技術士に求められるコンピテンシーとは|令和8年度(2026年度)改訂を徹底解説

技術士に求められるコンピテンシーとは|二次試験で問われる内容や改訂について解説

技術士試験を受けるうえで、理解しておきたいのがコンピテンシーです。

時代背景(DXの進展、多様性の尊重、複雑化する社会課題 等)に合わせ、資質能力(コンピテンシー)の定義が令和 5 年 1 月 25 日改訂され、それをふまえて令和8年度技術士第二次試験より改訂版コンピテンシーを適用した試験が実施されます。試験形式に変更はなく、採点基準となる各項目の定義がより具体化されています。

本記事では、技術士二次試験で問われるコンピテンシーの内容やその改訂について解説します。

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技術士に求められるコンピテンシー(資質能力)とは

技術士に求められるコンピテンシーとは、技術士として最低限備えるべき資質能力のことです。

国際エンジニアリング連合(IEA)による「専門職としての知識・能力」を踏まえ、文部科学省の技術士分科会によって定義されており、二次試験(筆記・口頭)の採点はすべてこのコンピテンシーを基準に行われます。

技術の高度化・総合化などに伴い、技術者に求められる資質能力もさらに高度化・多様化しています。

そのため、技術士の資格試験を通じ、実務経験に基づく専門的知識・専門的応用能力を有し、豊かな想像力で複合的な問題を解決できることを確認する必要があります。

技術士の能力を図るうえで重視されるポイントをまとめたものが、コンピテンシーだといえるでしょう。

具体的には、以下の8つが挙げられています。

  • 専門的学識
  • 問題解決
  • マネジメント
  • 評価
  • コミュニケーション
  • リーダーシップ
  • 技術者倫理
  • 継続研さん

技術士はこれらのコンピテンシーを踏まえて必要な知識・技術を習得し、資質の向上を図る必要があります。

技術士に求められる8つのコンピテンシー

ここでは、以下8つのコンピテンシーについて、 科学技術・学術審議会 技術士分科会の資料「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」における各項目の定義を確認します。

  • 専門的学識
  • 問題解決
  • マネジメント
  • 評価
  • コミュニケーション
  • リーダーシップ
  • 技術者倫理
  • 継続研さん

それぞれの項目で具体的に何が求められているのか、把握しておきましょう。

専門的学識

  • 技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な、技術部門全般にわたる専門知識及び選択科目に関する専門知識を理解し応用すること。
  • 技術士の業務に必要な、我が国固有の法令等の制度及び社会・自然条件等に関する専門知識を理解し応用すること。

問題解決 改訂

  • 業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、調査し、必要に応じてデータ・情報技術を活用して定義し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
  • 複合的な問題に関して、多角的な視点を考慮し、ステークホルダーの意見を取り入れながら、相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮したうえで、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。

【改訂ポイント】: 

①「データ・情報技術(IT・AI等)の活用」

改訂版では、問題解決のプロセスにおいて「データ・情報技術を適切に活用して分析し」という文言が明文化されました。

解答への影響:これまでの論文では「ベテランの経験や勘」に基づいた現状分析でも通用したかもしれません。しかし今後は、「どのようなデータを収集し、それをどう情報技術で解析して、エビデンスに基づいた課題抽出を行ったか」という論理構成が、専門的学識と問題解決能力の両面で高く評価されるようになります。

②「多角的な視点(多様なステークホルダーの意見等)」

単に技術的な正解を導き出すだけでなく、「多角的な視点(多様なステークホルダーの意見等)による検討」を経て解決策を提案することが求められるようになりました。

解答への影響:必須科目Ⅰや選択科目Ⅲにおいて、解決策を提示する際、「技術的に可能か」だけでなく、「地域住民、発注者、協力会社、あるいは将来世代といった利害関係者にどう配慮したか」という視点が、論理的な妥当性の評価に直結します。

マネジメント 

  • 業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において、品質、コスト、納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項、又は成果物(製品、システム、施設、プロジェクト、サービス等)に係る要求事項の特性(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)を満たすことを目的として、人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。

評価

  • 業務遂行上の各段階における結果、最終的に得られる成果やその波及効果を評価 し、次段階や別の業務の改善に資すること。

コミュニケーション 改訂

  • 業務履行上、情報技術を活用し、口頭や文書等の方法を通じて、雇用者、上司や同僚、クライアントやユーザー等多様な関係者との間で、明確かつ包摂的な意思疎通を図り、協働すること。
  • 海外における業務に携わる際は、一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え、現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。

【改訂ポイント】:

