iDeCo(イデコ)とは?メリット・デメリットと2026年12月の改正点をわかりやすく解説

iDeCo(イデコ)は、自分で掛金を積み立てて運用し、老後資金をつくる私的年金制度です。掛金が全額所得控除になるなど、税制上の優遇が大きいのが特徴です。

2026年12月からは制度改正により、掛金の上限が大幅に引き上げられ、加入できる年齢も70歳未満まで広がります。これまで以上に、多くの人が活用しやすい制度になります。

この記事では、iDeCoの仕組みやメリット・デメリット、2026年12月の改正点、NISAとの違いについて、FPの視点からわかりやすく解説します。

iDeCo(イデコ)とは?

iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の愛称で、英語表記の「individual-type Defined Contribution pension plan」に由来します。

加入者が毎月の掛金を決めて積み立て、自分で選んだ定期預金・保険・投資信託などの商品で運用し、原則60歳以降に年金または一時金として受け取ります。

公的年金(国民年金・厚生年金)に上乗せして、老後の資金を自分で準備するための制度です。原則として、20歳以上の国民年金被保険者であれば加入できます。

確定拠出年金とは

確定拠出年金は、掛金の額(拠出額)があらかじめ決まっていて、将来受け取る金額は運用成果によって変わる年金制度です。

これに対して確定給付年金は、将来の受取額(給付額)があらかじめ決まっている制度です。予定どおりの運用成果が出なければ、企業が不足分を補う必要があります。

確定拠出年金は、運用の結果を加入者自身が引き受ける制度といえます。運用がうまくいけば受取額が増え、うまくいかなければ積み立てた元本を下回る可能性もあります。

企業型DCとiDeCoの違い

確定拠出年金には、勤務先が導入する「企業型確定拠出年金(企業型DC)」と、個人が自分の意思で加入する「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の2種類があります。

企業型DCiDeCo
加入のきっかけ勤務先が導入個人が任意で加入
掛金を出す人原則として企業(規約により本人の上乗せも可)本人
金融機関の選択勤務先が選定本人が自由に選ぶ
退職・転職時iDeCoや転職先の企業型DCに資産を移す原則として継続可能

企業型DCに加入している会社員も、一定の場合を除きiDeCoに同時加入できます。

iDeCoの掛金の上限額【2026年12月から引き上げ】

iDeCoの掛金は月額5,000円から、1,000円単位で自由に設定できます。上限額は、働き方や勤務先の企業年金の有無によって異なります。

2026年12月分の掛金(2027年1月引落分)から、上限額が次のとおり引き上げられます。

加入者の区分2026年11月分まで2026年12月分から
自営業者・フリーランスなど(第1号被保険者)月6.8万円月7.5万円
会社員・公務員(企業年金なし)月2.3万円月6.2万円
会社員・公務員(企業年金あり)月2.0万円(企業年金と合算で5.5万円以内)企業年金と合算で月6.2万円以内
専業主婦(主夫)など(第3号被保険者)月2.3万円月2.3万円(変更なし)

※自営業者などの上限額は、国民年金基金や国民年金の付加保険料と合算した金額です
※企業年金がある場合は、6.2万円から企業型DCの事業主掛金や確定給付企業年金などの掛金相当額を差し引いた額が、iDeCoの上限額になります

とくに影響が大きいのは会社員と公務員です。企業年金のない会社員は、上限が約2.7倍になります。企業年金のある会社員や公務員も、これまでの「iDeCoだけで月2万円まで」という上限がなくなり、企業年金の掛金が少ない人ほど多く拠出できるようになります。

自分の企業年金の掛金相当額がわからない場合は、勤務先の人事・総務担当に確認しましょう。

【参考】厚生労働省「2025年の制度改正」

加入できる年齢も70歳未満に拡大

これまでiDeCoに加入できるのは、原則65歳未満の国民年金被保険者に限られていました。

2026年12月からは、次のいずれかに当てはまる人は70歳未満まで掛金を拠出できるようになります。

  • iDeCoの加入者、または掛金を拠出せずに運用だけを続けている運用指図者
  • 企業年金からiDeCoへ資産を移す人

ただし、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取り始めている人や、企業型DCでマッチング拠出(本人の上乗せ拠出)をしている人は対象外です。

