技術士の電気電子部門とは?合格のメリットや難易度、対策方法を解説

技術士の電気電子部門とは?合格のメリットや難易度、対策方法を解説

電気電子部門の技術士は、電気や情報通信に関するコンサルティング業務を行います。

本記事では技術士の電気電子部門について、合格するメリットや難易度、効果的な試験対策を詳しく解説します。

電気電子部門での受験を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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技術士の試験制度

技術士試験は、技術士法にもとづいて、公益社団法人日本技術士会が実施している技術士または技術士補になるための国家試験です。

技術士試験には、一次試験と二次試験があります。

一次試験は技術士補試験を兼ねており、合格すると技術士補登録をする資格が得られます。

一次試験は筆記試験のみで、日程は例年11月です。

二次試験は、一次試験に合格もしくは日本技術者教育認定機構(JABEE)が認定した大学や高専などの教育課程を修了したうえで、規定の実務経験がある人のみが受験できます。

二次試験には、筆記試験と口頭試験があります。

日程は例年筆記試験が7月、口頭試験が12月〜翌年1月です。

二次試験に合格すると、技術士登録をする資格が得られます。

【あわせて読みたい】技術士試験の試験制度について

技術士の電気電子部門について解説

現在技術士には、建築・上下水道・農業・電気電子・機械・総合技術監理など21の技術部門が設けられています。

ここからは、そのなかの電気電子部門の概要を解説します。

電気電子部門の技術士になるメリット

電気電子部門の技術士は、電気や情報通信の技術に関するコンサルティング業務が主な仕事です。

資格を取得できれば、業界や職種を問わずビジネスシーンで役立つ機会が多いでしょう。

企業によっては昇進や昇格で有利になったり、資格手当を受け取れたりする場合もあります。

また資格を活かして大手企業へ転職することで、年収アップを狙うこともできます。

さらに、技術者の資格があれば、ほかの国家資格の試験を受ける際に一部または全部免除を受けられる場合もあるため、複数の資格取得を目指す方にもおすすめです。

電気・電子関連の技術職に就いている方、就きたいと考えている方は、ぜひ取得を検討してみてください。

電気電子部門の難易度・合格率

以下は、近年の電気電子部門一次試験の合格率をまとめた表です。

これを見ると、一次試験の合格率は高い年で50%前後、低い年で30%台であることがわかります。

令和5年度の合格率は38.2%で、4割弱の人が合格しています。

年度受験者数合格者数合格率
令和5年度1,310名501名38.2%
令和4年度1,430名522名36.5%
令和3年度1,548名513名33.1%
令和2年度1,458名704名48.3%
令和元年度749名388名51.8%

参考:技術士第一次試験 統計情報

以下は、近年の電気電子部門二次試験の合格率をまとめた表です。

これを見ると、二次試験の合格率は例年10%前後であることがわかります。

令和5年度の合格率は9.2%で、合格できた人はわずか1割弱でした。

一次試験と比べると二次試験の合格率は低く、十分な対策が求められます。

年度受験者数合格者数合格率
令和5年度1,024名94名9.2%
令和4年度1,023名99名9.7%
令和3年度1,077名108名10.0%
令和2年度952名124名13.0%
令和元年度1,229名150名12.2%

電気電子部門の受験資格

技術士試験の一次試験については、特に受験資格はありません。

年齢や学歴、職務経歴などに関係なく、誰でも受験することが可能です。

一方で二次試験を受験するには、一次試験に合格もしくは日本技術者教育認定機構(JABEE)が認定した大学や高専などの教育課程を修了したうえで、実務経験が必要となります。

なお実務経験は、下記のいずれかが求められます(総合技術監理部門を除く)。

実務の内容必要な期間
技術士補に登録して技術士の補助を行う4年を超える期間
監督者の下で科学技術に関する実務経験を積む(※技術士補の資格取得日から算入)4年を超える期間
科学技術に関する実務経験を積む(※技術士補の資格取得日以前の経験も算入可能)7年を超える期間

