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建築士に数学は必要?数学が苦手でも大丈夫な建築分野を紹介

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建築士に数学は必要?

結論からお話しすると、構造設計と設備設計は数学力が必要です。

意匠設計については数学が苦手な方でも問題ありません。意匠設計では、四則演算レベルの数学力があれば従事できます。

一方で構造設計には応力計算や変形計算、設備設計では熱負荷計算、換気量計算、給水量の計算など建築関連の数学力が必要となってくる場合があります。

ただし、大学の建築学科に進学する方は、高い数学力が求められる場合もあります。

ここでは、建築士で必要な数学力について詳しくみていきましょう。

意匠設計は数学が苦手でも問題ない

建築士の中に登場する意匠設計は、数学が苦手でも問題ありません。

意匠設計で求められるのは、数学力以上に建物をデザインする発想力であるためです。

そのため、必要な数学力は四則演算(足し算や引き算など)のレベルで従事できます。

ただし、数学力が全く必要ないというわけでもありません。

数学力はあって損することがないため、建築士としての必要最低限の数学力は身につけておくのがおすすめです。

構造設計と設備設計は数学力が必要

先ほど、意匠設計の分野では数学が苦手でも問題ないことをお話ししました。

一方で、構造設計には応力計算や変形計算、設備設計では熱負荷計算、換気量計算、給水量の計算など建築関連の数学力が必要となる場合があります。

構造設計は、建築士が行う建築設計の中でも重要な分野です。

意匠設計を元に構造計算を行い、法令を順守した上で、人々が安全に利用できるよう、柱や梁などのサイズや配置を検討します。

設備設計は、建物に住む方が快適に過ごせるための設計を行う分野です。

空調・電気設備、配管などを建物で過ごす方が便利に使えるように設計図を作成します。

どちらも、建物の安全性を確保したり強度を計算したりするために意匠設計よりも高い数学力が求められるのが特徴です。

  • 荷重計算
  • 応力計算
  • 変形計算
  • 断面算定

特に上記のような構造設計に関する計算は簡単ではありません。

ただし、近年は計算をすぐに行うツールなども多く登場しているため、最低限の数学力があれば従事できます。

そのため、建築士試験に合格する中で最低限の数学力は身につけておきましょう。

建築士合格のために勉強すべき数学の範囲

建築士合格のために勉強すべき数学範囲は、大学1年生〜2年生の数学レベルです。

大学1・2年生レベルの数学力があれば、実務でも問題なく対応できるでしょう。

建築士試験においては、一見難解そうに見えても、計算式自体が複雑なものは少ないため、方程式、三角関数などを理解し、公式や考え方を覚えてしまえば対応可能なものがほとんどです。

数学が苦手でも特別に身構える必要はありません。

また、大学の建築学科を目指している方は、数学IIIの知識なども必要な場合があります。

数学IIIは微積分などを含む範囲ですが、大学によって必須かどうかは異なるのが特徴です。

そのため、進学したい大学を選ぶ中で数学IIIが必要かどうかを確認するのがよいでしょう。

数学以外に物理も勉強しておこう

建築士の勉強をする場合、数学以外にも物理を勉強しましょう。

実際に建築士として重要なのは、数学以上に物理の方であるためです。

物理の中でも、構造力学についての知識が必要です。構造力学に関する知識は、1級建築士の試験でも役立ちます。

そのため、将来、構造設計の分野で仕事をしたいとお考えの場合は、構造力学についての知識を身につけておきましょう。

ただし、1級建築士の試験問題を解くために構造力学を完全に理解する必要はありません。

内容を暗記すれば解ける問題がほとんどなので、基本的な知識を身につけておけば十分です。

建築士試験で覚えておくべき数学の公式

先ほど、1級建築士の試験問題を解くために構造力学を完全に理解する必要はなく、暗記すれば解けると解説しました。

ここでは、建築士試験の構造力学分野の問題を解答する際に使用する公式を一部ご紹介します。

これらは暗記して使えるようにしておく必要があります。

項目
公式
断面一次モーメント S=A×y^2

※A:断面積、S:図形の中心から軸までの距離

断面二次モーメント I=bh^3/12

※b:部材の幅、h:部材の丈

断面係数 bh^2/6
たわみの公式(単純梁/等分布荷重) δ=5wL^4/384EI
たわみの公式(単純梁/中心荷重) δ=PL^3/48EI
たわみの公式(片持ち梁/先端荷重) δ=PL^3/3EI
たわみの公式(片持ち梁/等分荷重) δ=wL^4/8EI

