技術士試験とは
まずは技術士試験の全体像について、以下のポイントに沿って見ていきましょう。
- 技術士になるまでの流れ
- 一次試験の概要
- 二次試験の概要
それぞれ詳しく解説します。
技術士になるまでの流れ
技術士になるまでの流れを簡単にまとめると、以下の通りです。
- 技術士一次試験に合格する(または合格同等と認められた教育課程を修了する)
- 一定の実務経験を積む
- 技術士二次試験の筆記試験に合格する
- 技術士二次試験の口頭試験に合格する
- 技術士の登録申請を行う
二次試験に合格後、技術士としての登録を受けることで初めて技術士を名乗れるようになります。
二次試験を受けるためには、一次試験に合格するか合格同等と認められた教育課程を修了したうえで、必要な実務経験を積む必要があります。
二次試験の受験資格を満たすには、実務経験として以下いずれかの要件を満たすことが求められます。
実務の内容 | 必要な期間 |
技術士補に登録して技術士の補助を行う | 4年(総合技術監理部門は7年)を超える期間 |
監督者の下で科学技術に関する実務経験を積む(※技術士補の資格取得日から算入) | 4年(総合技術監理部門は7年)を超える期間 |
科学技術に関する実務経験を積む(※技術士補の資格取得日以前の経験も算入可能) | 7年(総合技術監理部門は10年)を超える期間 |
※1つ目と2つ目の期間は合算が可能
※実務経験には大学院修士・博士課程の研究経歴を理科系統に限り算入でき、最大2年まで実務期間を短縮可能
関連記事:技術士試験の試験制度について
一次試験の概要
技術士の一次試験は、例年以下のようなスケジュールで実施されます。
受験申込書の配布開始 | 6月上旬 |
受験申込書の受付 | 6月中旬~6月下旬 |
筆記試験 | 11月下旬 |
合格発表 | 翌年2月下旬 |
受験資格に定めはなく、年齢や学歴に関係なく誰でも受験可能となっています。
試験科目は基礎科目・適性科目・専門科目の3つです。
基礎科目は科学技術全般の基礎知識、適性科目は技術士としての適性、専門科目は選択した技術部門における基礎知識・専門知識が問われます。
すべて択一式の試験で、全科目50%以上の得点が合格基準となっています。
二次試験の概要
技術士の二次試験は、例年以下のようなスケジュールで実施されます。
受験申込書の配布開始 | 3月下旬 |
受験申込書の受付 | 4月初旬~4月中旬 |
筆記試験 | 7月中旬 |
筆記試験合格発表 | 10月下旬 |
口頭試験(筆記試験合格者のみ) | 11月下旬~翌年1月 |
合格発表 | 翌年3月上旬 |
筆記試験合格者のみが口頭試験に進み、その口頭試験に合格して初めて技術士としての登録が可能になります。
筆記試験は必須科目・選択科目1・選択科目2で構成され、それぞれ600字×3枚の論文作成が求められます。
一次試験のように択一式ではないため、論文対策を重ねて文章表現力を磨いておくことが大切です。
口頭試験は自身の業務経歴や筆記試験の答案を踏まえた質問に対し、その名の通り口頭で答える試験です。
簡潔かつ明瞭に答えられるよう準備しておく必要があります。
技術士一次試験の勉強方法・対策
ここでは、技術士一次試験の勉強方法をより詳しく見ていきましょう。
重要なのは、以下の2点です。
- 優先順位をつけて対策する
- 過去問に繰り返し取り組む
優先順位をつけて対策する
技術士の一次試験では、全科目で50%以上の得点が求められます。
つまり、得意科目をどれだけ磨いても、その得点でほかの科目をカバーすることはできないのです。
そのため、過去問などに取り組んで得点率の低かった苦手科目を優先的に対策することが重要です。
例えば、基礎科目と適性科目の得点が安定しているなら、専門科目の対策に集中的に取り組むのがよいでしょう。
得意な科目の勉強に集中するあまり、苦手科目の克服に十分な時間を割けなかったということがないよう、優先順位をつけて対策を進めることが大切です。
過去問に繰り返し取り組む
