技術士の機械部門とは?合格のメリットや難易度、対策方法を解説

技術士の機械部門とは?合格のメリットや難易度、対策方法を解説

技術士試験は21の部門に分かれており、その1つが機械部門です。

本記事では、技術士機械部門に合格するメリットやその難易度、対策方法について解説します。

機械部門での受験を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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技術士の試験制度

まずは技術士の試験制度について押さえておきましょう。

技術士試験は一次試験と二次試験で構成されており、以下のようなステップで登録申請まで進めます。

  1. 技術士一次試験に合格する(または合格同等と認められた教育課程を修了する)
  2. 一定の実務経験を積む
  3. 技術士二次試験の筆記試験に合格する
  4. 技術士二次試験の口頭試験に合格する
  5. 技術士の登録申請を行う

そして、各試験は以下21の部門に分かれています。機械部門はこのうちの1つの部門です。

  • 機械部門
  • 船舶・海洋部門
  • 航空・宇宙部門
  • 電気電子部門
  • 化学部門
  • 繊維部門
  • 金属部門
  • 資源工学部門
  • 建設部門
  • 上下水道部門
  • 衛生工学部門
  • 農業部門
  • 森林部門
  • 水産部門
  • 経営工学部門
  • 情報工学部門
  • 応用理学部門
  • 生物工学部門
  • 環境部門
  • 原子力・放射線部門
  • 総合技術監理部門(二次試験のみ)

試験では選択した部門に沿った内容が出題されるため、それぞれ異なる対策が必要です。

【あわせて読みたい】技術士試験の試験制度について

機械部門技術士試験の内容

ここからは、機械部門の難易度・合格率や受験資格、出題内容などを詳しく見ていきましょう。

機械部門の難易度・合格率

機械部門の一次試験・二次試験の合格率は、以下の通りです。

▼機械部門一次試験

年度受験者数合格者数合格率
令和5(2023)1,69260335.6%
令和4(2022)1,71072342.3%
令和3(2021)1,75259934.2%
令和2(2020)1,57387755.8%
令和元(2019)90844849.3%

参考:技術士第一次試験 統計情報

一次試験全体の合格率は30~50%程度で推移しており、機械部門の合格率は平均的であることがわかります。

▼機械部門二次試験

年度受験者数合格者数合格率
令和5(2023)86615618.0%
令和4(2022)80614117.5%
令和3(2021)87112113.9%
令和2(2020)76614218.5%
令和元(2019)98019019.4%

参考:技術士第二次試験 統計情報

一方、二次試験全体の合格率は11%程度で推移していることから、機械部門の合格率は比較的高い傾向にあるといえます。

それでも、受験資格を満たしている方のうち8割以上が合格できていない試験であり、論文対策を中心にしっかりと準備を進めていく必要があります。

機械部門の受験資格

技術士の一次試験はいずれの部門も受験資格が設定されておらず、誰でも受験可能です。

しかし、二次試験を受けるには、「技術士補となる資格を取得すること」「一定の実務経験があること」の2点を満たす必要があります。

技術士補となる資格を取得するには、技術士一次試験に合格するか、指定された教育課程を修了します。

指定された教育課程とは、文部科学大臣が技術士第一次試験の合格と同等だと指定した大学や専門学校の教育過程です。

実務経験の要件は総合技術監理部門とそれ以外で異なり、情報工学部門の場合は以下3つのいずれかを満たす必要があります。

実務の内容必要な期間
技術士補に登録して技術士の補助を行う4年を超える期間
監督者の下で科学技術に関する実務経験を積む(※技術士補の資格取得日から算入)4年を超える期間
科学技術に関する実務経験を積む(※技術士補の資格取得日以前の経験も算入可能)7年を超える期間

