【目次】
・2級建築士試験の主なスケジュール
・2級建築士試験の概要
・2級建築士の試験内容
・2級建築士試験の合格基準
・2級建築士試験の難易度は?
・2級建築士合格への第一歩は試験を理解すること
2024年3月1日に2024年度の2級建築士試験の日程等の発表がありました。
ここでは、受験申込から合格発表までの主なスケジュールをご案内いたします。
1.試験日程の発表
2024年(令和6年)3月1日(金)
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2.受験申込受付
インターネット受付のみ
2024年(令和6年)
4月1日(月)10時00分
~ 4月15日(月)16時00分
※初めて受験する方は、受験資格を証明する書類を簡易書留で送付し、受験資格の判定(4月下旬~6月中旬)を受ける必要があります。
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3.設計製図の課題発表
2024年(令和6年)6月12日(水)※予定
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4.受験票の発行
2024年 (令和6年) 6月21日(金)頃
受験票のダウンロードが可能
(重要)各自必ず印刷したうえで試験会場に持参
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5.学科 試験日
2024年(令和6年)7月7日(日)
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6.学科試験 合格発表、設計製図試験の受験票発行
2024年 (令和6年)8月26日(月)※予定
同日に、「学科の試験の合格者」及び「設計製図のみの受験者」のみ
受験票のダウンロードが可能
(重要)各自必ず印刷したうえで試験会場に持参
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7.製図 試験日
2024年(令和6年)9月15日(日)
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8. 合格発表
2024年 (令和6年)12月5日(木)※予定
2級建築士試験の概要は表のとおりです。
試験日程の発表日 | 2024年(令和6年)3月1日(金) |
試験会場 | 受験票に明記されている試験場 |
受験料 | 18,500円(+事務手数料) |
試験実施機関 | 公益財団法人 建築技術教育普及センター |
2級建築士のスケジュールや時間割について詳しくご紹介します。試験に関する情報をなるべく早く収集し、余裕を持って本番を迎えましょう。
2級建築士の受験申込受付について、詳細は以下のとおりです。
受付期間 | 4月1日(月)午前 10 時~4月15日(月)午後4時 |
学科試験受験票発行日 | 6月21日(金) |
4月1日(月)から2級建築士試験の受験申込受付が開始されます。
学科試験からの受験だけでなく、設計製図試験からの受験の方も、同じ時期に受験申込が必要となりますので、忘れないようにしましょう。
原則として「インターネット受付」のみとなります。新規受験を含めたすべての方が対象となります。インターネット申込の際は、顔写真の電子ファイルが必要になります。カメラ機能の付いたスマートフォンやパソコンから申込を行う場合、「顔写真撮影ツール」を使用し撮影した写真をアップロードすることが可能です。カメラ機能の付いたスマートフォンやパソコンがない場合は、あらかじめ準備した顔写真の電子ファイルの準備が必要となります。
新規受験の方は、受験資格の判定を受ける必要があります。入力事項の送信完了後、受験者専用のページから必要書類を印刷し、受験資格に応じたそれを証明する書類と合わせて、試験元である(公財)建築技術教育普及センターに簡易書留で送付しなければいけません。インターネットのみで申し込みが完結するわけではありませんのでご注意ください。
ただし、新規受験の場合でも受験資格が「建築設備士」の場合は、過去の受験票、合格通知書又は資格を証明する書類の電子ファ イルを受付システムにアップロードすることで申込を進められます。
また、「平成15年以前に2級建築士試験又は木造建築士試験の受験申込をして、平成15年以降受験申込していない方」と「平成16年以降に2級建築士試験又は木造建築士試験を受験した方のうち、個人情報の使用について承諾していない方」についても郵送での手続きが必要です。
このどちらかに当てはまり、「過去の受験票又は合格通知書をお持ちの方」はその写しを郵送する必要があります。どちらかに当てはまり、「受験票も合否の通知書もお持ちでない方」については、新規申込者と同様に受験資格を証明する書類の準備が必要です。
いずれの場合も書類の提出期限は2024年(令和6年)4月19日(金)(必着) です。必ず期限までに到着するよう余裕を持った準備をしておくようにしましょう。学歴が受験資格の場合「指定科目修得単位証明書」や「卒業証明書」を学校に請求する必要がある方もいらっしゃると思います。届くまでの時間を十分に考慮する必要があります。また、実務経験を受験資格とされる場合は、「実務経歴書」や「実務経歴証明書」が必要となります。特に「実務経歴証明書」については、第三者(実務経験を積んだ会社の代表者等)に記入をしてもらう必要があります。早めの準備を心掛けてください。
