FP(ファイナンシャルプランナー)試験の難易度と合格率|3級・2級・1級にわけて紹介

FP(ファイナンシャルプランナー)は3つの級に分かれています。3級はかなり易しめ、2級はやや易しめ、1級は難しめとなっています。

この記事では、FP試験の難易度・合格率について解説します。

FP試験の難易度

FP試験(FP技能検定)とは、「お金に関する広い知識(年金、保険、税金など)を生かし、ライフプランの作成やアドバイスを行える人を認定する試験」です。

2003年から、FP技能士は国家資格としても認定されています。

試験は難易度の低いほうから3級・2級・1級と、3つのレベルに分かれています。

まずは、FP試験の難易度について、級ごとに見ていきましょう。

ほかの資格試験と比較したFP試験の難易度については、こちらの記事でも解説しています。

FP3級の難易度

FP3級は資格試験全体の中でもかなり易しいレベルです。

合格に必要な勉強時間も80〜150時間程度と少なめなので、比較的合格を目指しやすいでしょう。

試験は学科と実技に分けて実施されます。

学科は選択式で得点しやすいという点も、難易度が低いと言われる理由のひとつです。

なお、合否は「上位〇%が合格」という相対評価ではなく、絶対評価で決まります。

しっかり勉強して6割以上正解すれば、かならず合格できます。

試験内容は、保険・税金・年金など、日々の生活に密着したテーマが中心です。

基本的な内容なので、独学でも勉強しやすく、短い勉強時間での合格も可能でしょう。

日商簿記3級との比較

FP試験と同じく、お金に関する資格として有名な日商簿記と比べてみましょう。

日商簿記3級の合格率は30~50%、FP3級の合格率は60〜75%程度です。

試験内容が異なるため一概に比較できませんが、合格率を比べるとFP3級よりも日商簿記3級のほうが難易度が高いと考えられます。

なお、日商簿記3級合格に必要な勉強時間は、50〜150時間程度と言われており、FP3級と同じくらいの勉強時間が必要です。

FP2級の難易度

FP2級の難易度は3級と比べるとアップしますが、国家資格の中では比較的易しい試験です。

試験問題は過去問からの焼き直しも多いため、対策もしやすいでしょう。

FP3級と同様、6割以上正解すれば合格できます。

FP2級合格に必要な勉強時間は、150〜300時間程度と言われています。

3級よりも深い知識が問われるので、十分な勉強時間を確保することが大切です。

独学での合格も可能ですが、計画的に勉強を進めることが求められます。

なお、FP2級を受検するには、以下のうちどれかひとつを満たしている必要があります。

  • AFP認定研修の受講修了者
  • FP実務経験2年以上
  • 3級FP試験合格者

AFP認定研修の修了者やFP実務経験が2年以上ある人であれば、いきなり2級からの受検も可能です。

宅建士(宅地建物取引士資格試験)との比較

試験回によって異なりますが、宅建士の合格率は15〜17%程度で推移しています。

いっぽう、FP2級の合格率は、学科:25~55%程度、実技:35〜60%程度です。

合格率から比較すると、宅建士のほうが難しいと推測できます。

宅建士の合格に必要な勉強時間は、200~300時間程度と言われています。

一概に比較できませんが、FP2級と同程度かそれ以上の勉強時間が必要になるでしょう。

日商簿記2級との比較

日商簿記2級の合格率は、15~30%程度で推移しています。

また、合格に必要な勉強時間は100〜200時間程度です。

宅建士同様、一概に比較できませんが、合格率や勉強時間などを考慮すると、簿記2級のほうが難しいと言えるでしょう。

FP1級の難易度

FP1級はかなり難易度が高い試験です。

3級や2級と比べると出題範囲が広く、過去問からの対策もしにくいことなどが、難易度が高い理由としてあげられます。

また、実施機関によって異なりますが、FP1級を受検するには、FP2級の合格や実務経験といった受検資格を満たす必要があります。

そのため、いきなり1級を受検することはできません。

1級に対応している教材も少ないため、独学での合格は難しいでしょう。

日本FP協会ときんざいで難易度に違いはある?

