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文系の弁理士に需要はある?試験の合格難易度やキャリアプランを解説

文系の弁理士に需要はある?試験の合格難易度やキャリアプランを解説

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文系の弁理士に需要はある?厳しい?

弁理士は、特許や商標といった知的財産権の保護・管理を担う専門家です。業務の特性上、技術に関する知識が求められるため、主に理系出身者に人気の資格となっています。

そのため、「弁理士=理系」というイメージが強く、文系出身者には不利な業務・資格であると考えられてしまいがちです。

しかし、文系でも弁理士の資格取得は十分可能であり、実際に多くの文系出身者が弁理士として活躍しています。

ここでは、文系の弁理士に対する需要について解説します。

文系弁理士の就職・求人事情は?

まずは弁理士の就職・求人に文系と理系で違いがあるのか見ていきましょう。

弁理士の働き方としては、以下3つの選択肢が一般的です。

  • 特許事務所への就職・転職
  • 企業内弁理士としての勤務
  • 独立開業

しかし、いきなり独立開業できる弁理士はほとんどいないため、最初のキャリアとしては「特許事務所」、または「一般企業の知的財産部門」のいずれかになるでしょう。

特に弁理士の採用を多く扱う特許事務所の求人情報を見ると、優遇条件として理系の特定分野が指定されているケースはあるものの、「文系・理系不問」と明記されている場合もあります。

文系出身者でも、応募先に困るということはないでしょう。

また、理系にもさまざまな分野があり、理系出身だからといって担当分野の技術に精通しているとは限りません。

さらに、技術情報は常にアップデートされるため、大学時代に学んだ内容をそのまま生かせるわけでもありません。

理系出身者であっても常に最新の技術情報を収集し続ける必要があるため、有利なのは最初のスタート部分だけだといえます。

そのほか、弁理士業務のなかには特許出願ほど技術的な知見を必要としない業務もあります。

そのため、自身の得意な業務を発見し、強みを徹底的に磨くことで、文系出身者でも十分活躍は可能です。

弁理士としてのキャリアでは、文系や理系といったバックグラウンドよりも、常に新しい知識を身につけ、自己研鑽を続けることが重要であるといえます。

未経験でも可能?

未経験かつ文系出身者であっても、難関資格試験を突破した弁理士に対する需要は小さくありません。

弁理士試験の合格率は6〜10%程度と低く、その資格を有しているだけでも貴重な存在だからです。

しかし、一人前の弁理士として活躍するためには、さまざまな知識や経験が求められます。

一般的には、プロの弁理士として十分な対応力を身につけるためには、2〜3年程度の下積みが必要とされています。

そのため、キャリアの初期にいきなり大手の特許事務所から好待遇で迎えられることはないでしょう。

それでも、着実に実務経験を積み重ねることで、弁理士としての対応力や専門知識を磨き、人材価値を高めることが可能です。

将来的に大手事務所に転職して年収1,000万円以上を得たり、独立開業したりといったケースは少なくありません。

下積み期間の長さや業務量の多さから「弁理士はやめとけ」などといわれることもあります。

しかし、目標を見据えて自分の強みを磨き続けられる方であれば、文系・理系問わず弁理士キャリアの将来は明るいといえます。

関連記事:弁理士はやめとけ?オワコンといわれる理由や業界の実情、キャリア成功のポイントを解説

文系弁理士のキャリアプランとは

弁理士にはさまざまな働き方の選択肢がありますが、最初のステップとして一般的なのは、特許事務所への就職・転職や企業の知的財産部門での勤務です。

いずれの場合も、弁理士資格を生かして知的財産権の出願や保護といった業務を担います。

弁理士としての独自の強みを磨き、人脈を築ければ、将来的には独立開業という選択肢も視野に入ってくるでしょう。

ここでは、文系出身の弁理士がどのようなキャリアを歩んでいくべきなのか、ポイントを解説します。

特許出願は難易度が高い

弁理士の業務のなかでも代表的なものといえば、特許出願です。

しかし、出願に必要な書類を作成するには技術的な知見が求められるため、どうしても文系出身者は不利になってしまいます。

もちろん、弁理士として実務をこなしながら知識を吸収することで、文系出身者でも特許出願を担当することは可能です。それでも、理系出身者はベースとなる知識を事前に備えていることを考慮すれば、ハンデは大きいと言わざるを得ません。

