技術士の平均年収
ここでは技術士の平均年収について、以下の項目を見ていきましょう。
- 全国平均
- 企業規模ごとの平均
- 経験年数・性別ごとの平均
- 都道府県・性別ごとの平均
全国平均
まずは全国の技術士の平均年収を見ていきましょう。
令和元年分の「賃金構造基本統計調査 都道府県×職種DB」によると、技術士の男女別平均年収は以下の通りです。
性別 | 平均年収 |
男性 | 約673万円 |
女性 | 約573万円 |
一方、「令和元年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均年収は436万円となっています。
男女どちらも平均を大きく上回る結果となっており、技術士の平均年収の高さがうかがえます。
技術士は難関国家資格として知られていますが、その努力に見合う年収を得られる可能性が高い職種だといえるでしょう。
関連記事:技術士とは?
企業規模ごとの平均
続けて、企業規模ごとの平均についても見ていきましょう。
令和元年分の「賃金構造基本統計調査」によると、所属する従業員数ごとの技術士の平均年収は、以下の通りとなっています。
従業員数 | 平均年収 |
10~99人 | 約606万円 |
100~999人 | 約669万円 |
1,000人以上 | 約752万円 |
従業員数が10~99人の企業と1,000人以上の企業では、平均年収に146万円もの差があります。
ほかの職種と同様に、技術士も規模の大きい企業に所属したほうが年収は高くなりやすい傾向にあるといえます。
経験年数・性別ごとの平均
これから技術士を目指す方や、技術士としてのステップアップを目指している方にとっては、将来的にどの程度の年収になるのかも押さえておきたいところです。
技術士の経験年数ごとの平均年収は、以下の通りとなっています。
【男性の技術士】
経験年数 | 平均年収 |
0年 | 約476万円 |
1~4年 | 約505万円 |
5~9年 | 約593万円 |
10~14年 | 約640万円 |
15年以上 | 約672万円 |
【女性の技術士】
経験年数 | 平均年収 |
0年 | 約359万円 |
1~4年 | 約556万円 |
5~9年 | 約600万円 |
10~14年 | 約555万円 |
15年以上 | 約522万円 |
全体的には、やはり経験年数が増えるにつれて年収も上がる傾向にあります。
技術士としての経験を積むことで、管理職に抜擢される可能性も高まるでしょう。
都道府県・性別ごとの平均
さらに、都道府県ごとの技術士の平均年収についても見ていきましょう。
都道府県 | 男性技術士
平均年収 |
女性技術士
平均年収 |
北海道 | 約678万円 | 約343万円 |
青森 | 約394万円 | – |
岩手 | 約594万円 | – |
宮城 | 約789万円 | 約831万円 |
秋田 | 約542万円 | – |
山形 | – | – |
福島 | 約459万円 | – |
茨城 | 約550万円 | – |
栃木 | 約569万円 | – |
群馬 | 約639万円 | – |
埼玉 | 約853万円 | 約624万円 |
千葉 | 約730万円 | 約626万円 |
東京 | 約758万円 | 約641万円 |
神奈川 | 約631万円 | 約591万円 |
新潟 | 約533万円 | – |
富山 | 約595万円 | 約1,129万円 |
石川 | 約556万円 | – |
福井 | 約600万円 | 約608万円 |
山梨 | – | – |
長野 | 約732万円 | – |
岐阜 | 約477万円 | – |
静岡 | – | – |
愛知 | 約743万円 | – |
三重 | 約740万円 | 約548万円 |
滋賀 | 約857万円 | – |
京都 | 約582万円 | 約558万円 |
大阪 | 約726万円 | 約580万円 |
兵庫 | 約664万円 | 約643万円 |
奈良 | 約682万円 | 約507万円 |
和歌山 | 約451万円 | – |
鳥取 | 約735万円 | 約403万円 |
島根 | 約516万円 | – |
岡山 | 約609万円 | – |
広島 | 約633万円 | 約472万円 |
山口 | 約586万円 | – |
徳島 | 約816万円 | – |
香川 | 約613万円 | – |
愛媛 | 約723万円 | – |
高知 | 約410万円 | – |
福岡 | 約720万円 | 約531万円 |
佐賀 | 約531万円 | – |
長崎 | 約436万円 | – |
熊本 | 約463万円 | 約455万円 |
大分 | – | – |
宮崎 | 約545万円 | – |
鹿児島 | 約438万円 | – |
沖縄 | 約836万円 | – |
人数が少ない都道府県もあるためブレは大きいものの、大都市圏のほうが年収は高い傾向にあるといえそうです。
ただし、地方での勤務であっても高い年収を得ることが十分可能であることがわかります。
技術士が年収1,000万円を目指すことは可能?