なお、建築士法の改正により試験制度が変わり、令和2年度の試験から、以前まで「学歴+実務経験」で受験する必要があった方でも、「学歴」のみで受験することができるケースが増えました。受験資格について詳しく知りたい方は下記をご確認下さい。
【合わせて読みたい】1級・2級建築士になるには?目指せる大学の選び方や最短ルートを紹介
受験票は例年、受験資格がある方に対し、発送されていましたが、令和3年度からインターネット上からダウンロードする形式に変更されました。原則、郵送は行われません。
インターネット受付で、受験申込手続き完了後から利用できる受験者専用のページよりダウンロードできますので、必ず印刷して試験会場に持参するようにしてください。
なお、スマートフォンの画面上に表示させた受験票では試験は受けられませんので、ご注意ください。
また、令和5年までは、「学科の試験から」の受験票は、「学科の試験」と「設計製図の試験」が一体となっておりましたが、令和6年からは、受験票は「学科の試験」専用、「設計製図の試験」専用のものの発行に変更となりました。
2024年度における2級建築士の学科試験日と合格発表日は、次のとおりです。
学科試験日 | 2024年7月7日(日) | |
合格発表日 | 2024年8月26日(月) | |
時間割 | 9時30分~10時10分(40分) | 注意事項の説明、法令集チェック |
10時10分~13時10分(180分) | 建築計画(学科Ⅰ)および建築法規(学科Ⅱ) | |
13時10分~14時10分(60分) | 休憩 | |
14時10分~14時20分(10分) | 注意事項の説明 | |
14時20分~17時20分(180分) | 建築構造(学科Ⅲ)および建築施工(学科Ⅳ) |
2級建築士の学科試験は夏頃に実施され、合格発表日は試験日から約1カ月後です。
また、試験は4科目が午前・午後にわけて実施されます。学科1と学科2を欠席した場合、学科3・4の受験が認められないのでご注意ください。
【合わせて読みたい】令和5年(2023年)2級建築士試験「学科の試験」合格発表
令和6年度は、学科試験の合格発表日と同日に、設計製図試験専用の受験票を発行することができます。
2級建築士の設計製図試験は、学科試験に合格した方が受験できる試験です。例年、下記のスケジュールで実施されます。
設計製図試験日 | 2024年9月15日(日) | |
合格発表日 | 2024年12月5日(木) | |
時間割 | 10時45分~11時00分(15分) | 注意事項の説明 |
11時00分~16時00分(300分) | 設計製図 |
設計製図試験は、学科試験から約2カ月後に実施されます。学科試験の合格発表後から2週間程度しか期間がないため、早い段階で設計製図試験の対策を始めましょう。
また設計製図試験は、11時から5時間かけて実施されます。休憩時間などは取れないため、事前に食事を済ませて会場に向かってください。
体調を崩したり、試験開始時刻に遅れたりしないよう余裕を持って行動することが大切です。
【合わせて読みたい】令和5年(2023年)2級建築士試験「設計製図の試験」合格発表
2級建築士の試験内容は、学科試験と設計製図試験で異なります。ここでは、それぞれの試験内容について詳しく解説します。
学科試験の試験内容は、以下のとおりです。
試験科目 | 科目の特徴 |
学科Ⅰ(計画) | 計画各論・建築史・環境工学・建築設備などから出題される。 |
学科Ⅱ(法規) | 建築基準法・建築士法などが出題される。 |
学科Ⅲ(構造) | 一般構造・構造力学・材料などが問われる。 |
学科Ⅳ(施工) | 施工計画・現場管理・地業・建築工事・改修工事などの知識が問われる。 |
建築計画で出題されるのは、下記の内容です。
建築法規では、建築基準法や建築士法、都市計画法、消防法など広い範囲から問題が出題されます。建築関連法令集を試験に持ち込んで解答することができますので、法文の暗記ではなく、法令集内から試験問題に該当する部分を探し出す力が求められます。
建築構造の出題内容は、「一般構造・材料」や「構造力学」です。「一般構造・材料」は木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造などの構造方式や架構方式や、地盤、基礎、材料などについて文章の正誤を問う問題が中心に出題されます。一方、「構造力学」は構造物をモデル化して、生じる力や変形などを「計算式」から求める問題が出題されます。
建築施工は「施工計画・現場管理」「地業」「建築工事」「改修工事」などの知識を問う出題で、文章の正誤を問う問題が中心です。建築工事を始める前の契約や現場での決まりに関する事項から、建物を建てるための各種工法の特徴や手順、数値などを覚える必要があります。
過去問題を繰り返し解いて実際の出題傾向に慣れつつ、得意分野はさらに伸ばし、苦手分野は克服できるように勉強しましょう。
設計製図試験は、あらかじめ公表される課題の建築物について、試験当日により詳しい要求が書かれた試験問題が配られ、時間内に求められた図面などを作成する試験です。過去5年間の課題は、こちらの表をご覧ください。
実施年度 | 出題された課題 | 構造・階数 |
2023年度 | 専用住宅 | 木造 |
2022年度 | 保育所 | 木造 |
2021年度 | 歯科診療所併用住宅 | 鉄筋コンクリート造 |
2020年度 | シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい | 木造2階建て |
2019年度 | 夫婦で営む建築設計事務所を併設した住宅 | 木造2階建て |
