FP試験の基礎知識から勉強法までやさしく解説|勉強時間や勉強のポイントも

FP(ファイナンシャルプランナー)試験合格のカギは、試験内容の特徴を押さえ、自分にあった勉強方法を選ぶことです。

これからFP試験に挑戦しようと考えている人の中には、「何から始めればいいのかわからない」と不安に感じている人もいるのではないでしょうか。

本記事では、試験の基本情報や勉強時間の目安、勉強のポイントなどをわかりやすく解説します。

まずはFP試験の全体像を知ることから始めましょう。

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FP試験の勉強を始める前に知っておきたい5つのこと

FP(ファイナンシャルプランナー)試験の概要を把握することが合格への第一歩です。

まずはFP試験に取り組む前に知っておきたい5つのポイントを紹介します。

  • FP試験は独学でも合格を狙える
  • FP試験は「FP協会」と「きんざい」の2団体が実施している
  • FP試験には「3級・2級・1級」がある
  • FP試験では「学科試験」と「実技試験」が課される
  • FP3級の合格率は比較的高め

順番に解説します。

FP試験は独学でも合格を狙える

FP試験は、司法試験や税理士などの大型国家資格に比べれば簡単な部類に入る資格です。

そのため、ある程度の前提知識があれば独学でも合格を狙えます。

市販のテキストや問題集を使った独学は、いつでも始められ、費用もそれほどかからないという面ではメリットがありますが、独学ならではのデメリットもあります。

その両面を比較して、自分に合った勉強法を選択することが重要です。

FP試験は「FP協会」と「きんざい」の2団体が実施している

FP試験は、「日本FP協会(FP協会)」と「金融財政事情研究会(きんざい)」の2つの団体によって実施されています。

どちらの団体で受検しても、同じFP技能士資格を取得できます。

学科試験の内容は、2つの団体で共通です。

しかし実技試験は、出題テーマや問題数、出題形式などが団体によって異なります。

たとえば、FP協会の出題範囲は「資産設計提案業務」の1種類です。

それに対し、きんざいの実技試験は複数の科目から自分で1つ選ぶ形式です。

どちらの団体で受検するかは自由に選べるので、実施要項をよく確認し、受検しやすいほうで申し込みましょう。

FP試験には「3級・2級・1級」がある

FP試験は「3級・2級・1級」に分かれており、各レベルで求められる知識やスキルが異なります。

FP3級は、これから学び始める人に適した入門レベルです。

実務経験や特別な資格の有無が問われず、受検資格に制限がないため、誰でも受検できます。

内容は基礎知識が中心で、独学しやすいのも特徴です。

FP2級は、応用力が求められる中級レベルで、受検資格が設定されています。

受検するためには、3級合格、2年以上の実務経験、もしくは「AFP認定研修」修了のいずれかの条件を満たす必要があります。

そのため、3級に合格してから2級を受検するのが一般的なルートです。

応用問題が出題されるので、3級で学んだ知識をベースに体系的な理解を深めておくことが大切です。

FP1級は、実務経験者向けの上級資格で、より高度な専門知識と実務スキルが求められます。

級が上がるごとに、取り扱うテーマがより実践的かつ専門的になります。

FP試験では「学科試験」と「実技試験」が課される

FP試験は「学科試験」と「実技試験」の2つがあり、それぞれに合否が判定される仕組みです。

学科試験では、幅広い分野からFP業務に必要な知識を問われます。

実技試験では、相談業務を想定したケーススタディが出題され、実践的な判断力が必要です。

実技試験は実施団体によって科目の種類が異なるので、申込みをする前によく確認しておきましょう。

3級の学科・実技と、2級の学科は、多肢選択式で行われます。