FP試験の実施機関は、「日本FP協会」と「きんざい(金融財政事情研究会)」の2つです。

どちらで受検しても同じようにFP資格を取得できますし、難易度にも大きな違いはないと考えられています。

ただし、実施機関によって試験内容は異なります。

  • FP3・2級:学科試験の出題内容は同じだが、実技試験が両機関で異なる
  • FP1級:学科試験の有無が異なる

難易度を直接的に比べることはできませんが、ひとつの目安になると思いますので、日本FP協会ときんざいの合格率の違いについても記事後半で紹介します。

FP試験の合格率

日本FP協会ときんざいとでは合格率が異なります。

日本FP協会の試験では、個人申込の受検者が多く、実技試験ではオーソドックスな問題が出題されているため、合格率がやや高いと考えられます。

いっぽう、きんざいの試験については、法人申込の受検者が多いことや、実技試験での専門性の高い出題により、合格率がやや低くなっているようです。

FP試験の合格率は、試験を実施している日本FP協会ときんざいからそれぞれ発表されています。

ここからは、それぞれの受検者数と合格者を合計して算出した、全体の合格率の推移を見ていきましょう。

なお、FP1級は日本FP協会ときんざいで試験形式が異なるため、FP3・2級のみについて紹介します。

FP3級の合格率

試験日学科試験実技試験
2024年10月〜2025年2月(CBT)73.75%75.44%
2024年4月〜9月(CBT)71.34%73.91%
2024年5月※52.55%80.43%
2024年1月71.98%76.20%
2023年9月60.94%70.47%
2023年5月77.09%77.63%
2023年1月74.87%75.01%
2022年9月66.66%70.58%
2022年5月72.01%76.40%
2022年1月77.95%73.60%
2021年9月71.15%65.74%
2021年5月69.43%66.73%
2021年1月47.98%71.46%
2020年9月78.79%65.20%
2020年5月中止中止
2020年1月74.90%62.43%
2019年9月69.60%59.33%
2019年5月54.48%64.42%
2019年1月62.33%62.88%
2018年9月69.14%61.09%
2018年5月66.83%68.08%
2018年1月71.48%69.59%

※2024年5月はきんざいのみのデータ

FP3級の合格率は、学科・実技ともに60~75%程度であることがわかります。

これは、FP3級が入門と位置付けられているためです。

FP2級の合格率

試験日学科試験実技試験
2025年1月31.63%46.35%
2024年9月32.51%49.60%
2024年5月45.58%51.18%
2024年1月25.53%52.49%
2023年9月36.91%46.72%
2023年5月32.41%49.80%
2023年1月41.12%47.36%
2022年9月27.10%46.91%
2022年5月33.73%47.44%
2022年1月28.31%50.04%
2021年9月34.93%48.10%
2021年5月50.65%58.85%
2021年1月53.83%54.62%
2020年9月37.65%50.52%
2020年5月中止中止
2020年1月33.69%47.36%
2019年9月29.96%48.46%
2019年5月28.41%46.12%
2019年1月37.61%42.31%
2018年9月28.22%35.78%
2018年5月33.52%38.60%
2018年1月34.42%45.08%

FP2級については、学科の合格率が25~50%程度、実技の合格率は35~60%程度となっています。

国家資格の中では易しいレベルで、かなり合格しやすい試験と言えます。

【日本FP協会】FP試験の合格率

日本FP協会が実施しているFP試験の合格率は、以下のとおりです。

【日本FP協会】FP3級の合格率

日本FP協会のFP3級の合格率は、学科が75~90%、実技は80~90%です。

試験日学科試験実技試験
2024年10月〜2025年2月(CBT)85.4%85.6%
2024年4月〜9月(CBT)86.2%85.8%
2024年1月83.14%86.56%
2023年9月74.78%77.67%
2023年5月88.25%86.83%
2023年1月85.25%88.34%
2022年9月80.78%84.44%
2022年5月83.37%90.33%
2022年1月87.01%90.75%

【参考】
日本FP協会「FP技能士の取得者数 及び 試験結果データ」
日本FP協会「過去の試験結果データ」

日本FP協会が実施している実技試験の科目は、資産設計提案業務です。

【日本FP協会】FP2級の合格率

日本FP協会のFP2級の合格率は、学科が40~60%、実技は50~60%です。

試験日学科試験実技試験
2025年1月44.4%48.8%
2024年9月47.1%56.5%
2024年5月59.3%54.9%
2024年1月39.00%61.12%
2023年9月53.54%52.02%
2023年5月48.82%58.61%
2023年1月56.12%59.53%
2022年9月42.16%56.55%
2022年5月49.20%62.11%
2022年1月41.51%56.33%

【参考】
日本FP協会「FP技能士の取得者数 及び 試験結果データ」
日本FP協会「過去の試験結果データ」

【日本FP協会】FP1級の合格率

日本FP協会のFP1級(実技)の合格率は、80~99%です。

試験日実技試験合格者数/受検者数
2024年9月82.40%1,099名/1,333名
2023年9月96.20%967名/1,005名
2022年9月99.00%1,186名/1,198名
2021年9月93.70%1,126名/1,201名

【参考】
日本FP協会「FP技能士の取得者数 及び 試験結果データ」
日本FP協会「過去の試験結果データ」

日本FP協会では、毎年9月にFP1級試験の実技試験(資産設計提案業務)を実施しています。

なお、FP1級試験の学科試験は、日本FP協会では実施されず、きんざいでのみ実施されています。

【きんざい】FP試験の合格率

きんざいが実施しているFP試験の合格率は、以下のとおりです。

【きんざい】FP3級の合格率

きんざいのFP3級の合格率は、学科が40~60%、実技(個人)は40~70%、実技(保険)は40~60%であることがわかります。

試験日学科試験実技(個人)実技(保険)
2024年10月〜2025年2月(CBT)49.61%65.00%46.76%
2024年4月〜9月(CBT)47.63%66.67%47.19%
2024年5月52.55%57.14%45.55%
2024年1月46.40%55.64%44.79%
2023年9月37.19%62.29%55.30%
2023年5月54.13%61.58%58.91%
2023年1月56.00%67.56%40.05%
2022年9月43.41%58.23%43.28%
2022年5月49.03%62.24%45.64%
2022年1月62.52%39.53%45.98%

