弁理士の独占業務とは?代表的な5つの仕事内容を解説

弁理士の仕事は知的財産を守るプロフェッショナルとして高度な知識・スキルを必要とされるため、業務の一部は「独占業務」とされています。

本記事では独占業務とは何なのか、独占業務に違反するとどうなるのかといった基礎知識から、弁理士の独占業務がどういったものであるのかを解説します。弁理士になぜ独占業務が存在するのか、弁理士の仕事の難しさややりがいも含めて分かりますので、ぜひご一読ください。

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弁理士の独占業務とは?代表的な5つの仕事内容を解説


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独占業務とは?

独占業務とは、特定の資格を持っていないと取り組めないよう法律で規制された業務を指します。

独占業務を遂行するには高度な知識やスキルが要求されるため、法律により業務に取り組める資格者が限定されているのです。


独占業務には例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 弁護士:訴訟の代理人となること
  • 司法書士:会社や不動産の登記を代理で行うこと
  • 行政書士:官公庁への許認可の申請を代理で行うこと
  • 宅建士:不動産の契約に関する重要事項説明を行うこと

独占業務の範囲や報酬相場は、資格の希少性に大きな影響を及ぼします。

弁理士もこのような独占業務を多く抱える士業の一つです。


弁理士の主な仕事内容

弁理士とは、いわば「知的財産のスペシャリスト」です。

知的財産とは例えば以下のようなものを指します。

  • 研究の結果生み出された新しい技術や発明
  • 文章・音楽・絵画など創作活動により生み出された著作物
  • 企業のブランドロゴなどの商標

このような知的財産を生み出したつくり手である企業・個人の権利を守るため、法律を用いて権利の侵害対策や保護に向けたさまざまな手続きを行うのが弁理士の仕事です。


弁理士の独占業務とは?

弁理士の仕事の中でも、弁理士しか取り扱うことのできない「独占業務」について具体的に解説します。

  1. 特許・実用新案等に関する特許庁に対する申請代行業務
  2. 特許・実用新案等に関する仲裁事件の手続きについての代理
  3. 特許・実用新案等に関する権利若しくは技術上の秘密の売買契約等の代理業務
  4. 特許、実用新案等に関する訴訟において補佐人として陳述又は尋問をする
  5. 特許・実用新案等に係る審決又は決定の取消に関する起訴について起訴代理人となる


1. 特許・実用新案等に関する特許庁に対する申請代行業務

特許・実用新案等に関する特許庁に対する申請代行業務は、弁理士の代表的な独占業務の一つです。

新たな技術や発明、商標などの知的財産を保護するためには、特許庁に申請を行う必要があります。

その申請が認められて初めて知的財産は法律で保護される権利となるのです。


特許庁に申請を行うこと自体は本人でも可能ですが、手続きは非常に難しく専門家でない開発者が自身で対応することは簡単ではありません。

仮に申請が通ったとしても、内容が十分でなければ申請の穴を突かれ、知的財産の侵害を受ける可能性もあります。

そこで弁理士が依頼者に代わり手続きのプロとして申請を行うことで、権利者の知的財産は適切に守られるのです。


2. 特許・実用新案等に関する仲裁事件の手続きについての代理

特許・実用新案等に関するトラブルで仲裁を行う際の代理手続きは弁理士、もしくは弁護士の独占業務です。

特許は特許庁に申請が認められれば何もしなくても確実に守られるとは限りません。

悪意ある特許侵害だけでなく、特許が認められていることを知らずに侵害してしまうケースや、たまたま同時期に類似の技術開発が行われるケースもあります。

そうした特許関連のトラブルにおいて、依頼者の権利を第一に考え、仲裁事件の代理を行うのも弁理士の重要な業務の一つです。

権利関係の法的トラブル解決の業務であるため、弁護士でも対応可能な領域ではありますが、法律だけでなく技術にも深い理解を持つ弁理士により活躍が期待される分野と言えるでしょう。


3. 特許・実用新案等に関する権利若しくは技術上の秘密の売買契約等の代理業務

特許は実は売買することができ、その売買の際の契約の代理業務も弁理士の独占業務の一つ。

自身で取得した特許を活用して事業活動を行うことは当然可能です。

加えて、その特許もしくは技術をさらなる研究開発に活かしたい他社などに販売すること自体も一つの事業となりえます。


具体的には、2パターンがあり、1つは特許そのものを金銭と引き換えに他社に販売し、権利ごと譲渡するケース。

もう1つは特許自体は保持しておきながら、その重要な技術の利用についてのみ有償で認めるライセンス契約のケースです。

弁理士は、時にはどちらのパターンで契約を結ぶべきかといった意思決定へのアドバイスも行いつつ、依頼者の利益が適切に守られるよう契約を取りまとめることが期待されています。


4. 特許、実用新案等に関する訴訟において補佐人として陳述又は尋問をする

特許権侵害など知的財産関連のトラブルが裁判に発展した際、陳述や尋問でサポートすることも弁理士もしくは弁護士の独占業務です。

弁理士は特許侵害訴訟などの訴訟代理人になれるわけではありません。この点は弁護士の独占業務です。

弁理士は弁護士とは別の形で訴訟をサポートする立場で、自ら争点に関する見解を述べたり(陳述)、証人に質問し情報を引き出したりすること(尋問)で、裁判官に判断材料を提供し、依頼者に有利になるように動くことが期待されています。

