建築士は学生のうちに勉強を始めるべき?在学中スタートのメリットと進め方

建築士試験は、数ある資格試験のなかでも難易度が高い試験として知られています。

特に、1級建築士試験ともなると合格率10%を少し超える程度です。建築士試験合格のためには、早期に勉強を開始する必要があります。

そこで今回は、学生のうちに試験勉強にチャレンジするメリットをご紹介します。

建築士試験は学生で受験できるケースが少ない

建築士試験には、1級建築士、2級建築士ともに受験資格が設けられています。

1級建築士の受験資格

建築に関する学歴又は資格等

  • 大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業した者
  • 2級建築士
  • 建築設備士
  • その他国土交通大臣が特に認める者(外国大学を卒業した者等)

2級建築士の受験資格

建築に関する学歴又は資格等

  • 大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、指定科目を修めて卒業した者
  • 建築設備士
  • その他都道府県知事が特に認める者(外国大学を卒業した者等)
  • 建築実務の経験を7年以上有する者

上記を確認すると、ほとんどの場面で学歴要件があることがわかります。受験資格の緩和により学生受験ができるケースは増えましたが、それほど多くないでしょう。

学生のうちに建築士試験の勉強を開始するメリット

学生では受験できなくとも、卒業後すみやかに試験を受けるには、学生のうちから試験勉強を開始するべきです。以下では、学生のうちに試験勉強を開始するメリットをご紹介します。

卒業後すぐに建築士試験に挑戦できる

現行の試験制度は令和2年に改正され、受験資格が緩和されました。

改正点はいくつかありますが、最大の変化が「実務経験なしで受験可能になるケース」が生まれたことです。

例えば、「大学で指定科目を修めて卒業した者」は、実務経験なしで1級建築士試験を受けられるようになりました。

実務経験は免許登録要件へと変更になり、試験合格後に実務経験を積む形も認められます。

そのため、大学在学中から試験勉強を開始することで、大学卒業後すみやかに1級建築士試験にチャレンジできます。

【参考】国土交通省「建築士法の一部を改正する法律(平成30年法律第93号)等について」

学科試験免除制度

建築士試験は、一度学科試験に合格すると、以降4回のうち2回(学科試験に合格した年の設計製図試験を欠席した場合は3回)は学科試験を免除して設計製図試験に挑戦できます。

設計製図試験は学科試験と比べても合格率が高く、大学卒業後に働きながらでも合格が十分可能です。

時間のある在学中に学科試験の勉強に集中して取り組み、卒業後会社で働きながら設計製図試験に挑戦するのもよいでしょう。

早期に勉強を開始するほど有利

上記のとおり、学生のうちに試験にチャレンジすることは難しいですが、建築士を志すなら学生のころから勉強を開始するのがおすすめです。

建築士試験、特に1級建築士は、資格試験のなかでも難易度の高い試験です。最近5年の試験結果を見ても、合格率は10%~12%程度で推移しています。

難易度が高いということは、合格するのに時間がかかるということです。実際、建築士試験は数年かけて合格するものといわれることも珍しくありません。学生時代から試験勉強に取り組むことで、早期合格につながるでしょう。

建築士試験の「指定科目」とは?大学のカリキュラム例で確認する方法

建築士試験の受験資格でいう「指定科目」とは、国土交通大臣が定める建築設計製図・建築計画・建築環境工学・建築設備・構造力学・建築一般構造・建築材料・建築生産・建築法規の9科目群を指します。

1級建築士の場合、これら9科目群を合計30単位以上修得して卒業することが受験資格の要件です(免許登録要件としてはその他科目と合わせて合計60単位が必要です)。

自分の大学のカリキュラムがこれに該当するかは、シラバスを確認するか、教務課に相談することで判定できます。

学生のうちにできる建築士の実務経験の積み方

設計事務所や建設会社でのアルバイト・インターンは、実務感覚を養う貴重な機会になります。

ただし、免許登録要件としてカウントされる実務経験には対象範囲の定めがあります。

学生時代の実務経験がどこまで正式にカウントされるかは、建築技術教育普及センター(https://www.jaeic.or.jp/)または日本建築士会連合会(https://www.kenchikushikai.or.jp/)の最新の案内で確認することをおすすめします。

就職活動の際に建築士を目指せる実務内容の職場を選ぶ視点を持っておくと、卒業後のキャリア形成がスムーズになります。

学科試験免除を使った具体的な学習スケジュール例

大学3年〜4年で学科試験に挑戦するケース

指定科目の履修が一定進んだ大学3年後期〜4年次に学科試験に挑戦し、合格すれば卒業と同時に実務経験なしで受験資格を得て設計製図試験に臨める、というモデルスケジュールが考えられます。

学科合格から4回(欠席時は3回)は学科免除が続くため、在学中の合格を焦る必要はありません。

大学院生が製図試験対策に充てられる時間

学部卒業後に大学院へ進学した場合は、研究活動と両立しながら製図試験対策を進めることになります。研究スケジュールが比較的落ち着く時期に、まとまった製図の演習時間を確保できるよう、早めに年間計画を立てておくとよいでしょう。

学生ならではの弱みと対策

学生は勉強時間を確保しやすい一方、実務経験がないため、製図試験で求められる法規の実務運用や施工上の現実的な制約への理解が浅くなりがちです。

この弱みを補うために、現場見学や実務経験者向けの講座を活用したり、既に実務に携わっている先輩合格者に相談したりすることが有効な対策になります。

【Q&A】建築士試験のよくある質問

大学院生でも学科免除は使えますか?

学部在学中に学科試験に合格していれば、大学院進学後も学科免除の権利は継続します。

指定科目を取り忘れていた場合はどうなりますか?

卒業時点で指定科目の単位数が不足していると学歴要件での受験資格を満たせません。早い学年のうちに教務課で必要単位を確認し、不足があれば履修計画を見直すことをおすすめします。