これまで見てきた通り、技術士の平均年収は男性が673万円、女性が573万円と高い傾向にあります。
しかし、「せっかく難関資格を取得するのだから年収1,000万円を目指したい」という方も多いでしょう。
ここでは、技術士が年収1,000万円を目指すことが可能なのか、以下3つのポイントで解説します。
- 大企業なら可能性が高まる
- 総合技術監理部門はステップアップにつながりやすい
- コンサルタントなどでの独立も可能性あり
それぞれ順番に見ていきましょう。
大企業なら可能性が高まる
技術士の平均年収は、ほかの職種と同様に企業規模が大きいほど高い傾向にあることがわかりました。
前述の通り、従業員数が10~99人と1,000人以上の企業では、技術士の平均年収に146万円もの差があります。
年収1,000万円という平均よりも高い水準を目指すなら、大企業への就職・転職を目指すのがよいでしょう。
とはいえ、実績がない状態でいきなり大企業に転職するのは簡単ではありません。
そのため、まずは現在の勤務先で経験を積み、その実績をもとにより規模の大きい企業への転職を目指すのがおすすめです。
将来的な年収アップに向けて、技術士としてのキャリアプランを描いておきましょう。
総合技術監理部門はステップアップにつながりやすい
技術士の資格は21の部門に分かれています。
なかでも、総合技術監理部門はその他の技術部門と異なり、技術関連のプロジェクトを総合的に管理するスキルが問われるものです。
プロジェクトのマネジメントを任せるのに適した人材と評価される可能性が高まるため、ステップアップにもつながりやすいでしょう。
総合技術監理部門の取得が昇格や昇進への後押しとなり、結果として年収アップを果たせる可能性があります。
年収1,000万円を目指すなら、将来的な総合技術監理部門の取得を検討してみてください。
コンサルタントなどでの独立も可能性あり
技術士は企業での勤務だけでなく、独立も可能な資格です。
技術コンサルタントや建設コンサルタントとして活躍する技術士も多く、事業がうまく軌道に乗れば年収1,000万円を目指せる可能性があるでしょう。
企業への勤務と異なり、自身での顧客開拓なども必要になりますが、そのぶん勤務先の給与水準に縛られることなく年収アップを目指せます。
独立を目指すなら、日本技術士会に入会したあと、さまざまな活動に参加して人脈を築いておくとよいでしょう。
技術士が年収を上げるには?
ここでは、技術士が年収を上げるための方法について、以下の4点をご紹介します。
- 資格手当がある環境で働く
- 規模の大きい企業に転職する
- コンサルタントになる
- ほかの資格と掛け合わせる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
資格手当がある環境で働く
企業によっては、技術士の資格を持っているだけで資格手当をもらえる場合があります。
通常の給与に加えて手当がプラスされるため、年収アップに寄与するでしょう。
資格手当の有無だけで勤務先を決めるのは難しいかもしれませんが、長く働くほど毎月の手当の差は大きくなるため、できれば就職や転職の前に手当の有無を確認しておくのがおすすめです。
資格手当があれば、年収が数十万円単位でアップするかもしれません。
規模の大きい企業に転職する
前述の通り、同じ技術士であっても規模の大きい企業に勤務している方のほうが年収は高い傾向にあります。
もちろん求められる経験や知識、技術も高くなりますが、技術士として高い年収を目指したいのであれば、それに応えられるスキルを身につけ、転職を目指すのがよいでしょう。
まずは技術士として必要な知識・技術を養い、実務経験を積んだうえで転職によるステップアップを目指すのがおすすめです。
早めに大企業に転職できれば、より大きなプロジェクトで経験を積める可能性も高まり、技術士としての成長にもプラスに働くでしょう。
将来的には、再転職によってさらに年収を上げることも可能かもしれません。
コンサルタントになる
年収アップを目指すなら、技術コンサルタントや建設コンサルタントとしてのキャリアを目指すのもおすすめです。
技術の専門家として企業からの依頼を受けるような立場になれば、より大きな収入を得られる可能性が高まります。
顧客になりうる企業・人物と個人的なつながりができれば、将来的な独立も見えてきます。
企業に勤務する技術士であればその会社の給与体系によって年収が決まりますが、独立すれば収入は自分次第です。
高年収を目指すなら、コンサルタントとしてのキャリアも検討するとよいでしょう。
ほかの資格と掛け合わせる
ほかの資格と掛け合わせることで、技術士のなかで差別化を図るのもおすすめです。
技術士資格があれば、一部試験が免除される資格もあります。
例えば、弁理士や中小企業診断士、気象予報士、労働安全コンサルタントの試験などが挙げられます。
単なる技術士に留まらず、その他の専門性と掛け合わせることで解決できるビジネス課題の幅が広がり、より重宝される人材になれるでしょう。
その結果、平均を大きく上回る年収を得られる可能性があります。
ただし、いきなり複数の資格取得を目指すのは現実的ではありません。
技術士の二次試験は合格率が15%前後となっており、十分な対策が求められます。
まずは技術士の合格を目指し、実務経験を積みながら将来的なダブルライセンスを検討するのがよいでしょう。
関連記事:技術士第二次試験の難易度と合格率は?
まとめ
本記事では、技術士の平均年収や年収を上げるコツについて解説しました。
ポイントをまとめると、以下の通りです。
- 技術士の平均年収は男性が約673万円、女性が約573万円
- 給与所得者の全国平均436万円と比べると、高年収といえる職種
- 企業規模や経験年数によっても平均年収は異なる
- 大企業への転職や技術士としての差別化を図ることで、年収1,000万円を目指すことも可能
- コンサルタントとしての独立も年収アップにつながる可能性がある
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