2018年度 | 地域住民が交流できるカフェを併設する二世帯住宅 | 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)3階建て |
また、過去に同じ問題は出題されていません。ただ過去問を覚えるのではなく、過去問を通して、設計の考え方や優先すべきポイント、作図表現などを学び、同時に作図トレーニングで作図時間の効率化を図っていくことが大切です。
【合わせて読みたい】2023年(令和5年)2級建築士 設計製図課題「専用住宅(木造)」
2級建築士試験の合格基準は、学科試験と設計製図試験で異なります。ここでは、それぞれの合格基準について詳しく解説します。
2級建築士学科試験の合格基準は、実施される年によって異なります。過去5年間の合格基準は、こちらのとおりです。
実施年度 | 建築計画 | 建築法規 | 建築構造 | 建築施工 | 総合点 |
2023年度 | 13 | 13 | 13 | 13 | 60 |
2022年度 | 13 | 14 | 14 | 13 | 60 |
2021年度 | 14 | 13 | 13 | 13 | 60 |
2020年度 | 13 | 13 | 13 | 13 | 60 |
2019年度 | 13 | 13 | 13 | 13 | 60 |
2018年度 | 13 | 13 | 13 | 13 | 60 |
※各科目の満点は25点、総合の満点は100点
例年、学科試験の総合点は60点です。ただし、2015年にの総合点が59点だったように、ごくまれに変動があることを頭に入れておきましょう。各科目単位で見ると、年度によっては補正が入るのが特徴です。
ただし、各科目の合格基準と同じでは総合の基準である60点に届きません。得意な科目などで点数を稼ぐことが大切です。
学科試験を勉強する際は、各科目15点以上を目指すと全体で60点以上を超えやすくなります。得意な分野はさらに伸ばし、苦手科目を徹底して克服して合格を目指しましょう。
【合わせて読みたい】建築士試験の難易度や特徴は?合格率や属性データで読み解く!
2級建築士の設計製図試験の合格基準は、次の4段階で区分されているランクの中から「ランク1」の評価を受けることです。
ランクⅠ | 「知識および技能」を有している |
ランクⅡ | 「知識および技能」が足りていない |
ランクⅢ | 「知識および技能」が著しく足りていない |
ランクⅣ | 設計条件・要求図書に対する重大な不適合に該当 |
参照:公益財団法人 建築技術教育普及センター「合否判定等について」
ランクの中にある「知識および技能」は、2級建築士として必要な「建築物の設計に必要な基本的かつ統括的な知識・技能」のことを指します。
2級建築士の試験概要も大切ですが、とくに気になるのが難易度ではないでしょうか。ここでは、過去5年間の実施データを参考に、2級建築士の難易度をご紹介します。
実施年度 | 区分 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率 |
2023年度 | 学科 | 17,805 | 6,227 | 35.0% |
設計製図 | 9,988 | 4,985 | 49.9% | |
総合 | 22,328 | 4,985 | 22.3% | |
2022年度 | 学科 | 18,893 | 8,088 | 42.8% |
設計製図 | 10,797 | 5,670 | 52.5% | |
総合 | 22,694 | 5,670 | 25.0% | |
2021年度 | 学科 | 19,596 | 8,219 | 41.9% |
設計製図 | 11,450 | 5,559 | 48.6% | |
総合 | 23,513 | 5,559 | 23.6% | |
2020年度 | 学科 | 18,258 | 7,565 | 41.4% |
設計製図 | 11,253 | 5,979 | 53.1% | |
総合 | 22,628 | 5,979 | 26.4% | |
2019年度 | 学科 | 19,389 | 8,143 | 42.0% |
設計製図 | 10,884 | 5,037 | 46.3% | |
総合 | 22,715 | 5,037 | 22.2% | |
2018年度 | 学科 | 19,557 | 7,366 | 37.7% |
設計製図 | 10,920 | 5,997 | 54.9% | |
総合 | 23,533 | 5,997 | 25.5% | |
2017年度 | 学科 | 19,649 | 7,197 | 36.6% |
設計製図 | 10,837 | 5,763 | 53.2% | |
総合 | 23,735 | 5,763 | 24.3% |
過去7年間の実施データを見ると、2級建築士の合格率は総合的に22〜27%で推移しています。決して簡単な試験とは言えませんが、合格が極めて難しいといった試験でもない難易度です。
上位資格である1級建築士の合格率が9〜12%とされているため、2級建築士はこれから建築士を目指す方にとっておすすめの資格と言えるでしょう。
試験合格への第一歩として、まずは試験がどのようなスケジュールで行われるか把握しておきましょう。今回ご紹介した2級建築士の試験概要について、ポイントをまとめました。
2級建築士は、合格率が25%前後の資格なので、計画的に対策すれば十分に合格を狙える資格です。日々のスキマ時間を活かして効率的に勉強したい方は、「スタディング建築士講座」をぜひチェックしてみてください。