弁理士試験の対策に過去問は必要?入手方法は?
弁理士試験に合格するためには、過去問を使った対策が効果的です。
ここでは、弁理士試験の対策に過去問が欠かせない理由や入手方法、注意点を解説します。
過去問を使った対策が効果的
弁理士試験においては、ほかの資格試験と同様に過去に出題された論点やテーマが繰り返し出題されています。
そのため、過去問を通して実際に出題された問題に触れておくことが効果的な対策となります。
弁理士試験は短答式試験・論文式試験・口述試験と3つの試験形式に分かれており、その出題範囲は膨大です。
すべての出題範囲を満遍なく学習することももちろん大切ですが、より出題率の高いテーマに絞って対策をすることで、学習効率を高められます。
弁理士試験の合格に必要な勉強時間は、3,000時間が目安といわれています。
1日平均5時間勉強しても1年半以上かかる計算であり、膨大な勉強量が必要だとわかるでしょう。
また、合格までの平均的な受験回数が3~4回程度となっていることからも、複数年かけて合格を狙うのが現実的だといえます。
長期にわたる弁理士試験対策を少しでも効率的に進めるためには、「実際に出る問題」に絞った対策が欠かせません。
そのため、過去問をいかに有効活用するかが重要だといえるのです。
参考記事:弁理士資格の試験難易度・合格率は?他資格との比較や合格者の特徴も解説!
特許庁サイトで公開されているが、解説はなし
弁理士試験の過去問の入手方法としては、以下の2つがあります。
- 特許庁の公式サイト
- 講座や市販の過去問集
特許庁の公式サイトでは、平成14年度以降の過去問がすべて公開されています(口述試験は問題テーマの公表のみ)。
しかし、注意が必要なのは「解説がない」という点です。
問題や解答、論点は公開されているものの、なぜそのような回答になるのかが解説されていないため、自主学習には不向きだといえるでしょう。
そのため、予備校や通信講座、オンライン講座の過去問集や、市販の書籍を活用するのがおすすめです。
過去問のなかでもより出題頻度の高いテーマ・問題に絞って対策できるため、より効率的だといえます。
過去問「だけ」を使った対策は非効率
弁理士試験において過去問を使った対策は有効ですが、過去問「だけ」の学習になってしまうと効率が悪いため、注意が必要です。
基礎が身についていない状態で過去問レベルの実践的な問題を解いても、応用力は身につきません。
過去問に類似した問題が出やすいとはいえ、まったく同じ問題が出題されるわけではないため、解き方を応用できなければ意味がないのです。
そのため、「短答式試験対策ではまず基礎知識を身につける」「論文式試験対策では頻出パターンを押さえる」など基本的な学習を優先し、そのうえで過去問を利用することが大切です。
弁理士試験での過去問を使ったおすすめ対策方法|試験形式別に解説
弁理士試験では過去問を使った対策が効果的ですが、試験形式によって活用方法は異なります。
ここでは、短答式試験・論文式試験・口述試験それぞれにおいて、過去問をどう活用すべきか解説します。
短答式試験の対策
短答式試験は、弁理士合格に向けてまず突破しなければならない1つ目の関門です。
短答式試験に合格しなければ、論文式試験や口述試験には進めないからです。
そのため、まずは短答式試験を突破するだけの基礎力を身につけることが最優先だといえるでしょう。
参考記事:弁理士とは|仕事内容や資格試験の難易度、必要な勉強時間、年収の目安などまとめて紹介!
短答式試験は「五肢択一」のマークシート方式となっており、出題数は全60問です。
試験時間は 3.5 時間で、試験科目は以下のとおりです。
試験科目 | 備考 | 出題数 |
特許・実用新案に関する法令 | 工業所有権に関する条約に関する規定が含まれ、工業所有権法令の範囲内で条約の解釈・判断が考査される | 20 |
意匠に関する法令 | 10 | |
商標に関する法令 | 10 | |
工業所有権に関する条約 | 工業所有権に関する条約に関する規定が直接関係する工業所有権法令が含まれる | 10 |
著作権および不正競争防止法 | ‐ | 10 |
短答式試験においては、特に過去問と類似した内容が繰り返し出題される傾向が強いです。
そのため、基礎学習を終えたあとにできるだけ多く過去問を解いておくことで、効率的に合格に近づけます。
特許・実用新案法と意匠法、商標法が出題割合の6割以上を占めるため、特に重点的に対策しましょう。
論文式試験の対策
短答式試験に合格すると、論文式試験に進めます。
論文式試験は必須科目と選択科目に分かれており、それぞれ対策が必要です。
必須科目の内容と試験時間は、以下の通りです。
- 特許・実用新案に関する法令(2時間)
- 意匠に関する法令(1.5時間)
- 商標に関する法令(1.5時間)
一方、選択科目では以下6つの選択肢のなかから1つを選んで受験します。試験時間は1.5時間です。
- 理工I(機械・応用力学)
- 理工II(数学・物理)
- 理工III(化学)
- 理工IV(生物)
- 理工V(情報)
- 法律(弁理士の業務に関する法律)
論文式試験では、具体的な事例に対して「妥当な結論を導き出すとともに、そのための論理的な過程を適切に記述できるか」が試されます。
短答式のように決まった正解がないため対策が難しいとされがちですが、過去問からうまくパターンを掴むことで効果的な論文対策が可能です。
オンラインで学べる「スタディング弁理士講座」では、必須科目につき、過去問の分析によって頻出の「15の出題パターン」を抽出し、論文式試験突破に必要な判断力・法的思考力を効率的に身につけられるよう設計されています。
決まった正解のない論文式試験だからこそ、採点結果がブレないよう共通の採点基準が設けられています。
頻出のパターンを押さえることで、出題者が答えてほしいことにストレートに答える力が身につきます。
参考記事:弁理士試験 論文式試験対策 「15×3論文勉強法」とは?
