弁理士がすごいといわれる5つの理由
弁理士が「すごい」といわれる理由としては、資格試験の難易度や年収、業務の専門性、社会的意義の大きさなどさまざまな理由が挙げられます。ここでは、主な理由を5つ挙げ、具体的な根拠とともに解説します。
資格試験の難易度が高い
弁理士がすごいといわれる大きな理由は、資格取得の難易度の高さです。
弁理士の資格は国家資格のなかでもトップレベルに難易度が高いとされており、資格を取得したこと、または資格に挑戦していること自体に対して「すごい」といわれる機会が多いでしょう。
具体的な難易度としては、弁理士試験の合格率は6~10%程度となっており、資格試験のなかでも狭き門だといえます。
短答式試験・論文式試験・口述試験と3つの試験を順番に突破しなければならない点も、合格率が低い理由の1つです。
また、弁理士試験の合格に求められる勉強時間は3000時間程度といわれており、税理士や司法書士などの難関資格と同水準です。
さらに、弁理士に合格するまでの平均受験回数は3~4回程度となっており、年に1度の試験であることから、多くの受験者が複数年での合格を目指していることがうかがえます。
このように、弁理士試験は合格率や必要な勉強時間、平均受験回数などの観点から難易度の高い試験であることが明らかであり、そのため「すごい」と称賛される機会が多くなるのです。
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平均年収が高い
弁理士の平均年収は、700~760万円程度といわれています。
国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均給与は443万円となっていることから、弁理士の給与はかなりの高水準だといえるでしょう。
さらに、大手の特許事務所に所属して難易度の高い案件を扱うようになったり、大手企業の企業内弁理士として雇用されたりすれば、将来的な年収が1000万円を超える可能性も十分にあります。
最終的には、特許事務所や企業で積んだ経験をもとに独立開業し、年収2000万円、3000万円といった高収入を得る弁理士もいます。
世間一般と比べた年収の高さは、弁理士が「すごい」といわれる理由の1つでしょう。
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最先端技術を扱う
弁理士が実務で扱う内容は、最先端の技術と密接に関連します。
特に特許申請においては、最新技術に関する十分な知見を有し、正しく内容を理解したうえで業務を進行することが求められます。
常に最先端の情報をインプットし続け、適切な判断を下していく姿から、弁理士は「専門性が高くてすごい」「最先端技術に関する知識が豊富ですごい」などといった印象を抱かれることが多いのです。
世の中にとって重要な仕事である
弁理士の業務は、世の中にとって重要な社会的意義の大きい仕事だといえます。
弁理士の使命は、開発者や権利者の知的財産を守ることです。
時間や労力をかけて開発した技術が他社に簡単に利用されてしまっては、開発の努力が報われません。
特許承認などによって知的財産権が守られるからこそ、企業は安心してさらなる技術開発に専念できるのです。
世の中に革新をもたらすような最新技術の開発を促進する役割として、弁理士の業務は社会的意義の大きい、誇り高い仕事だといえます。
独立開業も十分可能である
弁理士には経験次第でさまざまなキャリアの選択肢があり、独立開業もその1つです。
弁理士試験の合格後は、特許事務所や企業に所属し、実務経験を積んでいくのが一般的です。
それだけでも、専門性の高い職業として十分やりがいや報酬に恵まれた労働環境が得られるでしょう。
しかし、さらに経験を積んで独立開業すれば、自分の裁量で仕事を選び、かつ高収入を得るといった理想的なワークスタイルにたどり着くことも可能です。
もちろん、独立開業したからといって必ず成功するわけではなく、独自の強みや人脈を活かして生き残っていく必要があります。
それでも会社員として働く人が多いなか、独立開業の選択肢があることは弁理士の「すごさ」を際立たせている要因の1つだといえます。
弁理士業務のやりがい・魅力とは
弁理士の業務は専門性が高く簡単ではありませんが、そのぶんやりがいがあり、クライアントや社会全体に貢献できる魅力ある仕事です。
ここでは、弁理士業務のやりがい・魅力を3つに絞って解説します。