1級建築士試験では良く出題される公式の一部です。

これから対策を始める方は、いずれ学習することになりますので、少しずつ理解を深めることが大切です。

数学ができない方が建築士になる方法

ここまでで、数学が苦手な方でも建築士を目指せるかどうかについて詳しく解説しました。

では、数学が苦手な方が具体的に建築士試験に合格するにはどうすればいいのでしょうか?

ここでは、建築士試験の受験資格・試験内容をはじめ、数学が苦手な方が建築士試験を勉強する方法について詳しく解説します。

受験資格

建築士試験には受験資格があるため、誰でも受験できるわけではありません。

1級・2級建築士でそれぞれ受験資格があるため、最短ルートで満たして受験することが大切です。

まず2級建築士の受験資格は、学歴や資格に応じて実務経験年数が定められています。

以下の表は、学歴や資格と実務経験年数の関係を表した表です。

▼二級建築士の受験資格

建築に関する学歴または資格
実務経験年数
大学・短期大学・高等専門学校・高等学校・専修学校・職業訓練校などで、指定科目を修めて卒業した人 最短で0年
建築設備士 0年
その他都道府県知事が特に認める者 所定の年数以上
学歴がない方 7年以上

2級建築士は、令和2年度の法改正で学歴を満たしていれば実務経験なしで受験できる場合が増えました。

そのため、最短で取得を目指す方は学歴を満たすことから始めましょう。

また、1級建築士に関しても2級建築士と同様に法改正があり、実務経験が受験時の条件から外れました。

免許登録の際に必要となるため、試験は学歴や資格さえ満たしていれば受験可能です。

1級建築士の受験に必要な学歴・資格については以下の表をご覧ください。

▼一級建築士の受験資格

1級建築士の受験に必要な学歴・資格
大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業した者
2級建築士
建築設備士
その他国土交通大臣が特に認める者(外国大学を卒業した者など)

試験内容

2級・1級建築士ともに試験は、学科と設計製図試験の2種類で構成されているのが特徴です。

それぞれの試験内容について表付きでご紹介します。

まず1級・2級建築士の学科試験内容は、以下のとおりです。

▼二級建築士の学科試験内容と合格基準

2級建築士
科目
満点
合格基準点
建築計画 25点 13点
建築法規 25点 13点
建築構造 25点 13点
建築施工 25点 13点
総合 100点 60点

▼一級建築士の学科試験内容と合格基準

1級建築士
科目 満点 合格基準点
計画 20点 11点
環境・設備 20点 11点
法規 30点 16点
構造 30点 16点
施工 25点 13点
総合 125点 90点

2級建築士・1級建築士で出題分野は重なる部分が多くなっています。

ただし、1級建築士のほうが出題問題数が多く、出題される内容も深い部分が問われます。

そのため難易度も高く、より多くの学習量が必要です。

また、どちらも四肢択一のマークシート方式で実施されます。

科目合格制度などはないため、1年で全ての科目の合格基準に達すると学科試験は合格です。

一方で設計製図試験は、学科試験の合格者が受けられる試験です。

図面作成や建築計画における要点の記述が出題されます。

以下の表は、2級・1級建築士の過去5年間に出題された設計製図試験の課題です。

実施年度
2級建築士で出題された課題
1級建築士で出題された課題
2022年度 保育所(木造) 事務所ビル
2021年度 歯科診療所併用住宅(鉄筋コンクリート造) 集合住宅
2020年度 シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい(木造2階建て) 高齢者介護施設
2019年度 夫婦で営む建築設計事務所を併設した住宅(木造2階建て) 美術館の分館
2018年度 地域住民が交流できるカフェを併設する二世帯住宅
【鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)3階建て】
健康づくりのためのスポーツ施設

