「ファイナンシャルプランナーは仕事ない」は誤解!資格を生かせる業界や方法を解説

FPの資格に興味はあるけれど、「仕事がない」「稼げない」といったネガティブな意見に不安になった方も多いのではないでしょうか。

FPは、ポイントをおさえて活用すれば、さまざまな場面で強みになる資格です。

この記事では、「FP=仕事ない」と誤解される理由を整理しながら、これから資格取得を考えている方にぜひ知っておいてほしい、資格を生かすポイントや今後注目の職場を具体的に紹介します。

FPに仕事がないはウソ!資格をダイレクトに生かせる就職先3種

FPの資格は、金融機関や不動産会社、士業事務所などの就職に有利です。

それぞれの就職先とFP資格の関連性について紹介します。

金融機関

FPの知識や技能が生かせる場として、まず思い浮かぶのが銀行や保険会社、証券会社などの金融業界でしょう。

これらの機関はローン商品や保険商品、株・投資信託、デリバティブなどの金融商品を取り扱っており、FP試験で身に付いた知識と技能が商品の説明・提案などに生かされます。

そのため、FP資格の保有を採用の条件とする金融機関も多く、FP2級以上の資格があれば就職・転職に有利に働くでしょう。

とくに保険業界において、FPは重宝される資格と言えます。

不動産会社

FPの就職先には不動産業界もあります。

FP試験の科目には、「不動産」「金融資産運用」「タックスプランニング」「相続・事業承継」などがあり、この分野の知識はいずれも不動産業界の実務で生きてきます。

そのため、不動産業者やマンション投資を専門とする企業にとって、FPの知識を持つ人材は貴重な戦力とみなされるでしょう。

たとえば、マイホームを取得する場合、多くの人が住宅ローンを使います。

このとき、その人に適した住宅ローン設計はもちろん、住宅ローン以外の家計支出も踏まえて相談にのれれば、その不動産会社の顧客ロイヤリティが高まります。

また、相続や贈与などで不動産を売却する場合も、単に高く売れるというだけでなく、顧客の背景を考慮したアドバイスができれば、不動産会社として差別化が図れるでしょう。

なお、不動産系資格の代表として宅地建物取引士、関連資格にマンション管理士や管理業務主任者、不動産鑑定士などがあります。

FP資格を不動産業界で生かすと考えるのなら同時にチェックしておきたい資格です。

士業事務所

FPの就職・転職先として、税理士事務所や公認会計士事務所といった士業事務所も選択肢のひとつに挙げられます。

税理士事務所のおもなクライアントは中小企業です。
この場合、税務の知識はもちろんですが、社長個人のファイナンシャル・プランニングも重要な業務になります。

もちろん税務の面では、税理士の資格がなければ個別の税務相談や手続きの代行はできません。

しかし、個人や家族の資産を守ったり、日常の生活や子どもの進学などトータルで相談に乗ったりできることはFP資格の大きな強みです。

個人事業主や中小企業の経営者をクライアントに持つ事務所では、税理士+FPは相性のよい組み合わせです。

FPが「仕事がない」「役に立たない」「意味がない」と言われる5つの理由

資格を生かせる就職先があるにもかかわらず、FPは「仕事がない」「役に立たない」「意味がない」と言われてしまうことがあります。

その背景には以下のような理由があります。

  • 独占業務がない
  • 仕事内容が曖昧
  • 差別化が難しい
  • 資格取得のハードルが比較的低い
  • 仕事獲得につながりにくい

ひとつずつ見ていきましょう。

独占業務がない

独占業務とは、その資格を持っている人だけができる仕事のことです。

医師による診断や薬剤処方といった業務や、弁護士による相手との交渉や有料での法律相談といった業務などがこれにあたり、資格を持っていないのに業務を行った場合、法律で罰せられます。

いっぽうで、FP資格に独占業務はありません。

資格を取得したからといって、できるようになる仕事が増えるわけではないのです。

無資格でも業務を行えてしまうがゆえに、「FP資格は役に立たない」といったネガティブな印象を与えてしまうのでしょう。

なお、独占業務はありませんが、FP資格のない人が「ファイナンシャル・プランニング技能士」と名乗ることはできません。

仕事内容が曖昧

FPという資格名自体に認知度はあるものの、仕事内容については十分に知られていないのが現状です。

お金に関する専門家であることは理解されていても、「具体的に何をしてくれる人なのか」をイメージできない人は多いでしょう。

その結果、資格取得後の活用イメージも持ちにくくなっています。

このように仕事内容の曖昧さがFP資格の必要性を感じにくくさせており、「仕事がない」と思われてしまう一因と言えます。

差別化が難しい

FPには、くらしとお金に関する幅広い知識が求められます。

さまざまな分野にわたる知識がある反面、一つひとつの専門性については、税金=税理士、不動産=宅地建物取引士のように、特定の専門家のほうがより深い知識があることは事実です。

そのため、FP資格の取得だけでは、差別化が難しい現実もあります。

他者と差別化を図りたい場合は、FP資格の取得とあわせて、ほかの関連資格も取得するのもひとつの方法です。

資格取得のハードルが比較的低い

FPは、ほかの国家資格と比べると資格取得のハードルが比較的低いといわれています。

その理由として、受検資格に特別な制限がないことが挙げられます。

FP3級および2級の受検資格は以下のとおりです。

受検資格
FP3級FP業務に従事している人、または従事しようとしている人
FP2級「FP3級合格者」「AFP認定研修の受講修了者」「FP実務経験2年以上」「金融渉外技能審査3級の合格者」のいずれかひとつを満たしていること