クライアントの事業拡大に貢献できる
弁理士は、自身の業務を通してクライアントの事業拡大に大きな貢献ができます。
クライアントが長年の研究によって生み出した技術を守ることに加え、今後その技術をどのように活かしていくのかを考える「知的財産コンサルティング」も重要な役割です。
知的財産を取り巻く「攻め」と「守り」をサポートする業務は、クライアント企業の将来を大きく左右します。
複数のクライアントを抱えることで日常的に触れる技術の領域が広がり、さらにやりがいも増していくことでしょう。
知識の深さ・広さが活かせる
弁理士の業務で求められる知識は、一度習得して終わりではなく、常に最新に保つとともに幅を広げていくことが求められます。
日々進化を遂げる「知的財産」を適切に扱うためには、10年前や5年前の知識に頼り切っているような状態では成り立ちません。
そのため、弁理士は向上心や好奇心が強く、常に自己研鑽を積めるような人に適した仕事だといえるでしょう。
最先端の技術に触れ続け、蓄えた知識・経験によってクライアント企業や社会に貢献できる、やりがいのある仕事です。
グローバルに活躍できる
現代の弁理士は、グローバルな活躍も期待されている職業です。
今や知的財産を巡る競争は国内にとどまらず、世界的に激化しているからです。
特許庁が公開している「特許行政年次報告書2022年版」によると、日本国特許庁を受理官庁とした国際出願(PCT国際出願)の件数は、2012年~2021年にかけて約15%ほど増加しています。
国際案件で活躍するには、弁理士としてのスキル・経験に加えて英語力を身につける必要があります。
日本の国内市場が縮小するなかで海外展開を狙う企業は増える一方であり、英語対応が可能な弁理士に対する需要は今後もますます増えるでしょう。
弁理士として長く活躍したいなら、英語力はぜひ身につけたいところです。
日本企業の海外事業拡大に貢献できれば、さらに弁理士としてのやりがいが増すはずです。
弁理士は「オワコン」「やめとけ」という声もあるが心配はない
実は、世の中には「弁理士はオワコン」「弁理士になるのはやめとけ」といったような声もあります。しかし、結論からいうと弁理士の将来性について大きな心配はありません。
弁理士を目指すことについて否定的な意見があるのは、以下のような理由からです。
- 下積み期間が長い
- ブラックな職場がある
- 高収入が約束されてはいない
資格取得後に2~3年は実務経験がないと弁理士としての活躍が難しいことや、特許事務所のなかにはブラックな職場もあることなどが挙げられます。
また平均年収が高いとはいえ、あくまで「平均」であるため、必ずしも高収入が約束されているわけではありません。
難易度の高い弁理士試験をなんとか突破したにもかかわらず、上記のような状況に陥れば、「弁理士はやめとけ」と言いたくなるのも仕方ないでしょう。
しかし本記事で解説した通り、弁理士のキャリアにはさまざまな選択肢が用意されています。
まずはブラックでない職場を見つけて就職し、しっかりと実務経験を積めば、その後は着実にキャリアアップできるでしょう。
最終的には、独自の強みや人脈をもとに独立開業できる可能性もあります。
重要なことは、弁理士資格を取得したことに満足せず、実務経験を積みながらも英語力をつけたり得意分野の知見を深めたりと自己研鑽を重ねることです。
ほかの弁理士との差別化ができていれば、「弁理士はオワコン」などと思うことはないでしょう。
あわせて読みたい:弁理士はやめとけ?オワコンといわれる理由や業界の実情、キャリア成功のポイントを解説
まとめ
本記事では、弁理士がなぜ「すごい」のか、その理由や業務の魅力・やりがいについて解説しました。ポイントをまとめると以下の通りです。
- 弁理士試験は合格率6~10%程度、平均受験回数が3~4回と難易度の高い国家資格
- 弁理士の平均年収は700~760万円程度と日本人の平均給与よりもかなり高い
- クライアント企業の知的財産を守り、技術のさらなる発展に貢献するやりがいのある仕事
- 知的財産の国際競争は激化しており、英語力をつければグローバルに活躍できる
- 独自の強みや人脈があれば、将来的に独立開業することも可能
弁理士は決して簡単に取得できる資格ではありませんが、得られる年収や仕事のやりがい、世間からの評価などを考えれば、目指す価値のある魅力的な仕事です。
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