
「保険営業をしたいけれど資格は必要?」と不安に感じていませんか。
すでに保険営業として活躍している方の中には、「今後のために何か資格を取ったほうがいいのかな?」と漠然と考えている方もいるかもしれません。
お客様との信頼関係をより深め、ご自身のキャリアアップを実現するために、資格の取得は大きな力になります。
この記事では、保険営業の人が資格をとるべき理由と、保険営業に役立つおすすめの資格を紹介します。
保険営業の人が資格をとるべき3つの理由
保険営業の人が資格を取得すべき理由には、以下の3つがあります。
- 保険営業では義務づけられている資格がある
- お客様との信頼構築に役立つ
- キャリアアップ・転職で有利になる場合がある
それぞれの理由について解説します。
保険営業では義務づけられている資格がある
保険営業で保険商品を販売するには、法律で定められた資格の取得が義務づけられています。
資格がなければ、そもそも保険営業の活動ができません。保険営業に従事するには、資格の取得が第一歩となるのです。
保険営業に必要な資格には、生命保険募集人や損害保険募集人があります。これらの資格については、後ほどくわしく解説します。
お客様との信頼構築に役立つ
保険営業の仕事は、お客様の人生に大きく関わるため、お客様との信頼構築が欠かせません。
信頼構築にはコミュニケーション能力に加え、資格も重要な要素となります。
資格を持っていることが、「この人には知識がある」「きちんと学んでいる」という証明になるのです。
専門知識があるとわかれば、相談者はより安心してアドバイスを求められます。信頼関係の構築により、契約率の向上も期待できるでしょう。
キャリアアップ・転職で有利になる場合がある
資格があれば、キャリアアップ・転職で有利になる場合があります。
専門知識があると評価されることにより業務の幅が広がり、保険営業として有望な人材とみなされるでしょう。
資格取得により、扱える商品が増えたり幅広い提案ができたりするなど、営業力の向上も目指せます。
資格手当や昇進・評価制度に反映されることもあるため、キャリアアップにつなげられる可能性も高いです。
また、保険営業の転職において、関連資格の保有はアピールポイントになります。他者と差別化できれば、転職を有利に進められるでしょう。
保険営業としてのキャリアアップ・転職を考えているなら、このあと解説する資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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保険営業を目指す方向けの資格3選
保険営業として活躍するための資格は多岐にわたります。
まずは、保険営業を目指す方向けの資格を3つ紹介します。
- 3級FP技能士(ファイナンシャル・プランニング技能士)
- 生命保険募集人(一般課程)
- 損害保険募集人(一般試験)
いずれも保険営業としての第一歩を踏み出すうえで、基本となる資格です。
資格の概要を押さえておきましょう。
3級FP技能士(ファイナンシャル・プランニング技能士)
FP(ファイナンシャル・プランナー)とは、お金に関わる幅広い分野について、総合的なアドバイスを提供しながら、相談者の目標達成をサポートする専門家です。
FP資格には5種類ありますが、中でも保険営業の第一歩として役立つのが、3級FP技能士(ファイナンシャル・プランニング技能士)です。
3級FP技能士の資格を取得するには、3級FP技能検定に合格する必要があります。
3級FP技能検定は難易度が比較的低い入門試験であるものの、保険や税制、不動産など、お金に関する幅広い知識を習得できます。
保険営業ではお客様のお金に関する幅広い悩みに寄り添う必要があるため、3級FP技能士の資格はおおいに役立つでしょう。

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生命保険募集人(業界共通教育課程の一般課程)
生命保険募集人は、生命保険の募集人として働くために必須の資格です。
生命保険協会では、生命保険業界に従事する営業職員の教育制度として、業界共通教育課程を設けています。
生命保険の営業をするには、この業界共通教育課程の一般課程試験に合格し、登録を受けることが必要です。
ただし、一般課程試験を受けるには事前に生命保険会社の研修を受けなければなりません。