【参考】
日本FP協会「2級・3級FP技能検定 試験要綱」
金融財政事情研究会「受検資格」

FP3級の受検資格として「FP業務に従事している人、または従事しようとしている人」とありますが、FPとして仕事をする予定がなくても誰でも受検可能です。

また、FP2級はある程度の前提条件はあるものの、特定の学歴や実務経験が必要な国家資格と比べると挑戦しやすい資格といえます。
このように、取得難易度が低いことも「FPは意味がない」と言われる原因のひとつと考えられます。

仕事獲得につながりにくい

FPの資格は、知識の証明としては有効ですが、実際のスキルや実務能力を証明するものではありません。
就職や転職の場面では実務経験が求められるケースも多く、FP資格だけでは仕事の獲得に結びつきにくい場合もあります。

FPを仕事に生かす3つのポイント

FPを仕事に生かすには、次の3つのポイントをおさえておきましょう。

  • ほかのスキル・資格と組み合わせる
  • 専門分野を極める
  • 上位資格の取得を目指す

FPの資格を有効に活用したいとお考えの方は参考にしてみてください。

ほかのスキル・資格と組み合わせる

FP資格は、ほかのスキル・資格を組み合わせることで、仕事の幅や活躍の場が広がります。

たとえば、簿記や証券外務員、住宅ローンアドバイザーなど、お金に関する資格を取得するのがおすすめです。

興味のある分野や働きたい業界にはどんなスキルや資格がマッチするのか、調べてみるとよいでしょう。

FPに関連する資格については、以下の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてください。

専門分野を極める

前述したように、FPに求められる「くらしとお金の知識」は広範囲にわたります。

全分野に精通した人材を目指すのもよいのですが、ほかのFPと差別化したいとお考えなら専門分野を持つのも選択肢のひとつです。

得意分野やニーズのある分野を深堀りし、自身の強みにしてみてはいかがでしょうか。

専門性を高めるには、実務経験を積んだり勉強会に参加したりするなど、主体的に行動することが大切です。

上級資格の取得を目指す

国家資格であるFPのほかに、日本FP協会が認定する「AFP資格」「CFP®資格」といった上位資格があります。

AFP資格は、FPとしてのじゅうぶんな知識、相談者への的確なアドバイスができるFP技能を有した人に与えられる資格です。

とくに金融機関で高い評価を得ています。

CFP®資格とは、世界25カ国・地域で導入されている「世界が認めるプロフェッショナルFPの証」と称される資格です。

FPの頂点とも呼ばれるため、取得すると活躍の可能性が広がります。

このような上位資格の取得を目指すことで、FPのプロとしてさらなる活躍が目指せます。

FPの仕事はなくなる?今後注目の職場2選

金融業界や不動産業界は、昔からFPニーズが顕在化している業界です。

しかし、このような業界以外でもFPが活躍できる職場は多くあります。

ここでは今後注目の職場を見ていきましょう。

大学・専門学校など

大学や専門学校など、卒業後社会人になるケースが多い学校では、キャリア支援・社会人教育の担い手としてFPが注目を集めています。

就職対策も含めて、キャリアカウンセラーとFPの両方の資格を持っていると非常に重宝されるでしょう。

大学や専門学校などでは、単に就職指導をするだけでなく、社会に出てからの人生設計を含めて、キャリアとお金にまつわる支援が求められています。

また、奨学金や留学、障害学生支援などにおいてFPがサポートすることもあります。

【参考】日本学生支援機構「スカラシップ・アドバイザー派遣事業について」

病院・介護施設など

「人生100年時代」といわれる現代は、高齢化社会や介護問題、年金問題など、生活の不安とお金の不安は切り離せない時代です。

相談者のさまざまなニーズに応えるため、病院・介護施設などでFPがアドバイスを行うこともあります。

日本FP協会は行政機関と連携し、シニア層を対象とした相談会をサポートしたり、医療費とお金の相談会を定期的に開催したりしています。

また、AFP・CFP®資格を持つFPを「金融コンシェルジュ」として、病院や介護施設に派遣する制度も実施しており、今後ますます需要が高まっていくでしょう。

就職・転職に有利なのはFP2級以上

FP資格は3級~1級までありますが、就職・転職に結びつけるには2級以上の取得が望まれます。

3級は金融に関する基本的な習得にとどまっているため、FPの人材を求める企業ではあまり重要視されません。

就職・転職活動に有利になるのは2級を取得してからとなるでしょう。

さらに上級資格のAFP資格やCFP®資格を取得すると、より評価が高くなります。

銀行や保険会社、証券会社への就職活動で少しでも有利に立ちたいのであれば、ぜひとも取得を検討したい資格です。

まずはFP3級取得から目指そう!

今回は、FP資格を生かせる業界や方法などについて解説しました。

以下おさらいです。

  • FPの資格は、金融機関や不動産会社、士業事務所などの就職に有利
  • FPがネガティブな印象を持たれてしまうのは、「独占業務がない」「仕事獲得につながりにくい」などの理由がある
  • FPを仕事に生かすためには、専門分野の深堀りや上位資格の習得がおすすめ
  • 新たな活躍の場として大学や専門学校、病院・介護施設などが注目されている
  • FPには3級〜1級まであるが、就職に結びつけるには2級以上の取得が望まれる

「仕事がない」と言われることがあるFP資格ですが、どう生かすかによって活躍の場は大きく広がります。
どのような分野のFPになりたいのかを明確にし、主体的に行動できれば、FP資格を最大限に生かすことは可能です。 

まずはFP3級から学び始め、基礎知識をしっかりと身につけたうえでFP2級以上の取得を目指してみてください。