口述試験の対策
論文式試験に合格すれば、最後の試験である面接方式の口述試験に進みます。
口述試験の出題科目は「工業所有権に関する法令」で、具体的には以下の3つに分かれます。試験時間は各科目とも10分程度です。
- 特許・実用新案に関する法令
- 意匠に関する法令
- 商標に関する法令
口述試験では、短答式試験や論文式試験を突破するために身につけてきた基礎知識をもとに、試験委員による質問に口頭で回答します。
試験本番で実力を発揮するためには、実際に「問題を耳で聞いたうえで、瞬間的に論理的思考を巡らせ、口頭で回答する」といった練習を繰り返すことが大切です。
口述試験の過去問は、特許庁サイトでも「問題テーマ」しか公表されていません。
過去問をもとに各科目でどのような内容が出題されているか押さえたうえで、講座や市販の問題集を使って実践問題に取り組むのが効果的です。
弁理士試験の過去問にまつわる疑問に回答!
ここでは、過去問を使った弁理士試験対策にまつわるその他の疑問に回答します。「何年分使えばいいのか」「過去問をやり切る時間がない場合はどうすべきか」といった点が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
過去問は何年分使うべき?
弁理士試験に過去問が重要なことは理解しているものの、「何年分の過去問を使って対策すべきか」は多くの受験者が迷うポイントでしょう。
結論からいうと、最低5年分、できれば10年分に目を通しておくのが理想です。
たしかに弁理士試験では過去問と類似した問題が繰り返し出題されるものの、直近の試験に出た問題がすぐに登場する可能性はあまり高くありません。
そのため、1~3年分の過去問では十分ではなく、最低5年、できれば10年分の過去問を繰り返し解いておくのが理想だといえます。
過去問対策に十分な時間が取れない場合は?
弁理士試験は働きながら合格を目指す人が多いため、「10年分の過去問を繰り返し解く時間がない」というケースも多いでしょう。
過去問による対策を効率化するには、通信やオンラインの講座、通学制のスクールなどが作成した教材を利用するのが効果的です。
10年分の過去問のなかにも、繰り返し出題される頻出論点もあれば、まれにしか登場しない難易度の高い問題もあります。
過去問のなかでもより出題される可能性が高いテーマに絞って対策をすることで、時間がないなかでも効率的に学習を進められるでしょう。
オンラインで学べる「スタディング弁理士講座」では、より出題頻度の高いテーマに絞ったセレクト過去問集を用意しています。オンライン問題集であるため、何年分もの過去問を持ち運ぶ必要がないほか、間違えた問題に何度でもチャレンジできます。
まとめ
本記事では、弁理士試験合格に過去問が重要な理由やその入手方法、活用方法について解説しました。最後に、ポイントを振り返っておきましょう。
- 弁理士試験合格には過去問を使った対策が効果的
- 過去問は特許庁サイトでも入手可能だが、解説がない
- 講座や市販の過去問集を使って「解説つき」で学ぶのがおすすめ
- 試験形式(短答・論文・口述)によって過去問の活用方法は異なる
- 過去問は最低5年分、できれば10年分を使って頻出テーマを対策するのが理想
過去問をうまく活用することで、働きながら合格を目指す忙しい社会人でも、効率的に弁理士試験対策を進められます。
オンラインで学べる「スタディング弁理士講座」なら、より出題頻度の高いテーマに絞ったセレクト過去問集で繰り返し学べます。
気になる方は、ぜひ無料講座をお試しください。