生命保険募集人として、生命保険の選び方に悩むお客様のサポートや、成約に至った際の契約手続きをスムーズに行ううえで役立ちます。
損害保険募集人(一般試験)
損害保険募集人は、自動車保険や火災保険など損害保険商品の販売・契約業務に必要な資格です。
中でも一般試験は、日本損害保険協会が実施している検定試験のひとつです。
一般試験は、損害保険の基本的な知識を問われる基礎単位と、自動車保険単位・火災保険単位・傷害疾病保険単位という3つの商品単位にわかれています。
代理店登録または募集人届出をするためには、基礎単位の合格は必須です。
また、それぞれの商品を取り扱う場合には、当該商品単位の試験の合格が必要になります。
資格を取得することで、お客様に最適な損害保険の提案や、万が一のことがあった場合のサポートができるようになります。
キャリアアップにおすすめ!保険営業に役立つ資格9選
保険営業としてキャリアアップしたい人におすすめの資格もあります。
より専門的な知識を得ることができ、キャリアアップにつなげられる資格として、以下の9つを紹介します。
- 2級FP技能士(ファイナンシャル・プランニング技能士)
- AFP
- 業界共通教育課程の専門課程
- 業界共通教育課程の応用課程
- 業界共通教育課程の生命保険大学課程
- 変額保険販売資格
- 外貨建保険販売資格
- 投資診断士®
- 相続診断士
それぞれの特徴を見ていきましょう。
2級FP技能士(ファイナンシャル・プランニング技能士)
2級FP技能士の資格を取得するには、2級FP技能検定に合格することが必要です。
2級FP技能検定の受検資格は先ほど紹介した3級とは異なり、3級FP技能検定の合格、AFP認定研修の修了、またはFP業務に関する2年以上の実務経験といった要件のいずれかを満たさなければなりません。
また、試験範囲も3級に比べて広くなり、難易度も高くなります。
その分試験に合格し、2級FP技能士の資格を取得できれば、より専門的な知識を持つ保険営業として信頼を得られるでしょう。

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AFP
AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャルプランナー)は、日本FP協会が認定する民間資格です。
AFPの認定にはいくつかルートがありますが、基本はAFP認定研修を修了し、2級FP技能検定に合格した人が資格登録すれば認定されるという流れです。
AFP認定研修ではライフプランニングの提案書の作成など、より実務に特化した内容を学べます。
AFPの取得により、2級FP技能士以上の豊富な知識と実践力をともなう人材として、活躍の場を広げられるでしょう。
AFPについては、以下の記事でも解説しています。
AFPを取得し、保険営業としてキャリアアップを目指したい方は参考にしてください。

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業界共通教育課程の専門課程
業界共通教育課程の専門課程試験は、先ほど紹介した業界共通教育課程の一般課程試験に合格すると受けられます。
合格者には「ライフ・コンサルタント(LC)」の称号が与えられます。
専門課程の目的は、顧客ニーズへの基本的な対応力の向上です。
一般課程で得た知識に加え、保険販売に関する専門知識やそれに付随する知識が身につくため、お客様の要望に対して適切なアドバイスが可能になるでしょう。
業界共通教育課程の応用課程
業界共通教育課程の応用課程試験は、業界共通教育課程の専門課程試験に合格した人が受けられます。
合格者には「シニア・ライフ・コンサルタント(SLC)」の称号が与えられます。
応用課程の目的は、ファイナンシャル・プランニング・サービスに求められる全般的な知識を学ぶことです。
これまでの知識を生かし、応用力や実践力を高めることで、保険営業としての価値やお客様からの信頼を高められます。
業界共通教育課程の生命保険大学課程
業界共通教育課程の生命保険大学課程試験は、業界共通教育課程の応用課程試験に合格した人が受けられます。
全6科目ある生命保険大学課程試験に合格し、一定の条件を満たす人には「トータル・ライフ・コンサルタント(TLC)」の称号が与えられます。