また経過措置として、施行日から3年間は、上記に当てはまらない60歳以上70歳未満の人も新たにiDeCoへ加入できます。

60歳以降も働き続ける人が増えるなか、より長く積み立てと節税のメリットを受けられるようになります。

iDeCoの4つのメリット

iDeCoには、次のようなメリットがあります。

1. 掛金が全額所得控除になる

iDeCoの最大のメリットは、積み立てた掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれることです。その分、所得税と住民税が安くなります。

会社員や公務員は、毎年10月頃に国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を年末調整で提出すると、控除を受けられます。自営業者などは確定申告で申告します。

なお、給与天引きで掛金を納めている場合は、年末調整で勤務先が控除を反映するため、証明書の提出は不要です。

2. 運用益が非課税になる

通常、投資信託の売却益や分配金、預金の利息には、20.315%の税金がかかります。iDeCoで運用している間は、これらの運用益に税金がかかりません。

非課税になった分の利益をそのまま再投資できるため、長く続けるほど、利益が利益を生む「複利効果」が大きくなります。

3. 受け取るときも税制優遇がある

iDeCoの資産は、一時金、年金、または両方の組み合わせで受け取れます。

一時金で受け取る場合は「退職所得控除」、年金で受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となり、いずれも税負担を軽くできます。

4. 少額から始められ、金額も変更できる

掛金は月5,000円から始められ、1,000円単位で設定できます。掛金額は年1回変更でき、家計が苦しいときは掛金の拠出を止めて、運用だけを続けることも可能です。

毎月ではなく、年1回以上、任意の月にまとめて拠出する方法(年単位拠出)も選べます。

iDeCoの3つのデメリット・注意点

一方で、iDeCoには次のような注意点もあります。

1. 原則60歳まで引き出せない

iDeCoは老後資金をつくるための制度のため、原則として60歳になるまで資産を引き出せません。住宅購入や教育費など、60歳より前に使う予定のお金をiDeCoで準備するのは避けましょう。

受け取りを始める時期は、60歳から75歳までの間で選べます。ただし、加入期間等に応じて60~65歳の間で受給開始年齢が決まります。

2. 手数料がかかる

iDeCoでは、次の手数料がかかります。

手数料の種類支払先金額(税込)
加入時国民年金基金連合会2,829円(初回のみ)
掛金を拠出している間国民年金基金連合会月105円
事務委託先金融機関(信託銀行)月66円
運営管理機関(加入する金融機関)0円〜(金融機関により異なる)
受取時事務委託先金融機関1回440円

※手数料は2026年9月時点のものです。

国民年金基金連合会と信託銀行の手数料はどの金融機関でも共通ですが、運営管理機関の手数料は金融機関によって異なります。ネット証券などでは無料のところも多いため、金融機関選びの際は必ず確認しましょう。なお、国民年金基金連合会の手数料は2027年1月の引落分から改定される予定です。

また、投資信託で運用する場合は、保有期間中に運用管理費用(信託報酬)もかかります。

3. 元本割れのリスクがある

投資信託で運用する場合、運用成果によっては受取額が積み立てた掛金の合計を下回る可能性があります。

元本割れを避けたい場合は定期預金や保険などの元本確保型商品を選ぶこともできますが、その分、大きく増やすことは期待できません。年齢や受け取りまでの期間、リスク許容度に合わせて商品を選ぶことが大切です。

iDeCoでどれくらい節税できる?計算例

iDeCoの掛金による節税額は、「年間の掛金 ×(所得税率+住民税率10%)」で概算できます。

例1:会社員(企業年金なし、所得税率10%)が月2.3万円を積み立てる場合
年間掛金27万6,000円 × 20% = 年間約5万5,200円の節税

例2:同じ会社員が、2026年12月以降に月6.2万円へ増額した場合
年間掛金74万4,000円 × 20% = 年間約14万8,800円の節税

例3:自営業者(所得税率20%)が月7.5万円を積み立てる場合
年間掛金90万円 × 30% = 年間約27万円の節税

※所得税率は課税所得によって5〜45%の範囲で変わります。復興特別所得税は考慮していません
※所得税・住民税がかからない人は、掛金の所得控除による節税効果はありません