2級の実技のみ、計算結果を記述式で回答する問いが出題されますが、用語の記述や論述問題はありません。

「実技」という言葉のイメージから論述式や口頭試問を想像する人もいるかもしれませんが、実際は選択肢を選ぶ形式が中心で、比較的取り組みやすい試験です。

FP3級の合格率は比較的高め

FP3級の合格率は、学科・実技ともにおよそ60〜75%と高めです。

合格に必要な勉強時間も他の国家資格と比べると少なめです。

FP試験の合否は、「上位〇%が合格」という相対評価ではなく、あらかじめ定められた基準に達していれば合格となる絶対評価で決まります。

そのため、周りの受検者と競う必要はなく、6割以上正解すればかならず合格できます。

FP2級になると難易度はアップし、学科の合格率は25~55%程度、実技の合格率は35~60%程度です。

FP3級と同様に絶対評価で、6割以上得点できれば合格です。

3級に比べると合格率が低いとはいえ、比較的挑戦しやすい国家資格と言えます。

FP試験の合格率は、実施団体によっても差があります。

実施団体や級ごとの合格率の詳細は、こちらの記事をご覧ください。

FPって何を勉強するの?6つの分野とその内容

FP試験では、受検級や学科試験・実技試験にかかわらず、共通して6つの分野から出題されます。

いずれも日常生活やライフイベントにかかわる知識が問われる内容で、生活設計や資産形成に役立つテーマが取り上げられています。

6分野の概要は以下のとおりです。

分野概要
ライフプランニングと資金計画法規、年金や社会保険制度のしくみ、ライフプランニング、資産形成に関する知識
リスク管理生命保険・医療保険・損害保険といった保険商品に関する知識、リスクマネジメントの理解
金融資産運用投資信託や株式、債券などの特徴やリスクについての理解
タックスプランニング所得税の仕組みや控除制度など税金に関する基礎知識
不動産不動産の取引や登記などに関する法律や手続き方法
相続・事業承継相続税や贈与税、事業の引き継ぎに関する基礎知識

なお、3級には法人税・法人の決算・中小法人の資金計画など、法人関連のテーマは含まれません。

実技試験も上記6分野から出題されますが、実施団体によって出題科目が異なります。

FP協会では、3級・2級ともに「資産設計提案業務」と決められており、選択することはできません。

いっぽう、きんざいでは、3級は「個人資産相談業務」「保険顧客資産相談業務」の2科目から1科目を、2級は「個人資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」の4科目から1つを選択して受検します。

科目によって出題範囲や頻出テーマが異なるため、それぞれに応じた対策が必要です。

学習する際には、事前に試験範囲や最新の出題傾向を確認しておきましょう。

FP試験合格に必要な勉強時間の目安

FP3級合格に必要な勉強時間の目安は、80〜150時間程度と言われています。

FP2級は難易度が上がるため、150〜300時間程度の勉強時間が目安ですが、他の国家資格と比べると比較的短期間の学習で合格を狙えます。

とはいえ、合格に必要な学習時間には個人差があるため、ここであげた勉強時間はあくまで一般的な目安です。

金融や保険の基礎知識がある人なら、より短時間の勉強で合格できる場合もあります。

いっぽう、初めて学習する人であれば、余裕をもって学習スケジュールを立てたほうが安心です。

「目標とする試験日」と「学習にあてられる時間」を考慮し、無理のない計画を立てましょう。

【全級共通】これだけは押さえたい!FP試験の勉強のポイント5つ

受検級に関係なく共通して役立つ5つの勉強のポイントを紹介します。

  • まずは全体像をつかむ
  • インプットとアウトプットをセットで進める
  • 過去問を活用して出題傾向をつかむ
  • スキマ時間を有効活用する
  • 法改正の情報をチェックする

