1級建築士 設計製図試験の過去問って?


製図試験について

1級建築士試験は、「学科試験」と「設計製図試験」のふたつに分かれており、学科試験に合格した方だけが製図試験を受けられます。合格率は、学科試験が15%~20%で推移しているのに対して、製図試験は35%前後です。

製図試験は、10月中旬に試験が行われるのに対し、どのような建物について出題がされるのか、7月下旬に課題発表が行われます。受験者はその建物用途についてあらかじめ学習を行い、試験に臨む必要があります。

製図試験では、課題内容が事前に分かっているからこそ、事前準備が非常に大切な試験と言えます。


1級建築士「製図試験」過去の課題

過去の設計製図試験で出題された課題内容を見てみましょう。
以下のような内容が出題されています。

年度課題地下1階
平面図
1階
平面図
2階
平面図
3階
(基準階)
平面図
梁伏図断面図
令和3年集合住宅
令和2年高齢者介護施設
令和元年美術館の分館
平成30年健康づくりのためのスポーツ施設
平成29年小規模なリゾートホテル
平成28年子ども・子育て支援センター
平成27年市街地に建つデイサービス付高齢者向け集合住宅
平成26年温浴施設のある「道の駅」
平成25年大学のセミナーハウス



1級建築士「製図試験」過去の出題内容

課題名だけではどのような内容が出題されたのか、わからないという方もいらっしゃると思いますので、近年の試験問題の大まかな内容を以下にまとめてみました。

▶令和2年 『高齢者介護施設

課題名とともに、「居宅サービスを行う施設及び居住施設で構成する建築物の計画とする。」と事前に発表されていたとおり、「ユニットケア」を行う居住部門と「通い」と短期間の宿泊等のサービスを行う居宅サービス部門、そして、地域交流のための共用スペースなどが合わせて要求されました。

「ユニットケア」とは10人前後を一つのまとまりとし、他の入居者や介護スタッフと共同生活をしながら、入居者の個性や生活リズムに応じて暮らしていけるようにサポートしていく介護手法です。入居者用の「個室」と、居住者やスタッフが交流することのできる居間の機能を持った「共同生活室」を有しているのが特徴です。

令和2年の試験では、9人(9室)単位で生活できるユニットが3ユニット求められました。それぞれ9人単位での共同生活が行えるよう、3つのユニットの配置やゾーニングを適切に行う必要がありました。

また、福祉車両等が利用する「車寄せ」や「廊下の有効幅員1.8m以上を確保する」という条件は高齢者介護施設らしい条件といえるのではないでしょうか。

その他にも、時世を反映した要素として「インフルエンザやノロウイルスへの対策を考慮して計画する」という留意事項が記載され、計画の要点でも感染症対策として考慮した内容を記述させる問題が出題されました。


▶令和元年 『美術館の分館』(10月試験)

※台風の影響で12月にも試験が行われましたが、10月の試験について記載します。

課題名とともに、「既存の美術館(本館)の隣地に、美術、工芸等の教育・普及活動として、市民の創作活動の支援や展示等を行うための「分館」を計画する。」と事前発表されていたとおり、既存の美術館(本館)とともに市民の文化・芸術・創造の拠点となる計画が求められました。

東側に既存美術館(本館)、南側と西側には大きな公園のある敷地条件で、本館や公園との行き来が自由にできることになっており、人の流れや使い勝手を考えて計画する必要がありました。

展示室、アトリエ、カフェ、ショップ等の部屋の要求に追加して、「展示室には前室を設ける」といった条件や、「ショップをカフェに併設させる」といったつながり条件もあり、条件を丁寧に整理しなければ「つい、忘れてしまいそう」な内容が多く出題されたのも特徴です。

また、「屋上庭園」に様々な条件が求められたのですが、これが多くの受験生を悩ませました。

屋上庭園には植物を植えるために「土」の部分を設け、その土の部分と通路の部分が同レベル(平坦)でなければならないという条件です。この条件により、断面の構造計画が難しくなります。その上、計画の要点で、屋上庭園の断面の構造計画をイメージ図付きで記述することまで求められました。


以上の内容は試験会場で試験問題を見て初めて分かる内容がほとんどです。
つまり、設計製図試験では、課題発表から、どのような内容が出題されるのかを想定して準備をする必要があるということがお分かりいただけたのではないでしょうか?

このように聞くと非常に難しい試験のように感じられるかもしれませんが、どのような試験問題が出題されるかは、受験生の誰にも分かりませんし、満点を取らなければ合格できない試験ではありません。

完璧な設計ではなく、与えられた条件を満たせる設計を目指して、課題発表から出題された用途についてしっかりと学習を進めていきましょう。


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