
基本情報技術者試験は、情報処理技術者試験の中で基本編にあたり、直近(令和6年度=2024年4月~2025年3月実施)の合計合格率は40.8%です。
また、合格点の基準は1000点満点のうち600点以上とされています。今回は、基本情報技術者試験の合格率と合格点についてもうすこし深掘りして解説していきます。
![]() | 基本情報技術者試験の合格率ってどれぐらいなんですか? |
|---|---|
![]() | 試験制度が変更された、令和5年度の基本情報技術者試験の合格率は、平均40%台(令和5~6年度/39.2%~56.4%)となっています。 |
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基本情報技術者試験合格基準
基本情報技術者の合格基準は以下の通りです。2023年4月から試験制度と共に合格基準も変更となりました。
| 令和5年(2023年)4月試験から | 科目A・科目B試験ともに1,000点満点中600点以上の得点 IRT方式(Item Response Theory:項目反応理論)<IRT方式とは?> IRT方式(Item Response Theory:項目飯能理論)とは、解答結果に基づいて配点を算出する方式のことです。 そのため、従来の試験のような、【1問何点】といった明確な採点基準は存在しません。 IRT方式を用いることで、異なるテスト間でスコアを比較することもでき、また、複数回実施・常時受験が可能となります。 |
|---|---|
| 令和4年(2022年)下期試験まで | 午前試験・午後試験ともに100点満点中60点以上の得点 素点方式での採点午前試験 配点:各1.25点午後試験 問1 :配点 20点 問2~5:配点 各15点 問6 :配点 25点 問7~11:配点 25点 |
試験制度の変更内容については、下記の記事にまとめております。
受験予定の方は、是非ご確認ください。
なぜ?「600点以上取ったのに落ちた」という不合格者の声
ときどき「600点以上がとれたのに落ちてしまった!」という受験者がいます。
基本情報技術者試験の合格基準は、科目A試験・科目B試験でどちらも600点以上を獲得することです。
そのため「何割正解で合格できる?」という質問には「6割」という回答となります。
ただしトータルで6割になればよいわけではなく、どちらの試験でも6割を獲得する必要があります。たとえ科目A試験で900点をとれたとしても、科目B試験が500点であれば不合格です。
また基本情報技術者試験には「今回は科目A試験だけ合格、次回は科目B試験のみを受験」といった制度がないため、どちらかが600点を下回っていれば不合格となってしまいます。
そのため基本情報技術者試験の勉強をする際は、どちらかの科目だけにかたよりすぎないよう気をつけましょう。
つい自分が得意な分野の勉強ばかりをしてしまいそうになりますが、苦手な分野を潰してこその試験対策です。両方の科目、すべての分野において幅広く得点できる状態を目指しましょう。
配点は変動する? IRT方式について解説
前述の通り、現在の基本情報技術者試験の採点にはIRT方式(Item Response Theory:項目飯能理論)が採用されています。
IRT方式とは、簡単にいうと受験者全体の解答結果をもとに問題の配点を算出する採点方式です。
IRT方式の試験には、異なる試験同士のスコア比較、複数回の試験実施や常時受験が可能になるといったメリットがあります。
ただしIRT方式の試験問題には、「1問何点」といった明確な配点が存在しません。合格基準ギリギリの正答率だった場合、その試験の配点によっては不合格となってしまう可能性もあります。
試験本番では、ケアレスミスなどでとれていたはずの得点を落としてしまわないように注意しましょう。
令和6年度実施の基本情報技術者試験、各月合計の合格率は40.8%
| 令和5年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 4月実施試験 | 10,513人 | 5,928人 | 56.4% |
| 5月実施試験 | 9,724人 | 5,322人 | 54.7% |
| 6月実施試験 | 9,141人 | 4,802人 | 52.5% |
| 7月実施試験 | 9,506人 | 4,712人 | 49.6% |
| 8月実施試験 | 7,812人 | 3,779人 | 48.4% |
| 9月実施試験 | 9,523人 | 4,542人 | 47.7% |
| 10月実施試験 | 12,361人 | 5,235人 | 42.4% |
| 11月実施試験 | 9,974人 | 4,472人 | 44.8% |
| 12月実施試験 | 10,919人 | 4,556人 | 41.7% |
| 1月実施試験 | 8,526人 | 3,737人 | 43.8% |
| 2月実施試験 | 9,801人 | 4,390人 | 44.8% |
| 3月実施試験 | 13,811人 | 5,803人 | 42.0% |
| 令和5年度合計 | 121,611人 | 57,278人 | 47.1% |
| 令和6年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 4月実施試験 | 10,394人 | 4,235人 | 40.7% |
| 5月実施試験 | 9,132人 | 4,137人 | 45.3% |
| 6月実施試験 | 10,435人 | 4,467人 | 42.8% |
| 7月実施試験 | 9,296人 | 3,877人 | 41.7% |
| 8月実施試験 | 9,950人 | 4,379人 | 44.0% |
| 9月実施試験 | 11,570人 | 4,788人 | 41.4% |
| 10月実施試験 | 12,716人 | 4,990人 | 39.2% |
| 11月実施試験 | 10,520人 | 4,322人 | 41.2% |
| 12月実施試験 | 11,171人 | 4,389人 | 39.3% |
| 1月実施試験 | 8,978人 | 3,588人 | 40.0% |
| 2月実施試験 | 11,869人 | 4,641人 | 39.1% |
| 3月実施試験 | 17,701人 | 6,678人 | 37.7% |
| 令和6年度合計 | 133,732人 | 54,501人 | 40.8% |
新試験制度への移行後、令和5年度~令和6年度の結果は上記の通りとなります。
