけではありません。
合格を目指すなら、インプットとアウトプットの繰り返しが重要です。
動画やテキストなどでインプットした知識は、なるべく早めに練習問題に挑戦して、アウトプットをしましょう。
これを何度も繰り返して知識を定着させていくことが、合格には必要不可欠です。
4. 過去問を繰り返し解く
4つ目は、過去問を繰り返し解くことです。
ITパスポート試験の合格には、過去問対策が非常に有効です。数年分を入手して、繰り返し挑戦しておくとよいでしょう。
ただし試験本番では、過去問とまったく同じ問題が出題されるわけではないので注意してください。
過去問を繰り返し解いて問題の本質を理解し、どんな問題でも応用できるようにしておきましょう。
5. 出題傾向の高い分野・用語に絞って集中的に勉強する
5つ目は、出題傾向の高い分野・用語に絞って集中的に勉強することです。
ITパスポートは、出題範囲が非常に広い試験です。
出題範囲をとにかく網羅して覚えようとしても、時間がかかりますし効率もよくありません。
まずは4つ目で解説した過去問を活用して、よく出題されたテーマや用語の傾向をつかんでください。
その上で、出題傾向の高い内容に絞って集中的に勉強しましょう。
すべてを網羅しようとするよりも、そのほうが効率よく得点につながる知識を得られます。
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ITパスポート試験に受かるために必要な心構え
ITパスポート試験に合格するには、事前の十分な勉強はもちろん、以下の心構えをしておくことも重要です。どんな心構えが必要か、詳しく解説します。
- 最低限の正答率を心がける
- わからないことはその場で解決する
- モチベーションを維持する
- 捨て問は勇気をもって捨てる
- 「合格できる」とポジティブな気持ちを持つ
最低限の正答率を心がける
1つ目は、最低限の正答率を心がけることです。
ITパスポート試験では、非常に多くの問題が出題されます。
しかし、すべての問題を解ききることや正解することを目指す必要はありません。
まずは、合格基準に到達できる最低限の正答率を目指してください。
ITパスポート試験の合格基準は、以下の通りです。
項目 | 内容 |
試験時間 | 120分 |
出題数 | 小問:100問(*1) |
出題形式 | 四肢択一式 |
出題分野 | ストラテジ系(経営全般):35問程度
マネジメント系(IT管理):20問程度 |
合格基準 | 総合評価点600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であること
総合評価点 600点以上/1,000点(総合評価の満点)
分野別評価点 |
試験方式 | CBT(Computer Based Testing)方式(*2)
受験者はコンピュータに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答します。 |
採点方式 | IRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づいて解答結果から評価点を算出します。 |
(*1)総合評価は92問、分野別評価はストラテジ系32問、マネジメント系18問、テクノロジ系42問で行います。残りの8問は今後出題する問題を評価するために使われます。
(*2)身体の不自由等によりCBT方式で受験できない方のために、春期(4月)と秋期(10月)の年2回、筆記による方式の試験を実施します。
全体で6割以上、かつ3つの分野でそれぞれ3割以上正解していれば合格となります。
まずは、確実にこの基準を突破できるレベルを目指して勉強を進めましょう。
わからないことはその場で解決する
2つ目は、わからないことはその場で解決することです。
ITパスポート試験の勉強をしていると、毎日のようにわからないことが出てくるでしょう。
そのときはテキストなどを使い、後回しにせず必ずその場で調べて解決するようにしましょう。
後で調べようと思っているとそのまま忘れてしまったり、他にもわからないものが出てきて混乱したりと、勉強の効率が悪くなってしまいます。
疑問に思ったことはすぐに調べて理解を深めておいた方が、より効率的に勉強を進めることが可能です。後回しにせずすぐに解決しましょう。
モチベーションを維持する
3つ目は、モチベーションを維持することです。
試験勉強でネックになるのが、学習に対するモチベーションの維持です。常に高いモチベーションをキープし続けるのは、どんな人でも難しいかと思います。
試験当日までに十分な勉強量を確保して合格レベルの知識を身につけるには、学習する習慣を作ってしまうのがよいでしょう。
前述のようなスキマ時間を有効活用すれば、無理なく学習の習慣をつけることができるはずです。
捨て問は勇気をもって捨てる
2つ目は、捨て問に関しては勇気をもって捨てることです。
どんな試験でも、他の問題と比べて難易度が高く正答率の低い「捨て問」が出題されることがあります。
1、2分考えてもわからなかったり、解くのに時間がかかると思った問題は、飛ばして次の問題に進みましょう。
そういった問題には印をつけておいて、あとから時間があれば、再度解いてみればよいのです。
ITパスポート試験は、すべての問題に正解しなくても合格できる試験です。
捨て問よりも、確実に解ける問題に時間を使いましょう。
「合格できる」とポジティブな気持ちを持つ
4つ目は、常に「合格できる」とポジティブな気持ちを持つことです。
繰り返しになりますが、ITパスポート試験は国家試験の中では合格率が高く、入念に対策をしておけば初心者でも合格可能です。
「合格できなかったらどうしよう」ではなく、「自分はちゃんと勉強しているのだから、必ず合格できる」とポジティブな気持ちで勉強を続けましょう。
まとめ
最後に、今回のポイントをおさらいしておきましょう。
- ITパスポート試験は専門用語が多く範囲が広いため、受かる気がしないと感じる人もいる
- 簡単だと言われることも多い試験だが、初心者が一夜漬けで合格するのは難しい
- 試験勉強ではスケジュールを立ててスキマ時間を使い、頻出用語を集中して学ぶ
- 勉強中は入念に対策を行いつつ、合格できるとポジティブに考える
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