2020年(令和2年)1月試験 FP2級試験の出題講評


2020年(令和2年)1月試験(1月26日実施)の問題の傾向を解説します。

FP2級学科試験

全体

今回の学科試験は、全体的に普通~やや難しいレベルの出題でした。各科目において時折難しい問題も散見されましたが、基本問題から確実に得点したい問題でした。合格ラインの60%を考えた場合、全科目基本テーマをもれなく学習していれば、十分に合格できる内容だったと考えられます。

科目1

今回の科目1は、頻出テーマを中心に出題されました。関連法規として、年金の支給繰下げ請求書の作成のように社労士など他資格がないFPができる行為について問われています。次に、ライフプランニングに当たって作成するバランスシート・キャッシュフロー表については、基礎知識の範囲で確実に正解できる内容でした。また、公的介護保険、雇用保険、公的年金、公的年金の遺族給付などのテーマは、定期的に出題される問題ですので、取りこぼしのないようにしましょう。また、最近の傾向として、確定拠出年金の出題が増えていますが、今回の1月試験でも1題出題されています。個人型年金(iDeCo)の掛金については、年額を含めて仕組みを確実におさえておきたいものです。また、日本学生支援機構の奨学金や国の教育ローンについては、近年出題頻度が上がっていますのでしっかり覚えておきましょう。住宅ローンの返済軽減額の計算と貸借対照表に関する経営分析指標は、やや難易度の高い問題でした。いずれも落としても仕方のない問題でしたが、住宅ローンでは資本回収係数を使用すること、経営分析指標では当座比率(当座資産(現金及び預金、受取手形、売掛金など)÷流動負債×100%)や固定長期適合率(固定資産÷(自己資本+固定負債)×100)などの意味と計算式をおさえておきましょう。今回は科目全体でやや難しい問題が含まれているものの、6~7点は確保したい内容でした。

科目2

科目2は、前回に続き頻出テーマ中心の問題でしたので、対策をしっかりしていた方は得点を稼げたのではないかと思われます。生命保険・個人年金保険の商品性、生命保険料控除、地震保険、傷害保険の商品性、損害保険の課税関係、法人契約の損害保険の経理処理、第三分野の保険の商品性はほぼ例年通りの出題です。法人契約の終身保険の経理処理については、選択肢の中に名義変更など見覚えのないものが含まれていましたが、結局は基本事項の理解が重要ですので、各保険の保険料を支払った場合の資産計上・損金算入の割合、保険金・給付金等を受け取った場合の処理を保険の種類ごとにおさえておきましょう。損害保険を利用した事業活動のリスク管理についても、各種保険の補償(保障)内容をおさえていれば、対応可能な問題です。全体的に難易度の高い問題、珍しい問題は特に見られませんでした。科目全体では8~9点は取りたい内容でした。

科目3

科目3は幅広い分野から出題される傾向にありますが、今回は頻出テーマと準頻出テーマが中心の出題でした。経済指標については、景気動向指数・日銀短観といった定番の指標に加え、消費動向指数やマネーストック統計についても概要をおさえておきましょう。投資信託については各種の運用手法等を頭に入れておけば正解できる問題でした。債券は難しい問題でしたが、今後はさまざまな債権の主な特徴だけで結構ですので、覚えておくと良いでしょう。株式の信用取引については準頻出といえるテーマですので、マニアックな部分を除き、概要を理解しておきましょう。株式の投資指標については与えられたデータをもとにPER・PBR・ROEなどを確実に計算できるようにしておく必要があります。外貨預金やポートフォリオ理論については、苦手にされる方も多い分野ですが、今回の問題は概要をおさえておけば、難なく正解できる問題でした。一般NISA・つみたてNISAについては、話題の制度で、FP試験でも出題頻度が上がっていますので、制度の概要を一通りおさえておく必要があります。預金保険制度などセーフティネットに関する出題も準頻出といえますので、しっかり学習して得点源にしましょう。金融商品に関する各種法令については、細かい条文ではなく、概要をしっかり把握していれば正解することができます。科目全体では難しい問題もありましたが、8点は確保できる内容でした。

科目4

科目4は、例年通りに出題されています。所得税の仕組み、各種所得の計算、損益通算、所得控除、税額控除については、いずれも欠かすことのできない学習項目です。所得税の分野で毎回出題される所得控除については、社会保険料控除、医療費控除、地震保険料控除、生命保険料控除が出題されました。所得控除は各試験で項目を変えて出題されるので、すべての控除項目について基本的な内容をおさえておく必要があります。税額控除については住宅ローン控除の内容を確実におさえておきましょう。所得税の青色申告についても、よく出題される問題ですので、青色申告承認申請書の提出期限などの基本事項を確実におさえておく必要があります。今回の試験では、前回に続き法人にまつわる問題が全体で3問出題されました。消費税も含めると4問です。特に法人税の損金、計算書類・申告書、消費税は、基本的な内容を一通り学習しておいてください。会社と役員間の取引までおさえられると万全です。科目全体では8点は取りたい内容でした。