一次試験の対策には、過去問題を繰り返し解き、内容をしっかり理解しておくのが効果的です。
過去問を解くことで出題の傾向がわかり、効率的な試験対策が可能になるでしょう。
また、本番の形式に慣れておくことで試験当日も落ち着いて取り組めるはずです。
大きな改正がなされない限り、出題範囲や出題意図が大きく変わることはほとんどないといえます。
過去問のなかで使用されているキーワードを整理し、よく出題される範囲の理解を深めておきましょう。
技術士二次試験の勉強方法・対策
技術士二次試験の勉強方法・対策として、ここでは以下の3点をご紹介します。
- 受験申込書を作り込む
- 過去問を分析して解説書を作る
- 口頭試験の準備・練習をする
こちらも順番に解説します。
受験申込書を作り込む
2次試験の対策は、実は受験申込書の作成段階から必要です。
受験申込書に記入する「業務経歴」と「業務の詳細」は、筆記試験合格後の口頭試験の際に使用されるからです。
「本当にその業務をやっていたのか」「どのような考えで課題解決にあたったのか」など、深く掘り下げられることになります。
実際には経験していないことを書いたり、過大な表現を使ったりしていれば、すぐにボロが出てしまうでしょう。
7~8割が合格するといわれる口頭試験ですが、受験申込書だからと適当に書いてしまうと、大いに後悔することになるかもしれません。
自信がない場合は、技術士試験に精通した第三者からフィードバックをもらうのがよいでしょう。
過去問を分析して解説書を作る
前述の通り、口頭試験は7~8割が合格するといわれています。
つまり、技術士試験の最大の山場はその前の筆記試験だといえるでしょう。
600字×3枚の答案用紙を3科目分書き上げ、合格レベルを満たすには、論文作成の訓練が必要です。
まずは過去問からキーワードを抽出し、自分で解説書を作り、それを覚えるという作業がおすすめです。
そのうえで、論文の正しい書き方を何度も繰り返して練習しましょう。
ただし、論文の内容は書いた本人が見返しても内容がわかっているため、あまり効果がありません。
初めて読む人にとってはわかりにくい表現になってしまっていることもあるでしょう。
技術士二次試験に精通した方に読んでもらい、第三者の目線からフィードバックをもらうのが効果的です。
定期的にフィードバックを受け、徐々に論文のレベルを高めていけば、着実に合格に近づけるはずです。
関連記事:技術士の2次試験対策(記述試験対策)
口頭試験の準備・練習をする
最後に、筆記試験に合格したら口頭試験の準備・練習を行います。
7~8割が合格するとはいえ、言い換えればせっかく筆記試験に合格しても2~3割の受験者は口頭試験に合格できていないということです。
口頭試験では、「業務経歴」と「業務の詳細」で書いた内容に加え、筆記試験の解答に関する質問も出ています。
そのため、筆記試験が終わったら自身の解答を再現しておく必要があります。
できる限り、筆記試験の翌日には解答を書き起こしておくのがよいでしょう。
口頭試験の対策をする際は、以下3つのポイントが重要です。
- 学習計画を立てる
- スピーチ原稿を作る
- ビデオで撮影し、振り返る
口頭試験は合格率が高く、しっかりと対策すれば突破が難しい試験ではありません。
何度も繰り返し練習し、理想的な回答ができるよう準備しましょう。
関連記事:口頭試験対策の3つのポイント
まとめ
本記事では、技術士試験の勉強方法・対策について、一次試験・二次試験(筆記試験・口頭試験)に分けてそれぞれ解説します。
ポイントをまとめると、以下の通りです。
- 技術士になるには、一次試験と二次試験をそれぞれ突破する必要がある
- 一次試験では、優先順位をつけて対策すること、過去問に繰り返し取り組むことが重要
- 二次試験の筆記試験では、過去問を分析して解説書を作るのがおすすめ
- 二次試験の口頭試験では、受験申込書を作り込んだうえで、回答の準備・練習をすることが大切
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