
技術士一次試験は受験資格のない誰でも受けられる試験で、年に1回実施されます。
技術士の資格を取得するには、まずこの一次試験に合格しなければなりません。
本記事では、技術士一次試験の日程や合格率、試験科目や勉強法などを詳しく解説します。
技術士の資格を取得を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
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技術士一次試験の概要
技術士一次試験について、以下の項目を解説していきます。
- 技術士の試験制度
- 一次試験の受験資格
- 一次試験の合格基準
- 一次試験の受験料
- 一次試験の日程(試験・合格発表)
- 一次試験の受験会場
- 一次試験の免除制度
技術士の試験制度
技術士の試験は一次試験と二次試験で構成されており、技術士登録まで次のような流れで進みます。
- 技術士一次試験に合格する(または合格同等と認められた教育課程を修了する)
- 一定の実務経験を積む
- 技術士二次試験の筆記試験に合格する
- 技術士二次試験の口頭試験に合格する
- 技術士の登録申請を行う
技術士登録のためには両方の試験に合格する必要があります。
ただし、一次試験は合格同等と認められている教育課程を修了していれば免除され、修了者は一次試験を受けずとも次のステップに進むことが可能です。
二次試験を受験するには実務経験が必要で、規定された業務に必要な期間従事しなければなりません。
実務経験の要件を満たしたら二次試験の筆記試験を受験し、合格したら口頭試験に進みます。
二次試験の口頭試験に合格したのちには日本技術士会に登録申請を行い、登録を受ければ技術士として業務ができるようになります。
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一次試験の受験資格
技術士の一次試験には受験資格の定めはなく、誰でも受験が可能です。
年齢や学歴、国籍、業務経験の有無に関係なく受験できるため、実務経験のない学生や外国の方でも挑戦できます。
一次試験の合格基準
技術士一次試験の合格基準は、全科目50%以上の得点と定められています。
1つでも基準を満たさない科目があれば不合格となり、たとえ高得点の科目があっても、それで低得点の科目を補うことはできません。
すべての受験科目で50%以上の得点を取れば、一次試験は合格です。
一次試験の受験料
技術士一次試験の受験手数料は、非課税で11,000円です。
入金して受験申請が受理されたら受験手数料は返還されないので、しっかりとスケジュールを調整して申請するようにしましょう。
一次試験の日程(試験・合格発表)
技術士の一次試験は年に1回実施され、例年次のような日程で行われます。
受験申込書の配布開始 | 6月上旬 |
受験申込書の受付 | 6月中旬~6月下旬 |
筆記試験 | 11月下旬 |
合格発表 | 翌年2月下旬 |
受験申込書の配布期間は2〜3週間程度で、配布期間に入ると日本技術士会ホームページに掲載されます。
受験申込書を入手して書類を完成させたら、公益社団法人日本技術士会宛てに書留郵便で提出しましょう。
申請が受理されたら11月に一次試験を受け、翌年2月の合格発表を待ちます。
一次試験合格者には合格証が送付され、官報で氏名が公告されます。
一次試験の受験会場
技術士一次試験の受験会場は、次の12都道府県です。
- 北海道
- 宮城県
- 東京都
- 神奈川県
- 新潟県
- 石川県
- 愛知県
- 大阪府
- 広島県
- 香川県
- 福岡県
- 沖縄県
詳細な試験会場は受験者に通知され、官報で公告されます。
一次試験の免除制度
技術士の一次試験には免除制度があり、「試験合格同等と認められた教育課程」の修了者は免除が受けられます。
「試験合格同等と認められた教育課程」とは、JABEE認定プログラムのうち文部科学大臣が告示した教育課程のことです。
JABEE(一般社団法人日本技術者教育認定機構)とは、大学の学科やコースを技術者育成の教育プログラムとして認定する組織で、免除対象となるプログラムは文部科学省のホームページで公表されています。
さらに一次試験には一部免除制度もあり、以下に該当する方は試験科目の一部が免除されます。
- 平成14年度以前、一次試験に合格せずに二次試験に合格した方
- 情報処理技術者試験の高度試験合格者
- 情報処理技術者試験の情報処理安全確保支援士合格者
- 中小企業診断士の資格保有者のうち、特定の条件を満たしている方
技術士一次試験の内容
技術士一次試験を構成する3つの科目について、それぞれの内容を解説していきます。
- 基礎科目
- 適性科目
- 専門科目
基礎科目
技術士一次試験の基礎科目では、科学技術全般の基礎知識が問われます。
