技術士の生物工学部門とは?合格のメリットや難易度、対策方法を解説

技術士試験は21の部門に分かれており、その1つが生物工学部門です。

本記事では、生物工学部門に合格するメリットやその難易度、対策方法について解説します。

生物工学部門での受験を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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技術士の試験制度

まずは技術士の試験制度について押さえておきましょう。

技術士試験は一次試験と二次試験で構成されており、以下のようなステップで登録申請まで進めます。

  1. 技術士一次試験に合格する(または合格同等と認められた教育課程を修了する)
  2. 一定の実務経験を積む
  3. 技術士二次試験の筆記試験に合格する
  4. 技術士二次試験の口頭試験に合格する
  5. 技術士の登録申請を行う

そして、各試験は以下21の部門に分かれています。

生物工学部門はこのうちの1つの部門です。

  • 機械部門
  • 船舶・海洋部門
  • 航空・宇宙部門
  • 電気電子部門
  • 化学部門
  • 繊維部門
  • 金属部門
  • 資源工学部門
  • 建設部門
  • 上下水道部門
  • 衛生工学部門
  • 農業部門
  • 森林部門
  • 水産部門
  • 経営工学部門
  • 情報工学部門
  • 応用理学部門
  • 生物工学部門
  • 環境部門
  • 原子力・放射線部門
  • 総合技術監理部門(二次試験のみ)

試験では選択した部門に沿った内容が出題されるため、それぞれ異なる対策が必要です。

【あわせて読みたい】技術士試験の試験制度について

技術士の生物工学部門について解説

現在技術士には、建築・上下水道・農業・電気電子・機械・総合技術監理など21の技術部門が設けられています。

ここからは、技術士の中でも生物工学部門の概要について解説します。

受験を検討している人や受験する部門で迷っている人、技術士を目指している人はぜひ参考にしてください。

生物工学部門とは?どんな仕事をする?

生物工学部門の技術士は、生物工学における知見や技術を活かした仕事をします。

具体的には、例えば以下のような内容の業務や研究・開発があります。

  • iPS細胞などを活用した再生医療や医薬品などの医療分野
  • 遺伝子組み換え作物に関する研究
  • トウモロコシなどを使用したバイオ燃料の開発
  • 論文の翻訳やデータベースにおける索引付け
  • 特許出願技術の動向・追跡調査
  • 企業での商品開発

もちろん上記は一例であり、資格を取得できれば生物工学の知識が必要なあらゆる分野で活躍することが可能です。

【あわせて読みたい】技術士とは?

生物工学部門の技術士になるメリット

生物工学部門の技術士資格を取得できれば、前述の通り医療分野や化学分野など、さまざまな業界・職種で活躍することが可能です。

企業によっては昇進や昇格で有利になったり、資格手当を受け取れる場合もあります。

資格を活かして大手企業へ転職できれば、年収アップを狙うことも可能でしょう。

地域によっては都道府県ごとの技術士会もあるため、ネットワークを活用して人脈を形成したり、紹介によって新たな仕事を獲得できたりすることもあります。

なお技術士の資格があれば、ほかの国家資格の試験を受ける際に一部または全部の試験免除を受けられる場合があります。

そのため複数の資格取得を目指す方にも大きなメリットがあると言えるでしょう。

一次試験・二次試験の出題内容

一次試験は基礎科目・適性科目・専門科目の3つで構成されており、このうち生物工学部門特有の問題が出るのは「専門科目」です。

生物工学部門の専門科目には、「細胞遺伝子工学/生物化学工学/生物環境工学」が設定されています。

また、二次試験は必須科目・選択科目1・選択科目2の3つで構成されており、2つの選択科目で生物工学部門特有の問題が出題されます。

具体的には、以下3つの内容が挙げられています。

  • 物理及び化学
  • 地球物理及び地球化学
  • 地質

各科目の内容を把握したうえで、必要な対策を進めていきましょう。

難易度・合格率

以下は近年の生物工学部門一次試験の合格率をまとめた表です。

実施年度受験者数合格者数合格率
令和6年度117名59名50.4%
令和5年度122名77名63.1%
令和4年度139名48名34.5%
令和3年度131名50名38.2%
令和2年度84名21名25.0%

【参考】技術士第一次試験 統計情報

これを見ると一次試験の合格率は高い年で60%台、低い年で20%台程度であることがわかります。

バラつきは大きいものの、おおむね他部門と合わせた全体平均に近い水準だと言えるでしょう。

続けて、以下は生物工学部門二次試験の合格率をまとめた表です。

実施年度受験者数合格者数合格率
令和6年度40名7名17.5%
令和5年度30名6名20.0%
令和4年度29名5名17.2%
令和3年度27名5名18.5%
令和2年度33名9名27.3%

【参考】技術士第二次試験 統計情報

二次試験の合格率は例年10〜20%台となっており、実施年度による差はそれほど大きくありません。

こちらも、全部門での平均とおおむね一致する水準だと言えます。

受験資格

技術士の一次試験はいずれの部門も受験資格が設定されておらず、誰でも受験可能です。

しかし、二次試験を受けるには、「技術士補となる資格を取得すること」「一定の実務経験があること」の2点を満たす必要があります。

技術士補となる資格を取得するには、技術士一次試験に合格するか、指定された教育課程を修了します。

指定された教育課程とは、文部科学大臣が技術士第一次試験の合格と同等だと指定した大学や専門学校の教育過程です。

実務経験の要件は総合技術監理部門とそれ以外で異なり、生物工学部門の場合は以下3つのいずれかを満たす必要があります。

実務の内容必要な期間
技術士補に登録して技術士の補助を行う4年を超える期間
監督者の下で科学技術に関する実務経験を積む(※技術士補の資格取得日から算入)4年を超える期間
科学技術に関する実務経験を積む(※技術士補の資格取得日以前の経験も算入可能)7年を超える期間

※1つ目と2つ目の期間は合算が可能

※実務経験には大学院修士・博士課程の研究経歴を理科系統に限り算入でき、最大2年まで実務期間を短縮可能

現時点で自身がどの程度要件を満たしているか把握したうえで、合格までのスケジュールを立てましょう。

技術士の生物工学部門に合格するには?どんな勉強方法がよい?

生物工学部門に限らず、技術士合格に必要な要素は以下の3つに分けられます。

  • 専門科目合格に必要な専門知識は40%
  • 答案に書き込む文章表現力が30%
  • 専門的なエンジニアとしての視点・見識が30%

勉強や実務で培った知識はもちろん、それを論理的に伝えるための文章力が問われます。

「技術士試験の半分は国語の試験だ」ともいわれるほどであり、特に二次試験では論文対策がきわめて重要です。

通信講座・オンライン講座を利用して第三者からフィードバックを受けるなど、効果的に対策を進めていきましょう。

まとめ

今回は技術士試験の生物工学部門について解説しました。

  • 生物工学部門の技術士は、医療分野や化学分野などの業務に携わる
  • 合格すれば昇進・昇格で有利になる可能性が高く、人脈形成にも役立つ
  • 一次は誰でも受験でき、二次には実務経験などが必要
  • 一次は筆記試験のみ、二次は筆記試験と口頭試験
  • 生物工学部門の合格率は一次が20〜60%台、二次が10〜20%台

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