弁理士の登録抹消が増えている? 登録方法や費用、再登録について解説

弁理士として正式に活動するには、資格取得後に日本弁理士会への登録が不可欠です。しかし、弁理士の資格所持者の中には、資格を持っていながらも登録しない人や、いったん登録したものの自ら登録抹消する人も存在します。

当記事では、登録抹消をする理由や再登録の方法、登録にかかる費用を解説します。弁理士登録をするメリット・デメリットも解説するので、資格取得を迷っている方はぜひ参考にしてみてください。

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弁理士に必要な「登録」とは

弁理士に必要な登録とは、試験に合格して弁理士資格を取得した後に、日本弁理士会へ登録することを指します。

日本弁理士会とは弁理士法にもとづいて設立された国内唯一の弁理士に関する法人組織で、弁理士登録に関する事務の他、会員の指導や連絡、監督を行っています。

日本弁理士会への登録は弁理士として業務を行う際に必要ですが、弁理士の資格を持っていても業務を行わない場合は、必ずしも登録を行う必要はありません。

登録は、正式に弁理士として業務を行いたい場合のみ必要な作業です。


弁理士の登録抹消が微増している?

弁理士に登録する人がいる一方、登録を抹消する人もいます。

日本弁理士会の「弁理士登録及び抹消(弁理士登録公告)並びに付記(付記公告)」によると、2018年〜2022年の弁理士登録者の抹消者数は以下のとおりです。


▼登録抹消者人数の推移

登録抹消者数(死亡による抹消は除く)
2018年 198名
2019年 195名
2020年 196名
2021年 195名
2022年 189名


2018年から2022年までゆるやかに減少しているものの大きな変動はなく、2022年の登録抹消者数もおおむね例年どおりの範疇と捉えられます。


弁理士の登録抹消をする理由とは?

弁理士の登録抹消は自ら申請して抹消する「申請抹消」の他、「本人の死亡による抹消」、会費の滞納や弁理士法の違反といった「欠格事由による抹消」があります。

登録抹消のうち、一番多い理由は「申請抹消」です。

申請抹消の場合は、家庭の事情や自身の高年齢化により「業務を続けられない」「業務を続ける必要がなくなった」といった理由が考えられます。

申請抹消についで多いのが「本人の死亡による抹消」です。

「欠格事由による抹消」はまれなケースですが、日本弁理士会の会費の滞納や研修の履修義務を怠ると登録抹消となる可能性があります。

2022年は欠格事由による抹消が2件あり、内訳は「弁理士法第8条第10号の違反」が1件、「滞納による退会処分」が1件でした。


登録抹消後に再登録はできる?

弁理士の登録を抹消しても、再登録は可能です。

ただし、弁理士は弁理士法第8条に定められた以下の欠格事由に該当する場合は、そもそも弁理士登録ができないため再登録も不可能です。

  • 刑事処分を受けた者
  • 業務上の処分を受けた者
  • 未成年者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

登録抹消後の再登録の場合は、以上の欠格事由に該当しないことが条件です。


再登録を申請する際には、初回申請と同じように申請書類一式を準備しなければなりません。

再登録の場合、提出書類の履歴書には、職歴欄に「前回の登録年月日」「抹消年月日」「登録番号」を記入します。

また、登録にかかる登録免許税や登録料、会費といった費用も必要なので再度支払います。

登録抹消時に未納会費がある場合は、あわせて支払わないと再登録はできません。

無事に再登録を済ませると、前回と異なる登録番号が付与されます。


弁理士に登録申請しないとどうなる?

日本弁理士会の登録を申請しないと、弁理士の仕事はできません。

ただし、試験に合格してから登録までの期限は設定されていないので、弁理士としての活動予定がなければ急いで登録する必要はないでしょう。


弁理士登録には約4カ月の実務修習を受けなければなりません。

時間と費用がかかるため、試験合格後すぐに登録しない人も一定数存在します。

資格を取得したらひとまず登録申請はしないでおいて、弁理士としての実務を行う際に登録してもよいでしょう。


気を付けたいのは、弁理士登録に必要な実務修習が年に一度しか開催されないことです。

登録申請はいつでもできますが、登録を終える時期は実務修習の期間を考慮しなければなりません。

将来、弁理士登録をする可能性が高い場合は、実務修習を受講して修了させておくと安心です。


弁理士登録の方法やかかる費用は?

弁理士登録はどのように行い、どのくらい費用がかかるのでしょうか。

弁理士登録について以下3つの項目を解説します。

  • 弁理士登録までの流れ
  • 弁理士登録の方法は?
  • 弁理士登録にかかる費用はいくら?


弁理士登録までの流れ

弁理士登録までの流れは以下のとおりです。

  1. 弁理士試験に合格
  2. 実務修習を修了
  3. 日本弁理士会に登録

弁理士になるには、まず試験に合格して資格を取得します。

なお、弁護士資格の保持といった要件を満たしている場合は、受験せずとも弁理士になる資格を得られます。


弁理士になる資格を取得したら約4カ月間の実務修習を受講し、すべての課目の単位を習得して修了しましょう。

実務修習を修了したら日本弁理士会に登録申請を行い、登録後は弁理士として活動が可能です。


弁理士登録の方法は?

