建築士は建築業界で欠かせない資格です。しかし、ときどき体力的・精神的にきつい面や、企業に就職するにしてもブラックな働き方が要求されるケースがあります。
建築士は大きな責任を負う仕事でもあり、きつい面があるのは事実ですが、業界全体がブラックというわけではありません。
最終的には就職する企業や、独立開業する場合は自身の働き方によってきつさは大きく左右されます。
また、建築士は難関資格のひとつであり、取得することによって収入アップや独立開業を目指せるメリットもあります。
そのため、一概にきついだけの仕事とはいえません。
建築士の仕事はデメリットばかりというわけではないにも関わらず、ネガティブな声が聞かれることがあります。
「建築士はやめとけ」と言われる理由は、以下の4つです。
それぞれの理由を詳しく紹介します。
建築業界は各案件に納期が設定されており、納期に追われると残業が増える点が、建築士はやめとけと言われる理由のひとつです。
すべての企業が当てはまるわけではありませんが、残業が多くなりがちで、場合によっては激務を要求されるケースもあるでしょう。
建築物を設計するには、長い時間がかかります。単に住宅や建物を設計するだけでなく、顧客とのやりとりや書類申請など、さまざまな業務をこなさなければいけません。
結果として労働時間が長くなり、一般的に激務と呼ばれる状況に陥りやすくなります。
なかには建築士の給料・収入の面に不満を抱いている方もいるようです。
建築設計業務は労働時間が長くなるケースがあるにも関わらず、仕事量の割には給料が少ないと不満が上がる企業もあります。
もちろん、給料は企業や仕事内容、立場などによって異なります。そのため、一概に建築士は労働時間のわりに給料が低いと断言できません。
実際のところ、一級建築士の平均年収は、国内の平均給与を大きく上回っています。しかし、なかには給料が低いケースがあるようです。
建築士に限った話ではなく、どの業界にもいえることですが、人間関係に悩むケースもあります。
建物を建設するには、さまざまな人の力が必要です。
建築士は社内の人だけでなく、現場に関わるさまざまな立場のスタッフと関わるため、それだけ人間関係は広く、悩みも増えるのでしょう。
建築に関する技術や法令、制度などは常に変化し続けています。
建物の設計を行う以上、常に最新の知識を身につけ、スキルをアップデートしなければいけません。
そのため、日々建築に関して情報収集して、スキルや知識を磨く努力を重ねなければならない仕事です。
仕事そのものも楽ではない上に、仕事外でも勉強し続けなければならない点も「建築士=きつい」というイメージにつながっています。
仕事をしながら勉強をすることに、苦手意識がある方は厳しく感じられるかもしれません。
建築士の仕事はきついイメージを持たれることがあり、実際に大変な面もあります。
その一方で、建築士は難関資格のひとつであり、「勝ち組」と呼ばれることもあります。
建築士資格を取得するメリットは、以下3つが挙げられます。
それぞれのメリットについて詳しくご紹介します。
建築士資格があると、専門的な知識やスキルがある証明になるため、社会的な信用が高くなる点がメリットです。
社内ではもちろんのこと、顧客からの信頼も得やすくなります。
建築士のなかでも特に一級建築士は難関資格であり、顧客からすると安心材料のひとつです。
「一級建築士による設計」とブランディングして注文住宅の建築に関わったり、一級建築士にしかできない大きなプロジェクトに参加したりできるでしょう。
同じ経験、スキルの人材であっても資格の有無による信用の差はとても大きく、仕事において有利に働く可能性があります。
企業によって差はありますが、昇給や昇格に繋がる可能性が高い点もメリットです。
特にハウスメーカーなど建築関係の企業において建築士資格は高く評価されるため、資格手当を受けられたり、昇格・昇進などのきっかけになったりする可能性があります。
建築士資格があれば、ハウスメーカーなどに就職する以外に、独立開業の道もあります。
建築事務所、設計事務所などを立ち上げれば、働き方次第でサラリーマン時代よりも多くの収入を得られるでしょう。
建築士資格があると、就職や転職において有利になります。
ハウスメーカーなどの建築系の企業において、建築士資格は特にアピール材料になります。
これから就職や転職を検討している方にとっても、建築士は魅力的な資格です。
他業種では建築士の資格を直接的に生かすチャンスは少ないかもしれません。
