弁理士の口述試験とは? 合格のポイントや対策方法を解説

口述試験は、弁理士資格を取得するための最終関門です。例年、合格率は高いものの、試験官との口頭での質疑応答で行われる「面接方式」が採用されており、対策は必須です。

本記事では対策方法と合格のポイントについて解説していきます。

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目次 Contents

弁理士の口述試験とは? 合格のポイントや対策方法を解説


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弁理士の口述試験とは?

弁理士の口述試験といっても、どんな試験なのか把握できていない方もいるのではないでしょうか。

はじめに、弁理士の口述試験の概要や試験スケジュールなどを詳しく解説します。


弁理士資格を取得するための最終試験

口述試験は、短答式試験・論文式試験に合格した方が受験する弁理士資格の最終試験です。

そのため、誰でも受験できる試験ではありません。

口述試験に合格すると弁理士試験に合格したことになり、実務修習や日本弁理士会への登録に進めます。

日本弁理士会への登録まで済ませることで弁理士としての業務に従事可能です。


最終関門の口述試験に合格するため、試験がどんな内容で実施されるのか情報を集めておきましょう。

試験日程や試験時間、試験科目などを把握して早い段階から対策を始めることが口述試験合格までの第一歩となります。


弁理士・口述試験の概要

弁理士の口述試験は、試験官との口頭での質疑応答で行われる「面接方式」を採用しています。

そのため、解答用紙に直接記入するといったことはありません。

以下の表は、弁理士の口述試験について概要をまとめたものです。

項目 詳細
試験日程 例年10月中旬~下旬ごろに実施
受験会場 東京

※受験地における具体的な試験会場は官報および特許庁ホームページにて公表がある

試験科目 工業所有権に関する法令

・特許、実用新案に関する法令

・意匠に関する法令

・商標に関する法令

試験時間 各科目において10分程度
試験形式 面接方式(受験者が各科目の試験室を順次移動する方式により実施)
合格基準 採点基準をA・B・Cの三段階にわけた中でC評価が2つ以上ないこと
問題の公表 出題にかかるテーマが口述試験終了後に特許庁ホームページに公表される。解答に関しては公表されない
免除条件 特許庁において審判または審査の事務に5年以上従事した方
法文の貸与 試験委員の許可を受けて弁理士試験用法文を参照可能


弁理士の口述試験は、年に1度、東京都の試験会場にて10月中旬~下旬ごろに実施されます。

試験科目は工業所有権に関する法令が出題され、試験時間は各科目で10分程度です。


また、口述試験において合格基準は何点以上といったものではありません。

採点基準が3つにA・B・Cの3つに区分されたうえで「C評価が2つ以上ないこと」と決められています。

このほか、口述試験では試験委員の許可を受けていれば弁理士試験用法文を参照可能です。

口述試験でかなり役立つため、可能な限り法文の貸与は受けておくのがよいでしょう。


弁理士の口述試験の合格率、合格基準とは?

先ほど、弁理士試験の概要について解説しました。

とはいえ、弁理士の口述試験の難易度がどのくらいなのか知りたい方も多いのではないでしょうか。

ここでは、口述試験の合格率や合格基準について詳しく解説します。


合格率は90%以上

弁理士の口述試験の合格率について、過去6年間の実施データをもとにみていきましょう。

実施年度 合格率(口述試験) 最終合格者数 最終合格率
令和5年(2023年) 94.3% 188人 6.1%
令和4年(2022年) 96.4% 193人 6.1%
令和3年(2021年) 90.2% 199人 6.1%
令和2年(2020年) 98.6% 287人 9.7%
令和元年(2019年) 95.6% 284人 8.1%
平成30年(2018年) 94.0% 260人 7.2%


