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弁理士の実務修習とは?学習内容やスケジュール、かかる費用をまとめて解説

 弁理士の実務修習とは?学習内容やスケジュール、かかる費用をまとめて解説

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弁理士の実務修習とは

弁理士として業務を行うためには、難関といわれる資格試験に合格するだけでなく、実務修習を修了する必要があります。

ここでは弁理士の実務修習について、概要と費用、スケジュールを紹介します。

実務修習の概要

弁理士の新人研修ともいえる「実務修習」は、弁理士としてふさわしい知識と実務能力の修得を目的に実施されます。

実務修習の受講は義務であり、弁理士登録に欠かせない要件です(平成19年度までに試験合格した方は対象外)。

実務修習を受けるには、規定期間内に受講申請書を日本弁理士会宛てに提出します。

申請書の作成は、日本弁理士会ホームページにて申請フォームに入力して印刷するか、印刷したものに手書きで記入します。

その後受講料を振り込みで支払い、申請書類に振込票の写しなど各種証明書類を添付して配達証明郵便にて発送するという流れです。

例年、弁理士試験の合格発表が行われる11月中旬以降に受付が開始されます。

参考:日本弁理士会「令和4年度 実務修習のお知らせ

実務修習にかかる費用

なお、実務修習には118,000円(非課税)の受講料がかかります。

前述の通り、申請書を提出する前に指定の銀行口座への振り込みが必要です。

実務修習を無事修了すれば、日本弁理士会への弁理士登録申請が可能になります。

弁理士登録に有効期限はなくいつでも登録可能ですが、実務修習は年に1度しか実施されないため、タイミングを逃さないよう注意しましょう。

参考記事:弁理士の合格・登録にかかる費用はいくら?具体的なステップや手続きを紹介

実務修習のスケジュール(日程と期間)

弁理士の実務修習は年に1度、およそ4ヶ月の期間にわたって行なわれます。

令和4年度の具体的なスケジュールは以下の通りです。

弁理士試験の合格発表 令和4年11月10日(木)
実務修習の受付期間 令和4年11月14日(月)~11月22日(火) ※当日消印有効
コース決定・テキストなどの送付 令和4年12月8日(木)
実務修習全体の実施期間 令和4年12月9日(金)~令和5年3月31日(金)
e-ラーニング配信期間 令和4年12月9日(金)~令和5年2月28日(火)
開講式 令和4年12月14日(水) ※オンライン開催
最初の起案提出期限 令和4年12月20日(火) ※当日消印有効
集合研修 令和5年1月中旬~2月中旬 ※5日間の集中コースなど複数あり
修了証書の案内 令和5年3月20日(月)頃 発送予定

実務修習は、弁理士試験に合格したからといって自動でそのまま受けられるわけではありません。

合格発表直後に申し込み受付が始まり、受付期間も1週間程度と短いため要注意です。

12月初旬にはコースが決定され、テキストなどが送付されてきます。

テキストの到着から初回の起案提出までの期間も短いため、到着したらすぐに開封して確認するようにしましょう。

開講式は原則出席必須となっていますが、後日アーカイブ配信も行われています。

実務修習のコースは複数用意されており、令和4年度の会場・コースは以下の通りです。

  • 東京会場:金曜コース、土曜コース、夜間(木・金)コース、集中コース
  • 大阪会場:土曜コース
  • 名古屋会場:土曜コース

集合研修という名称ではありますが、令和4年度時点での受講方法はオンライン(Zoom)となっています。

また、東京会場の集中コースでは連続5日間での開催となっており、短期間で集合研修の受講を完了させることが可能です。

期間中にすべての課目の単位を修得することで実務修習修了となり、3月下旬頃に修了証書が送付されます。

弁理士の実務研修には「集合研修」と「e-ラーニング研修」がある

実務修習の内容は、大きく分けて「集合研修」と「e-ラーニング研修」の2つです。

実務修習は以下5つの課程に分かれており、各課程に属するすべての課目を修得しなければ修了になりません。

  • 弁理士法及び弁理士の職業倫理
  • 特許及び実用新案に関する理論及び実務
  • 意匠に関する理論及び実務
  • 商標に関する理論及び実務
  • 工業所有権に関する条約その他の弁理士の業務に関する理論及び実務