【参考】金融財政事情研究会「試験結果」>各試験の結果

なお、きんざいが実施している実技試験の科目は下記のとおりです。

受検者は1科目を選択します。

  • 実技(個人):個人資産相談業務
  • 実技(保険):保険顧客資産相談業務

【きんざい】FP2級の合格率

きんざいのFP2級の合格率は、学科が10~30%、実技(個人)は30~45%、実技(中小)は25~60%、実技(生保)は30~50%、実技(損保)は60~70%です。

きんざいのFP2級実技試験では、各回の難易度に応じて合格率の幅があることも特徴と言えます。

試験日学科試験実技(個人)実技(中小)実技(生保)実技(損保)
2025年1月19.79%45.14%26.39%43.07%
2024年9月19.00%44.44%24.35%36.74%61.60%
2024年5月29.70%38.77%53.18%
2024年1月13.27%37.11%53.58%45.27%
2023年9月22.75%41.36%35.92%40.17%60.07%
2023年5月17.51%39.76%39.20%
2023年1月29.07%34.09%62.98%31.90%
2022年9月15.75%41.54%39.80%32.54%72.92%
2022年5月22.11%31.44%34.32%
2022年1月19.50%36.69%57.84%50.94%

※実技(損保)については、原則年1回の実施ですが、2018年9月に北海道地区の試験が地震の影響で中止となったため、2019年1月に追加試験が実施されています。

【参考】金融財政事情研究会「試験結果」>各試験の結果

なお、きんざいが実施している実技試験の科目は下記のとおりです。

受検者は1科目を選択します。

  • 実技(個人):個人資産相談業務
  • 実技(中小):中小事業主資産相談業務
  • 実技(生保):生保顧客資産相談業務
  • 実技(損保):損保顧客資産相談業務

FP試験は年3回実施されていますが、きんざいの2級において、実技(中小)は年2回(9月、1月)、実技(損保)は年1回(9月)の実施に限られています。

【きんざい】FP1級の合格率

きんざいのFP1級(学科)の合格率は5〜20%で、難易度が高いことがわかります。

試験日学科試験合格者数/受検者数
2025年1月16.81%804名/4,782名
2024年9月15.95%688名/4,312名
2024年5月16.95%736名/4,340名
2024年1月8.72%456名/5,226名
2023年9月13.00%653名/5,023名
2023年5月3.51%170名/4,831名
2023年1月10.38%638名/6,146名
2022年9月12.28%657名/5,347名
2022年5月9.39%582名/6,192名
2022年1月6.67%531名/7,958名

【参考】金融財政事情研究会「試験結果」>各試験の結果

また、以下のとおり、FP1級(実技)の合格率は80~90%で推移しています。

試験日実技試験合格者数/受検者数
2025年2月83.25%661名/794名
2024年9月88.21%419名/475名
2024年6月82.67%458名/554名
2024年2月87.96%614名/698名
2023年9月80.10%157名/196名
2023年6月84.80%625名/737名
2023年2月86.07%649名/754名
2022年9月10月84.59%401名/474名
2022年6月85.98%638名/742名
2022年2月85.88%961名/1,119名

【参考】金融財政事情研究会「試験結果」>各試験の結果

FP試験合格のための勉強時間

FP試験に合格するために必要な勉強時間として、一般的にFP2級は150~300時間、FP3級は80~150時間ほどが目安だと言われています。

1日あたりの勉強時間で割れば、おおよその期間が見えてきます。

1日2時間勉強できるなら、FP2級で3カ月~5カ月、FP3級なら2カ月~3カ月が目安です。

ただし、これはあくまでも一般論であり、それぞれの置かれている状況によっても異なります。

仕事でFP試験に関連する分野に関わっている場合は、ある程度の知識が備わっており、少なめの勉強時間でも合格できるかもしれません。

勉強法のポイントやスケジュール例など、よりくわしい情報については、下記のページをご参照ください。

FP試験の難易度を理解し自分に合うレベルを受検してみよう

FP試験の難易度と合格率について解説しました。

ポイントは以下のとおりです。

  • FP3級の難易度はかなり易しい。独学での合格も可能
  • FP2級は3級と比べるとやや難しくなるが、国家資格の中では易しく、独学での合格も可能
  • FP1級はかなり難易度が高く、独学での合格は難しい
  • FP試験は日本FP協会ときんざいで受検できる。難易度に違いはないが、合格率は日本FP協会のほうが高い傾向がある
  • FP3級は80~150時間、FP2級は150~300時間の勉強時間が必要と言われている

FP各級の難易度や受検資格を理解し、自分に合ったレベルを受検しましょう。