表をみると、弁理士の口述試験の合格率は90%以上であることがわかります。

年度によっては99%近くの合格者が出ているのも特徴です。

口述試験の合格率が高い理由として、最難関といわれる論文式試験を突破してきたことが挙げられます。


論文式試験を突破した受験者は口述試験に十分な知識量を有しているため、口述試験の対策をとることで合格を狙いやすくなるというわけです。

実際、最終の合格率をみると約6〜10%であることがわかります。

このことからも、弁理士試験は口述試験よりも短答式筆記試験・論文式筆記試験のほうが難易度が高いといえるでしょう。

ただし、90%近くの合格率がある口述試験の中にも少数ですが不合格者はいます。

そのため、論文式試験に合格すれば口述試験も簡単に合格できるとは思いこまず、試験に向けて計画的に対策することが大切です。


弁理士・口述試験の合格基準

弁理士の口述試験は、工業所有権に関する法令が試験科目として定められています。

具体的に出題される法令は、以下の3つです。

  1. 特許・実用新案に関する法令
  2. 意匠に関する法令
  3. 商標に関する法令

上記の内容について面接方式で出題される傾向です。

また口述試験の合格基準に関しては、以下のA・B・Cの3段階評価のうち、C評価が2つ以上ないこととされています。

評価 詳細
A 答えがよくできている場合
B 答えが普通にできている場合
C 答えが不十分である場合


面接形式の試験では、知識をわかりやすく伝える能力を必要とします。

そのため、後述する試験対策の方法を参考に、効率よく口述試験を攻略しましょう。


口述試験の対策方法は?

口述試験の対策方法として、以下の4つが挙げられます。

  • 口述講習会への参加
  • 過去問を繰り返し勉強
  • 口述模擬試験を受ける
  • 受験仲間や先輩と練習

対策方法のポイントを十分に把握したうえで自分に適した方法を選択すると、効率よく口述試験に合格する力を身につけられます。

それぞれの対策方法について、詳しくみていきましょう。


口述練習会への参加

口述試験の対策方法として、口述練習会への参加があります。

いろいろな団体が口述の練習会を開催しており、参加することで口述試験の傾向を把握しながら、自分に足りない部分をみつけることが可能です。

1人で練習する場合、自分が質問に対して答えることができているのか不安になったり、質問の想定に限界があったりしますよね。

団体の講習会では自分が苦手とする質問を把握できるだけでなく、自分の回答がよいものかどうかを具体的に知ることができるのがメリットです。


また、団体の口述練習会では、試験対策以外にも知財業界で知り合いができたり、受験仲間をみつけたりできます。

自分自身のモチベーションを維持しながら効率よく口述試験の合格を目指しやすい方法といえるでしょう。

ただし、論文試験合格発表日に機関の講習会の予約が埋まる可能性があります。

そのため、口述練習会に参加する場合は、早めに予約を済ませておきましょう。


過去問を繰り返し勉強

過去問題があれば弁理士の口述試験は独学でも勉強できます。

過去5〜10年分の問題を用意して、自分の言葉ですらすらと回答できるようになるまで、練習を繰り返しましょう。

最初のうちは、スムーズに言葉が出てこなくても問題ありません。

苦手分野を克服したり聞かれたことのない質問に対しての柔軟性を高めたりして、効率よく合格を目指しましょう。


口述模擬試験を受ける

弁理士の口述試験は、予備校が開催している模擬試験を受けることでも対策できます。

予備校の講習会や模擬試験の場合、費用は必要としますが団体の練習会と同じで効率よく対策できるのがメリットです。

特に模擬試験の場合、本番に近い雰囲気で口述試験を練習できます。


試験本番の緊張感や空気は独特なものです。

そのため本番に弱い方であれば、事前に模擬試験を受験して試験当日に頭が上手く回らずに不合格になるといった事態を防ぐのがよいでしょう。

さまざまな予備校が主要都市で講習・模擬試験を開催しているため、一度受験してみてください。


受験仲間や先輩と練習

すでに特許事務所などで働いている方の場合、弁理士試験の受験仲間や同期・先輩などに頼るのも1つの方法です。

弁理士の資格を取得している同期や先輩がいれば、疑似的な練習を通して具体的なアドバイスをもらうことも可能でしょう。


また、講習会や模擬試験参加のように別費用を支払わなくてよいのもメリットです。

費用をかけず、効率的に口述試験に合格する力が身につきます。

練習中は本番の試験を意識して、自分の課題を克服できるよう対策に努めてください。


口述試験、合格のポイントとは?