当初の令和5年4~6月は50%を超える高い合格率となっていましたが、回を重ねるごとに40%前半の数値へと落ち着き始め、令和6年の後半では40%を割る月も見られるようになりました。
なお、下の図は、平成21年~令和4年度下期にかけての受講者数・合格者数・合格率を示したものです。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 平成21年春期 | 64,544人 | 17,685人 | 27.4% |
| 平成21年秋期※1 | 79,829人 | 28,270人 | 35.4% |
| 平成22年春期 | 65,407人 | 14,489人 | 22.2% |
| 平成22年秋期 | 73,242人 | 17,129人 | 23.4% |
| 平成23年特別※2 | 58,993人 | 14,579人 | 24.7% |
| 平成23年秋期 | 59,505人 | 15,569人 | 26.2% |
| 平成24年春期 | 52,582人 | 12,437人 | 23.7% |
| 平成24年秋期 | 58,905人 | 15,987人 | 27.1% |
| 平成25年春期 | 46,416人 | 10,674人 | 23.0% |
| 平成25年秋期 | 55,426人 | 12,274人 | 22.1% |
| 平成26年春期 | 46,005人 | 11,003人 | 23.9% |
| 平成26年秋期 | 54,874人 | 12,950人 | 23.6% |
| 平成27年春期 | 46,874人 | 12,174人 | 26.0% |
| 平成27年秋期 | 54,347人 | 13,935人 | 25.6% |
| 平成28年春期 | 44,184人 | 13,418人 | 30.4% |
| 平成28年秋期 | 55,815人 | 13,173人 | 23.6% |
| 平成29年春期 | 48,875人 | 10,975人 | 22.5% |
| 平成29年秋期 | 56,377人 | 12,313人 | 21.8% |
| 平成30年春期 | 51,377人 | 14,829人 | 28.9% |
| 平成30年秋期 | 60,004人 | 13,723人 | 22.9% |
| 平成31年春期 | 54,686人 | 12,155人 | 22.2% |
| 令和元年秋期 | 66,870人 | 19,069人 | 28.5% |
| 令和2年度10月※3 | 52,993人 | 25,499人 | 48.1% |
| 令和3年度上期(5月実施) | 6,871人 | 3,435人 | 49.9% |
| 令和3年度上期(6月実施) | 25,637人 | 10,087人 | 39.3% |
| 令和3年度下期(10月実施) | 8,981人 | 4,134人 | 46.0% |
| 令和3年度下期(11月実施) | 43,850人 | 17,033人 | 38.8% |
| 令和4年度上期(4月実施) | 8,449人 | 3,816人 | 45.1% |
| 令和4年度上期(5月実施) | 37,574人 | 14,399人 | 38.3% |
| 令和4年度下期(10月実施) | 9,882人 | 3,861人 | 39.0% |
| 令和4年度下期(11月実施) | 45,618人 | 15,919人 | 34.8% |
※1 平成21年度秋期では午後試験に出題ミスがあり、受験者全員に加点措置が行われたため高い合格率となっています。
※2 平成23年度の春期試験は4月ではなく、7月開催となりました。
※3 令和2年度試験より、CBT方式の試験を実施しています。
基本情報技術者試験の年間の平均受験者数は、約12万人前後です。令和6年度の合格率は約40%となっています。情報処理技術者試験のレベル1であるITパスポート試験の約50%前後の合格率と比べると、試験制度変更後は近しい合格率のように思えますが、ITパスポートにはない「科目B試験」の壁に阻まれる受験生も少なくありません。
基本情報技術者の合格率は、ペーパー方式で実施されていた時期は20%台、CBT方式で上期/下期に実施されていた時期は40%台となっています。
過去の試験制度よりも問題数が減った分、学習内容を絞りやすいというメリットはありますが、一方で苦手な単元でも避けて通ることができなくなったというデメリットもあります。
また、高い合格率がでた試験の次の開催では、合格率が下がっているのという特徴もあります。
基本情報技術者試験は学生の合格率が高い⁉
年度でのばらつきはありますが、社会人・学生別の合格率を見てみると、学生の方がやや高めの合格率となっています。最新のデータである令和6年12月受験の統計でも、社会人全体の合格率が37.9%であるのに対し、学生は全体での合格率43.2%と社会人を上回る結果でした。
これはストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の出題比重がITパスポート試験に比べて変化していることが要因と考えられます。
【ITパスポート試験と基本情報技術者試験の出題形式】
| ITパスポート試験 | 基本情報技術者試験 |
| テクノロジ系:45問程度 マネジメント系:20問程度 ストラテジ系:35問程度 (全100問) | テクノロジ系:41問程度 マネジメント系:7問程度 ストラテジ系:12問程度 (科目A試験 全60問※科目B試験は全20問 |
上記のように、ITパスポート試験では、ストラテジ系・マネジメント系の問題を併せると、問題数の約半分をカバーできることになります。対して、基本情報技術者試験では、テクノロジ系が問題数の半分以上を占めています。
ストラテジ系・マネジメント系は、経営、マネジメント分野からの問題が出題されるので、社会人の方が知識としては、なじみがあるため、問題数の半数を占めているITパスポートの試験の方が合格率が高くなっています。
基本情報技術者試験では、ストラテジ系・マネジメント系から出題される問題数はITパスポートの半分以下でテクノロジ系の問題が多くなっています。そのため、学生にとっては、負担が少なくなっているのではと考えられます。特に情報処理系の学校に所属している学生は、テクノロジ系の分野には、慣れ親しんているので、基本情報技術者試験では、学生の受験者の方が合格率が高くなっているのではと思われます。
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