「明確かつ効果的」から「明確かつ包摂的(インクルーシブ)」へ。また、ここでも「情報技術を活用し」という文言が追加されました。口頭試験や論文の「調整」の記述において、一方的な伝達ではなく、相手の立場を包含し、デジタルツールを駆使して協働する姿勢が評価ポイントになります。

リーダーシップ 改訂

  • 業務遂行にあたり、明確なデザインと現場感覚を持ち、多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
  • 海外における業務に携わる際は、多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに、プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。

【改訂ポイント】:

「利害を調整する」だけでなく、「多様な価値観を活用する」という表現に変わりました。チームの個性を活かし、イノベーションを起こすマネジメント力が、より高い次元で問われるようになります。

技術者倫理 改訂

  • 業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮したうえで、社会、経済及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代にわたる社会の持続可能な成果の達成を目指し、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること。
  • 業務履行上、関係法令等の制度が求めている事項を遵守し、文化的価値を尊重すること。
  • 業務履行上行う決定に際して、自らの業務及び責任の範囲を明確にし、これらの責任を負うこと。

【改訂ポイント】:

「持続可能性(サステナビリティ)」に加え、新たに「経済性」とのバランスを考慮することが明文化されました。

継続研さん 改訂

  • CPD活動を行い、コンピテンシーを維持・向上させ、新しい技術とともに絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する能力を高めること。

【改訂ポイント】:

「変化し続ける社会環境や技術への適応能力」を維持することが重視されています。

技術士試験でコンピテンシーが問われる場面は?

技術士試験でコンピテンシーが問われるのは、主に二次の筆記試験・口頭試験です。

具体的にどのようにコンピテンシーが問われるのか解説します。

二次の筆記試験

令和8年度 技術士第二次試験 受験申込み案内によると、総合技術監理部門を除く技術部門において、以下の通り評価項目が設定されています。

コンピテンシーを踏まえて回答を作成することが求められます。

試験区分評価されるコンピテンシー
筆記試験(必須科目Ⅰ)専門的学識、問題解決、評価、コミュニケーション、技術者倫理
筆記試験(選択科目Ⅱ・Ⅲ)専門的学識、問題解決、マネジメント、コミュニケーション、リーダーシップなど

二次の口頭試験

口頭試験は以下の出題内容となっており、コミュニケーションやリーダーシップなど、こちらもコンピテンシーと密接な関わりがあることがわかります。

試験区分評価されるコンピテンシー
口頭試験(★変更あり)「実務能力」:マネジメント、評価、リーダーシップ、コミュニケーション
「取組姿勢」:技術者倫理、継続研さん

▼総合技術監理部門以外の20部門

試問内容と配点【実務能力】
・コミュニケーション、リーダーシップ(30点)
・評価、マネジメント(30点)
【適格性】
・技術者倫理(20点)
・継続研さん(20点)
時間20分(10分程度延長の場合もあり)

▼総合技術監理部門

対応科目筆記試験の「必須科目」に対応筆記試験の「選択科目」に対応
試問内容と配点【総合技術監理部門の技術士として必要な専門知識と応用能力】

・経歴と応用能力(60点)

・体系的専門知識(40点)

20部門の口頭試験と同じ内容
時間20分(10分程度延長の場合もあり)

技術士のコンピテンシーは改訂された

以下の表は、コンピテンシーの変更点をまとめたものです。

コンピテンシー改訂後の定義・強調されるキーワードこれまでとの違い(受験生の意識変革)
問題解決データ・情報技術の活用、多角的な分析、ステークホルダーの合意形成経験則だけでなく「エビデンス(データ)」を重視し、関係者との調整プロセスを明記する。
コミュニケーション多様な価値観の尊重(包摂的)、ITツールの活用、双方向の意思疎通単なる「報告・連絡」から、多様な立場の人々と「ITも駆使して協働する」姿勢が問われる
リーダーシップ多様な個性の活用(エンパワーメント)、利害調整による意思決定強い牽引力だけでなく、チームメンバーの能力を引き出し、組織として成果を出す力が重視される。
技術者倫理公衆の安全・環境保全・経済性、持続可能性(サステナビリティ)倫理=安全という視点に加え、SDGsの視点(環境・社会・経済の3側面)でのバランス感覚が必要。
継続研さん最新技術の習得、変化し続ける環境への適応能力知識のアップデートだけでなく、激変する社会情勢や技術動向に「柔軟に適応し続ける」姿勢を示す。