口述試験に合格するためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。

  • 勉強は早めにスタート
  • 場慣れが大切。繰り返し練習を
  • 質問に簡潔に答えられるよう準備する
  • 質問に意図がわからなければ確認してOK
  • コミュニケーションであることを忘れない

それぞれのポイントを詳しく解説します。


勉強は早めにスタート

口述試験の対策は、なるべく早い段階でスタートすることが大切です。

条文の暗記や模擬試験、自分の苦手克服にどれだけ時間を費やせるかで合否が決まるため、口述試験のために時間を確保しましょう。

口述試験は論文式試験の後に実施される試験ですが、論文試験の合否に関係なく、口述試験対策は始めておくのがおすすめです。

仮に論文式試験に合格できなかった場合でも対策の時間が無駄にはなりませんし、合格した場合においては時間を多く確保できます。


また、団体の口述練習会などは論文式試験の合格発表後に予約がすぐ埋まります。

口述試験に合格できたら弁理士の試験は終了なので、それまでは気を抜かず口述試験対策を素早く始めましょう。


場慣れが大切。繰り返し練習を

口述試験は、試験官との面接方式で行われる試験です。

いわば、試験官とコミュニケーションをとりながら質問に答える試験であるため、質疑応答する環境に慣れておく必要があります。

試験日までに過去問や模擬試験などを繰り返し、話すことに慣れてください。

何度も繰り返しながら話すのが苦手な部分や詰まりやすい部分などをみつけ、なおかつ印象よく回答できるよう対策しましょう。

少しずつ場慣れして、口述試験に合格する力を身につけてください。


質問に簡潔に答えられるよう準備する

口述試験の練習をする際、質問に対して簡潔に答えられるよう準備しましょう。

求められていないところまで回答したり、わからないのにわかったふりなどをすると印象が悪くなって不合格につながります。

独学であれば、弁理士の口述試験の過去問題5〜10問を徹底的にやり込むことがおすすめです。


他にも、口述再現問題集・予備校などの模擬試験など受験者が口述試験に向けて効率よく対策できる環境・テキストが用意されています。

問題を1度解いて終わりにするのではなく、模範解答や講師・合格者からのアドバイスを参考に、簡潔に受け答えできるよう対策してください。


質問の意図がわからなければ確認してOK

もし、口述試験で試験官の質問の意図がわからない場合は確認しても問題ありません。

「ご質問の意味は○○ということで間違いないでしょうか?」と確認してください。

「試験官の質問の意図がわからないと不合格になるんじゃ...」と不安になる方もいるかもしれませんが、意図がわからないまま的外れな回答をするほうがよくありません。

後述する不合格者の特徴でも解説しますが、的外れな回答をしたりわからない内容をわかったふりしたりすると、逆に試験官からの印象が悪くなって不合格につながります。

質問された後で聞き直すのは勇気がいることですが、印象を悪くして不合格になることを考えれば堂々と確認する方がいいでしょう。


コミュニケーションであることを忘れない

口述試験は、試験官とのコミュニケーションともいえる試験です。

そのため、十分に合格するような知識があったとしても上手く回答できなければ不合格になります。

もし、質疑応答や発表、プレゼンなどに慣れていない人は徹底して練習しましょう。

人前で話すのが苦手な方でも口述試験は避けて通れないため、過去問題や模擬試験を通して徐々に克服することが大切です。

簡潔にわかりやすく伝える、面接としてのマナー面も意識して、口述試験の合格を狙ってください。


弁理士・口述試験に落ちた…不合格になる人の特徴とは?

受験者の中には、弁理士の口述試験に落ちる方もいます。

不合格になる人の特徴は、主に以下の5つです。

  • 言葉が出てこず、黙ってしまう
  • 質問の意図を汲み取れない
  • 求められていないところを答えてミスをする
  • わかったふりをしてしまう
  • マナーの面で印象が悪い

これから受験する方は、弁理士の口述試験で不合格になる原因や特徴をふまえて対策することが大切です。

それぞれの特徴について、詳しくみていきましょう。


言葉が出てこず、黙ってしまう

口述試験において、言葉が出てこず黙ってしまう事態は避けましょう。

何かを話さない限り、絶対に合格できません。

とはいえ、口述試験は実際に試験官と質疑応答をかわすため、とても緊張する方も少なくないでしょう。

そのため、自信を持って試験に臨めるよう、日頃の対策を十分に行う必要があります。


また、試験本番にわからない質問などがきて困った場合においても沈黙してはなりません。

何かしらの発言をしなければ試験も進みませんし、回答できないまま試験が終わるのも試験官からの印象が悪くなります。

わからないことは素直に「わかりません」と伝えた方がよいため、沈黙だけは避けて試験に臨んでください。


質問の意図を汲み取れない

試験官の質問に答える際は、意図を汲み取ったうえで落ち着いて解答しましょう。

口述試験では、答えが間違っている場合において試験官から助け舟を出してもらえる可能性もあるため、焦らないことが大切です。


まずは試験官の言葉を最後まで聞き、質問の意図を理解して自分の回答を用意する、そのうえで自分の言葉でわかりやすく伝えるといったプロセスで回答することをおすすめします。

