AIによって建築士の仕事はどう変化していく?

AIは、さまざまな分野で進歩しています。建築士の仕事も、いずれAIが大きな役割を果たすと考えられています。建築士を目指していれば、実際にどんな変化が起きるか気になるところでしょう。そこで今回は、AIと人間の得意分野をふまえながら、両者がどんな役割分担をするようになるかについて考えてみます。



施主からの依頼確認はAIで

建築士が建物の設計図を作成する際には、まず施主から依頼内容を確認する必要があります。

情報収集は、AIの得意分野です。人間では覚えきれないほど大量のデータを正確に記録できます。一度保存すればデータが破損しない限りAIの記憶が曖昧になる心配はないので、施主は遠慮なく要望を伝えられるでしょう。

ただし、言葉の微妙なニュアンスを理解するのは得意ではありません。話の流れから施主の心情を読み取り、はっきり表現されなかった思いまで確認していく作業は人間でなければ難しいと考えられます。

依頼確認では、AIができるだけ多くの要望を聞き出した後、施主がうまく言葉にできなかった部分を建築士がくみ取っていくスタイルになるかもしれません。


敷地や周辺環境の調査も

設計図を作成するには、敷地の広さや周辺環境に関する情報が不可欠です。あらかじめ各種情報を整理するとともに、現場の確認も怠れません。

敷地の情報には、土地の面積や地盤状況が含まれます。これらに関して役所の資料などを調べるとともに、どんな建物なら法的に問題ないかまで把握しなければいけません。各項目のデータ整理は、AIに任せたほうがミスを避けられ確実といえます。

とはいえ資料に目を通すだけでは、なかなか具体的なイメージがわきません。敷地の広がりや周辺環境は、現地に足を運んで直接確認したほうが実感できます。どんな建物が土地の雰囲気に合うか考えながら設計するには、建築士による現地調査が重要になるでしょう。


要望や法的条件に沿った設計図作成

設計図作成では、施主からの要望を反映させるとともに法的規定も満たすことが大切です。

AIは、膨大なデータを速やかに処理できます。いろいろな設計デザインを組み合わせ、あらゆる条件に合うパターンを見つけるまでに長い時間を要しません。どれほど施主の要望や法的規定が多くても、人間より早く最適な答えを導き出せると期待できます。

この先は、建築士の出番です。AIも人間も既存のデザインをもとに設計図を考える点では変わりませんが、そこから独自の感性により新たな発想を生み出すのは人間の得意とするところでしょう。

AIのデータ処理能力と、建築士の豊かな発想力が組み合わさることで、オリジナリティに富んだ設計図が完成します。


構造計算・解析や見積もり作成

建物の設計では、安全性や耐震性も強く求められます。構造に問題がないか計算・解析する作業も、図面を描くうえでは怠れません。

コンピュータは計算が得意であり、すでに建物の構造計算や解析の分野にも導入されています。将来的には、AIがさまざまな構造パターンをシミュレーションし、安全性の高いモデルを提案する時代になるかもしれません。

高度な計算能力は、見積もり作成にも利用可能です。コンピュータ上で建築モデルを一通りシミュレーションできるBIMや不動産の価値を算定するロボットも、導入や開発が進んでいます。

これらの計算業務をAIに任せるシステムが実現した場合、建築士の仕事はAIの用意した構造計画や見積もり案を確認することが中心になるといわれています。どのプランを実行するか検討し、不都合が見つかれば修正を加える作業です。

面倒な計算から開放されれば、その時間をほかの業務にあてられます。それでも、すべてAI任せになると万一のとき適切に対処できません。そんな事態を防ぐため、建築士はAIの処理プロセスを理解しておく必要があります。

まとめ

AIは、データ量に関係なく情報収集、保存・整理、計算・分析といった処理が得意です。建築士がAIの苦手分野をうまくフォローすれば、施主のニーズを最大限に取り入れた設計図を描けるでしょう。計算・分析処理を任せれば、建築士の負担も軽くなります。AIにより建築士の仕事は減ると予想されていますが、各々の長所を生かして共存すれば優れた業務成果を上げられるかもしれません。

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