次の5つの分野から出題され、解答時間は1時間、配点は15点満点です。
- 設計・計画に関するもの(設計理論、システム設計、品質管理等)
- 情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
- 解析に関するもの(力学、電磁気学等)
- 材料・化学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
- 環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)
適性科目
技術士一次試験の適性科目では、技術士法第4章にある「技術士等の義務」に関する事項が問われ、技術士としての適性が判定されます。
技術士法とは技術士の根拠法令で、第4章には以下のような事項が定められています。
- 信用失墜行為の禁止
- 秘密保持義務
- 益確保の責務
- 技術士の名称表示の場合の義務
- 技術士補の業務の制限等
- 技術士の資質向上の責務
適性科目の解答時間は1時間で、配点は15点満点です。
専門科目
技術士一次試験の専門科目では、選択した技術部門に関する基礎知識と専門知識が問われます。
技術部門とは技術士の専門分野のことで、一次試験では次の20部門の中から1つの技術部門を選択して受験します。
- 機械部門
- 船舶・海洋部門
- 航空・宇宙部門
- 電気電子部門
- 化学部門
- 繊維部門
- 金属部門
- 資源工学部門
- 建設部門
- 上下水道部門
- 衛生工学部門
- 農業部門
- 森林部門
- 水産部門
- 経営工学部門
- 情報工学部門
- 応用理学部門
- 生物工学部門
- 環境部門
- 原子力・放射線部門
出題されるのは選択した部門に応じた技術科学の分野で、専門科目の解答時間は2時間、配点は50点満点です。
技術士一次試験の合格率
技術士一次試験の合格率は、近年において30〜50%前後を推移しています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年(令和5) | 16,631 | 6,601 | 39.7% |
2022年(令和4) | 17,225 | 7,264 | 42.2% |
2021年(令和3) | 16,977 | 5,313 | 31.3% |
2020年(令和2) | 14,594 | 6,380 | 43.7% |
2019年(令和1) | 13,266 | 6,819 | 51.4% |
2023年の全体の合格率は39.7%で、およそ2.5人に1人が合格しています。
技術部門別に合格率を見ると「船舶・海洋部門」が65.0%でもっとも高く、「応用理学部門」が32.6%でもっとも低い合格率でした。
合格率には幅があるため、受験する部門の出題傾向と難易度を把握してから対策を立てる必要があるでしょう。
技術士一次試験の勉強方法
技術士一次試験の勉強のコツは、過去問題で出題傾向を把握しつつ、苦手分野をしっかりと克服することです。
基礎科目は出題範囲が広いものの、過去問の類似問題が多く出題されるため、過去問題に慣れることが合格の近道です。
専門科目も解説付きの問題集やテキストを活用しつつ、過去問題を中心に取り組みましょう。
適性科目は、過去問題を通して技術者倫理の考え方をしっかりとつかむことが重要です。
技術士法の規定に限定せず、学会・協会の倫理規定や関連書籍を参考にすることで、過去問題の理解がさらに深まるでしょう。
苦手科目は過去問題の解説を参考にしながら重点的に学習し、間違えた問題は要点をノートにまとめて知識を定着させるのがおすすめです。
試験日が近づいたら時間配分を意識した過去問題の実践に取り組み、本番で力を発揮できるように学習を進めましょう。
技術士一次試験過去問の活用方法
技術士一次試験の過去問題は公式サイト「過去問題(第一次試験)」で公開されており、正答も「技術士第一次試験 試験問題の正答」でダウンロードが可能です。
ただし、公開されているのは問題と正解のマークシート番号のみで、解説はありません。
市販の解説付き問題集や過去問題集も活用し、正解への道筋をしっかり学ぶのがよいでしょう。
まとめ
本記事では技術士一次試験の内容と日程、試験科目や合格率などを解説しました。
記事のポイントをおさらいしましょう。
- 技術士一次試験に受験資格はなく、年齢や学歴、国籍問わず誰でも受験できる
- 一次試験に合格するには、全科目で配点の50%以上を取らなければならない
- 一次試験には免除制度があり、試験合格同等と認められた教育課程を修了していれば免除が受けられる
- 一次試験は「基礎科目」「適性科目」「専門科目」の3科目で構成されている
- 近年の合格率は30~50%前後で、過去問題を中心とした勉強方法が効率的である
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