以下、弁理士実務修習のメインである「集合研修」と「e-ラーニング研修」について詳しく説明します。

集合研修とは

集合研修は現在オンライン(Zoom)で実施されており、講師と修習生がWeb上で直接対面する形で進行します。

事前に課題に対する起案を提出し、講師がその起案に対する講評をまじえながら演習中心の講義を行うという形式です。

事前の起案提出には期限が設定されているため、忘れないよう注意しましょう。

また、提出した起案は返却されないため、事前にコピーをとったうえで受講する必要があります。

集合研修では、5~9日間かけて合計約27時間の講義を受講します。

週1~2日のペースで実施されますが、集中コースの場合は5日間連続での開催です。

集合研修の単位修得の要件は、以下の3つです。

  • 起案を期限までに提出すること
  • 起案が基準を満たすこと
  • 集合研修の講義に出席すること

起案の内容が基準に満たないと判断された場合は、集合研修の当日に再提出が求められます。

期限までに再提出した起案が基準を満たせば、無事単位修得となります。

再提出した起案が再度基準に満たないと判断された場合、再々提出が可能ですが、それでも基準に満たなかった場合は課目の修得が不可となります。

研修の内容をよく思い出し、再提出時には基準を満たせるように改善しましょう。

また、集合研修では15分以上の遅刻や早退、中座をした場合、出席とは認められません。

やむを得ない場合を除いて原則欠席不可となっており、補講や振替受講が認められる場合もありますが、事前に事務局に確認が必要です。

e-ラーニング研修とは

e-ラーニング研修とは、テキスト教材と講義の映像コンテンツを使って学習する形式の研修です。

コンテンツの途中には効果確認問題が設けられており、8割以上正解しなければ先に進めません。

正答率8割以上をキープできるよう、集中して臨みましょう。

e-ラーニングの配信期間は、12月上旬から2月末までと決まっています。

十分な期間があるように感じるかもしれませんが、集合研修と並行して取り組む必要があるため、スケジュールを立てて計画的にこなしていくことが求められます。

一部の単位のみ修得できたとしても、翌年の実務修習には持ち越せません。

翌年に再度受け直す場合は費用も改めて支払いが必要になるため、期間中に確実に修了できるよう取り組みましょう。

弁理士の実務修習に免除制度はある?受講できない場合は?

弁理士になるにあたって必須の実務修習ですが、実は一定の条件を満たす場合には一部免除を受けることが可能です。

ここでは弁理士実務修習の免除制度や、受講できない場合の対応について紹介します。

免除制度について

すでに実務を経験している方や弁護士資格を保有している方など、一定の条件を満たす場合には実務修習の一部免除が認められています。

具体的には、知的財産関係の書類作成業務に一定年数携わった経験のある方は、経験年数や内容に応じて免除課程が規定されています。

また、弁護士資格を有する方や特許庁で審判官などの勤務経験を持つ方も免除対象です。

免除を希望する場合は、実務修習受講申請書に必要書類を添付し、申請をしてください。

なお、免除要件を満たすからといって必ずしも申請しなければならないわけではありません。

長年の実務経験を有する方でも、すべての課程・課目の受講が可能です。

ご自身の実務能力や知識を考慮のうえ、申請するかどうか決めましょう。

受講できない場合は補講・振替が受けられる可能性あり

弁理士実務修習のうち、集合研修の欠席は原則認められていません。

ただし、以下のようなやむを得ない事情を抱える場合は、事務局に申し出ましょう。

補講もしくは振替受講が認められる場合があります。

  • 仕事の都合でどうしても出席できない
  • 病気の症状が重く、出席できる状態ではない
  • 電車が大幅に遅延し、会場到着まで時間がかかる
  • 別の試験日や研修と重なる