一見、訴訟の代理もできる弁護士が兼任した方が効率的にも見えますが、弁護士は技術・特許面関連の知識も豊富とは限りません。

そのため、当該分野においては専門家である弁理士のサポートが求められるのです。


5. 特許・実用新案等に係る審決又は決定の取消に関する起訴について起訴代理人となる

弁理士は特定の訴訟においてのみ、独占業務として訴訟代理人となることが認められています。

具体的には、特許・実用新案等の申請を却下され、その取り消しを求める訴訟においては弁理士が代理人となって訴訟を提起することが可能です。

特許は特許庁の厳正な審査のもとに判断されるため、申請すれば確実に認められるものではありません。

特許の申請が却下され、再申請を検討する際にはその対応が求められます。

もしくは不服申し立てを法的措置として行うことも可能であり、その際の訴訟代理人になれるのは弁理士です。

非常に特殊な訴訟であり、また訴訟の元となる申請手続きが弁理士の独占業務であることから、当該訴訟の代理業務については弁護士ではなく弁理士の独占業務とされています。


特許出願の際に弁理士がすることとは?

特許出願は弁理士の代表的な独占業務の一つです。

非常に高度な知識・スキルを要求されることもあるやりがいのある花形業務の一つでもあります。

特許出願に関連して弁理士が具体的にどのようなことをするのか、詳しく解説します。

  • 特許申請前の調査やアドバイス
  • 申請書類の作成
  • 審査の対応、拒絶後の再審査対応


特許申請前の調査やアドバイス

特許申請について依頼者から要望をもらった際、弁理士が最初に行うのは特許申請前の調査やアドバイスです。

まずは選考案件を調査し、既に類似の技術はないか、従来の技術や発明と比較し、どういった部分が特許として認められる可能性があるかを調査します。

その上で、実際に該当する技術・発明がオリジナリティや権利の正当性などの観点から特許として申請を行う妥当性があるかを判断し、依頼者に対して助言を行います。

仮に特許としての妥当性が低かった場合、それを根拠をもって依頼者に示すのも弁理士の業務の一つです。

妥当性がある場合、申請にあたって今後の研究でどのような点を伸ばしていくべきかといった点のアドバイスを行うことも期待されます。


申請書類の作成

技術や発明が特許を申請するべきものであると判断された場合、具体的な特許出願のための申請書類の作成に入ります。

書類作成の手続きは膨大な数の書類とさまざまな分野の知識や調査が求められる業務です。

特許そのものに関連する知識は当然として、時には別分野の技術的な知識が求められるだけでなく、申請に関わる法的な知識も要求されます。

また、特許庁の審査は一字の誤字、一点の書類不備があるだけで却下されることもあるほどに厳格。

そのため、技術に関する知見が深く、かつ関連の法律知識にも精通した弁理士の活躍が期待されます。

特許の申請が不備で遅れると、同時期に類似の技術を開発した他社に権利を取られてしまう可能性があるため、プロとしての仕事が求められるのです。


審査の対応、拒絶後の再審査対応

申請書類は一度提出すれば業務が終わるとは限らず、審査の対応、拒絶後の再審査対応が求められる場合があります。

特許の申請は特許庁が厳正に審査を行うため、時には認められず出願拒否が通告されることがあるのです。

その際に拒絶理由通知書を確認した上で再度審査を求める場合は、改めて専門的な見地から通知書の内容を精査し、意見書や補正書といった新たな書類を作成・提出することにより、一度拒否された特許出願を改めて認可させるべく動くことが求められます。

もしくは、理由書の内容に納得がいかない場合などは再度認可を求める形ではなく、申請却下の取り消しを求めるため訴訟を提起するといった対応を行うことも時には求められます。


弁理士の資格を持たずに独占業務を行うとどうなる?

無資格で弁理士の独占業務を行った場合、刑事罰を科される可能性があります。

資格を持たずに弁理士業務を行うことは弁理士法第75条・第79条において定められた「非弁行為」。

罰則としては一年以下の懲役、または100 万円以下の罰金と規定されています。

さらに非弁行為によって特許申請に何らかの影響が出た場合、民事上の損害賠償責任を負う可能性もあるのです。

内容によっては膨大な金額となるリスクもあります。

仮に弁理士の独占業務領域に多少の業務知識があったとしても、非弁行為は非常にリスクの高い犯罪行為です。

もし業務として弁理士の独占業務領域の仕事をしたいのであれば、必ず資格取得を行ってからにしましょう。


まとめ

ここまで、弁理士の独占業務について解説しました。

  • 弁理士は知的財産を守るプロフェッショナルである
  • 弁理士の仕事は高度な知識・スキルが要求されるため、一部の業務は独占業務となっている
  • とりわけ特許に関する業務は弁理士の花形業務であり、申請前の調査から書類作成、作成後のアフターフォローまで弁理士の独占業務である
  • 独占業務とは特定の資格者のみに許されている業務であり、資格を持たずに独占業務を行うと法律で罰せられることもある

弁理士の仕事は依頼者の知的財産を適切に保護することであり、高度な知識・スキルが要求される非常にやりがいのあるものです。

弁理士の仕事に興味がある場合、ぜひ資格取得を目指してみてください。

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