※1つ目と2つ目の期間は合算が可能

※実務経験には大学院修士・博士課程の研究経歴を理科系統に限り算入でき、最大2年まで実務期間を短縮可能

一次試験・二次試験の出題内容

一次試験の出題内容は、以下の通りです。

基礎科目適性科目専門科目
出題内容科学技術全般にわたる基礎知識を問う問題技術士法第四章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性を問う問題当該技術部門に係る基礎知識及び専門知識を問う問題
試験時間1時間1時間2時間
配点15点満点15点満点50点満点
合格基準50%50%50%

出題科目は、基礎科目・適性科目・専門科目の3つがあります。

出題形式は、全科目択一式となります。

なお電気電子部門の専門科目の内容は、「発送配変電/電気応用/電子応用/情報通信/電気設備」です。

続いて、二次試験の出題内容は以下の通りです。

▼筆記試験

試験科目必須科目選択科目
出題内容「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの「選択科目」についての専門知識及び応用能力に関するもの「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
試験方法記述式(600字詰解答用紙3枚以内)記述式(600字詰解答用紙3枚以内)記述式(600字詰解答用紙3枚以内)
試験時間2時間3時間30分
配点40点30点30点

 

▼口頭試験

諮問事項

出題内容

技術的体験を中心とする経歴の内容および応用能力技術的体験を中心とする経歴の内容および応用能力
技術者倫理技術士制度の認識その他
諮問時間20分
合格基準60%60%60%

二次試験では、筆記試験と口頭試験が実施されます。

口頭試験は筆記試験の合格者のみの実施です。

なお電気電子部門の選択科目の内容は、「電力・エネルギーシステム/電気応用/電子応用/情報通信/電気設備」です。

技術士の電気電子部門に合格するには?

電気電子部門を含め、技術士になるには特に合格率の低い二次試験の対策が重要となります。

二次試験で必要な要素は、専門知識が40%、 答案に書き込む文章表現力が30%、 専門的なエンジニアとしての視点・見識が30%といったイメージです。

専門知識は、学校の授業や独学で学んで得た知識、業務経験で得た知識です。

ただし、こうした専門知識があるだけでは技術士試験に合格できません。

まず、わかりやすい解答文を書くための文章表現が必要となります。

試験対策では、誰が読んでも伝わりやすい文章を書く練習をするのがおすすめです。

またエンジニアとしての視点・見識を示すためには、専門領域を意識したうえでの回答を心がけることが大切です。

電気電子部門の試験なのに、例えば物理や化学など、別の分野からの見識を書いても評価はされません。

キーワードの意味については、あくまで自身の専門領域から考えるようにしましょう。

電気電子部門の技術士になると年収は上がる?

電気電子部門の技術士の年収については、正確なデータがあるわけではないため不明です。

また一言で技術士といっても、企業規模や経験年数、地域、所属する部門などによって年収は大きく異なります。

そのため、電気電子部門の技術士になりさえすれば、必ず年収を上げられるというわけではありません。

それでも、技術士は学術界では博士号に該当するといわれるほど権威のある資格です。

令和元年分の「賃金構造基本統計調査 都道府県×職種DB」によると、技術士の男女別平均年収は以下の通りでした。

日本人の平均よりはかなり高い傾向にあるといえるでしょう。

性別平均年収
男性約673万円
女性約573万円

また、企業によっては昇進・昇格で有利になったり、資格手当を受け取ったりできます。

さらなる年収アップを狙う場合は、大企業への転職や技術コンサルタントへの転身を検討してみてください。

まとめ

今回は、技術士試験の電気電子部門について解説しました。

ポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 電気電子部門の技術士は、電気や情報通信の技術に関するコンサルティングなどを行う
  • 合格すれば昇進・昇格で有利になったり資格手当が受け取れたりする
  • 合格率は一次が30〜50%程度、二次が10%程度
  • 一次は誰でも受験可能、二次を受験するには実務経験などが必要
  • 一次では筆記試験のみ、二次は筆記試験と口頭試験が実施される
  • 合格するには専門知識の習得だけでなく文章力なども必要

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