弁理士の登録をする際は、まず申請書類をそろえて日本弁理士会に提出しましょう。

弁理士試験合格から登録申請の手続きまで期限はないので、いつでも申請可能です。

申請に必要な書類は、以下のとおりです。

  1. 弁理士登録申請書・届出書
  2. 誓約書
  3. 勤務証明書
  4. 履歴書
  5. 登録後の会費納付方法について
  6. 銀行振込等の写し貼付(※振込の場合のみ)
  7. 登録免許税納付証明書
  8. 住民票(マイナンバーの記載がないもの)
  9. 弁理士となる資格を証する書面
  10. 身分証明書

1~7の書類は、日本弁理士会のサイト内「弁理士登録申請について」のページからダウンロード可能です。

紙面で取り寄せる場合は、「弁理士登録申請書類送付希望」と朱書きした封筒に氏名・住所を記載した返信用封筒を入れ、事務局会員課宛てに郵送します。

1~10までの書類をそろえたら、日本弁理士会に郵送で提出します。

申請書類一式を入れた封筒の表書きに「弁理士登録申請書類」と朱書きして、書留または特定記録郵便で日本弁理士会会員課宛てに送付しましょう。


弁理士登録にかかる費用はいくら?

弁理士登録にかかる費用は約23万円で、内訳は以下のとおりです。

  • 実務修習の費用:118,000円(非課税)
  • 登録料:35,800円(非課税)
  • 登録月会費:15,000円(不課税)
  • 登録免許税:60,000円

実務修習費用は、銀行口座への振込手数料や会場への交通費が別途必要です。

また、月会費の15,000円は登録時のみならず毎月かかる費用なので、忘れずに納めましょう。


弁理士登録をするメリットとは

弁理士登録には多少の手間と費用がかかりますが、「弁理士の独占業務が行える」「収入アップを狙える」といったメリットがあります。

本章では、この2点のメリットを解説します。


弁理士の独占業務が行える

登録すると、弁理士として独占業務を行えます。

独占業務とは資格を持っている人だけが扱える仕事で、特許庁に知的財産の権利の申請をすることは弁理士の独占業務として位置づけられています。

試験に合格して弁理士になる資格を取得しても、弁理士登録をしないと独占業務を行えません。

登録すれば弁理士と名乗れ、独立開業も目指せます。


収入アップを狙える

弁理士に登録することで、収入アップを狙えます。

弁理士の年収は平均700万~760万円以上とされており、高年収といえるでしょう。

独立開業して事業が軌道に乗れば、年収1,000万円以上も狙える仕事です。

企業に所属している場合でも、正式に弁理士登録をすれば専門職手当が付く場合があります。

勤務先によって給与水準が異なるため、一概に高年収になるとはいいきれないものの、専門的な資格を持っていれば人材として価値が高まるでしょう。

資格がない場合と比較すると、弁理士登録をすれば昇進につながりやすく、結果的に高年収にもつながります。


弁理士登録をするとデメリットはある?

弁理士登録にはメリットがあるものの、「時間がかかる」「費用がかかる」といったデメリットもあります。

本章では、弁理士登録のデメリットを解説します。


時間がかかる

弁理士登録のデメリットは、時間がかかる点です。

弁理士資格を取得した後は実務修習と呼ばれる研修を受けないと弁理士登録ができず、正式に弁理士業務を行えません。


実務修習は弁理士に必要な知識と実務能力の修得を目的に実施される研修で、例年12月〜3月の約4カ月間行われます。

集合研修では課題をこなさなければならず、e-ラーニング研修では効果確認問題の正答率8割以上をキープしておかないと、スムーズに研修を進められません。

そのため、努力して実務修習を修了させる必要があります。

弁理士試験に合格するだけでも平均3〜4年はかかるとされており、合格後も4カ月の実務修習が必要で、弁理士として正式に登録するまでは長い時間がかかります。


費用がかかる

弁理士登録には、費用がかかります。

実務修習や登録料といった費用をすべて合計すると約23万円と、決して安い金額ではありません。

登録後も毎月の会費が15,000円かかり、もし会費を滞納した場合は日本弁理士会の登録を抹消される場合があります。

すぐに業務を行わない場合は、登録を先送りにして月々の会費を節約してもよいかもしれません。

登録するタイミングを検討し、実務を行う目処がたってから登録申請をしましょう。


まとめ

本記事では、弁理士の登録抹消の理由や再登録の方法、かかる費用や登録のメリット・デメリットを解説しました。

最後に本記事のポイントをおさらいしましょう。

  • 弁理士になるには弁理士資格を取得した後、日本弁理士会に登録する必要がある
  • 弁理士の登録抹消は例年190名前後で、数はほとんど変動していない
  • 弁理士の登録抹消の理由の多くは「申請抹消」で、他の理由には「死亡による抹消」「欠格事由による抹消」がある
  • 弁理士の登録は、資格を取得後に実務修習を修了し、日本弁理士会に申請書類を郵送して行う
  • 弁理士登録にかかる費用は、実務修習や登録料すべて含めて約23万円である
  • 登録すれば独占業務が扱え収入アップを狙えるが、時間と費用がかかるため、登録のタイミングを検討する必要がある

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