勉強を始める前に、確認してみてください。

まずは全体像をつかむ

FP試験では、6つの分野にまたがる幅広い内容が出題されます。

まずはテキストを一通り読み、全体の構造や分野ごとの特徴をつかみましょう。

用語や仕組みを最初からすべて覚えようとするのではなく、大まかな内容や出題範囲を把握することが目的です。

全体像を先に把握することで、情報の関連性が見えやすくなり、効率的な学習につながります。

一般的に、得意分野はスムーズに学習が進む反面、苦手分野には時間がかかりがちです。

あらかじめ全体を見通すことで、どの分野に重点を置くべきか戦略的な学習が計画できるようになります。

インプットとアウトプットをセットで進める

知識の定着には、「読む→解く」というインプットとアウトプットの繰り返しが欠かせません。

テキストと問題集を用意し、最初はテキストで基本的な知識を学習します。

ある程度インプットしたら、すぐに問題集でアウトプットする、という流れを意識して学習すると効果的です。

1回のインプットで完璧に理解しようとするのではなく、「一度読んだらすぐに使ってみる」ことがポイントです。

間違えても構わないので、アウトプットを通して弱点やあいまいな箇所を把握しながら学習を深めましょう。

過去問を活用して出題傾向をつかむ

FP試験では、過去に出題された問題とよく似た形式・内容の問題が、繰り返し出題される傾向があります。

そのため過去問の活用は欠かせません。

過去問はできれば3回程度繰り返し取り組み、知識を確実に定着させましょう。

時間配分や問題の難易度を体感できるのも、過去問を活用するメリットです。

本番と同じ時間で解く練習をすれば、試験当日のペース配分にも役立ちます。

とくに、実技試験では応用的な問題が多くなるため、状況に応じた判断力や計算力が求められます。

基本的な知識だけでなく、過去問を通して実践力を鍛えておくことが重要です。

スキマ時間を有効活用する

FP試験の学習では、毎日コンスタントに学習を続けることがポイントです。

そのためには、日常の中で勉強時間をしっかり確保する必要があります。

まとまった勉強時間がとれないときは、通勤・通学の移動時間や休憩中などのスキマ時間を活用しましょう。

スマホの学習アプリや暗記カード、解説動画などを使えば、場所を選ばず効率的に学習を進められます。

教材を上手に活用すれば、毎日の勉強ペースを保ちやすく、継続的な学習が可能です。

たとえ短い時間でも、繰り返し知識に触れることで学習した内容が着実に定着します。

法改正の情報をチェックする

試験に臨む際、押さえておきたいのが法改正です。

FP試験は、試験日によって「いつ時点の法令に基づいて出題されるか(法令基準日)」が決められています。

2025年度に実施されるFP試験の法令基準日は、FP協会ときんざいのいずれも2025年4月1日です。

ただし、きんざいが実施する1級実技試験については、原則として「試験日現在で施行されている法令」に基づくとされています。

改正された法律の内容は、試験に出題される可能性が高いため、つねに法改正に関する情報を入手してください。

また、法改正によってテキストや問題集の内容も変更を余儀なくされます。

市販のテキストでは、改訂が年に1度であることが多いので、どの時点の法令で書かれているテキストなのかをよく確認してから購入しましょう。

【級別】FP試験合格に向けた勉強のポイント

FP試験は、級によって求められるレベルや学習のポイントが異なります。

効率的に合格を目指すには、各級に応じた対策が必要です。

ここでは、FP3級・2級の勉強のポイントを紹介します。

  • FP3級|基礎知識をしっかりインプット
  • FP2級|応用力と実践力を鍛えよう

それぞれ確認していきましょう。

FP3級|基礎知識をしっかりインプット

FP3級は、これから金融やライフプランについて学ぶ人に適した入門レベルの試験です。

試験は学科・実技ともにすべて多肢選択式で、基礎的な知識が出題されます。

必要な知識を覚え、適切な選択肢を選ぶことができれば合格できる試験です。

重要なのは、出題傾向を把握して頻出分野を重点的にインプットすることです。

