建築設計では建ぺい率・容積率の計算や構造計算が必要ですが、必ずしも高度な理系の能力が求められるわけではありません。
建ぺい率は、敷地面積のなかでの建築面積の割合です。建物を真上から見た水平投影面積が、敷地に対して占める範囲を指します。容積率は、敷地面積のうち延床面積が占める割合です。いずれも、全国各地で制定された都市計画にもとづいて限度が決められています。規定の数値をオーバーするとルール違反になるので設計時の計算は避けられませんが、どちらも計算自体は難しいものでなく四則演算のレベルです。
構造計算は建物の安全性を確保するのが目的であり、とても重要です。建物の構造部材が重力、地震、風圧といった各種の力を受けても安全を保てるかを計算します。実際に問われるのは、荷重計算、応力計算、変形計算、断面算定の数値です。簡単な計算とはいえませんが、現在の設計業務は分業制になっており構造設計を専門とした方が作業を担当してくれます。自分では試算方法が分からなくても、大丈夫です。
簡単な計算能力はあったほうが安心ですが、最近は各種計算を処理できるCADソフトも登場しています。計算に自信がもてなくても心配は無用でしょう。
建築設計の仕事は、計算ばかりではありません。業務内容によっては、文系ならではの文章力やコミュニケーション力が生かせます。
文章力が求められるのは、コンペなどで設計デザインを企画・提案するときです。コンペで依頼を獲得するためには、自分たちで考えたデザインがどれほど優れているか利点をしっかりプレゼンする必要があります。自分たちの設計案を説明する際、うまく文章を書けないと十分に魅力を伝えられません。反対に文章力に秀でていると、プレゼンや会議用の資料を作成する場面で活躍できます。
建築設計を依頼されたときには、最初に施主からきちんと要望を聞いておくことが大切です。希望内容を正しく把握しないと、設計図に反映できません。会話を進めるなかで、施主の要望を上手に聞き出すコミュニケーション力が重要になってきます。人とのコミュニケーションが得意な文系出身者であれば、施主が思い描く理想をうまく言語化して提案することも難しくないでしょう。
建築士を目指すには、文系・理系を問わず一定の学歴が必要です。文系の場合、資格取得までに要する時間を考えると受験資格を得られる学校に通うのがよいと考えられています。
どんな学校に通うかは、自分のスタイルに合わせて選ぶとよいでしょう。建築業界で有名な4年制大学に入れば、大手企業への就職に有利かもしれません。少しでもはやく資格試験を受けたいと考えるなら、最短2年で卒業できる短期大学があります。昼間に働いている場合でも、夜間学校や通信の専門学校等も選べます。
学校を卒業した後は、いよいよ資格取得へチャレンジです。独学や資格取得のためのスクールに通うなど、こちらも選択肢はたくさんありますが、スタディングの通信講座は仕事が忙しくても学びやすく、通学する手間もありません。
建築士を目指すための学習手段は、いくつも用意されています。それぞれの特徴をきちんと調べれば、自分に適した方法を見つけられるでしょう。
文系出身者が建築士を目指すのは、決して難しくありません。専門的な計算は必須ではなく、文系の得意とする能力が求められるシーンも数多く見られます。学校や通信講座を利用すれば専門知識を学べるうえ、長い時間をかけず受験資格を取得できます。自分に合ったスタイルを見つけ、受験勉強に役立ててください。
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