上記は一例に過ぎません。

どのような事情で振替受講が認められるかについては、日本弁理士会事務局に直接確認してください。

補講や振替が認められなかった場合は、課目の修得がかなわず、修了もできなくなります。

その点を踏まえたうえで休講手続きを取ってください。

弁理士の実務修習に臨むうえでの注意点

弁理士の実務修習に臨むうえでは、以下の3点に注意しましょう。

  • 試験合格後すぐに始まる
  • 起案の難易度が高く、不合格になることも
  • 働きながらの起案提出・受講はハード

試験合格後すぐに始まる

弁理士の実務修習は、試験の合格発表後すぐに開始されます。

申し込み期間も1週間程度と非常に短いことから、無事合格したらすぐに実務修習に申し込むよう意識しておくとよいでしょう。

令和4年度の場合、弁理士試験の最終合格発表が11月10日、実務修習の申し込み期間が11月14日〜22日でした。

実務修習は年に1度しか実施されないため、タイミングを逃すと翌年まで待つことになります。

できるだけ早く弁理士として働きたいのであれば、試験合格後の申し込みを忘れないようにしましょう。

起案の難易度が高く、不合格になることも

集合研修の前には、必ず課題に対する起案を提出する必要があります。

それぞれの課目に合わせた課題となっていますが、その難易度は高く、不合格になってしまう可能性もあります。

すでに実務経験がある方であっても、再提出となってしまうケースは珍しくありません。

提出は3回まで認められていますが、3回目で不合格となれば課目を修了できなくなります。

できるだけ1回目・2回目の提出で合格となるよう、丁寧に取り組みましょう。

働きながらの起案提出・受講はハード

弁理士の実務修習は、主に集合研修とe-ラーニング研修で構成されています。

スケジュール的には余裕があるように見えますが、集合研修前の起案作成などを含めればかなりハードなスケジュールになるでしょう。

起案の再提出が必要になった場合など、働きながら課題の提出を間に合わせるのは難しいケースも出てくるはずです。

弁理士の実務修習を受ける年の年末年始はあまりゆっくり過ごせないと考えておいたほうがよいでしょう。

集合研修は1月中旬からですが、その前に起案の提出を済ませたり、e-ラーニング研修を進めておいたりと、やることは山積みです。

また、起案はレターパックで提出する必要があるため、少し手間がかかる点にも要注意です。

弁理士には5年に1度の継続研修もある

弁理士法では、実務修習だけでなく、ベテラン弁理士にも研修を課す「継続研修制度」が規定されています。

すべての弁理士に対し、5年間で70単位(1単位1時間)以上の受講が義務付けられているのです。

継続研修には、受講が義務付けられた必修科目と、任意で受講できる任意科目があります。

【必修科目】

倫理研修 10時間(e-ラーニング5時間+集合研修5時間)の研修
会員研修 弁理士として習得すべき知識や技能を養成するための研修

【任意科目】

地域研修 東京や大阪など大都市圏以外で活動する弁理士が受講できる研修
特定侵害訴訟代理業務に関する能力担保研修 本研修を修了し、特定侵害訴訟代理業務試験に合格すると、特定侵害訴訟に限って弁護士と共同で訴訟代理人になれる
民法・民事訴訟法に関する基礎研修 能力担保研修を受講するために必要な民法及び民事訴訟法に関する知識を習得するための研修
付記弁理士研修 特定侵害訴訟代理業務試験に合格し、その旨を弁理士登録簿に付記した弁理士を対象とする研修
弁理士育成塾 新人弁理士を対象とした、明細書作成に特化した少人数制の演習指導型研修
知財ビジネスアカデミー 知財コンサルタントなどの業務に強い弁理士を養成するための研修
認定外部機関が実施する研修 認定外部機関が実施する研修のうち、継続研修として認定された研修

弁理士として活躍し続けるには、ほかの弁理士との差別化が重要になるため、上記のような研修もうまく利用したいものです。

参考記事:弁理士とは|仕事内容や資格試験の難易度、必要な勉強時間、年収の目安などまとめて紹介!

まとめ

本記事では、弁理士試験合格後に受講が必要となる「実務修習」について紹介しました。今回のポイントをおさらいします。

  • 弁理士試験に合格しても、実務修習を修了しなければ弁理士登録が受けられない
  • 実務修習は年に1度しか受講するチャンスがない
  • 実務修習の申し込みは合格発表直後に始まるため要注意
  • 実務修習の受講にかかる費用は118,000円(非課税)
  • 実務修習は「集合研修」と「e-ラーニング研修」から成る
  • 開催期間は約4ヶ月にわたり、課題の提出などで忙しくなる

難関といわれる試験を突破したあとにも実務修習を修了する必要があり、弁理士になるのは大変そうだと感じるかもしれません。しかし、そのぶん専門性が高く、やりがいや将来性にあふれた業務であることは間違いありません。

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