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ファイナンシャル・プランナー(FP)を独学で勉強しても合格できますか? |
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FP2級・3級とも勉強方法と学習計画次第では、独学合格も不可能ではありませんが、デメリットや他の勉強法と比べて不利な点も存在します。独学でFP試験に挑む場合はどんな点に注意すべきか、以下にまとめましたので参考にしてください。 |
FP試験は・・・
FP試験は司法試験や税理士などの大型国家資格に比べれば簡単な部類に入る資格です。したがって、ある程度の前提知識があれば独学でも合格を狙える資格と言えます。
ただし、独学(市販のテキストや問題集で勉強)は、いつでも始められ、かつ費用もそれほどかからないという面ではメリットがありますが、一方で独学ならではのデメリットもありますので、その両面を比較して自分に合った勉強法を選択することが重要です。
FP試験は法改正情報が大切
FP試験に臨む際、まず押さえておきたいのが法改正対策です。FP試験は、試験日によって「いつ時点の法令で試験を行うか(法令基準日)」が決められています。
試験日 | 法令基準日 |
5月試験 | 前年の10月1日 |
9月試験 | 当年の4月1日 |
1月試験 | 前年の10月1日 |
改正された法律の内容は、試験に出題される可能性が高いため、常に法改正に関する情報を入手する必要があります。
また、法改正によってテキストや問題集の内容も変更を余儀なくされます。市販のテキストでは、改訂が年に1度であることが多いので、どの時点の法令で書かれているテキストなのかをよく確認してから購入しましょう。
FP2級・3級の合格率
FP試験の勉強を独学でやり抜けるかどうか、判断のひとつの目安となるのが合格率です。FP2級・3級試験(学科・実技同時受験)の合格率を下記の表にまとめてみましたので、参考にしてください。なお、以下の合格率は、日本FP協会と金融財政事情研究会の試験結果を総合した数値です。
FP2級の合格率(総合編)
試験日 | 学科試験 | 実技試験 |
---|---|---|
2021年9月 | 34.93% | 48.10% |
2021年5月 | 50.65% | 58.85% |
2021年1月 | 53.83% | 54.62% |
2020年9月 | 37.65% | 50.52% |
2020年5月 | 中止 | 中止 |
2020年1月 | 33.69% | 47.36% |
2019年9月 | 29.96% | 48.46% |
2019年5月 | 28.41% | 46.12% |
2019年1月 | 37.61% | 42.31% |
2018年9月 | 28.22% | 35.78% |
2018年5月 | 33.52% | 38.60% |
2018年1月 | 34.42% | 45.08% |
(日本FP協会、金融財政事情研究会発表資料よりKIYOラーニング作成)
FP3級の合格率(総合編)
試験日 | 学科試験 | 実技試験 |
---|---|---|
2021年9月 | 71.15% | 65.74% |
2021年5月 | 69.43% | 66.73% |
2021年1月 | 47.98% | 71.46% |
2020年9月 | 78.79% | 65.20% |
2020年5月 | 中止 | 中止 |
2020年1月 | 74.90% | 62.43% |
2019年9月 | 69.60% | 59.33% |
2019年5月 | 54.48% | 64.42% |
2019年1月 | 62.33% | 62.88% |
2018年9月 | 69.14% | 61.09% |
2018年5月 | 66.83% | 68.08% |
2018年1月 | 71.48% | 69.59% |
(日本FP協会、金融財政事情研究会発表資料よりKIYOラーニング作成)
同時受験者の合格率
実は、FP試験ではほとんどの人が学科試験と実技試験を同時に受験します。日本FP協会では同時受験者の合格率も発表していますので、これも見てみましょう。 (2020年5月試験以降は発表がありません)
試験日 | FP2級 | FP3級 |
---|---|---|
2020年5月 | 中止 | 中止 |
2020年1月 | 41.90% | 76.71% |
2019年9月 | 43.41% | 72.43% |
2019年5月 | 40.68% | 70.61% |
2019年1月 | 40.39% | 73.50% |
2018年9月 | 36.68% | 77.09% |
2018年5月 | 39.55% | 79.11% |
2018年1月 | 42.16% | 79.75% |
2017年9月 | 44.01% | 74.35% |
2017年5月 | 36.07% | 72.04% |
2017年1月 | 39.36% | 67.79% |
(日本FP協会発表資料よりKIYOラーニング作成)
これによると、学科と実技を同時に受験した人の合格率は、2級が40%前後、3級が70%前後とみればよいでしょう。
3級は出題範囲も限られる上に内容も簡単ですので初学者でも比較的勉強しやすいものの、2級となるとレベルが少し上がり簡単に合格できるというわけではありません。
3級は独学で一発合格できたとしても、その感覚で2級に挑んでしまうと足元をすくわれる可能性があります。3級は3級、2級は2級で個別に試験対策を立てることが必要なのは言うまでもありません。
FP試験 独学の注意点
FP試験は独学でもある程度対応が可能です。3級と2級では出題範囲も難易度も異なりますが、ともにきちんと勉強計画を立て、効率的かつ集中的に学習すれば、独学での合格も不可能ではないでしょう。
ただし、注意点もあります。上記でご紹介した通り、FPの試験はたびたび行われる法改正にうまく適応することが合格の大きなポイントと言えます。独学では、法改正に関する最新情報も自力でリサーチしなければならず、情報が入手しやすい通信講座やスクールよりこの点で不利な面は否めません。
もう一つ効率的に学習するための注意点があります。
通信講座やスクールで提供される教材や講義は、過去の出題傾向を分析して、「合格できる」教材になっていることが多いです。完全に独学の場合、どこがよく出るのか?または、どこは出ないのか?ということが分からないことが多く、ちゃんと合格しようとすると、保険をかける意味で必要以上に勉強範囲を広げてしまいがちです。そういう意味では、多少のお金を払ってでもその辺の手間を削減するというのも上手な勉強法の一つと言えます。
独学で勉強をはじめる場合は、試験情報や独学スタイルのリスクを踏まえたうえで、自分に合った勉強法を判断してください。
FP独学のメリット・デメリット
独学の大きなメリットは、費用を抑えられることです。
しかし、デメリットとして、意志が弱いと勉強の継続が難しいことが挙げられます。
また、多くの市販教材の中から受験に最適なものを選ぶ際に、判断が難しいとも言えます。
FP試験では、改正された法律の内容についても出題される場合がありますが、独学では法改正情報も自分で収集する必要があります。
FP通信教育のメリット・デメリット
通信教育の大きなメリットは、教材選びの手間がかからず、法改正情報を教えてもらえることです。
また、通信教育の場合は一般的に合格のためのカリキュラムが定められています。
費用は独学より多少かかりますが、その分学習を効率的に進められる点は大きなメリットとなります。
まとめ
FP資格は高い人気をほこる資格ですが、合格率などを比較すると、他の国家試験よりも易しいと言えます。しかし、努力しないで受かるというわけではありません。FP試験に短期間で合格するためには、対策を立てて効率良く勉強する必要があります。
独学でも、市販の教材をうまく活用すれば合格は可能ですが、一人で勉強するのが不安な方や、勉強し続ける自信のない方は、通信教育を利用してみるのも一手です。
独学、通信教育のどちらにも、それぞれメリット・デメリットがあります。自分の性格や生活の状況に応じて最適な勉強方法を選び、FP試験合格を勝ち取りましょう。