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一級・二級建築士の合格基準点を解説!学科・設計製図試験合格のポイント

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一級・二級建築士の学科試験合格基準点の過去5年の推移

一級・二級建築士の学科試験は、相対評価試験のため年によって合格基準点が変わります。

しかし、過去の基準点を見れば大まかな予想を立てることはできます。

そこで、一級・二級建築士の直近5年間の合格基準点を以下に紹介します。

一級建築士の合格基準点

一級建築士の学科試験は5科目に分かれています。

総得点の合格基準点があるほか、科目ごとの合格基準点も定められているので、得点数が偏っていると総得点を満たしていても、不合格になるケースが考えられます。

また、学科5科目はそれぞれ問題数、得点数などが異なります。

  • 計画:20点満点
  • 環境・設備:20 点満点
  • 法規:30点満点
  • 構造:30 点満点
  • 施工:25 点満点
  • 合計: 125 点満点

直近5年間の一級建築士の合格基準点は以下の通りです。

計画
環境・設備
法規
構造
施工
総得点
平成30年 11 11 16 16 13 91
令和元年 11 11 16 16 13 97
令和2年 11 10 16 16 13 88
令和3年 10 11 16 16 13 87
令和4年 11 11 16 16 13 91

数値を見ると、科目ごとの合格基準点は5年間でほとんど変更がないことが分かります。

一方、総得点は年によってバラつきがあるので、予想が難しいのが実態です。

特に令和元年の総得点97点の合格基準点は、他の年と比較すると突出して高い数値となっています。

基本的には全体の7~8割の点数が合格最低ラインなので、8割以上の得点を目標にすると良いでしょう。

二級建築士の合格基準点

二級建築士の学科試験は4科目に分かれています。

一級建築士と同様、総得点の合格基準点があるほか、科目ごとの合格基準点が定められてます。

合格基準点は科目別の合格基準点が各13点以上、総得点が合計60点以上を基本としますが、これはあくまで標準的な基準であり、その年度により合格点に調整が入ることがあります。

直近5年間の二級建築士の合格基準点は以下の通りです。

計画
法規
構造
施工
総得点
平成30年 13 13 13 13 60
令和元年 13 13 13 13 60
令和2年 13 13 13 13 60
令和3年 14 13 13 13 60
令和4年 13 14 14 13 60

このように総得点は60点以上で変わっていませんが、学科の合格基準点は一定ではありません。

令和3年は計画が14点、令和4年は法規、構造が14点とそれぞれ上昇しています。

一級・二級建築士の設計製図試験の合格基準

続いて一級・二級建築士の設計製図試験の合格基準について解説します。

設計製図試験における合否の判断は「採点のポイント」と「採点結果の区分(成績)」によって決まります。

いずれも年によって異なりますが、参考までに令和4年度の一級・二級建築士それぞれの基準を以下にまとめます。

一級建築士の設計製図試験の過去の課題

一級建築士の過去の設計製図試験で出題された課題内容を以下にまとめます。

年度
課題
平成25年 大学のセミナーハウス
平成26年 温浴施設のある「道の駅」
平成27年 市街地に建つデイサービス付高齢者向け集合住宅
平成28年 子ども・子育て支援センター
平成29年 小規模なリゾートホテル
平成30年 健康づくりのためのスポーツ施設
令和元年 美術館の分館
令和2年 高齢者介護施設
令和3年 集合住宅
令和4年 事務所ビル

事前に課題内容は発表されていますが、試験会場で試験問題を見て初めて詳しい内容が分かる場合も多いです。

一級建築士の設計製図試験では、課題発表後、どのような内容が出題されるのかを、自分なりの予想をして準備をする必要があります。

二級建築士の設計製図試験の過去の課題

二級建築士の過去の設計製図試験で出題された課題内容を以下にまとめます。

年度
課題
平成25年 レストラン併用住宅(木造2階建)
平成26年 介護が必要な親(車椅子使用者)と同居する専用住宅(木造2階建)
平成27年 3階に住宅のある貸店舗(乳幼児用雑貨店)

〔鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)3階建〕

平成28年 景勝地に建つ土間スペースのある週末住宅(木造2階建て)
平成29年 家族のライフステージの変化に対応できる三世代住宅〔木造2階建て〕
平成30年 「地域住民が交流できるカフェを併設する二世帯住宅

