設計製図試験とは、建築士試験の学科試験合格後に受けるもので、図面作成や計画の要点の記述が主な出題内容です。設計製図試験に合格してはじめて、建築士の資格を得られます。
例年10月の第2日曜日に行われています。同じ年度に学科試験に合格した方と、前年等(学科試験合格年から5年間で3回の受験チャンスが与えられます)に学科試験に合格した方が受験できます。
試験中は、問題用紙に記載された内容を読み込み、それに見合った建物を設計し、図面を手書きで書き起こし、計画の要点という文章での記述問題にも答えます。試験時間は、6時間30分です。長時間に感じられますが、実際はかなりタイトなスケジュールとなっており、タイムマネジメントが重要な試験です。
1級建築士の設計製図試験では、2枚の答案用紙が配られます。1枚目がA2サイズの用紙で方眼や敷地のライン面積表の枠などが記載された図面を描く用紙です。2枚目はA3サイズの用紙で主に文章を書くための枠が表示された用紙です。
このうち、2枚目のA3サイズの用紙は計画の要点等を記入するための用紙となります。
計画の要点等とは、受験生が作り上げた設計のポイントを文章で書くように求められているものです。
建築計画、構造計画、設備計画、環境設備、法規など様々な部分を切り口に、どのように計画したのかや、配慮した点などが7問~10問程度問われます。1問につき、2~5行程度の文章を記入できる枠が与えられたり、設問によっては文章に加え、簡単な図示を描くように求められることもあります。計画の要点等の設問も大切な答案の1つですので、1問でも未記入があると、未完成とみなされ失格となる可能性があるため、必ずすべて書ききることが大切です。
試験時間が6時間半あるうちの、1時間程度の時間をかけて記述を完成させる方が多いようです。
「ゾーニング」「動線計画」「室や建物の配置」「セキュリティ」などについて問われています。どのような考え方をもって建物を設計したのかを伝えられるようにすることが大切です。
「部材寸法」「構造種別・架構形式」「スパン割り」「耐震計画」「経済性への配慮」「地盤条件への対応」などについて問われています。良く問われている内容については、定型的な表現を用意しておくのがおすすめです。予想外のことを問われる場合もありますが、初めて出るような内容は全ての受験生が戸惑うことになりますので、あまり焦らず冷静に、これまで積み上げてきた知識を使って解答を作成しましょう。
「空調設備」「吹出口」「給排水設備」「設備シャフト」「給排気」などについて問われます。課題文によって設備方式が指定される場合もありますので、幅広く知識を身に着け、要求に対応できるよう備えておきましょう。
1級建築士の設計製図試験では、合格発表の後に試験元である公益財団法人建築技術教育普及センターのHPで、合格水準の標準的な解答例として標準解答例が示されます。しかし、計画の要点等については、公表することにより、解答パターンが定型化するなどを防止するために公表されません。
上記のようなことを意識してトレーニングを進めてみてください。
1級建築士試験の設計製図試験、計画の要点についてお話し致しました。
設計製図試験では、設計を行い図面を描き上げるだけでなく、自ら作り上げた図面の優位性を適切に言葉で説明する能力も求められるということがお分かりいただけたかと思います。短い試験時間のなかで、計画の要点の設問にもれなく答えるために、事前のトレーニングは必須です。これから試験を目指される方はエスキスや作図の練習だけでなく、計画の要点の記述の練習もしっかり行って試験に臨みましょう。