技術士の化学部門とは？合格のメリットや難易度、対策方法を解説

技術士試験は21の部門に分かれており、その1つが化学部門です。

本記事では、技術士化学部門に合格するメリットやその難易度、対策方法について解説します。

化学部門での受験を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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技術士の試験制度
技術士の化学部門について解説
技術士の化学部門に合格するには？
まとめ

技術士の試験制度

まずは技術士の試験制度について押さえておきましょう。

技術士試験は一次試験と二次試験で構成されており、以下のようなステップで登録申請まで進めます。

技術士一次試験に合格する（または合格同等と認められた教育課程を修了する）
一定の実務経験を積む
技術士二次試験の筆記試験に合格する
技術士二次試験の口頭試験に合格する
技術士の登録申請を行う

そして、各試験は以下21の部門に分かれています。

化学部門はこのうちの1つの部門です。

機械部門
船舶・海洋部門
航空・宇宙部門
電気電子部門
化学部門
繊維部門
金属部門
資源工学部門
建設部門
上下水道部門
衛生工学部門
農業部門
森林部門
水産部門
経営工学部門
情報工学部門
応用理学部門
生物工学部門
環境部門
原子力・放射線部門
総合技術監理部門（二次試験のみ）

試験では選択した部門に沿った内容が出題されるため、それぞれ異なる対策が必要です。

関連記事：技術士試験の試験制度について

技術士の化学部門について解説

技術士の化学部門はどのような技術部門なのでしょうか。

ここからは、化学部門の業務内容や出題内容、難易度・合格率について詳しく解説します。

化学部門とは？どんな仕事をする？

技術士の化学部門は、化学製品に携わる技術者向けの国家資格です。

21分野に分かれている技術士の技術部門の1つとして設けられています。

技術士とは、科学技術に関する技術的な専門知識と高等の専門的応用能力・豊富な実務経験を有し、なおかつ高い技術者倫理を備える優れた技術者のことを指します。

化学部門の技術士になることで、化学に関する高度な専門知識・応用能力があることの証明が可能です。

化学部門の技術士は、以下のような働き方をするケースが多いでしょう。

化学製品メーカーで製品開発・設計に携わる
化学プラントで設備・管理に携わる

化学に関わる技術者なら、ぜひ取得を検討したい資格です。

化学部門の技術士になるメリット

化学部門の技術士として登録を受ければ、化学関連の業務で活躍できる可能性が高まるでしょう。

資格を取得することで得られる具体的なメリットは、以下の通りです。

技術者として高い信頼を得られる
試験で培った知識を実務に活かせる
転職で有利に働きやすい

技術士の資格は、取得することで高い信頼を得られます。

化学部門の場合、化学関連の業務に関する高度な知識・応用能力を証明できるため、第三者からの信頼・評価を高められるでしょう。

そのため、独立・転職を目指す際にも有利に働きやすくなります。

また、一次試験・二次試験を通して培った知識は実際のビジネスシーンでも大いに役立つはずです。

一次試験・二次試験の出題内容

一次試験は基礎科目・適性科目・専門科目の3つで構成されており、このうち化学部門特有の問題が出るのは「専門科目」です。

化学部門の専門科目では、出題範囲として「セラミックス及び無機化学製品／有機化学製品／燃料及び潤滑油／高分子製品／化学装置及び設備」が設定されています。

また、二次試験は必須科目・選択科目1・選択科目2の3つで構成されており、2つの選択科目で化学部門特有の問題が出題されます。

具体的には、以下4つの科目が規定されています。

無機化学及びセラミックス
有機化学及び燃料
高分子化学
化学プロセス

各科目の内容を把握したうえで、必要な対策を進めていきましょう。

難易度・合格率

以下の表は、過去5年間における化学部門の一次・二次試験のデータをまとめたものです。

▼一次試験

実施年度	受験者数	合格者数	合格率
令和5年度（2023年度）	173人	112人	64.7％
令和4年度（2022年度）	194人	107人	55.2％
令和3年度（2021年度）	192人	93人	48.4％
令和2年度（2020年度）	181人	105人	58.0％
令和元年度（2019年度）	116人	75人	64.7％

参考：技術士第一次試験　統計情報

一次試験全体の合格率は40％程度で推移しており、化学部門の合格率は若干高い傾向にあるといえます。

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▼二次試験

実施年度	受験者数	合格者数	合格率
令和5年度（2023年度）	129人	24人	18.6％
令和4年度（2022年度）	124人	23人	18.5％
令和3年度（2021年度）	134人	24人	17.9％
令和2年度（2020年度）	119人	29人	24.4％
令和元年度（2019年度）	135人	29人	21.5％

二次試験についても、全体の合格率が11％程度で推移していることから化学部門の合格率は平均より若干高いといえます。

いずれにしても、二次試験を突破するためには、論文対策を中心にしっかりと準備を進めていく必要があります。

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受験資格

技術士の一次試験はいずれの部門も受験資格が設定されておらず、誰でも受験可能です。

しかし、二次試験を受けるには、「技術士補となる資格を取得すること」「一定の実務経験があること」の2点を満たす必要があります。

技術士補となる資格を取得するには、技術士一次試験に合格するか、指定された教育課程を修了します。

指定された教育課程とは、文部科学大臣が技術士第一次試験の合格と同等だと指定した大学や専門学校の教育過程です。

実務経験の要件は総合技術監理部門とそれ以外で異なり、化学部門の場合は以下3つのいずれかを満たす必要があります。

実務の内容	必要な期間
技術士補に登録して技術士の補助を行う	4年を超える期間
監督者の下で科学技術に関する実務経験を積む（※技術士補の資格取得日から算入）	4年を超える期間
科学技術に関する実務経験を積む（※技術士補の資格取得日以前の経験も算入可能）	7年を超える期間

※1つ目と2つ目の期間は合算が可能

※実務経験には大学院修士・博士課程の研究経歴を理科系統に限り算入でき、最大2年まで実務期間を短縮可能

現時点で自身がどの程度要件を満たしているか把握したうえで、合格までのスケジュールを立てましょう。