文系出身者でも不利だと感じることなくこなせる業務はあるため、特にこだわりがなければ特許出願以外の業務で強みを見出すのがよいでしょう。

意匠・商標に特化するのがおすすめ

文系出身者が活躍しやすい弁理士の業務としては、意匠や商標といった分野が挙げられます。

意匠権とは、新しく作られたデザインなどを保護するための権利です。

弁理士はデザインなどを独自のものとして権利化するため、事前調査やクライアントに対するアドバイス、特許庁への出願手続きなどを行います。

商標権とは、商品やサービスをほかのものと区別するために使用する文字や図形、記号などを保護する権利です。

意匠権と同様、弁理士は商標を権利化するための調査や特許庁への出願手続きなどを行います。

意匠や商標の権利化手続きも弁理士の重要な業務の1つであり、かつ需要の高い分野です。

そのうえで、特許出願のような高度な技術的知見が必要な場面はあまりありません。

文系出身の弁理士が活躍しやすい領域だといえるでしょう。

参考記事:弁理士とは|仕事内容や資格試験の難易度、必要な勉強時間、年収の目安などまとめて紹介!

英語力・コミュニケーション力を生かしたい

文系出身の弁理士が身につけやすく、発揮しやすいスキルとしては、コミュニケーション力や英語力も挙げられます。

弁理士業務といえば「手続き」といったイメージがあるかもしれませんが、実際には顧客との打ち合わせやコンサルティングなども重要な業務です。

そのため、文系出身に限った話ではないものの、営業経験があるなど顧客相手にコミュニケーションをとることに優れた弁理士は重宝される傾向にあります。

将来的に独立開業を目指す際にも、営業によって多くの顧客を集める必要があるため、営業スキルは大いに役立つでしょう。

また、業界を問わずグローバル化が進行したことで、近年では知的財産を巡る競争も世界的に激化してきました。

日本企業が特許の国際出願をする機会も増えており、「英語対応ができる弁理士」へのニーズは高まっています。語学を学んでいたのであればそれを大いに生かせます。

文系出身者はコミュニケーション力や英語力などを伸ばすことで、理系出身の弁理士にも負けることなく十分活躍できるといえるでしょう。

文系弁理士の独立は可能なのか

弁理士は知的財産のプロフェッショナルであり、独立開業がしやすい国家資格の1つです。

特許事務所や一般企業などで経験を積んだあと、できれば独立開業したいと考えている弁理士志望者・現役弁理士の方も多いでしょう。

文系出身者の場合、特許出願を苦手とするケースが多いため、理系出身の弁理士よりも独立開業のハードルは高いといえます。

意匠や商標の出願だけでほかの特許事務所と競争するのは難易度が高いからです。

ただし、国際出願や知的財産コンサルティングなど独自の強みを打ち出し、しっかりと人脈を築いたあとであれば、文系出身の弁理士でも独立開業できる可能性はあります。

理系・文系問わず、独立開業の成否を分けるのは「独立後にクライアントとなってくれそうな人がどれくらいいるか」だといえるでしょう。

文系弁理士の年収相場は平均より低い?

弁理士全体の平均年収は700〜760万円程度といわれています。

一般的な会社員の平均年収は440万円程度とされているため、高収入が得られる職業だといえるでしょう。

文系・理系の出身別に弁理士の年収を調査したデータなどはありませんが、一般的には文系出身者のほうが業務範囲が限られるぶん、若干年収は低い傾向にあると考えられます。

とはいえ、弁理士の年収を大きく左右するのは、働き方や勤務先の給与水準です。

文系弁理士であっても、うまくステップアップして大手の特許事務所や、大手企業の知的財産部門などに所属できれば、年収は高くなります。

逆に年収の水準が低い中小の特許事務所に勤務していれば、理系出身でどれだけ専門知識を持っていたとしても、年収が一定以上に上がることはありません。

文系出身の弁理士であっても、自己研鑽を続けて着実にステップアップを重ねていけば、年収が低いと悩むことはなくなるはずです。

参考記事:弁理士の平均年収と将来性、年収アップのコツを解説【大手なら1000万円も可能?】

弁理士試験は文系・理系どちらに有利?

