ファイナンシャルプランナー(FP)の勉強をすると、生きていく上で欠かせない、お金に関する知識を得られます。
資格を仕事に生かしたいと考えている人にはもちろんですが、自分のための知識・教養としてもおすすめです。
この記事では、自分のためにFP資格を取得するメリットや注意点を紹介します。
目指すレベルやおすすめ勉強法、勉強スタンスなどについてもお伝えします。
自分のためにFPを取得する5つのメリット
ファイナンシャルプランナー(FP)の勉強を進めていくと、家計にまつわるお金の知識(住宅ローン、教育資金、保険、年金制度、不動産など)が身につきます。
FPの資格があれば、金融業界や不動産業界などで働く際に役立つだけでなく、その知識を自分自身のために生かすことも可能です。
自分のためにFPを取得するメリットを5つに絞って紹介します。
- ライフプランを立てられる
- 将来に備える力がつく
- 保険の見直しができる
- 家計の節約につながる
- 家族や財産を守れる
順番にみていきましょう。
ライフプランを立てられる
長い人生の中には、住宅購入資金や子どもの教育費など、まとまったお金が必要になる時期があります。
ぎりぎりになってお金を用意するのは難しいこともあるため、事前に自身のライフプランを立てておくと安心です。
FPではライフプランニングと資金計画を学びます。
ライフプランニングとは、これからの人生で起きるイベントや実現したい夢を整理し、それに向けてどう準備するかを考えることです。
マイホームの購入や子どもの進学、定年退職など、ライフプランを具体的に考えておけば、資金の準備もしやすくなるでしょう。
将来に備える力がつく
FPでは金融資産運用についても学習します。
金融庁の試算では、年金などの収入と支出の差を踏まえると「老後20年で約1,300 万円、30年では約2,000 万円が不足する」といわれています。
かならずしもこの金額が必要というわけではありませんが、将来に備えることは大切です。
FPの学習を進めていけば、投資信託・債券投資・株式投資などの基本知識が身につきます。
貯蓄に加え上手に資産を運用していくことで、将来のためにしっかりと準備できるでしょう。
【参考】金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」
保険の見直しができる
FPの勉強をすれば、生命保険や医療保険、介護保険など保険の基本も理解できるようになります。
保険は一度加入したら一生安心、というわけではありません。
結婚や出産を経て、過去に入った保険の補償額に不足が生じたり、異なる種類の保険が必要になったりすることも考えられます。
ライフステージに応じて、補償額や保険の種類を見直すことが重要です。
保険に関する基礎知識があれば、今自分が加入している保険が本当に必要なものかどうかを見極められるようになるでしょう。
今の自分に合った保険に加入することで、過剰な保険料も抑えられます。
家計の節約につながる
FPの勉強を通じて税金の仕組みを学ぶことで、何となく払っている税金の理解が深まります。
ふるさと納税や医療費控除、住宅ローン控除など、制度を活用すれば節税や家計の節約につながることもあります。
税金を理解することが、家計の収支を見直すきっかけにもなるでしょう。
家族や財産を守れる
FPの勉強では、不動産や相続・贈与についての知識も身につきます。
たとえば、不動産の知識があれば、アパートを借りる際や住宅を購入する際などに、契約内容をある程度自分で理解できるようになり、疑問点にも気づきやすくなるでしょう。
このような大きなお金が動く場面で、基本的な知識を持っていると安心です。
また、相続や贈与は人生でそう何度も経験するものではありませんが、家族間のトラブルに発展するケースもあります。
相続や贈与に関する知識があれば、トラブルを未然に防げるかもしれません。
自分のためにFPを取得したい人が知っておくべき2つの注意点
FPの知識は将来設計やお金の管理に役立ち、自分のために生かせます。
ただし、自分のためにFPを取得する際には、以下の2つの点に注意しましょう。
- お金の悩みをすべて自分で解決できるとは限らない
- 資格取得のための勉強になりやすい
それぞれ解説します。
お金の悩みをすべて自分で解決できるとは限らない
FPの知識は、家計管理や資産運用、保険選びなど、さまざまなお金に関する悩みを解決する上で役立ちます。
しかし、すべての悩みを解決できるわけではありません。
病気や介護などで急な費用が必要になった場合や、住宅購入や相続などで大きなお金が動くような場合には、より専門的な知識が求められることがあります。
自分で対応できない場合は、状況に応じて専門家にアドバイスをもらうことも必要です。
ただ、そのような場合でもFPの知識は無駄になりません。
知識があれば、専門家の話を理解しやすくなります。
問題に冷静に向き合うことが可能になり、納得のいく判断ができるでしょう。
資格取得のための勉強になりやすい
自分のためにお金に関する知識を身につけるという目的で勉強をスタートしても、資格取得を目指す場合、どうしても「合格すること」がゴールになってしまいがちです。
必要項目の暗記ばかりに力を入れてしまうと、生活に使える知識としては定着しにくくなる可能性があります。
ただ暗記するのではなく、実際の家計・資産管理と関連付けたり、制度の背景などを考えたりしながら勉強するなどの工夫も必要です。
自分のために学ぶならFP何級を目指すべき?