〔鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)3階建て〕

令和元年 夫婦で営む建築設計事務所を併設した住宅(木造2階建て)
令和2年 シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい(木造2階建て)
令和3年 歯科診療所併用住宅(鉄筋コンクリート造)
令和4年 保育所(木造)

一級建築士と同様、課題は事前に発表されるため、どのような問題が出題されるか考えたうえで試験対策することが大切です。

一級・二級建築士の過去の試験結果を分析

資格試験に合格するためには、過去の試験結果をよく分析することが大切です。

そこで一級・二級建築士の過去の受験者数、合格者数、合格率から試験を分析してみます。

一級建築士

一級建築士の学科試験、設計製図試験の過去の試験結果を分析します。

▼学科試験

  • 試験日:令和4年7月24日(日)
  • 実受験者数:30,007人(前年31,696人)
  • 合格者数:6,289人(前年4,832人)
  • 合格率:21.0%(前年15.2%)

令和4年試験は、30,007人の受験者に対して、合格者が6,289人という結果でした(前年度の合格者は4,832人)。

合格率は21.0%で、前年の令和3年(2021年)の15.2%から上昇しました。

▼設計製図試験

設計製図試験の過去5年間の試験結果は以下の通りです。

平成30年
令和元年
令和2年
令和3年
令和4年
実受験者数
合格率
実受験者数
合格率
実受験者数
合格率
実受験者数
合格率
実受験者数
合格率
受験者数
受験者数
受験者数
受験者数
受験者数
学科 25,878 18.3% 25132 22.8% 30,409 20.7% 31,696 15.2% 30,007 21.0%
4,742 5729 6,295 4,832 6,289
製図 9,251 41.4% 10151 35.2% 11,035 34.4% 10,499 35.9% 10,509 33.0%
3,827 3571 3,796 3,765 3,473
総合合格率 12.5% 12.0% 10.6% 9.9% 9.9%

合格率を見ると学科は15~23%、製図は33~41%、総合合格率は10~12%程度で推移していることが分かります。

年によって合格率が大きく変化する試験ではありませんが、製図試験はやや合格率の変動が大きい傾向がある点に注意が必要です。

学科と製図試験を両方合格した「総合合格率」は10〜12%程度です。

10人に1人しか合格しないレベルなので、資格試験の中でも難易度が高い試験といえるでしょう。

なお、令和2年から受験者数は前年より5,000人程増加していますが、これは受験資格改正が適用された影響によるものと考えられます。

二級建築士

二級建築士の学科試験、設計製図試験の過去の試験結果を分析します。

▼学科試験

  • 試験日:令和4年7月3日(日)
  • 実受験者数:18,893人(前年19,596人)
  • 合格者数:8,088人(前年8,219人)
  • 合格率:42.8%(前年41.9%)

令和4年試験は、18,893人 の受験者に対して、合格者が8,088人という結果でした(前年度の合格者は8,219人)。

合格率は42.8%で、昨年(令和3年)の41.9%から上昇し、過去5年の合格率のなかでは最も高い結果となっています。

▼設計製図試験

設計製図試験の過去5年間の試験結果は以下の通りです。

平成30年
令和元年
令和2年
令和3年
令和4年
実受験者数
合格率
実受験者数
合格率
実受験者数
合格率
実受験者数
合格率
実受験者数
合格率
受験者数
受験者数
受験者数
受験者数
受験者数
学科 19,557 37.7% 19,389 42.0% 18,258 41.4% 19,596 41.9% 18,893 42.8%
7,366 8,143 7,565 8,219 8,088
製図 10,920 54.9% 10,884 46.3% 11,253 53.1% 11,450 48.6% 10,797 52.5%
5,997 5,037 5,979 5,559 5,670
総合合格率 25.5% 22.2% 26.4% 23.6% 25.0%