試験に出るところだけを重点的に学習すれば、1カ月でも合格を目指せます。

テキストを細部まで完璧に覚えることを目指すよりも、出題傾向を意識した効率的な学習が合格への近道です。

FP2級|応用力と実践力を鍛えよう

FP2級は、3級よりも一段階レベルが上がり、より実務的な知識や判断力が求められます。

問題文も長く、複数の情報を整理して解答する力が必要です。

3級で学んだ基礎を土台に、応用問題や実技対策に時間をかけましょう。

とくに、実技試験では具体的なケーススタディをもとにした設問が多く、知識を使いこなす力が問われます。

出題範囲は3級と同じ6分野ですが、内容はより深く専門的になります。

テキストの読み込みだけでなく、過去問や模擬問題で実践力を鍛えることが合格への鍵です。

FP試験合格を目指す勉強方法2選

FP試験合格を目指す勉強方法は、大きく分けて2つ、「独学」と「通信教育(オンライン学習)」があります。
それぞれの勉強方法のメリットとデメリットをくわしく解説します。

費用を抑えたいなら「独学」

独学の大きなメリットは、費用を抑えられ、自分のペースで勉強できることです。

いっぽう、デメリットは、意志が弱いと勉強の継続が難しくなる点です。

多くの市販教材の中から、自分に合った参考書や問題集を選ぶのが難しいと感じる人もいるでしょう。

FP試験では、改正された法律の内容についても出題される場合がありますが、独学では法改正情報も自分で収集する必要があります。

効率良く勉強したいなら「通信教育(オンライン学習)」

通信教育の大きなメリットは、教材選びの手間がかからず、法改正情報を入手しやすいことです。

また、通信教育の場合は一般的に合格のためのカリキュラムが定められています。

費用は独学より多少かかりますが、その分学習を効率的に進められる点は大きなメリットです。

スタディング」では、FP試験の出題傾向を徹底的に分析し、合格に導くカリキュラムを用意しているため、教材選びは不要です。

手元に参考書がなくても、すぐに勉強が始められます。

FP試験の傾向と対策が分かる無料セミナーも開催していますので、ぜひご覧ください。

FP試験の勉強を独学で進める際の注意点

FP試験は、独学でもある程度対応が可能です。

3級と2級では出題範囲も難易度も異なりますが、ともにきちんと勉強計画を立て、効率的かつ集中的に学習すれば、独学での合格も不可能ではないでしょう。

ただし、注意点もあります。

FP試験では、頻繁に行われる法改正にうまく対応することが合格の大きなポイントです。

独学の場合、法改正に関する情報も自分で調べなければならないため、通信講座などに比べて情報面でやや不利な面があるのは否めません。

もう1つ、注意すべき点があります。

通信講座などで提供される教材や講義は、過去の出題傾向を分析して、「合格できる」教材になっていることが多いです。

独学の場合、出題傾向がわからず、確実に合格しようとして必要以上に勉強範囲を広げてしまい、かえって学習効率が落ちてしまうこともあります。

そういう意味では、多少のお金を払ってでもその辺の手間を削減するというのも上手な勉強法と言えます。

試験情報や独学スタイルのリスクを踏まえたうえで、自分に合った勉強法を判断してください。

FP試験合格に向けて、自分に合った勉強方法を見つけよう!

本記事では、FP試験の基礎知識や勉強方法を紹介しました。

  • FP試験は3級・2級・1級に分かれていて、学科試験と実技試験が課される
  • FP協会ときんざいの2団体が実施しており、3級の合格率は比較的高い
  • FP3級合格に必要な勉強時間の目安は80〜150時間程度、2級は150〜300時間程度
  • スキマ時間を活用しながら、インプットとアウトプットを意識した学習がポイント
  • 3級は基礎知識をしっかりインプット、2級は実践力を鍛える対策が必要
  • 勉強方法は、独学と通信教育。それぞれのメリット・デメリットを理解しよう

FP試験は特徴を押さえて、自分に合った勉強方法を選ぶことが合格への近道です。

効率良く、合格への一歩を踏み出してみてください。

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