しかし、一級建築士は難関資格として知られており、資格取得のためにそれだけ努力してきた証にもなるため、無資格の方と比較すると高く評価される可能性があります。
いずれにしても資格取得がマイナスになることはありません。
資格の取得や働き方・仕事内容を考えるうえで、気になるポイントのひとつは将来性です。
現在、建築士は需要の高い仕事ですが、将来が気になる方も多いでしょう。
次は建築士の将来性や収入などについて詳しく紹介します。
近年、AIの進化や普及が急速に進んでいます。そのため、さまざまな仕事が将来的にはAIに奪われてしまうとささやかれています。
結論から言うと、今後AIがさらに進化し、普及したからといって建築士の仕事が全て奪われることはないでしょう。
もちろん、図面作成や基本設計、計算や敷地の調査などに関してはAIに代替される可能性は十分にあります。
その一方で、顧客とコミュニケーションをとりながら理想的な建物を設計するといった業務は、AIには難しいものです。
住宅や建物は、人の希望を叶えるために設計されます。
顧客の目線に立った業務はAIには難しいことから、建築士の仕事が全て奪われることはありません。
むしろ、AIを業務に活用することで仕事をより効率化できる可能性を秘めています。
【合わせて読みたい】AIによって建築士の仕事はどう変化していく?
建築士の資格には一級と二級があります。
まず、一級建築士の平均年収は約700万円です。
令和元年分民間給与実態統計調によると、日本全体の平均年収が約430万円であることを考えると、高い収入を得られる資格と考えていいでしょう。
収入は就職する企業によって異なりますが、一級建築士の場合、従業員数1,000人以上の企業に限定すると平均年収は約900万円にもなります。
一級建築士としてより多くの収入を得たい方は、できるだけ企業規模の大きいゼネコンやハウスメーカーなどがおすすめです。
一方、二級建築士の年収は国などが発行した明確なデータはありませんが、求人サイトの募集などから推測すると300〜700万円前後と考えられます。
一級建築士と比較するとやや低くなりますが、高収入を得られるチャンスは十分にあります。
【合わせて読みたい】建築士の平均年収を経験・男女別に紹介!年収アップが狙える方法4選
どんな仕事にも適性があります。
建築士は決して楽な仕事ではありませんが、将来性や収入などの面を見ても魅力的な仕事です。
次は、建築士の仕事はどんな人におすすめなのかを4つのポイントにわけて紹介します。
建築士は、建物に深く関わる仕事です。
建物の設計から完成にいたるまで携わるため、建築が好きな方に特に向いています。
仕事としての建築が好きなことはもちろん、建物や住宅などに興味がある人にぴったりな仕事です。
建築に関わる仕事にもさまざまありますが、建築士はその中心的な業務を行うケースが多くなります。
また、常に新しい技術などを学ぶために常に勉強し続ける必要があるため、建築が好きであることは大きなアドバンテージになるでしょう。
建築士はクリエイティブな面を持つ仕事でもあるため、想像力があることも重要なポイントです。
顧客の希望を単に聞くだけでなく、理想的な形にするためには想像力の豊かさが欠かせません。
自分で想像して何かを作ることが好きな方も、建築士に向いています。
建築士はさまざまな人と関わる仕事です。
組織内の人だけでなく、顧客や建物を建設するために必要なさまざまな業者、職人とも関わり、コミュニケーションを取りながら仕事を進めていきます。
そのため、人と関わるのが好きな方も建築士に最適です。
一方で、人間関係を築くのが苦手な方やコミュニケーションを取るのが苦手な方は、建築士の仕事を苦痛に感じてしまうかもしれません。
建築士は、現場で正しく設計が進んでいるかをチェックする立場です。
建築主の代理として、安全で問題のない建物が作られているのかを責任を持って確認しなければなりません。そのため、強い責任感が求められる仕事です。
しっかりと自分の仕事に責任感を持ってこなせる人は、建築士に向いているといえます。
建築士の仕事はきついイメージを持たれることがあり、まれに「やめとけ」などネガティブな声も聞かれます。
しかし、建築士の仕事はデメリットだけでなく、社会的信用が得られたり、収入アップが期待できたりして良い面もたくさんあります。
建築士の仕事は実際にきつい一面があるものの、多くの魅力がある職業です。
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