たとえば例1の人が30年間続けた場合、掛金の所得控除だけで約165万円の節税になります。さらに運用益の非課税効果も加わるため、長く続けるほどメリットは大きくなります。

iDeCoとNISAの違い

資産形成の制度として、iDeCoとよく比較されるのがNISAです。

iDeCoNISA
目的老後資金の準備目的を問わない資産形成
掛金の所得控除ありなし
運用益非課税非課税
受取時の税金退職所得控除・公的年金等控除の対象非課税
引き出し原則60歳まで不可いつでも可能
年間の上限働き方により異なる(上記参照)年360万円(生涯1,800万円)

iDeCoは掛金が所得控除になる点で節税効果が大きい一方、60歳まで引き出せません。NISAは所得控除はありませんが、いつでも引き出せる自由度の高さが魅力です。

老後資金はiDeCo、それ以外の目的のお金や、いざというときに使える資金はNISA、というように、目的に応じて使い分けたり併用したりするのが効果的です。

NISAについては、こちらの記事でくわしく解説しています。

【内部リンク】NISA(ニーサ)とは?(nisa.html)

iDeCoの受け取り方と退職金との関係

iDeCoの資産を一時金で受け取る場合は、会社の退職金と同じ「退職所得」として扱われ、退職所得控除を受けられます。

ただし、iDeCoの一時金と退職金を近い時期に受け取ると、両方の退職所得控除を満額使えない場合があります。2026年1月以降は、iDeCoの一時金を先に受け取り、その後10年未満のうちに退職金を受け取ると、控除額が調整される仕組みになりました(2025年までは5年未満)。

退職金を受け取る予定がある人は、受け取る順番や時期、一時金と年金の受け取り方の組み合わせを、あらかじめ考えておくと安心です。

iDeCoの始め方

iDeCoは、次の流れで始められます。

  1. 自分の加入区分と掛金の上限額を確認する
  2. 金融機関(運営管理機関)を選ぶ
  3. 加入の申込書類を提出する(会社員は勤務先の証明が必要な場合あり)
  4. 掛金額と運用商品を決める
  5. 積み立てと運用を開始する

金融機関を選ぶ際は、運営管理機関の手数料、取り扱う商品の数や信託報酬の低さ、サポート体制などを比較しましょう。iDeCoの口座は1人1つしか持てませんが、あとから金融機関を変更することは可能です。

まとめ:iDeCoは2026年12月からさらに使いやすくなる

iDeCoについて解説しました。本記事のポイントは以下のとおりです。

  • iDeCoは、自分で積み立てて運用し、原則60歳以降に受け取る私的年金制度
  • 掛金の全額所得控除、運用益の非課税、受取時の控除という3つの税制優遇がある
  • 2026年12月分から掛金の上限が引き上げられ、会社員は企業年金と合算で最大月6.2万円、自営業者は月7.5万円になる
  • 加入できる年齢も、条件を満たせば70歳未満まで拡大される
  • 原則60歳まで引き出せない、手数料がかかる、元本割れのリスクがあるといった注意点もある
  • NISAとは目的や特徴が異なるため、使い分けや併用がおすすめ

iDeCoやNISAをはじめ、税金、年金、保険などのお金の知識を体系的に身につけたい方には、FP(ファイナンシャル・プランナー)の資格学習がおすすめです。FP3級の試験範囲には、iDeCoの仕組みや税制優遇も含まれており、自分の資産形成にすぐ役立つ知識が得られます。

スタディングのFP講座では、スマホで講義の視聴から問題演習まで学習を完結できます。3級・2級の講義と問題を無料で体験できるので、ぜひお試しください。

▶︎スタディング FP講座を無料で試してみる