生命保険大学課程の目的は、生命保険や関連知識をより専門的なレベルで身につけた真の生命保険ファイナンシャルプランナーの育成です。
資産運用や社会保障制度に関する内容もカリキュラムに含まれており、保険営業としてより広範囲なサービスが提供できるようになるでしょう。
変額保険販売資格
変額保険販売資格は、変額保険の販売に必要な知識を得られる資格です。
変額保険とは、保険金を運用することで受け取れる保険金や解約返戻金が変動する保険商品です。
変額保険販売資格試験を受けるには、生命保険募集人として登録済みであることや、業界共通教育課程の専門課程試験に合格していることなど、一定の要件を満たさなければなりません。
試験に合格し、生命保険協会に登録すれば、変額保険の販売資格を得られます。
資格取得により、お客様に提案できる保険商品の幅が広がるため、新規契約につなげられる可能性も高まります。
外貨建保険販売資格
外貨建保険販売資格とは、外貨建保険の販売に必要な知識を取得できる資格です。
外貨建保険とは、保険料が外貨で運用される保険商品です。
外貨建保険販売資格試験を受けるには、生命保険募集人として登録済みであること、業界共通教育課程の専門課程試験に合格していることなど、一定の要件を満たすことが必要です。
試験に合格し、生命保険協会に登録すれば、外貨建保険の販売資格を得られます。
外貨建保険においては、近年、契約者からの苦情が増加傾向にあることが問題となっています。
外貨建保険販売資格は、外貨建保険の特性や留意点を正しく伝える知識や、コンプライアンス・リテラシーを持つ人材としての証明として有効です。
投資診断士®
投資診断士®は、投資に関する幅広い知識を証明できる資格です。
投資を検討している人、投資に悩みがある人に対して、適切にアドバイスできます。
投資診断士®を取得するには、投資診断研修を受講後、認定試験で一定の成績を修めなければなりません。
投資診断研修では投資に関する基礎知識のほか、投資商品などに関する知識を学びます。
最近は国が推進するNISAなどの投資制度も登場し、これまでより投資が身近なものとなってきました。
投資への関心が高まる中、投資のノウハウを持つ保険営業はお客様の資産形成を支援できる人材として期待されるでしょう。
相続診断士
相続診断士とは、相続に関する知識を証明できる資格です。
相続に関する基本的な知識を習得する「相続診断士」と、より専門的な知識と実務能力を習得する上位資格の「上級相続診断士」があります。
どちらも受験資格はとくに設けられておらず、誰でも受験可能です。
相続診断士はお客様の相続に関する悩みに対してアドバイスをするだけでなく、場合によっては税理士や行政書士などの専門家と一緒にサポートします。
相続に関するプロとして、保険商品の提供以外にも業務の幅を広げられます。
難易度高めだが一目置かれる!保険営業に役立つ資格4選
ここからは、難易度が高めであるものの、保有していれば保険営業の中でも一目置かれる存在になれる以下4つの資格を紹介します。
- 1級FP技能士(ファイナンシャル・プランニング技能士)
- CFP®資格
- 中小企業診断士
- アクチュアリー
保険営業としてさらにステップアップしたいという人は、取得を検討してみてください。
1級FP技能士(ファイナンシャル・プランニング技能士)
1級FP技能士は、FP技能士の最上位資格です。
1級FP技能士になるには1級FP技能検定に合格する必要があります。
1級FP技能検定を受検するには、2級FP技能検定の合格や実務経験、CFP®の認定といった受検資格を満たす必要があり、限られた人しか受検できません。
また、学科試験の合格率は5~20%であり、難易度が高い資格であるといえます。
1級FP技能士になるのは容易ではありませんが、その分お客様からの信頼や企業からの評価につながるでしょう。
CFP®資格
CFP®(サーティファイド ファイナンシャルプランナー®)資格は、北米やアジア、ヨーロッパ、オセアニアを中心に世界25か国・地域(2025年2月現在)で導入されています。
「世界が認めるプロフェッショナルFPの証」とされ、FPの頂点ともいわれています。
CFP®資格の取得により国際レベルの金融知識を持つ者とみなされるため、グローバルな人材としての活躍も期待できます。
なお、CFP®資格の取得には、AFP認定が必要です。
