
技術士試験を受けるうえで、理解しておきたいのがコンピテンシーです。
本記事では、技術士二次試験で問われるコンピテンシーの内容やその改訂について解説します。
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技術士に求められるコンピテンシーとは
技術士に求められるコンピテンシーとは、技術士として最低限備えるべき資質能力のことです。
国際エンジニアリング連合(IEA)による「専門職としての知識・能力」を踏まえ、文部科学省によってキーワードを挙げて示されています。
技術の高度化・総合化などに伴い、技術者に求められる資質能力もさらに高度化・多様化しています。
そのため、技術士の資格試験を通じ、実務経験に基づく専門的知識・専門的応用能力を有し、豊かな想像力で複合的な問題を解決できることを確認する必要があります。
技術士の能力を図るうえで重視されるポイントをまとめたものが、コンピテンシーだといえるでしょう。
具体的には、以下の8つが挙げられています。
- 専門的学識
- 問題解決
- マネジメント
- 評価
- コミュニケーション
- リーダーシップ
- 技術者倫理
- 継続研さん
技術士はこれらのコンピテンシーを踏まえて必要な知識・技術を習得し、資質の向上を図る必要があります。
技術士に求められる8つのコンピテンシー
ここでは、以下8つのコンピテンシーについて、 科学技術・学術審議会 技術士分科会の資料「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」における各項目の定義を確認します。
- 専門的学識
- 問題解決
- マネジメント
- 評価
- コミュニケーション
- リーダーシップ
- 技術者倫理
- 継続研さん
それぞれの項目で具体的に何が求められているのか、把握しておきましょう。
専門的学識
- 技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な、技術部門全般にわたる専門知識及び選択科目に関する専門知識を理解し応用すること。
- 技術士の業務に必要な、我が国固有の法令等の制度及び社会・自然条件等に関する専門知識を理解し応用すること。
問題解決
- 業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、調査し、必要に応じてデータ・情報技術を活用して定義し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
- 複合的な問題に関して、多角的な視点を考慮し、ステークホルダーの意見を取り入れながら、相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮したうえで、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。
マネジメント
- 業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において、品質、コスト、納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項、又は成果物(製品、システム、施設、プロジェクト、サービス等)に係る要求事項の特性(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)を満たすことを目的として、人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。
評価
- 業務遂行上の各段階における結果、最終的に得られる成果やその波及効果を評価 し、次段階や別の業務の改善に資すること。
コミュニケーション
- 業務履行上、情報技術を活用し、口頭や文書等の方法を通じて、雇用者、上司や同僚、クライアントやユーザー等多様な関係者との間で、明確かつ包摂的な意思疎通を図り、協働すること。
- 海外における業務に携わる際は、一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え、現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。
リーダーシップ
- 業務遂行にあたり、明確なデザインと現場感覚を持ち、多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
- 海外における業務に携わる際は、多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに、プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。
技術者倫理
- 業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮したうえで、社会、経済及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代にわたる社会の持続可能な成果の達成を目指し、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること。
- 業務履行上、関係法令等の制度が求めている事項を遵守し、文化的価値を尊重すること。
- 業務履行上行う決定に際して、自らの業務及び責任の範囲を明確にし、これらの責任を負うこと。
継続研さん
- CPD活動を行い、コンピテンシーを維持・向上させ、新しい技術とともに絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する能力を高めること。
技術士試験でコンピテンシーが問われる場面は?
技術士試験でコンピテンシーが問われるのは、主に二次の筆記試験・口頭試験です。
具体的にどのようにコンピテンシーが問われるのか解説します。
二次の筆記試験
令和6年度 技術士第二次試験 受験申込み案内によると、総合技術監理部門を除く技術部門において、以下の通り評価項目が設定されています。
コンピテンシーを踏まえて回答を作成することが求められます。
科目 | 内容 | 形式・配点 | 評価項目 |
---|---|---|---|
Ⅰ 必須科目 | 「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの | 記述式 600 字×3 枚[ 40 点 ] | 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、問題解決、評価、技術者倫理、コミュニケーションの各項目 |
Ⅱ 選択科目 | 「選択科目」についての専門知識に関するもの | 記述式 600 字×1 枚[ 10 点 ] | 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、コミュニケーションの各項目 |
「選択科目」についての応用能力に関するもの | 記述式 600 字×2 枚[ 20 点 ] | 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、マネジメント、リーダーシップ、コミュニケーションの各項目 | |
Ⅲ 選択科目 | 「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの | 記述式 600 字×3 枚[ 30 点 ] | 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、問題解決、評価、コミュニケーションの各項目 |
二次の口頭試験
口頭試験は以下の出題内容となっており、コミュニケーションやリーダーシップなど、こちらもコンピテンシーと密接な関わりがあることがわかります。
▼総合技術監理部門以外の20部門
試問内容と配点 | 【実務能力】 ・コミュニケーション、リーダーシップ(30点) ・評価、マネジメント(30点) | 【適格性】 ・技術者倫理(20点) ・継続研さん(20点) |
時間 | 20分(10分程度延長の場合もあり) |
▼総合技術監理部門
対応科目 | 筆記試験の「必須科目」に対応 | 筆記試験の「選択科目」に対応 | |
試問内容と配点 | 【総合技術監理部門の技術士として必要な専門知識と応用能力】
・経歴と応用能力(60点) ・体系的専門知識(40点) | 20部門の口頭試験と同じ内容 | |
時間 | 20分(10分程度延長の場合もあり) |
技術士のコンピテンシーは改訂された?
令和5年1月には、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」の改訂版が公表されました。
以下の表は、コンピテンシーの変更点をまとめたものです。
コンピテンシー | 変更点 |
---|---|
問題解決 | ・「必要に応じてデータ・情報技術を活用して定義し、」を追記 ・「多角的な視点を考慮し、ステークホルダーの意見を取り入れながら、」を追記 |
コミュニケーション | ・「情報技術を活用し、」を追記 ・「明確かつ効果的な意思疎通を行う」を「明確かつ包摂的な意思疎通を図り、協働する」に変更 |
技術者倫理 | ・「社会、文化及び環境に対する影響」を「社会、経済及び環境に対する影響」に変更 ・「次世代にわたる社会の持続性の確保に努め」を「次世代にわたる社会の持続可能な成果の達成を目指し、」に変更 |
継続研さん | ・「・業務履行上必要な知見を深め,技術を修得し資質向上を図るように,十分な継続研さん(CPD)を行うこと。」を「・CPD活動を行い、コンピテンシーを維持・向上させ、新しい技術とともに絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する能力を高めること。」に変更 |
データ・情報の活用に関する追記や、「協働」「絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する」などへの変更が印象的です。
最新のガイドラインに沿ってコンピテンシーの理解を深め、試験に備えましょう。
まとめ
本記事では、技術士二次試験で問われるコンピテンシーの内容やその改訂について解説しました。
改めてポイントをおさらいしてみましょう。
- 技術士のコンピテンシー(資質能力)とは、技術士として最低限備えるべき資質能力のこと
- 専門的学識・問題解決・マネジメント・評価・コミュニケーションなど、8項目がある
- 技術士の二次試験(筆記・口頭)では、コンピテンシーを有するかが問われる
- 技術士のコンピテンシーは改訂されるため、最新版で理解を深めることが大切
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