科目5

科目5では、これまでの傾向通り、建築基準法、不動産の譲渡など頻出テーマから出題されています。これらのうち、建築基準法については、道路斜線制限、日影規制、用途制限に関するやや難易度の高い問題でした。不動産の譲渡については、3,000万円特別控除と軽減税率の特例といった定番問題でした。借地借家法では、「借地契約」が出題されていました。次回以降も、「借地契約」「借家契約」のどちらかまたは両方が出題されてもおかしくありませんので、どちらにも対応できるようにしておく必要があります。その他には、不動産の登記、土地の価格、都市計画法、区分所有法、不動産の取得に係る税金(不動産取得税・登録免許税・消費税)、固定資産税・都市計画税と定番に近い問題が出題されました。これら6つの問題については、基本的な内容が問われているため、得点しやすい内容となっています。最後の不動産の投資判断の手法等は、覚えておけば得点につながるため、上記の頻出テーマをおさえた後に学習するようにしましょう。科目全体では7点を確保したい内容でした。

科目6

今回の科目6では、特に難易度の高い問題は含まれておらず、得点を積み重ねられる内容でした。贈与税の課税財産、贈与税(暦年課税と相続時精算課税、申告と納付)、民法上の相続人と相続分、遺産分割、相続税の課税財産(債務控除を含む)は最頻出テーマです。基礎的な学習を地道に行い、得点できるようにしておきましょう。その他には、民法上の贈与(個人間の贈与等)、相続税の納税資金対策についても問われていましたが、いずれも基本的な内容で得点をすることは十分可能です。最後の民法上の遺言については、民法改正に関連して財産目録の記載ルールも問われていましたが、対応できた方が多かったのではないでしょうか。納税資金対策の問題は若干難しかったかもしれませんが、科目全体で8点は確保したい内容でした。


FP2級実技試験

【資産設計提案業務(日本FP協会)】

日本FP協会の実技試験は、今回も定番問題を中心に構成されていました。目新しい点と言えば、火災保険・地震保険の保険証券の資料問題、配偶者控除・配偶者特別控除の額を求める問題、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関する問題、つみたてNISAとiDeCoの概要に関する問題、相続税の総額の計算問題です。ただ、やや難易度の高い問題はあるものの、全体の傾向は大きく変わっていないため、試験本番に落ち着いて対処できたかがポイントとなります。保険証券の読み取り問題、総所得金額の計算、宅地の相続税評価額の計算式、キャッシュフロー表の穴埋め問題、6つの係数を使った計算、個人バランスシートの純資産額の計算など、日本FP協会の特徴である問題は今回も出題されています。他の問題も、学科試験とも共通の頻出テーマから多く出題されているため、基本学習と問題演習をしっかり行っていた方は得点できたのではないでしょうか。今後もこの傾向は続くと予想されますので、日本FP協会の試験を受検予定の方は、資産設計提案業務の過去問をしっかり解いておきましょう。

【個人資産相談業務(金融財政事情研究会)】

こちらも出題形式は大きな変更がなく、通常通りの出題といって良いでしょう。公的年金制度の老齢給付に関する知識だけでなく、老齢基礎年金・老齢厚生年金の年金額の計算まで問われるのが金融財政事情研究会(金財)の特徴です。年金額の計算式については、資料は与えられるため、暗記の必要はありませんが、計算練習は反復して行っておく必要があります。金融資産運用では、社債の格付けや最終利回り、外貨預金の運用利回りなどについて問われています。タックスプランニングの分野では、住宅ローン控除が出題されていますが、控除期間などが改正されているため注意が必要です。配偶者控除など所得控除の額に関する問題も出題されています。また、相続・事業承継の分野では、建築面積・延べ面積の上限、自己建設方式、地積規模の大きな宅地の評価、相続税の総額の計算などに関してレベルの高い問題が出題されています。金財の問題は、日本FP協会の問題に比べて、ボリュームがやや多いので時間配分やケアレスミスに注意が必要です。語群選択問題や○×問題かと思いきや、しっかり計算させるという問題もあります。逆に言うと、暗記重視ではないため、理屈を理解し、計算ができるような人は、金財の試験に向いているとも言えます。
金財の問題は、資料のボリュームが多いのも特徴で、資料の読み取り力が求められます。学科試験対策では、ほぼ資料の読み取りを練習しないので、金財の実技試験を受ける人は、必ず金財の過去問で問題演習をして、出題形式に慣れておきましょう。


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