1級建築士の受験資格は、「学歴要件」と「実務経験要件」の双方を満たして初めて認められます。また、平成20年11月28日施行の建築士法によって、受験資格における両要件が変更されました。それを踏まえてそれぞれについてご紹介します。
1級建築士試験の学歴要件は、建築士法14条に規定されています。第一号から第五号まで定められていて、どれかに当てはまらなければ受験資格を獲得できません。以下の表で確認してください。
建築士法14条 |
建築に関する学歴又は資格等 |
第一号 |
大学(旧制大学を含む)において、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業した者 |
第二号 |
3年生短期大学(夜間部を除く)において、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業した者 |
第三号 |
2年生短期大学又は高等専門学校において、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業した者 |
第四号 |
2級建築士 |
第五号 |
建築整備士 |
その他国土交通大臣が特に認める者 |
第一号から第三号までは、いわゆる学歴要件であり、大学や短期大学・専門学校で指定科目を履修している必要があります。第四号と第五号に関しては、2級建築士や建築整備士などの実績を考慮して認められる要件で、学歴は関係ありません。
また、従来の建築士法では、学歴要件について「所定の課程を修めて卒業」と記載されていましたが、改正によって「国土交通大臣の指定する建築に関する科目」へと変更されました。
次は、1級建築士試験を受けるための実務経験要件です。2級建築士とは異なり、1級建築士試験を受けるには、必ず実務経験要件が求められています。それぞれ第一号から第五号に対応させているので、以下の表で確認してください。
建築士法14条 | 実務経験要件で求められる年数 |
第一号 | 卒業後2年以上 |
第二号 | 卒業後3年以上 |
第三号 | 卒業後4年以上 |
第四号 | 2級建築士として4年以上 |
第五号 | 建築整備士として4年以上 |
実務経験要件は、今まで「建築に関する実務」という抽象的な要件でした。しかし、改正によって「建築に関する実務として国土交通省令で定めるものである設計・工事管理に必要な知識・能力を得られる実務」と、具体的に定められました。
2級建築士試験の学歴要件は、建築士法15条に規定されています。以下の表で確認してください。
建築士法第15条 | 建築に関する学歴又は資格等 |
第一号 | 大学(短期大学を含む)又は高等専門学校において、指定科目を修めて卒業した者 |
第二号 | 高等学校又は中等教育学校において、指定科目を修めて卒業した者 |
第三号 | 建築整備士、その他都道府県知事が特に認める者 |
第四号 | 建築に関する学歴なし |
2級建築士試験の学歴要件について、注目すべきは第四号の「建築に関する学歴なし」です。つまり、指定科目を受講していない方でも受験することが可能です。この場合、次に紹介する実務経験要件が重要視されます。
実務経験要件は、1級建築士試験と比べて短くなっているのが特徴的です。以下の表で確認してください。
建築士法15条 | 実務経験要件で求められる年数 |
第一号 | 0年 |
第二号 | 卒業後3年以上 |
第三号 | 0年もしくは所定の年数以上 |
第四号 | 7年以上 |
2級建築士試験は、一定の学歴要件さえ満たしていれば、実務経験なしで受けることが可能です。そのため、2級建築士になってから1級建築士に挑戦するケースが一般的です。
また、学歴要件が不要な第四号受験者は、7年以上の実務経験が必要となります。
現行の建築士試験の受験資格についてご紹介しました。ちなみに、建築士の高齢化や受験者の減少を背景として、令和2年3月1日から改正建築士法が施工され、受験資格も変更されます。以降に受験する方は、最新の受験資格について確認する必要があるでしょう。
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