FPは難易度の低い順から3級・2級・1級とわかれています。
自分のために学ぶという場合、何級を目指すべきなのか解説します。
自分のためならFP3級で充分
保険や年金・税金など身の回りのお金に関する知識を身につけたいのであれば、3級に挑戦するのがおすすめです。
FP3級は入門レベルであり、お金に関する基本的な知識が学べます。
普段の生活に関わる知識も多く問われるため、独学でも取り組みやすい内容です。
FP3級の受検資格は「FP業務に従事している者または従事しようとしている者」となっていますが、実務経験や特別な資格などは必要ありません。
誰でも受検可能で挑戦しやすい資格試験です。
さらに知識を深めたいならFP2級にチャレンジ
FP3級を取得してみて、もっとステップアップしたい場合はFP2級にチャレンジするのもひとつの方法です。
FP3級は個人資産に関する知識が中心でしたが、FP2級では中小企業の資産相談などに関する知識も必要となり、より専門的な知識が問われます。
とくに実技試験ではFP3級が多肢選択式のところ、FP2級では記述式問題も出題され、実用スキルも試されます。
なお、FP2級には受検資格があり、下記のいずれかの条件を満たさなければなりません。
- AFP認定研修の受講修了者
- 3級FP技能検定合格者
- FP実務経験2年以上
実務経験がない場合には、FP3級、2級と順を追って受検しましょう。
FP2級については、こちらの記事でくわしく紹介しています。

FP資格はいきなり2級から取れるの?3級や1級との違いを解説
FP2級は、3級資格を持たずとも学科試験を受けることが可能ですが、認定研修の修了者、もしくは実務経験2年以上ある方が対象です。FP2級および3級は、学科試験…
FP2級は、3級資格を持たずとも学科試験を受けることが可能で…
自分のために学ぶ人向け|FPのおすすめ勉強法4選
ここからは、自分のために学ぶ人に向けて、FPのおすすめ勉強法を4つ紹介します。
- オンライン講座を受講する
- 無料のオンライン教材を活用する
- 市販のテキストを使用する
- 過去問を繰り返し解く
ひとつずつ解説していきます。
オンライン講座を受講する
効率よくFP合格を目指すなら、オンライン講座がおすすめです。
カリキュラムが整っており、試験内容を順序立てて学べます。
「スタディング」ではFP試験の出題傾向を徹底的に分析し、合格に導くカリキュラムを用意しています。
スマートフォンやタブレット端末で学習が完結するため、時間や場所を選ばず、効率よく学習できます。
また、FP試験は3級・2級ともにコンピュータで受検するCBT試験に移行されましたが、スタディングならCBT試験を想定した模擬試験を試せるため、本番の練習にも最適です。
無料のオンライン教材を活用する
FPの取得には、無料のアプリやオンライン上で公開されている問題、YouTubeなどの解説動画も活用できます。
お金をかけずに勉強したい場合は、これらを活用するのが効果的です。
気軽に勉強できる点はオンライン教材のメリットのひとつです。
机に向かっての勉強はハードルが高い場合でも、アプリやYouTubeなどを活用すれば無理なく学べます。
ただし、誰でもアップロードできるコンテンツには、信頼性に欠ける情報や誤ったアドバイスが含まれている可能性があります。
無料のオンライン教材を活用する際は注意してください。
市販のテキストを使用する
FPに関するテキストは、数多く販売されています。
書店やインターネットで購入できるので、市販のテキストを1冊買って、勉強を始めるのもひとつの方法です。
市販のテキストを活用する際は、最新のものを選ぶようにしてください。
FP試験には法令基準日が設定されています。
法令基準日とは、出題される内容がどの時点の法律や制度に基づくかを定めたものです。
たとえば、2025年6月に実施されるFP試験の場合、法令基準日は2025年4月1日です。
試験問題は、2025年4月1日時点で有効な法律や税制に基づいて作成されることになります。
古本屋やフリーマーケットなどでテキストを購入する場合、古い法令・制度に基づいた内容になっている可能性があります。
自分が受検する試験日にあうテキストかどうか事前の確認が必要です。
過去問を繰り返し解く
過去問を繰り返し解くことで、FP試験の傾向をつかめます。
FP試験では過去問を焼き直した問題が多く出題されているので、解いておくのがおすすめです。
過去問を解く際は、時間配分に配慮することが大切です。
どのくらいのペースで解答する必要があるか、事前にチェックしておきましょう。
また、過去問は弱点を把握するうえでも有効です。
苦手な分野が見つかった場合は、そこを重点的に勉強すると効率よく知識が定着します。
過去問は、実施機関の「日本FP協会」と「金融財政事情研究会」の公式サイトで公開されています。
自分が受検する機関のサイトを確認しておきましょう。
自分のためにFPの知識を学ぶ人に重要な勉強スタンス
FPの知識は保険や税金などお金にまつわるものが中心で、日常生活における判断に役立つものも多いです。
知っておいて損はありません。
自分のためにFPの知識を学ぶ場合は、資格を取るためというよりも、生活に役立てることを目標に勉強していくのもひとつの考え方です。
なじみがない分野の勉強は、なかなか取りかかりにくいという人もいるでしょう。
そんな場合は、保険だけ、投資だけなど、気になる分野をピンポイントで学んだり、身近な分野を自分の生活に置きかえながら学んだりするのもおすすめです。
FPはお金の知識が身につく資格!まずは3級から目指そう
本記事のポイントは以下のとおりです。
- 自分のためにFPを取得することには、将来に備える力がつく、保険の見直しができる、家計の節約につながるなどのメリットがある
- FPの勉強をしてもお金の悩みをすべて自分で解決できるわけではない
- 自分のために学ぶならFP3級で充分
- FP試験の対策には、オンライン講座や市販のテキスト、過去問などを活用しよう
- 自分のためにFPの知識を学ぶなら、資格取得よりも生活に役立てることを目標に勉強を進めるのがおすすめ
FPの知識は生活のさまざまな場面で役立ちます。
FP3級の受検に向けて、興味のある分野から勉強を進めていきましょう。