ポイント

  • 「IT・データの活用」が必須項目に

課題抽出の際、「〇〇が不足している」で終わらせず、「統計データやセンサー情報等を活用して〇〇の傾向を分析した結果、××という課題を特定した」という記述を心がける。

  • 「ステークホルダー」を登場させる

解決策を論じる際、技術的な手順だけでなく、「〇〇協議会での合意形成を図る」「ユーザーのフィードバックをデジタルプラットフォームで収集する」など、関係者を巻き込むプロセスを1行加える。

  • 情報技術を「当たり前」の手段にする

IT部門でなくても、BIM/CIM、リモート監視、AIによる劣化診断など、自身の専門分野における最新の情報技術活用を、標準的な解決策としてストックしておく。

令和8年度以降は『データを使いこなし、多様なチームで持続可能な解決策を出せる人』が求められている傾向が見て取れます。

最新のガイドラインに沿ってコンピテンシーの理解を深め、試験に備えましょう。

スタディングの技術士講座で合格された方々の合格体験談

論文添削についても、指摘事項だけでなく良い点についても評価していただいたことが自信の自信につながりました。

YASUさん
2024年度 合格

令和6年度技術士建設部門施工計画、施工設備及び積算に合格しました橋本です。
私が技術士を目指したきっかけですが、第一に自身の技術力向上と顧客に対する信用の向上を図る為でした。
次にモチベーションの維持ですが、私が建設業界に入社した頃、上司が建設関連の雑誌内にてコラムを連載しておりました。
その中の一文に【生涯土木屋としてありたい】という言葉に強く共感しました。
業務においても、発注者や協力会社の間に入り現場の調整を行い問題なく進めている姿をみて、若い自分は非常にかっこよく映り目標となりました。
その上司は技術士建設部門、総合技術監理部門と資格を保有しており、今思えば技術士のコンピテンシーを現場にて活用していたんだと思いました。
以上から技術士取得はあきらめるという選択肢はない状態でしたので、モチベーションは全く落ちませんでした。
次にスタディングの活用方法ですが、現在自社の会社に戻り経営者として父から事業継承をしている中でどうしても自由に時間を作ることが難しい状況でした。
そんな状況下でスタディングはスマホやタブレットなどから受講できるいわゆる場所、時間などに捉われないシステムでしたので、非常に有効なツールでした。
その中で論文添削についても、指摘事項だけでなく良い点についても評価していただいたことが自信の自信につながりました。
最後に、技術士は取得してからが新たな挑戦でありますので、技術士に恥じないような継続研鑽は積極的に取り組んでいこうと思います。
約2年間でしたが、スタディングには感謝しかありません。
誠にありがとうございました。

出典:スタディング「論文添削についても、指摘事項だけでなく良い点についても評価していただいたことが自信の自信につながりました。

スタディングの動画は、通勤時間に何度も見るようにし、ポイントを覚えられるようにしました。

なべつかみさん
2024年度 合格

技術士を目指したきっかけは会社内で技術士を取得した職員が優遇されていたため、私も取得したいと考えるようになりました。
また、様々な技術者と仕事をしていく中で、優秀な技術者なら、持っていて当然の資格と感じたため、私も取得したいと考えるようになりました。

受験勉強では、試験内容に慣れるように、隙間時間でも手書きで試験問題を解く練習をしました。
隙間時間なので、全部解き切ることにこだわらず、1/3程度でもいいので記載し、練習するようにしました。

スタディングの動画は、通勤時間に何度も見るようにし、ポイントを覚えられるようにしました。

出典:スタディング「スタディングの動画は、通勤時間に何度も見るようにし、ポイントを覚えられるようにしました。

まとめ

本記事では、技術士二次試験で問われるコンピテンシーの内容やその改訂について解説しました。

改めてポイントをおさらいしてみましょう。

  • 技術士のコンピテンシー(資質能力)とは、技術士として最低限備えるべき資質能力のこと
  • 専門的学識・問題解決・マネジメント・評価・コミュニケーションなど、8項目がある
  • 技術士の二次試験(筆記・口頭)では、コンピテンシーを有するかが問われる
  • 技術士のコンピテンシーは改訂されるため、最新版で理解を深めることが大切

改訂後の最新定義を正しく理解し、自分の業務経験をその定義に沿って言語化することが、合格への最短ルートとなります。コンピテンシーの改訂は、一見するとハードルが上がったように感じるかもしれません。しかし、評価基準が明確になったということは、「何を具体的に書けば加点されるか」というヒントが増えたということです。スタディングでは、こうした新しい評価基準に基づいた添削・指導を徹底していきます。

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