※1つ目と2つ目の期間は合算が可能

※実務経験には大学院修士・博士課程の研究経歴を理科系統に限り算入でき、最大2年まで実務期間を短縮可能

現時点で自身がどの程度要件を満たしているか把握したうえで、合格までのスケジュールを立てましょう。

一次試験・二次試験の出題内容

一次試験は基礎科目・適性科目・専門科目の3つで構成されており、このうち機械部門特有の問題が出るのは「専門科目」です。

機械部門の専門科目では、出題範囲として「材料力学/機械力学・制御/熱工学/流体工学」が設定されています。

また、二次試験は必須科目・選択科目1・選択科目2の3つで構成されており、2つの選択科目で機械部門特有の問題が出題されます。

具体的には、以下6つの科目が規定されています。

  • 機械設計
  • 材料強度・信頼性
  • 機構ダイナミクス・制御
  • 熱・動力エネルギー機器
  • 流体機器
  • 加工・生産システム・産業機械

各科目の内容を把握したうえで、必要な対策を進めていきましょう。

機械部門の技術士になるメリット

機械部門の技術士になれば、以下のようなメリットが得られます。

  • 専任技術者・主任技術者・監理技術者になれる
  • 建設コンサルタント技術管理者になれる
  • 鉄道事業法上の設計管理者になれる
  • ほかの資格試験の一部免除が受けられる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

専任技術者・主任技術者・監理技術者になれる

機械部門の技術士になるメリットとして、まず営業所や工事現場において重要な役割を担う「専任技術者・主任技術者・監理技術者」になれる点が挙げられます。

具体的には、建設業法に基づいて一般建設業を営む場合、 機械設備設置工事業(全科目該当)・管工事業(熱工学、流体工学の科目のみ該当)であれば、

営業所ごとに配置が必要な「専任技術者」になれます。

また、現場で工事をする際の機械設備設置工事(全科目該当)・管工事(熱・動力エネルギー機器、流体機器の科目のみ該当(旧科目の場合は熱工学・流体工学が該当))の「主任技術者」になることも可能です。

建設業法に基づいて特定建設業を営む場合も、機械設備設置工事業(全科目該当)・管工事業(熱・動力エネルギー機器、流体機器の科目のみ該当)であれば、営業所ごとに置く「専任技術者」になれます。

また、現場で工事をする際の機械設備設置工事(全科目該当)・管工事(熱・動力エネルギー機器、流体機器の科目のみ該当(※旧科目の場合は熱工学・流体工学が該当)の「監理技術者」になることも可能です。

このように建設現場で重要な役割を担えることは、資格取得の大きなメリットだといえるでしょう。

建設コンサルタント技術管理者になれる

建設コンサルタント登録制度とは、21の登録部門の全部または一部について建設コンサルタント業を営む者が一定の要件を満たす場合に、国土交通大臣の登録を受けられる制度です。

登録を受けるには技術管理者が必要であり、その要件を満たせることはキャリア上有利に働くでしょう。

鉄道事業法上の設計管理者になれる

鉄道の設計を行う場合、機械部門の技術士は鉄道事業法上の設計管理者になることが可能です。

鉄道設計のコンサルティングや工事を請け負う会社などで役立つ場面の多い資格だといえます。

ほかの資格試験の一部免除が受けられる

技術士の機械部門に合格することで、ほかの資格試験の一部免除が受けられるというメリットもあります。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 消防設備士試験(筆記試験一部免除)
  • 労働安全コンサルタント試験(筆記試験一部免除)
  • 管工事施工管理技士 1級・2級(学科試験免除) ※科目による

技術士以外の資格もあわせて取得すれば、より対応できるプロジェクトの幅が広がるでしょう。

技術士の機械部門に合格するには?

機械部門に限らず、技術士合格に必要な要素は以下の3つに分けられます。

  • 専門科目合格に必要な専門知識は40%
  • 答案に書き込む文章表現力が30%
  • 専門的なエンジニアとしての視点・見識が30%

勉強や実務で培った知識はもちろん、それを論理的に伝えるための文章力が問われます。

「技術士試験の半分は国語の試験だ」ともいわれるほどであり、特に二次試験では論文対策がきわめて重要です。

通信講座・オンライン講座を利用して第三者からフィードバックを受けるなど、効果的に対策を進めていきましょう。

まとめ

本記事では、技術士機械部門に合格するメリットやその難易度、対策方法について解説しました。

ポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 技術士になるには、一次試験と二次試験に合格する必要がある
  • 技術士の試験は21の部門に分かれており、機械部門はそのうちの1つ
  • 専任技術者・主任技術者・監理技術者などになれるため、建設現場での需要が大きい
  • 機械部門の合格率は、一次試験が30~50%前後と全部門平均と同程度、二次試験はおおむね18%前後と全部門平均より少し高い傾向にある
  • 合格には技術者としての知識の習得だけでなく、文章表現力を磨くことが大切

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