技術士の農業部門とは?合格のメリットや難易度、対策方法を解説

技術士試験は21の部門に分かれており、その1つが農業部門です。

本記事では、農業部門に合格するメリットやその難易度、対策方法について解説します。

農業部門での受験を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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技術士の試験制度

まずは技術士の試験制度について押さえておきましょう。

技術士試験は一次試験と二次試験で構成されており、以下のようなステップで登録申請まで進めます。

  1. 技術士一次試験に合格する(または合格同等と認められた教育課程を修了する)
  2. 一定の実務経験を積む
  3. 技術士二次試験の筆記試験に合格する
  4. 技術士二次試験の口頭試験に合格する
  5. 技術士の登録申請を行う

そして、各試験は以下21の部門に分かれています。

農業部門はこのうちの1つの部門です。

  • 機械部門
  • 船舶・海洋部門
  • 航空・宇宙部門
  • 電気電子部門
  • 化学部門
  • 繊維部門
  • 金属部門
  • 資源工学部門
  • 建設部門
  • 上下水道部門
  • 衛生工学部門
  • 農業部門
  • 森林部門
  • 水産部門
  • 経営工学部門
  • 情報工学部門
  • 応用理学部門
  • 生物工学部門
  • 環境部門
  • 原子力・放射線部門
  • 総合技術監理部門(二次試験のみ)

試験では選択した部門に沿った内容が出題されるため、それぞれ異なる対策が必要です。

参考:技術士試験の試験制度について

技術士の農業部門について解説

技術士の農業部門がどのような技術部門なのか、ここでは仕事内容やメリット、出題内容について詳しく解説します。

農業部門とは?どんな仕事をする?

技術士の農業部門では、主に以下のような領域を扱います。

  • 畜産
  • 農業、食品学
  • 農業農村工学
  • 農村地域、資源計画
  • 植物保護

農業部門の技術士資格を取得した方は、公共系の建設技術者やコンサルタントなどとして活躍するケースが多いといえます。

例えば、官公庁などから発注される農業土木分野の案件において、農作業用施設の調査や保全計画の策定などを行なったり、それらのコンサルティングをしたりといった業務です。

そのほか、関連施設の更新設計や農業環境の改善といった業務もあります。

資格を取得することで、周囲からは農業や畜産の領域における専門人材として活躍が期待されるでしょう。

農業部門の技術士になるメリット

農業部門の技術士資格を取得すれば、農業関連の業務に関して高度な専門知識・技術能力を有していることの証明が可能です。

その結果、以下のようなメリットが得られるでしょう。

  • 勤務先・取引先からの信頼度が上がる
  • キャリアアップ・年収アップを狙える
  • 就職・転職で有利に働く

技術的な専門知識・経験があっても、それを客観的に示すのは簡単ではありません。

技術士資格を取得すれば、専門性を効果的にアピールでき、その後のキャリアで大いにプラスに働くでしょう。

一次試験・二次試験の出題内容

一次試験は基礎科目・適性科目・専門科目の3つで構成されており、このうち農業部門特有の問題が出るのは「専門科目」です。

農業部門の専門科目では、「畜産・農芸化学・農業土木・農業および蚕糸・農村地域計画・農村環境・植物保護」が設定されています。

また、二次試験は必須科目・選択科目1・選択科目2の3つで構成されており、2つの選択科目で農業部門特有の問題が出題されます。

具体的には、以下5つの内容が挙げられています。

  • 畜産
  • 農業・食品
  • 農業農村工学
  • 農村地域・資源計画
  • 植物保護

各科目の内容を把握したうえで、必要な対策を進めていきましょう。

難易度・合格率

技術士の農業部門の難易度・合格率はどの程度なのでしょうか。

以下の表は、過去5年間における農業部門の一次試験・二次試験の実施データをまとめたものです。

<衛生工学部門一次試験>

実施年度受験者数合格者数合格率
令和5年度(2023年度)736人314人42.7%
令和4年度(2022年度)707人304人43.0%
令和3年度(2021年度)646人239人37.0%
令和2年度(2020年度)482人189人39.2%
令和元年度(2019年度)449人211人47.0%

参考:技術士第一次試験 統計情報

<衛生工学部門二次試験>

実施年度受験者数合格者数合格率
令和5年度(2023年度)808人101人12.5%
令和4年度(2022年度)722人88人12.2%
令和3年度(2021年度)702人80人11.4%
令和2年度(2020年度)592人63人10.6%
令和元年度(2019年度)796人86人10.8%

参考:技術士第二次試験 統計情報

表をみると、一次試験の合格率は約37〜47%、二次試験の合格率は約10〜13%で推移していることがわかります。

これらは技術士試験全体の合格率とおおむね一致しており、農業部門の合格率は平均的だといえるでしょう。

受験資格

技術士の一次試験はいずれの部門も受験資格が設定されておらず、誰でも受験可能です。

しかし、二次試験を受けるには、「技術士補となる資格を取得すること」「一定の実務経験があること」の2点を満たす必要があります。

技術士補となる資格を取得するには、技術士一次試験に合格するか、指定された教育課程を修了します。

指定された教育課程とは、文部科学大臣が技術士第一次試験の合格と同等だと指定した大学や専門学校の教育過程です。

実務経験の要件は総合技術監理部門とそれ以外で異なり、農業部門の場合は以下3つのいずれかを満たす必要があります。

実務の内容必要な期間
技術士補に登録して技術士の補助を行う4年を超える期間
監督者の下で科学技術に関する実務経験を積む(※技術士補の資格取得日から算入)4年を超える期間
科学技術に関する実務経験を積む(※技術士補の資格取得日以前の経験も算入可能)7年を超える期間

※1つ目と2つ目の期間は合算が可能

※実務経験には大学院修士・博士課程の研究経歴を理科系統に限り算入でき、最大2年まで実務期間を短縮可能

現時点で自身がどの程度要件を満たしているか把握したうえで、合格までのスケジュールを立てましょう。

技術士の農業部門に合格するには?

農業部門に限らず、技術士合格に必要な要素は以下の3つに分けられます。

  • 専門科目合格に必要な専門知識は40%
  • 答案に書き込む文章表現力が30%
  • 専門的なエンジニアとしての視点・見識が30%

勉強や実務で培った知識はもちろん、それを論理的に伝えるための文章力が問われます。

「技術士試験の半分は国語の試験だ」ともいわれるほどであり、特に二次試験では論文対策がきわめて重要です。

通信講座・オンライン講座を利用して第三者からフィードバックを受けるなど、効果的に対策を進めていきましょう。

農業部門の技術士になると就職・年収アップに役立つ?

農業部門に絞った技術士の平均年収は、統計的なデータが見つかりません。

しかし、令和元年分の「賃金構造基本統計調査 都道府県×職種DB」によると、技術士全体の男女別平均年収は以下の通りです。

性別平均年収
男性約673万円
女性約573万円

令和元年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均年収は436万円となっていることから、技術士の平均年収は日本人の平均年収を大きく上回るといえるでしょう。

年収が高いことは、技術士の人材としての評価の高さを表しています。

技術士資格を取得することで、就職や転職、昇進などにプラスに働く可能性は高いといえます。

まとめ

この記事では、技術士の農業部門に関して詳しく解説しました。

改めて、この記事でご紹介した内容をおさらいしてみましょう。

  • 技術士の農業部門では畜産や農業、農業農村工学などを扱う
  • 公共系の建設技術者やコンサルタントなどとして活躍できる
  • 農業部門の合格率は一次試験が約37〜47%、二次試験が約10〜13%
  • 農業部門の技術士になると年収アップや就職・転職で有利に働く可能性が高い

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