
技術士試験は21の部門に分かれており、その1つが森林部門です。
本記事では、森林部門に合格するメリットやその難易度、対策方法について解説します。
森林部門での受験を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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技術士の試験制度
まずは技術士の試験制度について押さえておきましょう。
技術士試験は一次試験と二次試験で構成されており、以下のようなステップで登録申請まで進めます。
- 技術士一次試験に合格する(または合格同等と認められた教育課程を修了する)
- 一定の実務経験を積む
- 技術士二次試験の筆記試験に合格する
- 技術士二次試験の口頭試験に合格する
- 技術士の登録申請を行う
そして、各試験は以下21の部門に分かれています。
森林部門はこのうちの1つの部門です。
- 機械部門
- 船舶・海洋部門
- 航空・宇宙部門
- 電気電子部門
- 化学部門
- 繊維部門
- 金属部門
- 資源工学部門
- 建設部門
- 上下水道部門
- 衛生工学部門
- 農業部門
- 森林部門
- 水産部門
- 経営工学部門
- 情報工学部門
- 応用理学部門
- 生物工学部門
- 環境部門
- 原子力・放射線部門
- 総合技術監理部門(二次試験のみ)
試験では選択した部門に沿った内容が出題されるため、それぞれ異なる対策が必要です。
【あわせて読みたい】技術士試験の試験制度について
技術士の森林部門について解説
現在技術士には、建築・上下水道・農業・電気電子・機械・総合技術監理など21の技術部門が設けられています。
ここからは、技術士の中でも森林部門の概要について解説します。
技術士試験の受験を検討している人や受験する部門で迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
森林部門とは?どんな仕事をする?
森林部門の技術士は、森林に関する専門知識や技術を活かした仕事をします。
具体的には、例えば以下のような仕事があります。
- 木材を扱う企業での樹木育成・木材生産業務
- 地域ごとの森林経営計画などの公共事業
- 林業用の装置や設備の整備
- 治山や林道に関する調査設計・施工管理
- 森林や林業、緑化事業、害獣対策などに関する視察・調査・研究
- 災害時の森林被害に関する調査・対策実施
もちろん上記は一例であり、森林部門の技術士になれば森林の知識が求められるあらゆる分野で活躍することが可能です。
【あわせて読みたい】技術士とは?
森林部門の技術士になるメリット
森林部門の技術士資格を取得できれば、前述の通り森林に関する公共事業や木材を扱う企業などで活躍できます。
一般企業だけでなく、公務員として森林に関する公共事業に携わりたい人、地域の環境保全に貢献したい人にも役立つ資格だと言えるでしょう。
なお企業によっては昇進や昇格で有利になったり、資格手当を受け取れる場合もあります。
資格を活かして大手企業へ転職すれば、年収アップも狙えるでしょう。
地域によっては都道府県ごとの技術士会もあるため、ネットワークを活用して人脈を形成したり、紹介を受けて仕事を増やしたりもできます。
また技術士の資格があれば、ほかの国家資格の試験を受ける際に一部または全部の試験免除を受けられる場合があります。
そのため複数の資格取得を目指す方にも大きなメリットがあると言えるでしょう。
一次試験・二次試験の出題内容
一次試験は基礎科目・適性科目・専門科目の3つで構成されており、このうち森林部門特有の問題が出るのは「専門科目」です。
森林部門の専門科目には、「林業/森林土木/林産/森林環境」が設定されています。
また、二次試験は必須科目・選択科目1・選択科目2の3つで構成されており、2つの選択科目で森林部門特有の問題が出題されます。
具体的には、「林業・林産/森林土木/森林環境」が挙げられています。
各科目の内容を把握したうえで、必要な対策を進めていきましょう。
難易度・合格率
以下は近年の森林部門一次試験の合格率をまとめた表です。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和6年度 | 295名 | 116名 | 39.3% |
令和5年度 | 281名 | 117名 | 41.6% |
令和4年度 | 241名 | 91名 | 37.8% |
令和3年度 | 288名 | 102名 | 35.4% |
令和2年度 | 232名 | 76名 | 32.8% |
【参考】技術士第一次試験 統計情報
一次試験の合格率は高い年で40%台、低い年で30%台程度であることがわかります。
これらは技術士の全部門平均と同じ水準であり、森林部門は平均的な難易度であると言えそうです。

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技術士一次試験は受験資格のない誰でも受けられる試験で、年に1…
続いて、以下は近年の森林部門二次試験の合格率をまとめた表です。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和6年度 | 272名 | 33名 | 12.1% |
令和5年度 | 270名 | 49名 | 18.1% |
令和4年度 | 277名 | 44名 | 15.9% |
令和3年度 | 259名 | 59名 | 22.8% |
令和2年度 | 236名 | 61名 | 25.8% |
【参考】技術士第二次試験 統計情報
これを見ると二次試験の合格率は例年10〜20%台であることがわかります。
こちらも全部門の平均値と大きく乖離はありません。
受験資格
技術士の一次試験はいずれの部門も受験資格が設定されておらず、誰でも受験可能です。
しかし、二次試験を受けるには、「技術士補となる資格を取得すること」「一定の実務経験があること」の2点を満たす必要があります。
技術士補となる資格を取得するには、技術士一次試験に合格するか、指定された教育課程を修了します。
指定された教育課程とは、文部科学大臣が技術士第一次試験の合格と同等だと指定した大学や専門学校の教育過程です。
実務経験の要件は総合技術監理部門とそれ以外で異なり、森林部門の場合は以下3つのいずれかを満たす必要があります。
実務の内容 | 必要な期間 |
---|---|
技術士補に登録して技術士の補助を行う | 4年を超える期間 |
監督者の下で科学技術に関する実務経験を積む(※技術士補の資格取得日から算入) | 4年を超える期間 |
科学技術に関する実務経験を積む(※技術士補の資格取得日以前の経験も算入可能) | 7年を超える期間 |
※1つ目と2つ目の期間は合算が可能
※実務経験には大学院修士・博士課程の研究経歴を理科系統に限り算入でき、最大2年まで実務期間を短縮可能
現時点で自身がどの程度要件を満たしているか把握したうえで、合格までのスケジュールを立てましょう。

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技術士の森林部門に合格するには?どんな勉強方法がよい?
森林部門に限らず、技術士合格に必要な要素は以下の3つに分けられます。
- 専門科目合格に必要な専門知識は40%
- 答案に書き込む文章表現力が30%
- 専門的なエンジニアとしての視点・見識が30%
勉強や実務で培った知識はもちろん、それを論理的に伝えるための文章力が問われます。
「技術士試験の半分は国語の試験だ」ともいわれるほどであり、特に二次試験では論文対策がきわめて重要です。
通信講座・オンライン講座を利用して第三者からフィードバックを受けるなど、効果的に対策を進めていきましょう。

技術士試験合格のための3要素とは
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まとめ
今回は技術士試験の森林部門について解説しました。
- 森林部門の技術士は公共の森林計画や木材を扱う一般企業などで活躍できる
- 合格すれば昇進・昇格などで有利になる可能性が高く、人脈形成にも役立つ
- 一次は誰でも受験でき、二次には実務経験などが必要
- 一次は筆記試験のみ、二次は筆記試験と口頭試験
- 森林部門の合格率は一次が30〜40%台、二次が10〜20%台
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