また、先ほどもお話ししたとおり、何を答えたらよいかわからずに沈黙すれば、試験時間がすぐに過ぎるだけでなく試験官からの印象も悪くなります。

そのため、試験官からの質問に対して自然と正解を発言できるよう対策を徹底してください。


求められていないところを答えてミスをする

口述試験の回答は、必要最小限で問題ありません。

求められていない部分まで回答して、ミスをすることは防ぎましょう。


例えば、質問に対してすべて回答しようと無理をしたり、次以降で追加で聞かれるかもしれない内容を先回りして回答したりするとミスにつながりやすいです。

口述試験では、必要があれば試験官の方から追加で質問されるため、無理して回答する必要はありません。

必要最小限の部分を答えつつ、「次にこの質問が来たらこう答える」といった内容を想定しながら試験に臨みましょう。

口述試験は試験官とのコミュニケーションでもあるため、無理は禁物です。


わかったふりをしてしまう

口述試験では、質問に対してわかったふりをするのを避けましょう。

わかったふりをして的外れな回答をした場合、試験官からの印象が悪くなる可能性があります。

口述試験の質問の中でわからない内容があった場合、わかったふりをして的外れな回答をするぐらいなら、わからない旨を素直に伝えましょう。

他の質問でしっかりと回答できれば、口述試験に合格することは十分に可能です。


マナー面で印象が悪い

何度もお話ししたように、弁理士の口述試験は試験官とのコミュニケーションともいえる試験です。

そのため、マナーや態度がよくなければ悪い印象を与えてしまいます。

  • 最低限の服装を整える
  • 言動のマナーを守る
  • 自意識過剰な態度をとらない

試験では質疑応答以外にも注意を払うことが大切です。

練習の場では問題ありませんが、試験本番では服装や言動のマナーを最低限は守りましょう。


また、口述試験の場まで残れた自信や本番での緊張などが強すぎると悪い結果につながる可能性があります。

謙虚な姿勢で試験に臨み、わからない部分はわかったふりをしない、発言するときはハキハキと簡潔に伝えるといった意識が大切です。

口述試験は、試験官とのコミュニケーションの場であることを十分に把握して、言動や服装などのマナーを守りながら試験に臨みましょう。


口述試験の合格発表と合格後にやるべきこととは?

ここまで、弁理士の口述試験の概要や合格するポイントについて解説しました。

では、口述試験はいつ頃合格発表が行われるのでしょうか。

ここでは、口述試験の合格発表と合格後にやるべきことを解説します。


口述試験の合否発表はいつ?

弁理士口述試験の合格発表は、例年11月の上旬頃に行われます。

特許法のホームページや合格発表月に発行される官報にも名前が記載されるのが特徴です。

口述試験まで合格したら弁理士の資格を取得したとして認められます。

ただし、弁理士と名乗って業務をおこなう場合、試験合格後に実務修習を受講したり日本弁理士会に登録したりといったステップを踏まなければなりません。

もし弁理士としての業務を考えていない場合、実務講習などの受講は不要です。


弁理士試験の合格後にやるべきこと

弁理士試験合格後、やるべきことは以下の2つです。

  • 年に一回開催される実務修習の申し込み
  • 上記を終えたら、日本弁理士会に弁理士登録

弁理士試験に合格してもすぐに弁理士として仕事に従事できません。

必要な技術や専門的な能力を身につけることを目的に年に1度実施される実務修習を修了した後、日本弁理士会に登録が必要です。


日本弁理士会登録の際は、申請書類を日本弁理士会に提出する必要があります。

登録費用としては登録料35,800円、毎月の会費が15,000円です。


まとめ

弁理士の口述試験は、短答式試験・論文式試験合格後に受験できる弁理士の最終試験です。

試験は試験官との面接方式で行われるため、解答用紙に答えを記入することはありません。

改めて、今回ご紹介した内容をおさらいしましょう。

  • 弁理士の口述試験は例年10月中旬~下旬ごろに実施
  • 口述試験の合格率は例年90%以上
  • 口述試験では過去問を繰り返したり模擬試験を受けたりして対策するのがよい
  • 質問に対して簡潔に答えられるよう準備するのが大切
  • 黙ったりわかったふりをしたりするのは試験官からの印象が悪くなるので避ける

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