例年の学科試験の合格率は40%前後、製図試験は50%前後、総合合格率は25%前後です。

二級建築士の合格率は一級建築士ほどではありませんが、決して高い水準とはいえません。

一級と同様、十分な試験対策をしなければ合格困難な資格といえるでしょう。

なお、令和2年の受験資格改正は二級建築士試験では影響が少なかったため、受験者数の大幅な増減は見られません。

一級建築士の学科試験の合格ポイント

一級建築士は建築士資格の試験の中でも、もっとも難易度の高い試験です。

学科と製図の2種類がありますが、特に学科試験の試験範囲が広く、合格率も低いため、学科をどのように攻略するかが合格のポイントといえます。

そこで一級建築士の学科試験の合格ポイントを科目別に解説します。

計画

計画は出題範囲が広いため、高得点を取るのが難しい科目です。

出題内容は環境工学のような原理や原則に基づいた問題ではなく、建築的な常識で判断する問題が多く、文章の読解力も必要とされます。

また、最近の傾向として「建築事例」からの出題が増えています。

「建築事例」はどうしても暗記に頼らなくてはならない問題なので、暗記が不得意な方は苦手意識を抱きがちです。

暗記が苦手な方は、過去問やテキストを読んで覚えるのではなく、インターネットで実際の建物の写真を検索し、視覚的に情報を取り込むことをおすすめします。

環境・設備

環境・設備は「環境工学」と「建築設備」の2つを学びます。

出題範囲が絞りやすいため、比較的得点源にできる科目といえます。

環境の出題内容は、光や熱、空気といった自然条件が建物に与える影響に関する問題が中心となります。

計算問題が出題される場合もあるため、過去問で出題された内容をよく押さえておきましょう。

設備は空調や給排水、電気設備など様々な分野から出題されます。

設備の法適合確認など難しい問題も出題されますが、機器の目的、特徴などを問う基本的な問題もあるため、取りこぼしがないように注意しましょう。

法規

法規は「建築基準法」と「建築関連のその他の法律」を学びます。

他の科目と違い、法令集の持ち込みが許可されています。

そのため、法令の内容すべてを暗記する必要はありませんが、試験では時間制限もあるので、法令集を素早く引いて「短時間で回答する力」が求められます。

出題傾向が明確であり、同じ問題も繰り返し出題されているため、しっかりと対策すれば高得点を狙うことが可能です。

構造

構造は「一般構造・材料」や「構造力学」を学びます。

難易度が高く、合格者と不合格の差が開きやすい科目です。

「一般構造・材料」は木造や鉄筋コンクリート造、鉄骨造などの構造方式や架構方式、地盤、基礎、材料などが出題されます。

暗記力が重要視されますが、日常的に使用されない用語が多く、取っつきにくい分野といえます。

「構造力学」からは計算問題が6〜7問程度出題されます。

問題数を考えると捨て問とするわけにはいかないので、たとえ計算が苦手な方もしっかりと対策する必要があります。

施工

施工は「施工計画・現場管理」「地業」「建築工事」「改修工事」「契約」などを学びます。

知識を問われる問題が多く、各種工法の特徴や手順、数値などを正確に覚える必要があります。

現場経験のある方であれば理解しやすい科目ですが、経験のない方や初受験の方はイメージがつきにくいでしょう。

現場経験のない方は、最初は細かい部分にこだわりすぎず、工事の大まかな流れを理解することが大切です。

最近ではインターネットで画像や図版を多く閲覧できるので、イメージのわかないものは検索して、視覚的に理解することをおすすめします。

一級建築士の設計製図試験の合格ポイント

設計製図試験は設計意図である「計画の要点」を回答する試験です。

「計画の要点」で点数を得るポイントは、図面と計画の要点が整合するように文章を記載することです。

課題が事前に公表されるため、試験日までに課題を読み込み、類似の過去問を探すなどして試験対策をすることが可能です。

6時間30分と非常に長丁場の試験になりますが、集中力を切らさず、きちんと解答していくことが大切です。

また、計画の要点は公益財団法人建築技術教育普及センターのHPで模範解答が示されていないため、対策が難しく、計画の要点をどのように攻略するかが試験合格の鍵となります。

まとめ

最後に一級・二級建築士の合格基準点、学科・設計製図試験合格のポイントについて、ポイントをおさらいしておきましょう。

  • 一級建築士の合格基準点は毎年異なるが、大幅な変動はない。
  • 二級建築士の合格基準点は60点でほぼ固定だが、平均点などにより変わる可能性もある。
  • 一級建築士の学科試験がもっとも合格率が低いため、試験合格には学科試験対策が重要。
  • 設計製図試験は6時間30分という長時間、集中力を切らさない意識が大切。

なお、建築士の試験は忙しい方でもスキマ時間を活用すれば十分合格を目指せる資格です。スキマ時間を徹底活用したい方は「スタディング 建築士講座」をぜひチェックしてみてください。