2級・1級に共通して過去に同じ問題が出題されていないことが分かります。

そのため、過去問題を解きながら製図のポイントをおさえて、どんな問題でも解答できる応用力を身につけることが大切です。

数学が苦手な方向けの建築士試験の勉強方法

数学が苦手な方の場合、建築士試験の勉強方法は主に次の3つあります。

  • 建築系の学校に進学する
  • 参考書を使って独学する
  • 建築士試験の対策講座を受講する

建築士試験は難易度が高い試験なので、モチベーションの維持が大切です。

そのため、各勉強方法の中でどれが自分のモチベーションを維持できるかといった点も確認しましょう。

それぞれの勉強方法を詳しく解説します。

▼建築系の学校に進学する

数学が苦手な方の中でも受験資格を満たしていない方は、建築系の学校に進学する方法があります。

建築系の学校に進学すると、建築系の基礎も学びつつ必要な学歴を満たせるのが特徴です。

そもそも建築士の取得を考えている方で受験資格がない場合、実務経験を積んで受験資格を取得するか学校に進学して指定科目を修めて卒業することで受験資格を得なければなりません。

受験資格のセクションでもご紹介したとおり、学歴があれば二級建築士の実務経験は必要ありませんが、学歴がない場合は7年以上の実務経験が必要です。

実際に取得を考える場合、7年の歳月を費やして受験資格を満たすよりかは進学して指定学科を修める方が知識も学びながら最短で目指せるので現実的です。

そのため、数学が苦手な方で受験資格を満たしていない方は、専門学校や職業訓練校といった建築系の学校に進学して建築士の勉強を始めましょう。

▼参考書を使って独学する

数学が苦手な方でもすでに受験資格を満たしている場合は、独学で建築士の合格を目指せます。

持ちやすさや解説のわかりやすさなど自分に適した参考書・問題集を選んで対策を始めましょう。

建築士の試験合格に必要な勉強時間は、2級建築士で500〜700時間、1級建築士で700〜1,500時間が目安とされています。

そのため、毎日最低2〜3時間を目安に長期的なスケジュールを立てて勉強することが大切です。

また、建築士の勉強では過去問の使い方が重要となりますが、過去問を使う際は以下の3つを意識してください。

  • まずは一周解いてみる
  • 繰り返し解いて時間感覚を身につける
  • 解説を読み込む

参考書で基礎をつけて過去問題まで進んだらまずは全科目を一周解いてみましょう。

とりあえず問題を解きながら傾向を少しずつ把握することが大切です。

その後は、何周か解いて時間感覚を身につけたり苦手・得意分野を把握したりしてください。

得意分野はさらに伸ばし、苦手分野は解説を徹底的に読み込んで対策すると効率よく合格する力が身につきます。

特に解説の読み込みは、問題の改変に対する応用力が身につくので、参考書と問題集を併用しながら過去問対策しましょう。

▼建築士試験の対策講座を受講する

参考書以外にも、建築士を目指す方向けの講座もあります。参考書だけで独学をするのが不安な方にはおすすめです。

たとえば、スタディングの建築士講座は、1級・2級建築士の両方に対応しており、時間や場所を選ばずオンラインで受講できます。主な特徴をあげると

  • 合格点の到達を第一目標にコンパクトな学習を実現できる
  • 徹底した過去問分析で高効率な勉強が可能
  • AIによる受講者の理解度にあわせた復習スケジュール

などがあり、数学系の対策だけでなく、総合的に実力をつけることができます。

まとめ

本記事でご紹介した建築士に数学が必要かどうかの内容について、ポイントをおさらいしましょう。

  • 意匠設計は数学が苦手でも問題なし
  • 構造設計と設備設計は数学力が必要
  • 建築士合格のためには大学1年生〜2年生の数学レベルが必要
  • 数学とあわせて物理も勉強しておくとよい
  • 数学が苦手な方は参考書を使って独学したり建築士試験の講座を受講したりするのがおすすめ

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