NISA(ニーサ)とは?
教えて!ファイナンシャル・プランナー(FP)

人気のNISA(ニーサ)について、ファイナンシャル・プランナー(FP)が解説します。NISAの概要や対象商品、メリット・デメリット、節税の具体例などを短時間で読めるようにまとめています。

ファイナンシャル・プランナー(FP)が、話題の用語・制度について解説します。
今回のテーマは「NISA」です。

目次

  1. NISAとは
  2. 誰がいくらまで利用できるか
  3. NISAの対象商品
  4. NISA口座と特定口座・一般口座
  5. NISAのメリット
  6. NISAのデメリット
  7. 節税の具体例
  8. まとめ


NISAとは

NISA(ニーサ)とは、証券会社・銀行等の非課税口座内で購入した株式・投資信託等の利益が非課税になる制度です。正式には、少額投資非課税制度といいます。
NISAという愛称は、Nippon Individual Savings Account の頭文字から名づけられています。イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした、日本版の投資非課税制度という意味合いです。
政府は「貯蓄から投資(資産形成)へ」というスローガンを掲げる中、株式・投資信託等への投資を促進するため、2014年(平成26年)1月にNISAをスタートしています。



誰がいくらまで利用できるか

NISA口座を利用できるのは、日本に居住する20歳以上の個人です。証券会社や銀行等で開設したNISA口座(少額投資非課税口座)において、株式や投資信託等を購入することで、配当金・分配金・譲渡益が非課税になります。
ただし、1人の個人が開設できるNISA口座は1口座に限られ、非課税投資枠は毎年120万円までとされています。
非課税期間は最長5年間ですが、期間終了後、新たな非課税投資枠に移管し、継続して保有することが可能です。

NISA口座の概要
利用できる人 日本に居住する20歳以上の個人 ※1
非課税対象 上場株式・株式投資信託などの配当金・分配金・譲渡益
口座開設可能数 1人1口座 ※2
非課税投資枠 新規投資額で毎年120万円まで
非課税期間 最長5年間 ※3

※1) 0歳~19歳の個人は、ジュニアNISA口座を利用できます。
   20歳以上・未満は、口座開設年の1月1日現在の年齢で判断します。

※2) 開設する金融機関は1年単位で変更可能です。

※3) 非課税期間終了後、新たな非課税投資枠への移管(ロールオーバー)による継続保有が可能です。



NISAの対象商品

NISAの対象となる金融商品は、国内・海外の上場株式、株式投資信託、国内・海外のETF(上場投資信託)、国内・海外のREIT(上場不動産投資信託)などです。
一方、非上場株式、預貯金、公社債、公社債投資信託(MRF、MMFなど)、FX、保険商品などは、NISAの対象となりません。



NISA口座と特定口座・一般口座

NISA口座と特定口座・一般口座を比べてみましょう。
運用益に対する税金については、NISA口座は非課税、特定口座・一般口座は課税となります。
確定申告については、NISA口座と特定口座(源泉徴収あり)は不要、特定口座(源泉徴収なし)と一般口座は必要です。なお、年間の損益計算は、特定口座(源泉徴収なし)の場合は証券会社・銀行等が行い、一般口座の場合は投資家が自ら行います。
損益通算と3年間の繰越控除については、NISA口座の場合は不可、特定口座・一般口座の場合は確定申告をすることで可能です。

NISA口座と特定口座・一般口座
NISA口座 特定口座 一般口座
源泉徴収あり 源泉徴収なし
課税・非課税 非課税 課税 課税 課税
確定申告 不要 原則不要 必要
※証券会社等が損益計算
必要
※投資家が損益計算
損益通算・
繰越控除
不可 確定申告により損益通算と3年間の繰越控除が可能



NISAのメリット

NISAには、以下のようなメリットがあります。

①運用益は非課税

NISA口座での運用益は非課税となります。一般的に、株式・投資信託等の配当金・分配金・譲渡益には20.315%の税金(所得税・住民税・復興特別所得税)がかかりますが、NISA口座で運用した場合、税金はかかりません。

②申告が不要

NISA口座で配当金・分配金・譲渡益が生じた場合でも、確定申告などの納税手続きをする必要がありません。



NISAのデメリット

一方、NISAには、以下のようなデメリットがあります。

①損益通算・繰越控除ができない

NISA口座での譲渡損は、特定口座や一般口座の譲渡益と通算することができません。つまり、NISA口座では、利益が非課税になる一方、譲渡損が生じた場合には利益との相殺はできないのです。
なお、特定口座や一般口座の場合、上場株式・株式投資信託等の譲渡損は、他の上場株式・株式投資信託等の利益と損益通算することができます。また、その年に損益通算しきれなかった損失については、翌年以降3年間繰越控除をすることができます。ただし、いずれも確定申告が必要です。

②預貯金や公社債は対象外

上記の通り、NISA口座の対象となる金融商品は、上場株式や株式投資信託などに限られます。定期預金や普通預金などの預貯金、公社債、公社債投資信託などは、NISA口座に入れることができません。

③未使用分の繰り越しができない

非課税投資枠は年120万円ですが、未使用分があっても翌年以降に繰り越すことができません。



節税の具体例

例えば、Aさんが、証券会社でX社株式を1,000円で1,000株購入し、株価が1,500円まで上昇した時点で売却したとします。この場合、譲渡益は、(1,500円-1,000円)×1,000株=50万円となります。この譲渡益に対し、特定口座や一般口座では101,575円(=50万円×20.315%)の税金がかかりますが、NISA口座では税金がかかりません。
また、Bさんが、銀行で投資信託を購入し、普通分配金5万円が支払われる場合、特定口座や一般口座では10,157円(=5万円×20.315%)の税金がかかりますが、NISA口座では税金がかかりません。



まとめ

NISAは、個人が行う年間120万円までの投資について、運用益が非課税になる制度です。対象商品は、上場株式や株式投資信託、ETF、J-REITなどです。
運用益の非課税に加え、確定申告などの納税手続きが不要なことがメリットとして挙げられます。一方、株式・投資信託等の譲渡損が生じた場合に損益通算や繰越控除ができないこと、預貯金や公社債には使えないこと、未使用分を翌年以降に繰り越せないことがデメリットとして挙げられます。一部の投資家からは、年間120万円までしか非課税にできず不便という声もあります。
上場株式や株式投資信託で資産運用をする人にとっては、運用益が非課税になるNISAは魅力のある制度です。しかし、譲渡損が生じる場合も考慮すると、特定口座との併用が賢明といえます。一例として、手堅い長期投資の場合はNISA口座、リスクの高い短期投資の場合は特定口座といった使い分けも必要となるでしょう。

※本記事は、2018年(平成30年)6月時点の税制・制度に基づいて作成しております。あらかじめご了承ください。

※本記事の全部または一部を無断で転載することを禁じます。

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執筆 松原 明壱(まつばら ひろかず)

CFP®、1級FP技能士
1980年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
予備校勤務・塾講師を経て、大手通信教育会社にて10年間FP講師を務める。
これまでにFP試験合格者を多数輩出。会計・税務・株式投資の分野にも精通。
常に初学者と同じ目線で考え、問題解決することを心掛けている。

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