建築士試験は、「学科試験」と「設計製図試験」のふたつに分かれており、学科試験に合格した方だけが製図試験を受けられます。合格率は、1級建築士学科試験が15%~20%、製図試験は35%前後で、2級建築士学科試験が40%前後、製図試験は50%前後です。
製図試験は、毎年試験日の数か月前に課題内容が発表されるため、余裕をもって準備と対策に臨むことができます。これが学科試験と比べて製図試験の合格率が高いひとつの要因でしょう。
製図試験では、課題内容が事前に分かっているからこそ、どんな道具を持ち込むか、持ち込んだ道具をどう使うかがとても大切です。そのあたりも試験対策の重要なポイントとなってきます。
まずは、製図試験で持ち込み可能な製図道具についてご紹介します。道具の中には制限のあるものも多いため、購入する際は建築士試験に対応したものを選びましょう。
▶定規類
T定規・平行定規・三角定規・勾配定規などの定規類は、製図試験において必須の道具です。答案用紙は方眼紙のため、フリーハンドでも線を描けるでしょう。ただし、きれいな線を引くためには定規類が欠かせません。それぞれ長さや大きさに関する規定があるので、選ぶ際は注意しましょう。
▶製図板
答案用紙を張り付ける製図板も、真っすぐな線を引くためには欠かせない製図道具です。サイズはA2版用までが持ち込み可能です。
▶製図用シャープペンシル
製図試験を受ける方の多くが製図用のシャープペンシルを使用します。製図用のシャープペンシルは、先端が細く長くなっており、定規にあてやすく正確な線を引きやすい特徴があります。
▶三角スケール
三角スケールは、線を引くためではなく寸法を測る際に使用します。一級建築士を目指す方は、1/200や1/400の縮尺に対応したものを選ぶと安心です。
▶テンプレート
線だけでなく丸・三角・楕円などの記号を描く際にも使われるテンプレート。ほとんどの作業を行えるため、テンプレートひとつで試験を乗り切る方もいるようです。頻繁に使うことになるので、小回りの利くものを選ぶとよいでしょう。
▶製図用ブラシ
消しゴムのカスやシャープペンシルの粉を払う時は製図用ブラシを使用します。手で払うと答案用紙を汚す可能性があるので、できれば所持しておきましょう。
▶電卓
製図に電卓は欠かせません。ただし、関数が計算できるものや音が出るものは持ち込めないので注意しましょう。
▶ドラフティングテープ
答案用紙を固定するのに使用します。マグネットプレートを使用する方もいますが、マグネットプレートで隠れた部分を書き忘れる可能性があるので、ドラフティングテープがおすすめです。
▶字消板
細かい部分をピンポイントで消すために使用します。余計な部分まで消さないためにできれば用意しておきたいところです。ただし、消しゴムで消すたびに字消板をあてる時間はない、という意見もあるので、答案時間に余裕がある場合のみ導入するとよいでしょう。
製図試験には、持ち込み不可な道具もいくつかあります。持ち込んでしまった場合、不正とみなされる可能性があるので気を付けましょう。
▶ドラフター
製図台の一種であるドラフターは、製図作業の効率を上げますが、試験には持ち込みできません。建築士として仕事をする際に使うかもしれない道具です。
▶そろばん、メモ用紙
そろばんやメモ用紙など、上記で紹介したもの以外の計算機や筆記用具は持ち込みできません。
最後に、持ち込み必須ではないものの製図試験に持ち込むと便利なアイテムをいくつかご紹介します。
▶チェック用の蛍光ペン
問題文の重要部分をマークするために蛍光ペンを用意しておくとよいでしょう。ただし、蛍光ペンや色鉛筆での作図は禁止されているので注意してください。
▶製図道具の収納箱
製図の試験勉強をしていると、机の上が製図道具であふれかえってしまうことも少なくありません。製図試験では適切な道具を瞬時に選ばなければならないため、机の上の製図道具をまとめる収納箱を用意しておくと便利です。とくに、ペン立てやファイルボックスは100円均一でも簡単に購入できるのでおすすめです。
製図試験は道具選びが肝心です。愛着のある道具で試験に臨みましょう。
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