弁理士になるためにはまず、国家試験のなかでも難関とされている弁理士試験に合格する必要があります。

そこで気になるのが、文系出身であることは弁理士試験の受験に不利なのかという点でしょう。

ここでは、文系・理系というバックグラウンドの違いが弁理士試験の難易度にどう影響するのか解説します。

合格者の7割以上が理工系出身者

弁理士試験の合格者は、全体の70〜80%ほどが理工系出身者となっています。

それに対し、法文系出身者は15%前後と圧倒的に少ないのが実態です。

しかし、そもそも弁理士は理工系出身者の知識が生かしやすい職業であることから、理工系出身の受験者数が多いという事情があります。

法文系出身者の絶対数が少ないだけで、合格しにくいというわけではありません。

参考記事:弁理士資格の試験難易度・合格率は?他資格との比較や合格者の特徴も解説!

合格率は文系・理系で大きく変わらない

令和6年度弁理士試験の短答式受験者数は、理系が1,984人、文系は601人でした。

そして最終合格者数は理系が156人、文系が27人となっており、最終合格率は理系が約7.8%、文系が約4.5%です。

合格率には若干の差があるものの、もともと6~10%程度と合格率の低い試験であることを考えれば、誤差の範囲ともいえるでしょう。

文系出身の受験者であっても、しっかりと対策を講じれば十分合格の可能性はあります。

試験内容は文系的素養を生かしやすい

弁理士の試験内容には法律に関するものが多いこともあり、法学部をはじめとした文系出身者に有利であるともいえます。

理系出身者の場合、法律に関する勉強をゼロからスタートする方が多いため、法律特有の表現に慣れるのに時間がかかるでしょう。

また、論文試験などにおいては適切に記述するための文章力が求められます。

文系出身者のほうが一般的に文章力が鍛えられている傾向にあり、この点も有利に働く可能性はあるでしょう。

このように、弁理士試験の内容は理系よりもむしろ文系に有利ともいえるのです。

論文の選択科目は理工系出身者が有利

一方、弁理士試験のなかで理工系出身者が有利な点として、論文式試験の選択科目が挙げられます。

選択科目には以下6つの選択肢がありますが、そのうち5つが理工系のものです。

  • 理工Ⅰ(機械・応用力学)
  • 理工Ⅱ(数学・物理)
  • 理工Ⅲ(化学)
  • 理工Ⅳ(生物)
  • 理工Ⅴ(情報)
  • 法律(弁理士の業務に関する法律)

文系出身者にとっては「法律」のほぼ1択といえる状況であり、得意な科目を選べる理工系出身者は有利だといえるでしょう。

さらに、理工系の特定の学位を持っている受験者には免除制度が設けられている点も、理工系出身者に有利に働きます。

このあたりが合格率の微妙な差に表れているのかもしれません。

しかし、文系出身者であっても、選択科目を「法律」に絞ったうえでしっかりと対策すれば、十分合格は可能です。

論文式試験の選択科目は弁理士試験全体のごく一部にすぎないため、気にしすぎる必要はないでしょう。

まとめ

本記事では、文系の弁理士に対する需要やキャリアプラン、試験合格の難易度について解説しました。

記事のポイントをまとめると以下の通りです。

  • 弁理士は理系出身者が多いものの、文系でも十分活躍は可能
  • ただし、特許出願においては理系出身者のほうが得意な傾向にある
  • 文系出身者は意匠や商標などの分野に特化するのがおすすめ
  • さらに英語力やコミュニケーション力など強みを磨くことで、活躍しやすくなる
  • 合格者の7〜8割は理系出身者だが、合格率に大きな差はない
  • 弁理士試験は法律に関するものであり、文系に有利な部分も多い

弁理士は難関国家資格の1つですが、しっかりと対策をすることで文系出身者でも十分合格できます。

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