AFP認定後、CFP®資格審査試験6科目に合格したうえで、エントリー研修の修了、通算3年以上の実務経験の申請が求められます。
取得は一筋縄ではいきませんが、多方面から信頼を寄せられる保険営業として活躍するにはおすすめの資格です。
CFP®資格については以下の記事でも解説しています。
難易度や活用法など、くわしく知りたい方はこちらを参考にしてください。

【2025年】CFP®資格の試験日|受験資格や難易度、取得後…
CFP®は、FP専門家としての高度な知識と信頼性を証明できる資格です。2025年度のCFP®資格審査試験は、6月8日・15日と11月9日・16日に実施されま…
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中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業の課題に対して診断やアドバイスを行う専門家です。
経営コンサルティング能力を認定する唯一の国家資格として位置づけられています。
試験には1次試験と2次試験があり、1次試験合格後、2次試験に進める流れです。
2次試験合格後、実務補習または15日以上の実務従事を経たうえで、中小企業診断士としての登録ができます。
1次試験と2次試験の合格率をかけ合わせた合格率は平均4.9%と、難易度は非常に高いです。
しかし、取得すれば企業経営の知識を持つ保険営業として、活躍の場を広げられるでしょう。
中小企業診断士については以下の記事でも解説しています。
資格の概要はもちろん、取得のメリットなども解説しているので参考にしてください。

中小企業診断士とは?仕事内容やキャリア、年収などを解説
中小企業診断士とは、経営コンサルタントとしての唯一の国家資格です。企業をさまざまな角度から診断し、適切なアドバイスができる人を認定する資格で、最近では、日本…
中小企業診断士とは、経営コンサルタントとしての唯一の国家資格…
アクチュアリー
アクチュアリーとは、高度な数学的知識を駆使して、保険商品や年金制度などのリスクを評価する専門職です。
アクチュアリーになるには、日本アクチュアリー会が開催する試験に合格後、正会員として認定を受けなければなりません。
試験は5科目の基礎科目(第1次試験)と2科目の専門科目(第2次試験)で構成されており、すべての科目に合格するには最低でも2年必要です。
ただ、実際には2年で合格するのは難しく、すべて合格するのに平均で8年かかるともいわれています。
アクチュアリーは、全国で約5,600人(2024年3月末現在)と非常に希少な存在です。
合格には時間と根気が必要ですが、数学的側面から保険提案ができる人材として希少価値の高い存在となりうるでしょう。
どの資格を目指すか迷ったらFP技能検定がおすすめ!
ここまで紹介してきたように、保険営業には多くの関連資格があります。
どの資格を目指そうかと迷ってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな人にはFP技能検定の受検がおすすめです。
FPの勉強をすると、保険だけでなく、老後資金や住宅ローン、相続など、くらしとお金に関する幅広い知識が身につきます。
また、国家資格であることや、更新のない生涯資格であることも魅力といえるでしょう。
FP技能検定には1~3級までの等級があるため、自分のレベルにあわせてステップアップすることも可能です。
保険営業で生かしたい場合にはFP2級以上を目指しましょう。
保険営業に役立つ資格を目指すなら自分のレベルに合ったものを選ぼう
今回は、保険営業に役立つ資格について、必要な理由もあわせて解説しました。
以下おさらいです。
- 保険営業では義務づけられている資格がある。信頼獲得やキャリアアップのためにも資格は取得するべき
- まずは3級FP技能士、生命保険募集人、損害保険募集人の資格を目指そう
- 2級FP技能士やAFPなどを取得すれば、専門性の高い知識の獲得やキャリアアップにつながる
- 1級FP技能士やCFP®資格などは難易度が高いが、保険営業としてステップアップできる資格
- 迷ったらFP技能検定がおすすめ。保険営業で生かすには2級以上が望ましい
保険営業として活躍するには、保険営業に従事するうえで必須の資格に加え、仕事の幅を広げられる資格を取得するのがおすすめです。
まずは自分の現在地を知り、レベルに合った資格取得に向けて歩み出してください。